令和7年第4回都議会定例会が閉会しました
- 2025/12/17
- カテゴリー:都議会
2025年12月17日、令和7年第4回都議会定例会が閉会しました。最終日の本会議では、各会派から議案に対する討論が行われ、立憲民主党系会派からは西崎幹事長代理から議案に対する意見を述べました。議案の採決が行われ、知事提出の全議案が可決しました。議案の採決が終わり会議が閉じられ、定例会が閉会しました。閉会にあたり竹井幹事長が談話を発表しました。
◆議案への討論
私は、東京都議会立憲民主党・ミライ会議・生活者ネットワーク・無所属の会を代表して、知事提出の全議案に賛成、議員提出の議案第14・15号に賛成、第11号から13号に反対の立場から討論を行います。
国政では政権の枠組みが変わり、その行く末に注目が集まる中、都においては、自由や多様性の推進、共生社会の実現、格差の解消や暮らしの支援など、一人ひとりを支える取り組みがこれまで以上に求められます。
私たちは、小池知事をはじめ、執行機関の皆さんと、対立するためではなく、都民のために善政を競い合う、真摯な議論を交わしてまいりたいと考えています。
初めに、いわゆる「税収の偏在是正」「東京一極集中」問題についてです。
政府・与党は、地方法人課税と固定資産税について「新たな偏在是正策」を導入する方向で調整を進めていますが、代表質問でも申しあげたとおり、地価の上昇による税収増は、そのことで不利益を被っている都民にこそ還元されるべきであり、「偏在是正」と称して収奪するなど、言語同断です。
この問題に対し、わが会派は、竹井ようこ幹事長名による談話も発表いたしました。あらためて、偏在是正と称して都民の税を収奪することには、断固として反対であることを表明し、ここにいらっしゃる全ての皆さま、そして各区市町村で活動する仲間たちとともに行動することを呼びかけるものです。
さて、令和7年度東京都一般会計補正予算(案)第3号について申しあげます。
八丈島・青ヶ島の台風被害からの復旧・復興等に関する予算が計上されたことは、時宜に適い、また概ね我々の会派の要望に沿ったものとして、評価しています。
しかし、離島において厳しい自然に立ち向かい、島の輝く未来のために新たな挑戦をしている方々が、再び立ち上がって営みを続けるためには、国や都の支援策は決して十分とは言えません。事業全般に広く使うことができる、持続化給付金が必要であり、あらためて強く要望いたします。
また、住宅等の再建についても、離島ゆえに高額な海上輸送費がかかり、給付金の実効金額が少なくなることから、輸送費相当分について別途支援することを求めます。
災害に強いしなやかな都市の実現・浸水対策では、私の地元である目黒区をはじめ、区部で発生した大雨による被害を受けて、止水板の設置を支援する流域対策強化・推進補助事業が計上されましたが、補助制度を持たない区市町村に対して、都の制度に関する情報を提供するとともに、事業開始に向けた技術支援など、柔軟なサポートを行うべきと考えます。
次に、令和7年度東京都一般会計補正予算(案)第4号について申しあげます。
本案は、国の交付金と都の一般財源を活用し、物価高騰対策を盛り込んだものです。
賃上げや価格転嫁を上回る物価高騰に多くの都民や事業者が苦しむ中、私たちが求めてきた、医療・介護・福祉事業者や運輸事業者などに向けた支援策の期間延長と単価アップが盛り込まれたことは、評価しています。ただ、いずれの現場も厳しい運営を強いられていることから、概算払いや先払いなどの手法も検討し、支給時期を可能な限り早めることを要望いたします。
一方で、都民の家計を直接支援する「生活応援」として、東京アプリを通じたポイント付与に4000円相当を上乗せする手法を採ったことには、大きな問題があると言わざるを得ません。
私たちは、アプリやその普及策自体を否定するものではありません。真に都民の利便性向上に資する、区市町村も含めた行政サービスや諸手続きのワンストップ化に向けて、必要な取り組みを進めていただきたいと思っています。
しかし、アプリ普及と生活応援を抱き合わせにした今回の手法では、支援を受け取れない人々の存在が、初めから前提となっていること。知的障がい者や認知症患者などへの対応も、まだ検討中に過ぎないこと。15歳未満の子どもを抱える世帯への支援が、相対的に弱くなること。
こうした点が、代表質問や委員会質疑で明らかとなりました。
そもそも、スマホ保有率やマイナンバーカード取得率、キャッシュレス決済の利用率は、世帯年収と正の相関を示す調査結果があります。すなわち、支援をより必要としている方々ほど受け取れないということです。
私たちは、「政治や行政は弱い人たち、苦しい立場に置かれた者のためにこそある」ということを信条としています。このたびのスキームは真逆であると指摘せざるを得ません。
物価高騰対策を本気で進めるのであれば、この生活応援が届かない人々に対し、関係各局が連携して、必要な措置を早急に講じるべきであることを申しあげておきます。
次に、第271号議案「新たな教育のスタイル」の実施校(仮称)新築工事請負契約について申しあげます。
本事業は、資料の確認や委員会質疑を通じてさえも、その学校がいったい何をやるのか判然としない中、校舎の建設だけが先行している印象が否めません。文教委員会では、わが会派の議員から、今後のスケジュール、開校時期、入試概要、そして肝心のカリキュラムについて質疑を行いましたが、理事者からは「検討中」という実質的なゼロ回答が繰り返されるばかりでした。
令和10年に竣工予定でありながら、現時点では、子どもたちや保護者に何ひとつ具体的な説明ができない状態で、工事契約の承認だけが求められることには、どうしても違和感があります。
一方、都立高校の志願者が減少する中で、新たな学校が整備されることには、期待がかかることも事実です。教育庁に対しては、早急に計画の全容を明らかにし、説明責任を果たされることを、あらためて強く求めます。
次に、東京都雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例(案)について申しあげます。
まず、私たちは、女性活躍に対する制度の壁を乗り越えるためには、旧姓の通称使用の法制化でお茶を濁すのではなく、選択的夫婦別姓の導入が不可欠であると考えています。あらためて、都から国に対して導入を求めるべきであることを主張いたします。
また、本条例が「働いて、働いて、働いて…」という女性ばかりではなく、多様な事情や価値観を持つ女性一人ひとりの自己実現の後押しとなるよう期待することに加え、今後策定される指針においては、非正規雇用やフリーランスといった働き方も含め、賃金をはじめとした、様々な男女の格差が生じないよう、具体的な制度や仕組みに繋げていくことを求めます。さらに、その際には、女性特有の健康課題への対応など、きめ細やかな取り組みを強化すべきであることを指摘しておきます。
関連して、第260号議案「職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例」および、第262号議案「学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例」について申しあげます。
両議案は、「生理休暇」の名称を「健康管理休暇」へと変更するものですが、都も教育委員会も、女性活躍推進法に基づく特定事業主として主体的に環境整備を行う責務があることから、休暇の取得実態調査をはじめ、制度の内容に関する検討も必要であったと考えます。
今後は、併せて導入される時間単位取得の確実な運用に加え、PMSや更年期症状など、女性特有の健康課題に対する、管理職を含めた理解促進が欠かせません。単に制度の名称を変更するだけでなく、気がねなく権利を行使できる職場風土の醸成と、ヘルスリテラシーの向上に関する積極的な取り組みを強く求めます。
結びに、我々の会派は、多様性が尊重され、誰にでも居場所と出番があり、そして誰もが共に生きていくことのできる社会を目指しています。どんな時も、弱い立場に置かれた方々に寄り添い、この東京に住まう一人ひとりの暮らしを支えていく。そのための政治の役割を果たしていく。この決意を申しあげ、討論を終わります。ありがとうございました。
◆定例会閉会にあたっての幹事長談話
本日、第4回定例会が終了しました。
都議会立憲ミネ無は、知事提出の全議案に賛成し、議員提出議案第14・15号に賛成、第11号から13号に反対しました。
代表質問では、補正予算に盛り込まれた「東京アプリ生活応援事業」について、手続きの余裕がない人や、スマホ・マイナンバーカードを使えない人を除外する可能性がある、都民に迅速に届くのかも疑問だと指摘し、生活応援が届かない人々に対し、関係各局が連携して、必要な措置を早急に講じるべきだと訴えました。
また、補正予算のうち八丈島・青ヶ島の台風復興予算を評価しつつも、事業全般に使える持続化給付金や離島特有の海上輸送費への支援を求めました。
さらに「女性活躍推進条例」について、条例提案を機に、選択的夫婦別姓の導入を政府に働きかけることを求めるとともに、非正規雇用やフリーランスを含めた男女間賃金格差の是正や女性特有の健康課題への対応などを求めました。関連して、生理休暇の名称を変更する条例改正について、委員会質疑を通じて、取得の実態調査や制度の検討、気兼ねなく休暇を取れる職場風土の醸成などを求めました。
他に、夢の島にある第五福竜丸展示館を視察したことを踏まえ、核兵器禁止に向けて、より多くの都民に訴えかける取り組みなどを求めてきました。
一般質問では、銀川ゆい子都議が、女性用トイレの整備を含めた女性活躍や火葬料金など、ひがしゆき都議が、ひとり親支援や共同親権、パートナーシップ制度など、笹岡ゆうこ都議が、介護人材の確保を含めた高齢者施策や就職氷河期などの問題について、それぞれ質問しました。
意見書・決議では「令和8年度税制改正の大綱に関する意見書」及び「固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続に関する決議」について共同提案者になり、賛成しました。
とりわけ「意見書」については、都議会立憲ミネ無としても、12月11日付けの幹事長談話で、断固反対を表明しており、今後、各自治体の仲間と連携し、不当な是正策に反対する行動を強く呼びかけていきたいと考えています。
都議会立憲ミネ無は、引き続き、多様性が尊重され、誰にでも居場所と出番があり、そして誰もが共に生きていくことのできる社会の実現に向けて取り組んでいく所存です。
