都議会本会議で西崎政調会長が小池都知事に質問しました
- 2024/12/10
- カテゴリー:都議会
2024年12月10日、都議会本会議が開かれ、各会派の代表者が小池都知事に質問しました。都議会立憲民主党からは西崎つばさ政務調査会長が登壇し、1 人手不足、人材不足について、2 教育施策について、3 子ども・子育てについて、4 生活困窮者への支援について、5 平和施策について、6 知事の基本姿勢について質問しました。知事や教育長が聴いたことに正面から答えなかったのは都民を軽視し民主主義を軽視するもので残念です。
質問の概要は以下の通りです。
政治はどんな時でも、弱い側、苦しい立場に置かれた人々のためにあるべきと考えます。知事の仰る「人を輝かせる東京」を否定はしませんが、様々な困難を抱える方々、スタートラインにすら立てない人たちにこそ手を差し伸べる、それこそが政治の本来の役割であり、この観点から人に焦点を当てることを、我々は目指してまいりたい。
現在、物価高騰によるダメージに加えて、きわめて多くの現場が人手不足で苦しんでおり、暮らしや営みの展望が開けません。とても「未来は明るい」とは思えない状況。だからこそ、我々はここで議論を交わし、真に必要な所へ支援を届ける施策を導き出したい。
このことをまず申しあげ、東京都議会立憲民主党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。
それでは、人手不足・人材不足・人への投資について伺います。
中小企業の実に6割以上が人手不足とされており、2024年問題の渦中にある建設・運輸のみならず、もはやどの業種・業界でも深刻な課題となっています。さらに、そのうち65%超は事業運営に影響があるとしており、もはや経営の継続にすら大きな影を落としています。
そして、これは従業員にとっても、職場環境の悪化に直結する問題であり、慢性的な残業や、ほとんど休暇が取れないなど、仕事のパフォーマンスの低下どころか、健康被害すら招きかねません。
こうした状況に対しては、残業を厭わず働くフルタイム正社員だけに頼るのではなく、子育てや介護などの事情に因らず、もしくは年齢を問わず働くことができるよう、旧態依然とした労働慣行の変革が必要ではないでしょうか。
小池知事は所信表明で、「これからは人の生き方に制度を合わせる」と発言しました。
そこで、知事は現在の社会的な人手不足の現状と原因をどのように認識しており、どのような働き方の変革が必要と考えているのか、そのビジョンを伺います。
先月、フリーランス新法が施行されました。これによって、取引の適正化や就業環境の整備を目指していくことになりましたが、やはりフリーランスの立場は弱く、これまで口約束の発注、支払いの減額や遅延、納品物の受取拒否などのトラブルが多数発生しています。
先日も、出版大手の買いたたき行為が、公正取引委員会から勧告を受ける事態となり、あらためて問題の深刻さが浮き彫りとなりました。一刻も早く、安心して働ける環境整備に向けた取り組みを加速させなければなりません。
フリーランスへの弁護士無料相談やADRといった支援などに関する周知を強化するとともに、受任可能な弁護士の紹介等も行うべきと考えますが、見解を伺います。
国は「骨太の方針2024」において、就職氷河期世代の就労支援の縮小を示唆しています。しかし、数字上の正規雇用化が進んだとしても、特に女性が置かれている環境は未だ厳しいものがあります。
また、「実感なき景気回復」と言われた2000年代、そしてリーマンショックや東日本大震災に影響を受けた世代にも非正規雇用が多いなど、不安定で収入が低いままの方が多く存在します。
就職氷河期世代や、それ以降の世代の非正規雇用者に対しても、正規化をさらに進める対策が必要と考えますが、見解を伺います。
コロナ禍を経て、短期・単発で働くスポットワーカーは増加の一途を辿り、本年9月には、仲介サービスへの登録者数が2500万人を突破したと言われています。
一方で、定年引き上げをはじめ、その人材活用が期待される高齢者においては、経験年数1年以下に労働災害が多く発生していることから、事業者による安全衛生教育の実施や、事故発生時の適切な労災申請、働く側の安全確保意識の涵養などが求められます。
そこで、高齢者を含めて、スポットワーカーなど経験が浅い状態で働く方々の安全に対する取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
「ショートタイムワーク」は、週20時間未満の就労とされており、とりわけ、障害や病気などで長時間の勤務が難しい人たちの後押しとなることが期待されます。
今年度から、特定短時間労働者の雇用率算定が開始され、就職の幅も広がりつつありますが、この流れをさらに推進すべきと考えます。
そこで、国への支援拡充の働きかけはもとより、都としてショートタイムワーカーへの独自の支援策を講じるなど、障害者の雇用就業支援に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
様々な人手不足の中でも、未来を担う子どもたちの学ぶ場である小学校、その教員の不足は深刻な課題であり、東京都では、年度当初における欠員が昨年で約80人、今年は改善したとは言え約20人が足りない状態でスタートしています。こうした状況から、現場のさらなる疲弊に加えて、優秀な人材の確保に対する懸念も寄せられています。
都の小学校教員の応募倍率は、昨年の1.1倍から今年は1.2倍になりましたが、現在の応募倍率が危機的状況であると認識しているのか、まず伺います。
そして、こうしたなか、千葉県と千葉市は今年度から、新規採用された教員の奨学金返済を全額肩代わりする制度を開始しました。このままでは、首都圏の教員志望者が続々と千葉に流れてしまうおそれがあります。
そこで、都としても奨学金の返済支援を行うことで、教員の人材確保に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
次に、英語スピーキングテストについて伺います。
先月24日に行われた、中学3年生の英語スピーキングテストでは、不適切な運営により多くの受験生に不利益をもたらしたことが明らかとなっています。
何の説明もなく、当初の開始時刻から1時間以上待たされ、通常の心理状態ではない中で受験させられた生徒もいれば、その回答を聞きながら、そのまま待機させられた生徒もおり、公平・公正な運営でなかったことは明白です。
再試験の日程が大事な模擬試験と重なり、自らには何の落ち度もない生徒が模試を受けられないという事態も発生しており、都は一体どのように責任を取るのでしょうか。
事実、過去の都立高校一般入試では、リスニングの機材トラブルで全員満点措置にしたこともあり、今回のESATJで多くの受験生が不利益を被っていることに鑑みれば、同様の対応を取るべきと考えます。見解を伺います。
次に、子ども・子育てについて伺います。
知事は選挙公約で、「子育て世帯への家賃負担の軽減」を掲げましたが、住宅政策本部の来年度の予算要求概要では、子育て世帯に配慮した「東京こどもすくすく住宅」の供給促進が示されるのみにとどまっています。
我々がかねてから訴えているように、子育て世帯への家賃補助が必要です。都内経済団体も、少子化対策として、経済的不安を解消するため住居費の負担軽減の検討を求めており、都の施策の飛躍が必要です。
知事は「子育て、教育にお金のかからない東京」における住宅政策の実現にどう取り組むのか、見解を伺います。
18歳未満の子どもに年6万円を支給する018サポートは、子育て世帯の経済的負担軽減としては前向きに捉えていますが、知事の突如の発案で、制度構築が未成熟であり、「子どもを産み育てたいという願いを支援していく」との支給目的にも関わらず、「支給対象は子ども」という矛盾を筆頭に、3億円もの重複支給や過支給といった事務的ミスも頻発しています。
そこで今後は、例えば区市町村と連携し、支給に合わせて子どもの生活ぶりを確認するなど、賢い支出を目指した、制度の再構築をすべきと考えます。また、「成人式」等の場を捉えた若い人たちへの周知や、キャッシュレス決済との連携による使い勝手の向上なども検討すべきではないでしょうか。
018サポートの再構築について、発案者である知事の見解を伺います。
子どもの事故予防についてお聞きします。この分野で、都が先進的に取り組んでいることは率直に評価いたします。セーフティー・レビュー事業では、初年度となった2023年度のテーマである「転落」について、精緻なレポートを公表しており、今年度の「睡眠環境における事故」に関する分析も期待しているところです。
しかし、本事業が科学的なエビデンスに基づく事故予防策の提言を目的とする一方で、都は子どもの安全を守る事業主体でもあります。すなわち、自らの施策展開や民間の取り組み支援などに、具体的に繋げる必要があると考えます。
例えば名古屋市は、市内で発生した死亡事故、2歳の双子がマンションから転落して亡くなるという大変痛ましい出来事を契機に対策を取りまとめ、本年には窓やベランダからの転落を防ぐことを目的に、5歳以下の子育て家庭に窓の補助錠を配布しています。
このように、都において、セーフティー・レビュー事業の成果を具体的な施策に落とし込む取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
また、せっかく子供政策連携室が「見守りだけでは限界があり、変えられるものを変えることで事故を予防できる」という素晴らしい理念を掲げているにも関わらず、それを全庁展開できていないと思われる場面が数多く見られます。
例えば、「子供政策強化の方針2024」では、川で遊ぶときの安全対策において、「変えられるもの」としてライフジャケットの着用を明示していますが、これまで私が何度、教育庁に提案しても、海や川での課外授業などでの着用義務化に踏み出そうとしません。
また、晴海ふ頭公園のモニュメントの危険性について伺った際にも、港湾局は「登ったり飛び降りたりしないよう注意するプレートの設置や、定期的な巡回で対策をしている」との見解を示していますが、注意や見守りだけでは限界があることは、まさに子供政策連携室の主張している所です。
こうした縦割りの壁を乗り越えるためにも、子どもの事故予防についての認識を全庁的に共有すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、生活困窮者への支援について伺います。
都は、2024年度末までに「自立の意思を持つ全てのホームレスが地域生活へ移行」との目標を掲げていました。いわば「ホームレスゼロ」です。この達成見通しについて、「10分の1まで減った」旨、答弁していますが、ゼロになったわけでもなく、そもそもホームレスは、路上に寝泊まりしている人だけではない、ネットカフェなどで寝泊まりする人なども含めた、家のない方々です。
そこで、ホームレスの実態把握をはじめ、ネットカフェ利用者等への周知や働きかけ、様々なニーズに対応した居場所の確保や質の向上、居住支援など区市との連携をさらに強化すべきと考えます。
「ホームレスゼロ」計画を検証し、ネットカフェ難民などを含めたホームレス対策を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
物価高騰などの影響を受け、フードパントリーで食料を求める人は増える一方、企業等からの食料品の寄附は減っているのが実情です。
そこで、実施場所の拡大や、連携に必要な人的支援、取り扱い品の充実に向けた冷凍庫といった設備の支援などに取り組むべきと考えますが、フードパントリーの場所の拡大や食料確保に向けて、見解を伺います。
また、急激な物価高は、所得の少ない障害者にも大きな影響を及ぼしています。可処分所得の向上のためには、障害基礎年金の引き上げなど、国の対応が求められますが、都としても、医療費助成を拡充するなど、セーフティネットの強化が必要です。そこで、重度・最重度しか対象となっていない医療費助成の対象を中軽度にも拡げるなど、障害者医療費助成制度を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、平和施策について伺います。
10月に、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞し、ちょうど本日が授賞式です。被団協のこれまでの活動に敬意を表するとともに、世界が平和に向けて、一歩でも前進することを強く願います。折しも、来年は終戦80年となりますが、ウクライナやガザなど、世界での紛争は絶えず、東アジアの緊張感も高まり続けています。こうした中にある今だからこそ、平和に向けた取り組みを推し進め、平和を願うメッセージを強く発信していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
ノーベル平和賞受賞の報を受けた被団協は、「若い世代への継承を願いつつ、一層頑張ることを誓う」との声明を公表しましたが、平和への取り組みを次世代に継承していくことは大きな課題です。都が、昨年2月の「広報・東京都・こども版」で、大々的に平和や東京空襲を特集したことは、率直に評価いたします。
こうした取り組みをはじめ、3月10日の「東京都平和の日」の広報活動を、若い人たちをターゲットにして積極的に推進すべきと考えますが、見解を伺います。
東京への空襲は、3月10日だけではありません。区部では、1944年11月24日に当時の荏原区、その他に主なものだけでも、11月27日に原宿、45年1月27日に銀座や有楽町。2月19日、区部市街地。2月25日、東京下町。3月4日は区部市街地など。そして3月10日以降も、4月13~14日に城北。15日、蒲田区。5月24日は、目黒・渋谷のある城南。25~26日は、都心から杉並方面など。多摩地域でも、中島飛行機周辺や八王子など40回。島しょにも32回の空襲がありました。
まさに今、世界の紛争地域からニュースとして流れてくるような状況が、今から80年前の東京にもありました。
都は今年度より、空襲資料展を都内5か所に拡大して実施していますが、内容・実施場所を含め、さらに拡充すべきと考えます。見解を伺います。
また、ビキニの水爆実験で被爆した第5福竜丸。水揚げされた「原爆マグロ」が築地市場に入荷し、日本中がパニックになったことも、今や忘れ去られつつあります。現在、マグロ塚は「第5福竜丸展示館」に隣接する場所に仮移設されていますが、歴史を風化させないことは非常に重要であり、今後開発が行われる築地市場跡地にマグロ塚を設置すべきと考えますが、見解を伺います。
最後に、知事の基本姿勢について伺います。
知事は、仮称ODAIBAファウンテンは税金を使わないので、ムダ使いの批判は当たらない、と言わんばかりですが、お金の出どころである特別会計=東京都臨海地域開発事業会計は、埋立地事業の収支等の管理を明確にするため、都が設置した経理区分であり、紛れもなく公です。
臨海副都心の賑わい創出といって、既に世界各地で行われている巨大噴水ショー自体に目新しさがない、国産技術を使うべき、との評価もあります。しかし、それ以前に、そもそも噴水ショーの企画立案・設置運営は、公、とりわけ都道府県行政の仕事か、という問題があります。
小池都政では、都道府県行政の役割について、基本的認識を欠いた事業が散見されます。表面上は、都があれもこれもやっています、と、いかにも幅広に見えて、構造的な問題は手つかずのまま、税収増の宴が終われば何も解決できていない、という事になりかねません。
地方自治法第2条第5項においては、都道府県の役割として、基礎自治体の事務のうち、広域にわたるもの、連絡調整に関するもの、規模や性質の観点から補完すべきものを処理することとされています。
すると、現実的には、民間や基礎自治体などに対して、規制の緩和や強化、都有地などの場所の提供、財政的な補助といった、制度・政策の側面から取り組むのが本来の都の役割と考えますが、都道府県の役割について、知事の基本的な見解を伺います。
臨海会計は順調に推移しており、2023年度決算では企業債残高が当初の5,185億円から大幅減の974億8500万円で今年度に全額償還、当年度純利益は38億1,862万3,434円の黒字です。さらに、1424億4865万42円もの未処分利益剰余金も抱えています。
臨海開発は、かつては進出企業に跡地利用計画を提出させ、都心部などに住宅を供給する取り組みもなされ、バブル崩壊後の1997年3月策定の臨海副都心まちづくり推進計画でも、「都心部の居住機能の回復などを目的とする都市再開発との連携」などが掲げられていました。今こそ原点に返り、臨海開発の利益は、住まいの確保など、都民に還元されるべきではないでしょうか。
港湾局は、来年度の予算要求で、債券の購入に関する費用436億円余を計上していますが、例えばソーシャルインパクトボンド等を活用して、知事の公約でもあった「手軽な価格で住めるアフォーダブル住宅」を推進するなど、住まいの確保、都民の暮らしの向上に還元すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
以上、再質問を留保し、東京都議会立憲民主党を代表しての質問を終わります。ご答弁のほど、よろしくお願いいたします。
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