都議会定例会で西沢幹事長が小池知事に代表質問しました
- 2024/02/27
- カテゴリー:都議会
2024年2月27日、本会議が開かれ各会派の代表質問が行われました。都議会立憲民主党を代表して西沢幹事長が登壇し小池都知事に質問しました。
質問項目は、1 知事の政治姿勢、2 予算、3 学校給食の無償化、4 教育施策、5 児童虐待対策、6 働く人に公平公正な社会の実現、労働環境の整備、7 住宅政策、8 防災対策、9 まちづくり、10 国賠控訴と、多岐にわたる都政の課題について議論しました。
立憲民主党が提案してきた学校給食の無償化や高校の実質無償化は実現に向けて前進しましたが課題が残るため指摘しました。また、物価高騰対策として「賃上げ」を求めましたが、全く言及がありませんでした。
以下は質問の全文です(実際には質問と答弁をまとめて行っていますが、1問1答に並べ替えています)。
○西沢議員 私は、東京都議会立憲民主党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。
質問に先立ち、能登半島地震によって亡くなられた全ての方々のご冥福をお祈りするとともに、被災され、今なお厳しい境遇に置かれている方々にお見舞い申し上げます。
初めに、知事の政治姿勢について伺います。
東京都議会立憲民主党は、誰もが自分らしく生きることができ、互いに理解し合う多様性の高い社会こそが、新しい発想やイノベーションを生み出す持続可能性のある社会だと考え、自由と多様性を尊重し、支え合い、未来への責任を果たすことを基本理念として会派を結成しております。
多様性、すなわち障害の有無、雇用形態、性別を問わず、その個性と能力を十分に発揮することができるジェンダー平等の確立、性的指向や性自認、家族構成などで差別されない社会を東京から実現していくことが必要だと考えます。
こうした観点から、以下、知事の基本姿勢を伺います。
「未来の東京」戦略が更新されました。これまで私たちは、都民の暮らしと人に着目し、貧困や格差などの将来不安を解消してこそ、希望の持てる社会となると訴えてきましたが、経済活動の回復で拡大している格差や貧困などに十分対応できているとはいえません。
都民の経済的不満、暮らしや生活に対する都民の満足度を向上させていく視点が希薄であると感じています。
そこで、私は、改めて都民の暮らしと人に着目をし、貧困や格差などの将来不安の解消に向けて取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○政策企画局長 まず、人に焦点を当てた政策についてでございますが、「未来の東京」戦略では、東京の持続的な発展を支える人に着目し、施策を推進してまいりました。
今回公表した戦略のバージョンアップでは、困難を抱える方々の状況に応じた相談体制や支援体制の充実、自立した安定的な生活への支援など、都民の不安に寄り添った取組の強化を図っております。
○議員 これまでの小池都政を振り返ると、法を無視して外出を禁止しようとするロックダウン発言、在日外国人への度重なる冷たい対応、法改正の壁を前に、当事者が様々な困り事を抱えた同性婚についても、国に法改正を求めないなど、後味の悪い言動が積み重なっています。
先日公表された「未来の東京」戦略二〇二四では、多様性の尊重が戦略の一つとされていますが、私は人権や多様性に関する知事の基本姿勢に疑問を感じるといわざるを得ません。多様性のある東京実現に向けた知事の基本的見解を伺います。
○政策企画局長 次に、多様性のある東京の実現についてでございますが、「未来の東京」戦略では、様々な人が共に暮らし、多様性に富んだ東京の実現を目指し、ダイバーシティ・共生社会戦略を推進してまいりました。
戦略のバージョンアップでは、学ぶ、働く、暮らす、住む、楽しむの観点から、施策の強化を図っております。
○議員 次に、政治と金の問題に関連して、知事の政治資金パーティーについて伺います。
立憲民主党は、この間、国における政治と金の問題に対して、政治家本人の処罰強化、政治資金の透明性確保、政治資金パーティーの禁止、この三つの制度改革を提案しています。
また、都議会において、私たちは、予算編成権を持ち事業執行にも強大な権力を持つ自治体の長は、政治資金パーティーを行うべきではないと考え、小池知事に度々自粛を求めてきました。
昨今、全国で自治体の首長が政治資金パーティーを自粛する動きが相次いでいます。これだけの問題が起きていても、小池知事は法律にのっとって適切にとの答弁を繰り返し、知事がいうところの勉強会、すなわち政治資金規正法に定める対価を徴収して行われる催物、政治資金パーティーを開くおつもりなのでしょうか。知事の見解を伺います。
○小池知事 政治姿勢についてのご質問。
勉強会につきましては、法に基づき適切に対応いたしております。
○議員 次に、令和六年度予算案について伺います。
令和六年度一般会計歳出総額は、前年度当初予算案に比べ五・一%、四千百二十億円増加し、八兆四千五百三十億円、政策的経費といわれる一般歳出も六兆三千七百二億円と前年度当初予算に比べ四千三百四十八億円、プラス七・三%です。
私たちが提案をしてきた私立学校の特別奨学金の所得制限撤廃が盛り込まれ、東京都版子供手当が引き続き計上され、学校給食の無償化にも負担軽減補助に踏み出したことは、それぞれ課題が残るとはいえ、一定の評価をいたします。
その一方で、これらの予算措置は、毎年の予算編成の都度、検討するとしており、安定性、継続性に大きな疑問符がついています。すなわちそれは、選挙目当てのばらまきであって、選挙が終わればやめてしまうのではないかとの憶測です。
立憲民主党が求める教育の無償化などの政策を安定して実行し、その先にある格差是正を実現するためには、単発ではなく、息の長い取組が必要です。
あえて乱暴ないい方をすれば、先人の努力によって少なく抑えられた借金、好調な税収背景に、いっとき気前よく使うだけなら誰にでもできます。私は特に政策の安定性、持続可能性について憂慮するものですが、知事の見解を伺います。
○財務局長 まず、持続可能な財政運営についてでございますが、令和六年度予算では、明るい未来の東京の実現に向け、都市力を磨き抜く施策に大胆に財源を振り向ける一方、事業評価による見直しの徹底、基金残高や都債発行余力の確保など、将来に備えた財政対応力にも配慮しております。
今後も必要な施策を継続的かつ安定的に講じることができるよう、持続可能な財政運営を行ってまいります。
○議員 私は、教育の無償化など、大きな財政出動を伴う政策を安定して実行し、その先にある格差是正を実現していくためには、リーマンショックのような危機にも対応できる財政力が必要だと考えます。
令和六年度予算では、予算編成過程を通じて、事業評価、政策評価、グループ連携事業評価を一体的に行う取組が行われています。
私がかねてから強く求めてきた外部の目については、政策連携団体について、新たに事業ごとに専門家の意見を聞く取組も行われるなど、徐々に進化してきていることは率直に評価したいと思います。
一方で、五年度未執行となっている、いわゆるカジノ予算、IRの調査もまた計上されています。五年度の事業評価を見ていくと、中には土木工事において、新たな施工方法を採用しコスト削減につなげた財源確保にふさわしい見直し事例もありますが、このような事例ばかりではありません。より事業の根本にまで踏み込んだ見直しを行い、さらなる財源確保につなげていくことが必要ではないかと思います。
事業評価について、事業見直しの取組を強化し、より一層の質を向上させていくべきと考えますが、見解を伺います。
○財務局長 次に、事業評価についてでございますが、都はこれまでも、全ての事業に終期を設定し、事後検証を徹底するなど、施策の見直しを促進してまいりました。
こうした取組に加え、今年度は、都と政策連携団体の取組に着目した新たな評価を構築し、事業評価と一体的に実施するなど、評価の充実を図り、過去最高の財源確保につなげております。
引き続き、施策の効率性、実効性の向上に取り組んでまいります。
○議員 次に、学校給食の無償化について伺います。
学校給食の無償化は、二〇一七年六月二日の代表質問で、私たちが求めてきた政策です。六年度予算案では大きく前進したものの、負担軽減補助という枠組みにとどまったことなどから、無償化に踏み切れない自治体が多摩地域で散見され、新たな三多摩格差だと憤る声も聞こえます。
私は、市町村総合交付金の増額も含め、財政力に関係なく、全ての自治体で学校給食の無償化を実現すべきであると考えますが、無償化に踏み切れない自治体が多摩地域で散見される現状についてどう考えているのか、予算措置は十分であったと考えているのか、知事の見解を伺います。
○小池知事 学校給食費の負担軽減についてのご質問。
学校給食費につきましては、国がその責任と財源におきまして、無償化を実現すべきものでございます。
都として、国に先行し、区市町村が学校給食費の保護者負担の軽減に取り組む場合、その費用の二分の一を都が支援することといたしたものでございます。
○議員 昨年十二月の定例会で、私たちは、議員提出議案第十六号、東京都区市町村立学校の学校給食費等の助成に関する条例に賛成をいたしましたが、学校給食費の補助率をかたくなに二分の一にとどめる理由はないはずです。
高校生の医療費助成に関して、小池知事は一昨年の三月三日、全ての区市町村で早期に実施されるようにとの理由から、議会でもない場で突然、補助率十分の十といい出しました。これと比べても知事の姿勢は極めて消極的です。
一月十一日の知事査定で判断したのは小池知事です。なぜ学校給食費の補助率を二分の一にとどめたのか、高校生の医療費助成との比較も含め、見解を伺います。
○教育長 まず、区市町村に対する支援についてでございますが、区市町村立小中学校の学校給食については、学校給食法に基づき設置者が実施しております。
○議員 給食無償化について、一月十一日の知事査定記者メモでは、今後も国に継続して要望するとともに、単年度ごとに実施を判断と説明され、他の資料でも、七年度以降の実施については、国の動向を踏まえ判断などと記載されています。これでは、都内自治体がちゅうちょするのも当然です。
国が万全の対策を講じない限り、都として財政支援を継続的かつ積極的に実施することを明確にするべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○教育長 次に、学校給食費の負担軽減についてでございますが、学校給食費については、国がその責任と財源において取り組むべきものであることから、今後も国に対して要望してまいります。
○議員 次に、教育施策について伺います。
学校教育では、給食以外にも教材費や学用品、課外活動費や修学旅行費など、様々な負担が保護者にのしかかります。
昨年九月の代表質問で、私は、子供に係る教育費の負担は、できるだけ軽減するよう配慮、努力することは当然だし、教育費は本来無償であるべきだと主張しました。
これに対して、教育長は、無償とは最高裁判決で授業料不徴収の意味と解するのが相当であるとされている旨、答弁しましたが、私は判例を確認するために質問したのではなく、知事の政治姿勢を聞いたのです。
例えば、各自治体で異なっている就学援助費の対象要件や補助メニュー、単価の拡充をはじめ、制度の周知、活用を支援するなど、都として積極的な取組が求められます。
義務教育の完全無償化に向けて積極的に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○教育長 次に、教育費についてでございますが、保護者の負担する教育費に対する支援は、設置者がそれぞれ適切に実施していると認識しております。
○議員 私立高校の特別奨学金は、保護者の手元に届くまでに時間がかかり、その間、保護者は資金繰りを強いられるなど、要らぬストレスを抱え込むことにもなります。
特別奨学金の所得制限がなくなったとしても、そもそも根っこの国の就学支援金に所得制限があることなどもあり、保護者負担の解消とはなりませんが、少なくとも都による肩代わりや早期支給を図るなど、授業料に対する保護者の負担感解消に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○生活文化スポーツ局長 まず、授業料に対する保護者の負担軽減についてでございますが、都はこれまでも、私立高校の授業料負担軽減に取り組んでおり、来年度は対象者についての所得制限を撤廃いたします。
今後、引き続き本制度の円滑な執行に努めてまいります。
○議員 授業料の所得制限撤廃は、ようやく二〇一〇年の民主党政権時に追いついたと考えますが、私立高校での年間納付金は、授業料以外に、施設費その他の負担として、二〇二二年、全日制平均で二十一万六千三百四十七円がかかります。また、初年度には入学金の納入が必要です。
都は、奨学給付金、育英資金、入学支度金貸付など幅広い施策を総合的に活用していると説明していますが、所得制限が厳しかったり、返済義務があったりと十分とはいえません。
埼玉県や京都府、広島県など、施設費等を含めた納付額を補助している自治体もあり、私は、都として入学金や施設費等に対する補助制度を新設するべきと考えますが、見解を伺います。
○生活文化スポーツ局長 次に、私立高校の授業料以外の学費への支援についてでございますが、都は、私立高校の授業料について、国と都の制度を合わせて都内私立高校の平均授業料までを支援しており、来年度からは所得制限を撤廃することとしております。
また、奨学給付金、育英資金、入学支度金貸付などの制度を設け、負担軽減を図っているところでございます。
○議員 大学生への支援について、東京都立大学などの授業料実質無償化が計上されたことは評価したいと思いますが、困窮している大学生は、都立大学だけにいるわけではないことは、昨年二月の代表質問でも申し上げました。
都内でも足立区や府中市、青梅市などが大学課程も含めた奨学金制度を独自に実施している自治体があるとして、六月の代表質問ではその取組状況を質問いたしましたが、都は、都内自治体の状況を把握していない旨の答弁でした。
そこで、改めて大学生に対する都独自の奨学金制度の創設を求めるとともに、都内自治体の取組状況を明らかにすべきと考えますが、併せて見解を伺います。
○生活文化スポーツ局長 次に、大学生等への支援についてでございますが、大学生等高等教育機関に通う学生への支援は、国の責任において行うべきものでございます。
都内自治体の取組につきましては、各自治体の判断において実施しているものと認識しております。
○議員 また、都立看護専門学校についても、授業料が実質無償になるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○保健医療局長 都立看護専門学校に関するご質問にお答えいたします。
都立看護専門学校は、看護師の養成と都内における看護師の充足を目的として設置しております。
都は、都内で看護業務に従事する意思のある学生を対象に、民間立の養成施設の学生も含め修学資金を貸与しており、本定例会に返還免除の条件を緩和する条例改正案を提出しております。
○議員 この間、私は代表質問に立つたびに、フリースクール支援を求めてきました。六年度予算では、これまでの協力金としてではなく、児童生徒への授業料への支援として月額二万円を上限に助成するほか、フリースクール等、五十団体への支援なども計上されました。
予算拡充は歓迎いたしますが、フリースクールの平均授業料は一か月当たり四万三千四円、都外では四万円を上限に支給している自治体もあります。都の有識者会議の委員からは、通わせたくても通わせられない家庭があることも想定されるといった意見も出ています。
そこで、私は、フリースクールに通う児童生徒への支援をさらに拡充するなど、フリースクールへの支援を積極的に進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○子供政策連携室長 フリースクール等への支援についてでございます。
都は今年度、学校生活になじめず生きづらさを抱える子供が自分らしくありのままで成長できるよう組織横断の推進チームを立ち上げ、政策を練り上げてまいりました。
来年度から、フリースクール等の利用料に対する助成制度や、子供目線に立った取組を行うフリースクール等に対する補助制度を創設することとしております。
○議員 次に、児童虐待対策について伺います。
二月十四日、東京都台東区で、四歳の次女に薬物などを摂取させて殺害したとして、その両親が逮捕されました。亡くなられたお子さんのご冥福をお祈りいたします。
この一家をめぐっては、二〇一九年に都の児童相談センターが次女を含む子供三人を一時保護していたとのこともあり、子供の殺害を未然に防げなかったのか、東京都児童相談センターを含む関係機関の支援が十分だったのか検証が求められます。
一方で、小池知事は二月十六日の定例会見で、こういう痛ましい事件が起こらないような策を社会全体としても考えていかなければいけない旨、述べていますが、そもそも都として基準にさえ達していない児童相談所の人員確保をはじめ、関係機関との連携強化、発生予防や早期把握、早期支援など、まだまだできていないことが山積しています。
そこで、私は、こうした痛ましい事故、事件は二度と起こすべきではないとの観点から、都として虐待死をゼロにすることを宣言し、それに向けてあらゆる手だてを講じていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
〇知事 児童虐待対策についてのご質問です。
昨年の三月に台東区で発生いたしました事案につきましては、今後、児童福祉審議会におきまして、しっかりと検証いたします。
都はこれまで、児童福祉司等を増員するほか、虐待対策を担う職員を配置する区市町村を支援してまいりました。
また、虐待予防の観点から、母子保健部門と子育て部門との連携を推進いたしております。
引き続き、子供の安全・安心を守るため、児童虐待防止に全力で取り組んでまいります。
○議員 二月十六日の定例会見において、事件の母親は精神疾患を指摘されていましたが、依存症や障害などのある親への特段の対応を求めた都の児童福祉審議会の検証報告が生かされていなかったのではないかという旨の質問が記者からありました。
知事は、捜査状況を注視しながら、これまでの対応についても検証していきたいと述べていますが、検証するのは当然です。第三者により、しっかりとした検証とそれに基づく再発防止策の徹底が必要と考えますが、見解を伺います。
○福祉局長 まず、児童虐待事案の検証についてでございますが、台東区で発生した事案につきましては、都は、児童福祉審議会児童虐待死亡事例等検証部会におきまして今後検証を行うこととしております。
○議員 昨年十一月の児童福祉審議会の報告書では、児童相談所や子供家庭支援センターの業務が逼迫しており、改善策実施のためには、実態に合った体制整備を進めていくべき旨、記載があります。
この間、私たちは政令で定められた基準に見合う人員を確保するなど、児童相談所の体制を強化すべきと主張してきましたが、六年度予算で基準に見合う人員を確保できたのか、今後の取組も含め、見解を伺います。
○福祉局長 続きまして、児童相談所の人員の確保についてのご質問でございます。
都は来年度、児童福祉司及び児童心理司を合計六十三名増員することとしております。また、専任チームを設けまして人材確保に取り組んでおり、引き続き児童相談所の体制を強化してまいります。
○議員 また、都の児童相談所では、子供家庭支援センターなどの関係機関との連携強化が求められるとも指摘してきましたが、都の児童相談所と子供家庭支援センターとの連携強化に向けて見解を伺います。
○福祉局長 最後に、児童相談所と子供家庭支援センターの連携についてでございます。
都は来年度、児童相談所と子供家庭支援センターの連携の拠点となるサテライトオフィス等の設置を進めるとともに、子供家庭支援センターの基幹職員の育成を支援するなど、虐待への対応力を強化することとしております。
○議員 次に、働く人に公平、公正な社会の実現、労働環境の整備について伺います。
続く物価高では実質賃金マイナス二・五%となり、一九九〇年以降、最低の水準です。
東京都議会立憲民主党は、何よりの物価高騰対策は、物価上昇を上回る賃上げ、持続的に賃金を押し上げることであると考え、積極的に動くよう知事に再三求めてきました。
また、さきの第四回定例会で、大手企業では賃上げが相次いでいるものの、都内企業の九九%を占める中小零細企業では、原資が確保できていないため、三十年にわたってしみついてしまったデフレマインドを打ち破る動きを東京から加速するよう訴えました。しかし、知事は、賃上げを求めるどころか、賃上げの必要性についての認識すら示さない答弁をしています。
賃上げに向けて、国は直接的な働きかけを行っていますが、知事の行動は見えません。国民の豊かさを犠牲にした安い日本、安い東京からの脱却に向け、なぜ旗を振ろうとしないのか不思議でなりません。
物価上昇を上回る賃上げについて、知事の率先行動を改めて求めるものですが、知事の見解を伺います。
〇知事 賃上げに向けた率先行動についてのご質問でございます。
以前もお答えしたとおりでございますが、稼ぐ東京へと進化させ、持続的な成長につなげること、また、都民が心豊かに生活できる環境を整えることが重要であり、これらの実現に向け、戦略的に取り組んでいるところでございます。
○議員 東京都議会立憲民主党は、持続的な賃上げ、非正規雇用の正規化、同一労働同一賃金の推進、男女の賃金格差是正など、働く人に公平、公正な社会を実現するため、これまでも一貫して取り組んできました。
産業を支える人に公平、公正な取引は、経済の好循環、東京の発展につながるものであり、下請を含めて、東京都との契約に関わって働く人が低賃金を強いられることがないよう、都として公契約条例を制定して取り組むよう求めてきました。
都においては、現在、東京都社会的責任調達指針素案をパブリックコメント中です。持続可能性の観点から、環境、人権、労働などの分野で義務的事項、推奨事項を定め、都の発注工事等で受注者に遵守を求める内容です。
私は、この指針が直接の受注者のみならず、サプライチェーンも対象としたこと、とりわけ労働の推奨事項で、適正な労働対価の支払いを求める生活賃金の考え方が盛り込まれたことに注目しております。
適正な労働対価の支払いまで含め、指針に係る取組が着実に実施されることを期待するものですが、都の社会的責任調達について知事の見解を伺います。
○財務局長 次に、社会的責任調達指針についてでございますが、現在、意見公募中の素案は、法令遵守を基本として、環境負荷の低減、多様な人権の尊重、適正な労働環境確保等の視点から、受注者とサプライチェーンを担う事業者が契約履行過程で取り組むべき方向性を示し、調達における望ましい慣行の定着を目指すものでございます。
また、都との契約締結に際し、指針の遵守に係る誓約書の提出を受注者に求めるとともに、不遵守に係る通報受付窓口を設置すること等を通じ、指針の実効性確保に取り組むこととしております。
○議員 都庁からも貴重な人材、経験が流出しています。東京都の非正規公務員である会計年度任用職員は、再任用回数の上限が決められており、また、再度、選考試験に臨む際、それまでの勤務実績が考慮されなかったという例も聞きます。
先日も学校現場で働いていたスクールカウンセラーの多くが雇い止めに遭ったと報じられていましたが、現場でせっかく培われた経験が安易に流出してしまっては、都民にとっても損失です。
再任用回数の上限を設けていない自治体もありますが、私は、とりわけ専門性が求められる会計年度任用職員については、せっかくの経験が流出しないよう、人材確保に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○総務局長 まず、会計年度任用職員の人材確保についてでございますが、地方公務員法の平等取扱いの原則に基づき、各局等において募集及び採用を適切に行ってございます。
なお、都では、公募によらない再度任用を連続四回までとし、上限回数に達した場合も、国の通知を踏まえ、公募による選考を経た任用は妨げないものとしてございます。
○議員 人材確保に関しては、二〇二四年問題に直面する運輸業界でも喫緊の課題です。中でもタクシー業界は、コロナ禍による大量離職からドライバーが戻っておらず、インバウンド等による急速な回復需要に対応できていません。
国は、規制緩和を進め、東京でも四月からライドシェアが一部解禁されますが、私たちは利用者の安全に懸念があり、働く人も守られないライドシェアの導入には反対です。むしろタクシードライバーの確保、育成、デジタル化等による業務の効率化を急ぐべきと考えます。
タクシー業界と連携してドライバーの確保、育成などへの支援を急ぎ行うべきと考えますが、見解を伺います。
○産業労働局長 タクシーの事業者の働き方改革についてのご質問にお答えいたします。
中小の運輸の分野で、今年の四月より時間外労働に上限が適用される中、都は、中小企業の人材確保に向け業界団体を通じ実施するサポートに関し、社員の運転免許の取得を進める取組への助成の充実を図ります。
これによりまして、中小企業の支援を進めてまいります。
○議員 また、サービス業における人材確保では、職場環境の整備、とりわけカスタマーハラスメント対策の強化が求められています。
私たちは、昨年九月二十六日の代表質問において、カスハラを許さない、カスハラから働く人を守るための条例を早急につくるべきだと提案するとともに、十一月二十七日には都議会立憲東京ビジョンとして、知事に早期の条例制定を求めてきました。
知事は、施政方針で検討に着手と述べ、年内提出の報道もありましたが、都として早期にカスハラ対策条例を提案すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
〇知事 カスタマーハラスメントへの対応についてのご質問がございました。
顧客からの過大な要求等を受け、働く方が人格を傷つけられ、ダメージを受ける状況をなくすことを目指しまして、適切な対応を進める仕組みづくりは不可欠であります。
専門家等が検討を進め、ハラスメントに関し、現場の実態やルールづくりの必要性が明らかとなりました。
この防止に向けました理念を明確な形で示し、対応のよりどころとなる条例の制定を検討いたします。その実効性を確保するガイドラインもつくってまいります。
働く方が安心して仕事に打ち込める環境をつくり上げるため、議論と検討を積み重ねてまいります。
○議員 次に、住宅政策について伺います。
私たちが知事宛てに提出した都議会立憲東京ビジョンの中では、重点予算として、必要とする全ての人の家賃補助制度を求めています。
住まいの確保は最もベーシックな生活保障ですが、都営住宅は平均十倍から五十倍の応募状況です。住宅に困窮する低所得世帯に対して、十分な政策が打てているとは思えません。むしろ募集に外れた多くの低所得者を放置するということは、誰一人取り残さないというSDGsの原則に大きく反するのではないでしょうか。
都内の空き家が約八十一万戸ある中で、既存の民間賃貸住宅をもっと活用し、充実の家賃補助で住まいの安心確保を図るべきです。
住宅政策の基本認識について、知事の見解を伺います。
〇知事 最後に、家賃補助についてであります。
住宅は生活の基盤であり、都民の居住の安定を確保することは重要でございます。
このため、都営住宅の積極的な活用に加えまして、東京ささエール住宅の供給促進などに取り組み、引き続き重層的な住宅セーフティーネット機能の強化を図ってまいります。
家賃補助制度につきましては、対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担の問題のほか、生活保護制度との関係など、多くの課題があると認識をいたしております。
○議員 令和六年度予算では、都営住宅を活用した若年・中年単身者住居確保支援事業が新たに計上されました。就労支援策と連携して、都営住宅を試行的に提供するとのことです。一歩前進ですが、空いている都営住宅が対象では、活用できるのは通勤も不便な住宅で、数も限られると推察されます。
私は、同様の対象条件になる人が就労につながる支援策を受けながら、今住む住宅にも都営住宅と同水準の負担で住み続けることができる支援策を構築すべきと考えます。
若年者、中年単身者の就労支援と連携した住まいの安心確保について見解を伺います。
○住宅政策本部長 まず、就労支援と連携した住まいの確保についてでございますが、不安定な就労状態にある若年、中年単身者の居住の安定を図り、就労や自立につなげることは重要でございます。
都では来年度、低所得の若年、中年単身者に対し、区市町や社会福祉法人等と連携して都営住宅を試行的に提供し、就労支援等のフォローを行う取組を開始いたします。
また、TOKYOチャレンジネット事業への都営住宅の提供や、家賃低廉化補助の対象となる東京ささエール住宅の専用住宅の供給促進、就労支援等を行う居住支援法人の指定促進等に引き続き取り組み、居住支援協議会等を通じて福祉施策とも連携しながら、若年、中年単身者の居住の安定を図ってまいります。
○議員 子育て世帯への家賃補助について、東京都の少子化対策二〇二四によれば、都内の子育て世帯の平均家賃は全国の約一・六倍、四万円以上も高くなっています。
都は、東京こどもすくすく住宅の供給などにより取り組んではいますが、従前の制度の創設以来、この八年で認定されたのは約三千三百戸にすぎません。都内には民間賃貸住宅に住む子育て世帯に対して家賃補助を行う自治体があり、都としても実施に一歩を踏み出すべきです。
そこで、私は、最低限、民間賃貸住宅に住む多子世帯に対する家賃補助制度を創設するなど、子育て世帯の住居費負担の軽減に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○住宅政策本部長 次に、子育て世帯の住居費負担の軽減についてでございますが、家賃補助制度につきましては、民間家賃への影響、財政負担の問題など多くの課題があると認識をしております。
子育て世帯に対しましては、都営住宅における優遇抽せんの実施や定期使用住宅等の提供に加え、東京ささエール住宅の専用住宅の供給促進などに取り組み、引き続きその居住の安定確保を図ってまいります。
○議員 次に、防災対策について伺います。
私たちは、地震の際に建物損壊で亡くなる方を出さないために、住宅の耐震化を重要課題の一つと考え、再三、建築物の耐震化、中でも早期の住宅耐震化一〇〇%を目指した重点的な取組を求めてきました。知事がよくいう世界から選ばれる都市も、地震に強い基盤がなければ絵空事です。
能登半島地震では、家屋倒壊による犠牲者に高齢者が多く占めるなど、古い木造住宅の被害が甚大であり、二〇〇〇年までに建てられた新耐震住宅でも被害が出ています。高齢者の住宅耐震化への特段の取組、さらには二〇一六年の熊本地震の被害状況を受け、私たちがいち早く求めてきたものの、これまで都の取組が薄かった新耐震の住宅の耐震化促進策が急務と考えます。
私は、震災時に命を守る対策として、誰も取り残さない耐震化を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○都市整備局長 まず、住宅の耐震化についてでございます。
地震による被害を軽減するためには、戸建て住宅の耐震化を進めることが急務でございます。
今年度から、旧耐震に加え新耐震基準の木造住宅への耐震化助成を開始し、令和六年度からは耐震改修等の補助限度額を引き上げることとしております。
○議員 能登半島地震を受けて、知事は施政方針表明で、トイレの備蓄拡大や衛星通信機器の配備について述べました。これも大切なことですが、私は、能登半島でつらい避難所生活を送る皆さんを見ると、家屋倒壊などによる直接的な死を免れた方が、その後の避難生活で命を落とす災害関連死をすることがないよう、早急に対策を強化することが必要だと考えます。
慣れない避難所暮らしで高齢者はもちろん、若い世代でも緊張状態が続く中、運動不足や食生活の乱れから循環器疾患、血栓症、認知機能の低下など、様々な症状が現れる危険性が高まります。
避難所で暮らす方や、事情があって在宅避難を続けざるを得ない方をどのように守り、どのようなリソースがどれだけ必要かなど、区市町村や関係機関と協議を進め、備えを拡充し、都民の命を守る体制づくりを進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○総務局長 次に、避難者の命を守る体制づくりについてでございますが、都はこれまで、地域防災計画や避難所管理運営の指針に基づき、必要な物資の備蓄等、避難生活の環境改善に向けて取り組むとともに、在宅避難者への生活関連物資の配布や保健医療サービスの提供に努めるよう区市町村に示してまいりました。
引き続き、関係機関と連携を図ってまいります。
○議員 また、今回の能登半島地震では、被災地に速やかに物資や人材を送り届けることの難しさが改めて課題となりました。
東京で発災した場合は、ここ新宿の都庁が司令塔になりますが、都庁が被災した場合は立川が機能を果たすことになります。
我が会派が視察をした多摩地域の立川地域防災センターは、相当老朽化が進んでいます。必要となったときにしっかりと役割を果たすことができるよう、時代の変化に合わせ、機能を強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
○総務局長 最後に、立川地域防災センターの機能強化についてでございますが、いつ起こるとも知れない災害から都民の命を守るためには、立川地域防災センターの活用が重要でございます。
このため、建て替えも含め、機能強化に向けた検討を行い、基本構想を策定いたします。
こうした取組によりまして防災力の向上を図ってまいります。
○議員 次に、神宮外苑再開発について伺います。
神宮外苑再開発について、本来は昨年の夏に調査結果が示されるはずだったイチョウ並木の保全に向けた根系調査ですが、延期され、今年一月九日、事業者が調査を始めました。その結果は夏頃、都へ報告される予定だと聞いています。
一方、昨年九月に、知事は事業者に樹木保全の具体策を示すように指示いたしましたが、いまだ事業者からの回答は来ていないと聞いています。
都知事選まで樹木を伐採しないでと知事がいったと一部報道にありましたが、七月に知事選を控え、先送りをしているのではないか、知事選が終わったら一気に進んでしまうのではないかといぶかしんでしまいます。
また、昨年、ヘリテージアラートを受け、私たち都議会立憲民主党は現地の視察に行きましたが、その際、東京都都市整備局には現地での説明を拒まれました。
こうした経緯を踏まえ、東京都は都民の理解と共感を得る必要があり、神宮外苑再開発により積極的な関与を行う責任があると考え、事業者に見直しを働きかけること、また、議会、都民への説明責任を果たすべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
○都市整備局長 次に、神宮外苑の再開発についてでございます。
今回の開発は、明治神宮など民間事業者が自らの所有地において実施するものでございます。
都は、都市計画や環境アセスなどについて、法令等に従って適切に対応するとともに、事業者に対して既存樹木の保全などに取り組むよう要請してきております。
また、まちづくりの経緯や概要等をホームページに掲載するなど、広く情報提供を行っております。
○議員 最後に、大川原化工機冤罪事件国賠控訴について伺います。
本件は、冤罪や人質司法、嫌疑をかけられたら末期がんでも入院できないなどと報道されています。
司法に対する社会の信頼を多くの意味で失墜させた事件の国家賠償訴訟です。刑事事件は控訴取消しとなり、国賠訴訟の原告に捜査で負わせた多大な負担にもかかわらず、謝罪の意も伝えていないと聞いています。
なぜ立ち止まることができなかったのか、なぜ控訴取消しに至ったのか、今後同様の事案を繰り返さないためにどうするのかなど、結果を重く受け止めるべきだと考えますが、警視総監の見解を伺います。
以上、東京都議会立憲民主党を代表しての質問を終わります。
○警視総監 ご指摘の事案への受け止めについてでありますが、本件の刑事訴訟の途中で一人の方が起訴後の勾留中に病気が判明し、その後、入院され、お亡くなりになられたと承知しており、心からご冥福をお祈り申し上げます。
本件の国賠訴訟においては、噴霧乾燥機の規制対象該当性に係る捜査並びに原告の一名の方に対する取調べ及び弁解録取書作成に関する一審の判断に重大な事実誤認等があると考えられることから、上級審の判断を仰ぐことといたしました。
他方、捜査が法と証拠に基づき緻密かつ適正に行われるべきことは当然であり、本件の刑事訴訟において、公訴が取消しとなったことを真摯に受け止めております。
今回の件を契機として、公安部に捜査指導官を置き、証拠の吟味等を強化するとともに、幹部の研修を充実させ、指揮能力の向上を図るなど、部内教養をさらに強化しており、緻密かつ適正な捜査を引き続き推進していく所存であります。
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