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神宮外苑、子育て支援など小池知事に西沢幹事長が代表質問

2023年9月26日、都議会の本会議が開会され、各会派から小池都知事に代表質問が行われました。立憲民主党からは西沢幹事長が質問に立ち、神宮外苑再開発の見直し、子ども子育て支援の拡充、児童虐待対策の強化、がん対策、雇用就労支援など多岐にわたって質問しました。質問の全文は以下の通りです

〇議員:私は、東京都議会立憲民主党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。

初めに、知事の基本姿勢について伺います。

東京都は、「未来の東京」の実現に向けた重点政策方針二〇二三をまとめました。人が輝く、国際競争力強化、安全・安心確保を注力すべき分野に設定し、二〇二四年度予算編成においては、この観点から大胆な施策を積極的に展開するとの方針の下、各局において見積書の作成に当たっています。

私は、人に着目した政策の強化については大いに賛同するものであり、子育て支援策の所得制限撤廃、教育の完全無償化、家賃補助など、知事でなければ決断できないような大胆で積極的な施策展開を求めるものですが、知事の見解を伺います。


〇小池知事:人に着目した政策強化について、冒頭ご質問がございました。

どのような時代におきましても東京の発展を持続可能にし、さらには、日本全体を元気にする鍵は人でございます。こうした思いで、これまでも都政に邁進をしてきたところでございます。

重点政策方針二〇二三で示した考えの下、引き続き、きめ細かな取組を展開いたしまして、人が主役となる都市を築いてまいります。


〇議員:さらに、重点方針では、国際競争力の強化もうたわれていますが、東京の都市力における大きな課題は震災リスクといわれます。

今年は関東大震災から百年の節目であり、都においても様々な取組が行われましたが、激甚化する自然災害の脅威に耐えられる免震、耐震構造や自家発電、予備電源を備えたまち、火災が起きても避難できる防災公園を備えたまちへと東京をリニューアルさせなければなりません。

私は、防災百年の計画、百年後の都民に感謝されるような取組が必要と考えます。都市の強靱化について、知事でなければ決断できないような積極的な施策展開を求めるものですが、知事の見解を伺います。


〇知事:都市の強靱化についてでございます。

激甚化する風水害や大規模な地震など、様々な脅威から都民の命と暮らしを守るためには、施策を不断に見直し、リスクへの備えを強化していかなければなりません。

そこで、昨年策定いたしましたTOKYO強靱化プロジェクトにつきまして、ハード、ソフトの両面から施策を強化し、年度内にアップグレードを図ることといたしております。

このプロジェクトをてこに、百年先も見据えて、安全・安心で強靱な都市をつくり上げてまいります。


〇議員:小池知事は、関東大震災で虐殺された朝鮮人の追悼式典に対し、就任二年目の二〇一七年から送付をやめ、震災から百年目に当たる今年も送付しませんでした。こうした都知事の言動は、都内におけるヘイトスピーチや差別を助長し、容認する背景の一つになっています。

知事は、追悼文を送付しない理由を、慰霊大法要で全ての方に追悼の意を表している旨、答弁しましたが、昨年末、我が会派の五十嵐議員が、二〇一七年前後で大法要の文言に変化がない旨、指摘すると、本年九月の大法要では、大震災と極度の混乱の中で犠牲となられた全ての方と文言が変わりました。

しかし、混乱の中と加えても、追悼文不送付による負の影響は払拭されません。我々は、関東大震災の中で多くの朝鮮人がいわれのない被害を受けて犠牲になったという史実を百年後まで伝えていく責任があります。

都知事は、朝鮮人犠牲者追悼式に追悼文を送付し、追悼の意を示すべきですが、知事の見解を伺います。


〇知事:次に、関東大震災で犠牲になられた方々に対する追悼についてでございます。

私は、三月と九月に都立横網町公園で執り行われている大法要におきまして、震災とその極度の混乱の中で犠牲となられた全ての方々に対して、哀悼の意を表しているところでございます。


〇議員:次に、東京都青少年健全育成条例の改正についてです。

東京都青少年健全育成条例の不健全な図書類との呼称は、社会に存在自体が許されないものという誤ったイメージを広め、過度に販売規制や萎縮効果などの弊害が生じ、多くの漫画家やクリエーターの方々から改めるべきとの声が寄せられています。

そこで、東京都は、東京都青少年健全育成条例の不健全図書の名称を、少なくとも十八歳未満の者に販売してはならないことが分かる名称など、適切な名称に改めるべきと考えますが、見解を伺います。


○生活文化スポーツ局生活安全担当局長:不健全図書の名称についてのお尋ねでございます。

東京都青少年の健全な育成に関する条例は、青少年の健全な育成を図ることを目的といたしております。

本条例に基づき、青少年の健全な育成を阻害するものとして指定する図書類については不健全な図書類としており、この表現は、条例の目的に照らして適切なものと考えております。


〇議員:次に、神宮外苑の再開発について伺います。

神宮外苑再開発に国際機関から待ったがかかりました。今月七日に、ユネスコ世界遺産の諮問機関、イコモス本部から再開発事業の撤回を求める緊急要請が首相や知事、都議会、関係区、事業者に提出されました。

二十日、私たちは、この緊急要請を真摯に受け止めて、改めて神宮外苑を視察いたしました。再開発事業については見直しを行っていくべきです。

十二日、都は、事業者が新ラグビー場敷地の既存樹木を伐採する前に、保全策を示すよう申入れを行いました。

都民の理解と共感を得るためには、要請を出しただけで済ますことなく、都が率先して都民が納得するよう取り組むことが重要ですが、今後どのように取り組むのか、知事の見解を伺います。


〇知事:神宮外苑の樹木の保全についてでございます。

事業を進めるに当たりましては、広く都民の理解と共感を得ることが重要であり、都は、これまでも事業者に対し、既存樹木の保全などを要請してまいりました。

事業者は、今般の都の要望を真摯に受け止め検討するとしておりまして、引き続き対応を求めてまいります。


〇議員:神宮外苑再開発はもちろん、日比谷公園、葛西臨海水族園といった再整備で都民から反対の声、懸念の声が上がるのは、市民参加が十分ではないことが原因ではないでしょうか。計画素案や説明会に関する区市と連携した積極的な広報、大まかなスケジュールの提示が求められ、利害関係者や住民などの意向ができるだけ把握され、反映されるよう努めるべきです。

都において、まちづくりプロセスへの市民参加を充実させるべきと考えますが、都の見解を伺います。


〇都市整備局長:まちづくりへの市民参加についてでございます。

都はこれまでも、まちづくりの方針の策定等に際し、地権者や地元区、有識者等で構成する検討会で議論を行うとともに、パブリックコメントなどを実施しております。

また、都市計画決定に際しては、法令に基づく説明会の開催や意見書の受付等に加え、事業者における開発計画の説明会を実施させるなど、広く都民等の参加の機会を設けております。


〇議員:都が八月に打ち出した東京の緑を守るとする東京グリーンビズ、ツリーバンクなどの取組については否定しませんが、過去には、東京二〇二〇大会に向けた新国立競技場の建設で多くの樹木が伐採されました。移植された樹木に関しては、競技場外苑前のケヤキなどの複数の樹木には傷みがあって、いい状態ではありません。

今後、神宮外苑再開発事業が進めば、多くの樹木が伐採されることが見込まれます。ツリーバンクによって神宮外苑の樹木が全く切られずに維持、保全されると考えているのか、見解を伺います。


○政策企画局長(古谷ひろみ君) ツリーバンクについてでございますが、都はこれまでも、公園の整備、緑地の保全等により、緑の量的な底上げと質の向上を図ってまいりました。

今般、東京の緑の価値を高め、都民と共に未来へ継承していくため、東京グリーンビズを始動し、樹木を守る新たな取組、ツリーバンクを具体化することといたしました。

なお、神宮外苑の樹木については、関係局から事業者に対し、保全策を示すよう要請しております。


〇議員:次に、子供、子育て支援について伺います。

東京都の〇一八サポート、いわゆる東京都版子供手当は、九月一日から申請が始まり、来年一月に十二か月分を一括して一人六万円が支給されます。

私たちは、さきの定例会でも、課題は多いが子育て世帯を経済的に応援するという観点から重要な施策だとして、事業の恒久化を求めてきました。

子育て世帯に対して強いメッセージを発するためにも、様々な課題を解決し、〇一八サポート事業の恒久化に取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。


〇知事:〇一八サポートについて。

都は、少子化対策の充実強化に取り組んでおりまして、〇一八サポートは、その一環として実施をしております。

国におきましても少子化対策を進めておりますが、都としては、引き続き、子供一人一人の成長を支えていく観点から、国の動向などを見定めながら、予算編成の中でしっかりと検討してまいります。


〇議員:一方、〇一八サポートによる支給は、生活保護世帯の収入として認定されることになります。私たちの再三の指摘を受けて、東京都も〇一八サポート給付が生活保護の収入として認定されないよう国に要請を行いましたが、知られていない、手続が煩雑、ユーザー登録できない、十七万人分の誤送付と知事の突然のトップダウンで現場は混乱を極めています。

〇一八サポート給付が生活保護の収入認定されないよう国に働きかけるとともに、現状を直視した生活保護世帯への支援策の強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。


〇福祉局長:六点のご質問にお答えいたします。

まず、〇一八サポートの収入認定についてでございます。

生活保護制度では、児童手当等の給付金は世帯の収入として認定され、その分、保護費が減額されることとなっており、〇一八サポートも同様の取扱いとされております。

〇一八サポートは、児童手当とは異なり子供本人を対象とした施策であり、給付金は子供本人の収入となります。

都は本年四月以降、こうした事業の趣旨を国に説明してまいりましたが、今般改めて、本事業が子供一人一人の成長をひとしく支えるための制度であることを踏まえ、収入認定から除外するよう国に要望したものでございます。

また、都は独自に、被保護世帯の子供の自立促進等に取り組む区市町村を包括補助事業により支援しています。


〇議員:次に、教育施策について伺います。

 私たちは、学校給食の無償化を求めていますが、学校教育では、教材費や学用品、課外活動費や修学旅行費など、さまざまな負担が保護者にのしかかります。

 昨年6月の会派の一般質問では、約5万円もの負担となっている学生服の見直しを求めましたが、それぞれの自治体でも、保護者負担軽減に向けたさまざまな取り組みがなされています。

 子供にかかる教育費の負担は、できるだけ軽減するよう配慮、努力することは当然のことですし、教育費は、本来無償であるべきと考えますが、見解を伺います。


〇教育長:まず、教育費についてでございますが、憲法では、義務教育を無償とすることが定められており、無償とは、最高裁判決で、授業料不徴収の意味と解するのが相当であり、その他教育に必要な一切の費用の無償を定めたものではないとされております。

保護者の負担する教育費に対する支援は、設置者がその責任において適切に実施しております。


〇議員:この間、私たちは、学校給食の無償化を求めてきました。

 学校給食については、設置者である区市町村が決定することは理解しますが、財政的な事情などもあり、市長会からは、都の補助制度の創設など、財政支援を求める要望も出ています。

 補助制度の創設など、学校給食を無償化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。


〇知事:次に、学校給食費について。

学校給食法等におきましては、食材費等々、学校給食費は保護者等が負担することとされております。

学校給食費の取扱いにつきましては、国の責任と負担によるべきものと考えております。


〇議員:次に、英語スピーキングテストについて伺います。

英語スピーキングテストの最大の問題の一つは、不受験者への得点の付与です。

都教育委員会は、不受験者の措置は、障害や疾患のある生徒や、事故や病気などやむを得ない理由で受験できなかった生徒への措置であり、多様な生徒が受検する都立高校入試において合理的で最善な方法と強弁しています。

しかし、不受験者には、十一月のテスト実施日や十二月の予備日以降に転入する生徒や、都立入試直前に都立高校受検を決意する私立中学等の生徒も含まれています。彼らは、スピーキングテストが都立高校の入試日であれば受験できるところ、前倒しで行われることで、初めから受験機会を奪われており、やむを得ない理由で受験できないというカテゴリーに含めるのは間違っています。

また、高校の入試で推測に基づいて点数を付与することも前代未聞であり、都教育委員会のいう合理的で最善どころではない、不公平で不誠実な制度であるといわざるを得ません。

令和六年度の都立高校入試に活用するのであれば、令和四年度のテストの検証、総括をまず行うべきであり、特にこの不受験者への得点の付与について、不受験者自身はもちろんのこと、受験者全体に与える影響について検証、公表し、都教育委員会が問題ないと捉えている根拠を明らかにするべきと考えますが、見解を伺います。


〇教育長:次に、英語スピーキングテストの不受験者の措置についてでございますが、都教育委員会は、事故や病気、またスピーキングテストの実施日以降に都内に転入し都立高校への志願を決める生徒など、やむを得ない理由でテスト受験することができない生徒に対し、都立高校入試の際に著しく不利にならないよう、事前に要綱に定め公表している不受験者の措置によりテストに相当する点数を算出し付与しております。

したがって、本措置が都立高校入試の受検者に影響を与えるという考え方や捉え方自体、成り立たないものと考えております。


〇議員:次に、児童虐待対策について伺います。

五年前の九月の代表質問で、私たちは、東京都として虐待死ゼロにすることを知事自らが宣言すべきだと主張いたしました。

東京都児童福祉審議会の部会では、十数年以上も前から毎年、児童虐待死亡ゼロを目指した支援のあり方についての報告書が提出されているにもかかわらず、小池知事は、虐待死ゼロはおろか、増え続ける児童虐待に向けて、数値目標を掲げて対策を取っていこうという強い姿勢が感じられません。

私たちは、〇一八サポート事業など給付型事業と家庭の状況把握との掛け合わせで、虐待リスクの早期発見、早期解消を提案してきましたし、多摩地域への児童相談所の早期設置や体制拡充なども求めてきました。

また、虐待死が最も多いとされるゼロ歳ゼロか月ゼロ日への対応も急務です。

そこで、数値目標を掲げるなど児童虐待対策を抜本的に強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。


〇知事:児童虐待対策についてでございます。

これまで都は、児童福祉司や児童心理司を増員するとともに、虐待対策班の設置や一時保護所の拡充などに取り組んでまいりました。

児童虐待は、子供たちの心に深い傷を残すだけではなく、その将来の可能性をも奪いかねません。決して許されない行為でございます。

今後とも、児童相談所の体制を一層強化しまして、子供の安全・安心をしっかりと守ってまいります。


〇議員:第二回定例会以降、都議会立憲民主党では、大田区や東村山市、八王子市にある一時保護所などを視察してきました。中には定員四十人のところ、五十七人が入所している施設もあり、施設の老朽化もさることながら、狭い場所に六か月、あるいはそれ以上入所し続けなければならない状況は早急に改善すべきです。

また、一時保護所の運営基準は児童養護施設の基準が準用されていますが、国の基準見直しを見据え、早急に体制強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。


〇福祉局長:次に、一時保護所についてでございます。

都は、児童虐待の増加に伴う一時保護需要に対応するため、立川児童相談所跡地での保護所の開設に向け準備を進めております。

また、児童養護施設や里親、婦人保護施設への一時保護委託など様々な受皿を確保しており、今年度は、児童福祉分野の知識や経験を有する事業者に委託し、足立児童相談所の仮設一時保護所や民間の物件等を活用して保護児童の受入れを開始いたしました。

こうした取組により、一時保護需要に対応できるよう体制を強化しております。


〇議員:さらに、児童相談所についても、政令で定められた基準に見合う人員を確保するなど体制を強化すべきですが、現状を含め見解を伺います。


〇福祉局長:続きまして、児童相談所の人材の確保についてでございます。

都はこれまで、児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司や児童心理司を増員するほか、困難ケースで職員に助言指導等を行う専門課長を配置するなど、人員体制の強化に取り組んでまいりました。

また、人材確保のための専任チームを設け、大学や養成機関への訪問を行うほか、人材育成のためのトレーニングセンターを設置し、実践的な研修を実施しております。

こうした取組により、引き続き専門性の高い人材を確保してまいります。


〇議員:日本の大手芸能プロダクションであるジャニーズ事務所の元社長による性加害に多くの関心が集まりました。

国会において、立憲民主党は、地位を悪用した性加害の未然防止、早期発見に向けた児童虐待防止法の改正案を提出しましたが、芸能事務所などが多く集積する東京都においても対策を講じることが必要です。

私は、ジャニーズ事務所の性加害問題を踏まえ、声を上げやすい環境づくり、心理的サポートを含めた被害者支援の充実などに取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。


〇知事:子供の性被害への取組について。

今回の性加害の問題は重大な人権侵害であり、断じて許すことはできません。

都は、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの相談窓口を、性被害を受けた子供がより利用しやすくなるようにしてまいります。また、支援を必要とする方に確実に情報が届くよう、戦略的な広報を展開してまいります。

今後とも、全ての子供の人権が守られる社会の実現に向けて取り組んでまいります。


〇議員:先日、勤務先の中学校で少女の裸画像を所持したとして、区立中学校の校長が逮捕されました。私の母校での出来事に大きな衝撃を受けるとともに、昨年四月の法施行以降も、このような教育職員などによる児童生徒への性暴力が後を絶たないことに強い憤りを感じます。

このような犯罪が二度と起こることのないよう、教育現場での性暴力の防止に徹底して取り組むべきと考えますが、見解を伺います。


〇教育長:次に、教職員による性暴力の防止についてでございますが、教職員による児童生徒への性暴力は断じてあってはならないという考え方の下、都教育委員会では、全教職員による自己点検の実施や研修等を通じ、性暴力に関する理解を深め、発生防止の徹底を図っております。

また、弁護士による第三者相談窓口を設置し広く相談を受け付けるとともに、児童生徒への相談シートの配布や啓発ポスターの掲示等を行っております。

今回の事案も、窓口への相談をきっかけとして、警察等と連携して対応したものでございます。


〇議員:次に、デフリンピックと情報保障の推進について伺います。

二〇二五年東京デフリンピックは、オリンピック・パラリンピックと同様に、社会変革の契機とするため全力で取り組むべきです。

未来の都民、国民が振り返ったときに、二〇二五年大会があったおかげで聴覚障害のある人とない人の垣根がなくなり、情報コミュニケーション保障がされたといえるような、しっかりとした都の取組、レガシーのビジョンが必要です。

オリンピック・パラリンピックでは、学校でのオリ・パラ教育やボランティアの育成、都民スポーツなど、有形無形のレガシーがうたわれ、熱心に取り組まれました。

デフリンピック大会を成功させるには、東京らしいレガシーを私たちの社会に費やすことまで含めて、もう一段レベルアップした取組が必要と考えます。デフリンピック成功に向けた知事の決意を伺います。


〇知事:次に、デフリンピックについてでございます。

デフリンピックの開催は、デフスポーツやろう者の文化への理解を促進し、共生社会実現への弾みとなるなど、大きな意義を持ちます。

都は現在、デフスポーツの振興やデジタル技術を活用したユニバーサルコミュニケーションの促進など、東京の未来につながる様々な取組を展開しております。

今後、関係者と連携しまして基本計画を年内に取りまとめるなど、大会の成功に向けて準備を進めてまいります。


〇議員:近年、テクノロジーの進歩により、聴覚障害者の情報コミュニケーションも大きく変わり、新たな可能性も出てきています。テクノロジーは、コミュニケーションの幅も手法も大きく変え、これまで得られなかった情報や関係性を構築できる可能性を広げてくれます。

先日、西武新宿駅で翻訳対応透明ディスプレーの実証実験が始まりました。これは訪日外国人観光客の需要に備えるものではありますが、言語の見える化は、同時に、聴覚障害者とのコミュニケーションにも大いに役に立つものであると考えます。

AIやメタバース分野などは、まさにその可能性に富んだ技術であり、都においても、デフリンピックを契機に、こうした最新技術を活用して情報保障を進めていくことも重要であると考えますが、見解を伺います。


〇生活文化スポーツ局長:デフリンピックを契機とした情報保障の推進についてであります。

海外から多くのデフアスリートや関係者が東京を訪れる大会の機会を捉え、最新のデジタル技術を用いたユニバーサルコミュニケーションを促進していくことは重要でございます。

都はこれまで、優れた最新技術の調査、発掘を行うとともに、各種イベントや競技会場においてこうした技術を試行し、その活用可能性を検討してまいりました。

今後も、関係局や事業者等と連携し、様々な機会において技術の実証やPRを行うなどユニバーサルコミュニケーションの取組を進め、共生社会実現につなげてまいります。


〇議員:六月二十七日に、会派として群馬大学の手話教室を視察しました。手話教室の授業中はしゃべることが禁止されていますが、手話を始めて三か月の大学生が手話でディスカッションする姿には感銘を受けました。僅か三か月で手話でディスカッションするのです。

二〇二五年に開催されるデフリンピックを契機に、さらに広く都民に言語としての手話の普及を図るべきと考えますが、見解を伺います。


○福祉局長:次に、手話の普及に向けた取組についてでございます。

都はこれまで、パンフレットや大学と連携したイベントなどにより、都民への手話の理解促進や、ホームページなどによる手話言語条例の意義等の周知のほか、手話通訳者等の養成にも取り組んでおります。

また、二〇二五年に開催されるデフリンピックに向けては、必要となる国際手話人材の育成を進めております。

今後とも、手話に対する理解の促進及び手話の普及のため、環境整備を図ってまいります。


〇議員:次に、医療、福祉施策について伺います。

八王子市内の精神病院、滝山病院における虐待、暴行事件は、精神病患者に対する身体拘束や虐待の問題が解決されてこなかった現実を改めて突きつけました。

滝山病院の死亡退院率が高い状況を把握しながら、虐待の実態を把握できなかった都の責任は重大です。

都は、虐待事件を受け、五月より東京精神保健福祉士協会に協力を依頼し、入院患者の転退院の意向の調査を実施していますが、転退院の現状と今後の見込みを伺います。


○福祉局長:次に、滝山病院の入院患者への転退院支援についてでございます。

滝山病院では、虐待事件が発覚した本年二月時点で百四十五名いた入院患者のうち、七月までに二名が自宅へ退院し、二十四名が転院や施設に入所をしております。

都は、東京精神保健福祉士協会の協力を得て、身寄りがないなど自ら転退院先を見つけることが困難な入院患者の転退院の支援を行うこととし、本年五月以降、福祉事務所が面談等を行っている方を除く約七十名の方に対して、継続して意向調査を実施してまいりました。

このうち約半数の方が転院や退院を希望し、現時点で五名が転院しております。

今後も、東京精神保健福祉士協会と連携して支援を継続してまいります。


〇議員:精神病患者の不当な長期入院、身体拘束は、患者の尊厳を傷つけるものです。滝山病院にいまだとどまる患者に対しても、地域の福祉関係者や司法関係者からの支援を希望される方々については、早期に希望に応じ、地域移行を進めるべきと考えますが、見解を伺います。


○福祉局長:最後に、滝山病院の患者に対する地域生活への移行支援についてでございます。

滝山病院には長期入院の患者も多く、心身の状況等からも直ちに地域で暮らすことは難しいことも想定されるため、都は、東京精神保健福祉士協会の協力を得て、本人の意思を確認し、まずは地域移行支援に取り組んでいる病院への転院を進めております。

患者が転院後に地域での生活を希望する場合には、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを活用して、地域での生活につなげてまいります。


〇議員:次に、がん対策です。

AYA世代のがん患者に対して、東京都は、アピアランスケアの支援に力を入れていますが、加えて、私は、就労や子供の療養など幅広い支援が必要であると考えています。

特に、私は、他の自治体では取組が始まっている介護サービスなど、在宅療養支援の実施は急務であると考えますが、AYA世代のがん患者に対する支援の拡充について見解を伺います。

次に、雇用就労について伺います。


○保健医療局長:AYA世代がん患者に対する支援に関するご質問にお答えいたします。

都は、若年がん患者等への生殖機能温存治療費の助成やAYA世代がん相談情報センターの設置など、AYA世代のがん患者の多様なニーズに応じた支援に取り組んでおります。

また、今年度予定しておりますがん対策推進計画の改定に当たり、AYA世代に対するがん対策などについて、患者や家族が安心して医療や支援を受けられるよう、患者が抱える様々なニーズを踏まえ、がん対策推進協議会で議論しております。


〇議員:働く人々に占める非正規雇用の割合は四割近く、若年男性は二割、五十五歳から六十四歳の男性が約三割、女性は二十五歳から三十四歳で三割、三十五歳以上の年齢層では五割を超えています。

雇用の受皿となるサービス業や医療、介護職には非正規労働者が多いため、その待遇改善には、最低賃金のさらなる引上げや正規化の推進が欠かせません。

非正規雇用の待遇改善のため、国に最低賃金の引上げなど、その在り方について議論するよう求め、都としても雇用の正規化支援を推進すべきと考えますが、見解を伺います。


〇産業労働局長:非正規雇用の方への支援についてのご質問にお答えいたします。

賃金などの労働条件は、労働者と使用者が対等な立場において、労使間の協議により自律的に定めるものでございます。

都は、労働者の処遇改善に向け、中小企業が非正規雇用の方の正社員化に取り組み、職場環境の整備を図る場合の支援を行っております。


〇議員:顧客などが労働者や職員に、土下座しろ、SNSにアップするぞなどの暴言や脅しで、正当なクレームの範囲を超えた不当な要求をするなどのカスタマーハラスメントは、その尊厳を傷つける人権侵害であり、対策強化が求められています。

自治体窓口や公共交通機関、小売店舗、医療、介護などの従事者の多くが、いわゆるカスハラを経験し、強いストレスを感じているとの各調査結果もあります。

東京は圧倒的に第三次産業の労働者が多く、八割を超えており、カスハラ対策は急務です。

そこで私たちは、既にカスタマーハラスメント対策プロジェクトチームを会派内に設置、対策や条例案を検討しております。東京都こそ、カスハラは許さない、カスハラから働く人を守るための条例を早急につくるべきと考えます。

また、カスハラを抑止するため、東京都独自に分かりやすい内容のポスターも作成すべきと考えますが、知事の見解を伺います。


〇知事:カスタマーハラスメントへの対応についてであります。

顧客やサービスの利用者等から過大な要求や不当なクレームを受け、従業員が人格を傷つけられ精神的なダメージを受ける状況を放置することはできません。

都は、こうした問題の解決に向けまして、今後、ウェブやポスターなどによる啓発を行いますほか、官民一体での意見交換をするため、公労使会議の場を活用し、適切な対応の在り方について検討をしてまいります。


〇議員:次に、水問題について伺います。

PFAS汚染が、多摩地域だけでなく区部でも確認されています。そのため、市の中では独自のPFAS調査に取り組み、浄水器を設置するなど様々な取組を行っています。

しかし、PFASの全容が分かる調査が行われているわけではなく、使用していた事業所の把握も実施されず、健康影響も明らかになっていません。

国において早急にPFAS汚染を公害と捉え、事業者などと協力して汚染箇所を特定し、調査実態を国民、都民に説明するなど不安に応えるべきです。

都として自治体支援を行うとともに、調査箇所の拡大やPFASに関する情報を共有し、PFAS対策を進めるべきと考えますが、見解を伺います。


○環境局長:地下水中の有機フッ素化合物の対策についてでございます。

都は現在、地元自治体の意見を聞きながら、都内全域を対象としたPFOS等の汚染状況の把握を前倒しして進めてございます。

暫定指針値を超過した地点では、調査を継続し、関係局と共に飲用に供さないよう助言等を行ってございます。


〇議員:水道事業について、八月八日に会派で小河内ダムを視察しました。安全・安心な飲み水の確保に日夜尽力されている現場の皆様に敬意を表します。

一方、法改正によって、二〇二四年四月一日から、水質、衛生以外の全ての水道業務が国土交通省に移管され、事実上、水道事業と下水道事業とが一元化されます。

この間、国土交通省は、下水道の運営権の民間移譲、いわゆるコンセッションの導入に前向きでしたし、宮城県では、知事主導の下、水道、下水道、工業用水の水道三事業の運営権が民間に売却されました。

しかし、私は、水道事業の民間譲渡、民営化はあってはならないと考えます。東京都の水道事業の公営堅持について、知事の見解を伺います。

以上で、東京都議会立憲民主党を代表しての質問を終わります。

ご清聴ありがとうございました。


〇知事:最後に、水道事業の運営形態についてのお尋ねでございます。

都では、水道局と政策連携団体がグループ経営を推進することによりまして、首都東京の都民生活と都市活動を支えております。

今後とも、東京水道グループが一丸となりまして、強靱な水道システムを構築し、現在及び将来の安定給水を確保してまいります。

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