厚生委員会で立憲民主党が予算案に意見表明
- 2025/03/19
- カテゴリー:委員会
2025年3月19日、都議会の厚生委員会が開かれ、質疑を行ってきた保健医療局、福祉局の来年度予算案や条例案について審議を行いました。予算案に対する都議会立憲民主党としての意見を藤井理事が会派を代表して述べました。その後、付託された条例案等の採決を行い閉会しました。
会派の予算案に対する意見は以下の通り
私は、東京都議会立憲民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された令和7年度予算案にかかる議案について、意見の開陳を行います。
東京都の令和7年度予算は、都税収入の増加を背景に、前年度当初予算に比べて7,050億円増加し、9兆1,580億円の一般会計予算額となりました。
私たちは、未来に向けた投資をするとともに、障がいの有無や年齢、性別、雇用形態を問わず、個性と能力を十分に発揮することができる東京を実現することが必要との基本的理念のもと、都内経済や都民の暮らし、生活に対する満足度を向上させる取組みが十分行われるか、政策の持続可能性は十分か、との観点から予算案に対する質疑を行ってきました。
東京都議会立憲民主党が提案してきた、全自治体での給食費無償化に必要な予算がようやく盛り込まれたこと、カスタマーハラスメント対策実施に必要な各種事業、教員等への奨学金返済支援などが予算計上されたことは、施策の前進であり率直に評価いたします。
一方、歴史的な物価高騰が都民生活を直撃している中で、中小企業による物価高騰を上回る賃上げを下支えするための施策がこれまで以上に求められています。
また、子ども子育て支援策の所得制限撤廃、教育の完全無償化、家賃補助の実施など、私たちが重点的に求めてきた施策の実施に必要な予算が盛り込まれなかったことは、極めて遺憾です。
加えて、私たちは、予算案の審議を通じて、各種計画や政策の効果検証や事業展開に関する計画立案等について、東京都が、求められる説明責任を十分果たしていないことについても、重大な懸念を持っております。
以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局にかかわる事項について申し上げます。
●まず、福祉局関係について
一 高校生をはじめとした子供の医療費助成について、所得制限を撤廃するなど、自治体間格差が生じないよう取り組むこと。また、018サポートについては、区市町村と連携するなど、より効果的で効率的な事業とすること。
一 学童クラブについて、待機児童を早期に解消するとともに、職員の処遇改善に取り組むこと。認証学童によって、待機児童が生じることのないようにすること。都型から認証への移行は緩やかに進めるとともに、区市町村の意見にも配慮すること。
一 ひとり親家庭への生活支援、学習支援を拡充すること。養育費確保支援を推進すること。
一 妊婦全数面接や産後ケア事業、育児用品等の経済的な支援の拡充など、妊娠・出産・子育てを切れ目なく支援すること。医療機関の安全性担保に向けて支援するなど、希望する方が安心して無痛分娩が選択できる環境を整備すること。国における出産費用の保険適用の動向を見据えながら、出産に関する負担の軽減に引き続き取り組むこと。
一 3歳児健診での吃音を各区市町村に働きかけること。また、発達障害の早期把握などにも有効な5歳児健診が実施されるよう区市町村を支援すること。
一 ヤングケアラーへの支援や虐待の未然防止に取り組むこと。また、ケアラー支援条例を制定して取り組みを強化すること。
一 児童虐待死ゼロに向けて取り組むこと。児童相談所について、政令で定められた基準に見合う人員を確保するなど体制を強化すること。また、民間事業者の活用も含め、一時保護所の受け入れ枠を拡大するとともに、国基準を上回る職員を配置すること。社会的養護に係る子供の権利擁護の強化に向けて取り組むとともに、一時保護所にいても、希望すれば元の学校に通学できるよう支援すること。余暇活動の充実など、入所児童のQOLの向上に取り組むこと。
一 受験生チャレンジ支援の所得制限を撤廃するとともに、貸し付け限度額を引き上げること。
一 ホームレス対策として、ネットカフェ等のかくれホームレムも含め、自立の意思を持つ全てのホームレスの地域生活への移行を確実に実現すること。フードパントリーの設置場所拡大や食品確保に向けて、支援を拡充すること。
一 民間支援団体などと連携し、おひとり様高齢者への支援を強化すること。都として孤独孤立対策に取り組むとともに、高齢者の居場所づくりを推進すること。また、高齢者の地域見守り拠点を整備するとともに、地域包括支援センターの体制を強化すること。
一 介護人材の確保・育成・定着に向けて、居住支援やキャリアアップ、昇給支援など、処遇改善を積極的に進めること。また、介護現場におけるカスタマーハラスメント対策の強化、訪問系介護職員に対する暑さ対策などの支援を拡充すること。
一 認知症の方の社会参加を推進すること。また、民間団体と連携した居場所づくりを進めるとともに、認知症検査など早期発見に向けて取り組むこと。
一 介護・フレイル予防を推進すること。また、介助を受ければ暮らせる元気な高齢者への支援策を検討するとともに、加齢性難聴の長期発見・早期対応で、介護予防につなげること。
一 シルバーパスをIC化するとともに、利用実態を把握し、高齢者の外出支援や介護予防につながるよう効果的な施策を講じること。また、対象交通機関を拡大すること。
一 特別養護老人ホームなど高齢者入所施設の整備については、資材価格や人件費の高騰などにも対応しながら、着実に進めること。
一 心身障害者医療費助成制度の対象を拡大するなど、負担軽減を図ること。
一 デジタル技術の活用や短時間勤務の普及など、障害者の就労支援を推進すること。意思疎通のための情報保障機器等の開発支援を進めること。
一 精神障害者の円滑な地域移行を促進するとともに、精神身体合併症の受け皿と医療体制を整備すること。また、手帳の更新が余裕を持って行えるよう工夫するとともに、精神障害者の相談体制を強化すること。
一 ギャンブル等依存症対策として、当事者や家族に寄り添った支援を実施すること。
一 多摩地域にも、東京都発達障害者支援センターを開設すること。また、誰もが安心して発達検査を受けられる体制を整備すること。
一 放課後等デイサービスについて、未設置地域における整備費を加算し、地域偏在を是正すること。重度の障がい児も利用できる放課後等デイサービスの拡大に向けて取り組むこと。卒業後、さらには高齢化を見据えて、重症心身障がい者の施設の整備をはじめ、障害者の居場所の確保に取り組むこと。
●次に、保健医療局関係について
一 自殺対策として、鉄道駅と協力した対策をはじめ、町会役員や民生委員など地域と連携した対策の推進を図るとともに、相談ダイヤルの拡充やメール相談窓口への誘導など取り組むこと。都として自殺防止条例を制定すること。
一 がん対策を推進するため、がん検診の受診率向上を図るとともに、治療と仕事の両立支援事業や緩和ケア推進事業を促進すること。東京都がん対策推進条例を制定し、施策を拡充すること。また、受動喫煙対策を拡充すること。
一 医療費の適正化に向けて、後発医薬品の普及啓発を進めるとともに、薬の飲み残しなどによって生じる残薬を減らすよう取り組むこと。電子カルテの導入を推進すること。
一 地域医療確保緊急支援事業を通じて、病院の経営状況などについて調査・分析を行い、国への提案要求はもとより、都の医療政策の課題解決に向けた検討を実施すること。病床配分は、2次保健医療圏単位でなく、もっと地域の医療実情を踏まえた配分にすること。
一 救急医療について、救急外来への看護補助者の配置などにより、高齢者の受け入れ体制を強化すること。また、選定療養費の負担を求める自治体も出てきており、引き続き、関係機関と連携して、救急医療の適正利用に取り組むこと。
一 災害時における医療体制を確保するために、通信手段の強化を図るとともに、保健所、区市町村とが連携し、避難所や在宅での医療提供体制を強化すること。災害時の透析医療体制を強化すること。
一 高齢者本人が、最期まで自分の希望する医療やケアを受けられるようアドバンス・ケア・プランニングを推進するなど、在宅医療を充実すること。
一 災害時も含めた看護職員を確保するため、潜在看護師の掘り起こしや新規養成を促進するとともに、処遇改善に取り組むこと。
一 都立病院について、独法化についての検証を行うとともに、行政的医療のより一層の充実強化に取り組むこと。
一 PFASについて、バイオモニタリングの実施に向けて取り組むとともに、健康影響の情報を積極的に提供すること。花粉対策について、情報提供をはじめ、全庁的に取り組むこと。
一 民営火葬場の火葬料金を届け出制とする法整備を求めるなど、利用者負担の軽減に向けて取り組むこと。
一 今後の新興感染症の発生・拡大を見据え、病床確保に取り組むこと。保健所のない自治体との連携強化を図るとともに、所管区域が大きい多摩地域の保健所については、増設を含め、体制を強化すること。
以上
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