都議会予算委員会で来年度の一般会計予算案に反対しました
- 2025/03/26
- カテゴリー:委員会
2025年3月26日、都議会予算特別委員会で各会派から議案に対する討論を行い、立憲民主党からは西崎政調会長が代表して意見を述べました。知事が提案した来年度予算案の採決が行われ、立憲民主党は、知事が議案の多様な意見に向き合う姿勢に欠けていたことなどから一般会計予算案に反対しました。また、噴水の整備が計上された臨海地域開発特事業会計年度案に反対しました。
討論の内容は以下の通りです。
私は、東京都議会立憲民主党を代表して、知事提案の第1号議案「令和7年度 東京都一般会計予算」、第22号議案「令和7年度 東京都臨海地域開発事業会計予算」に反対、その他の知事提出議案に賛成の立場から討論を行います。
はじめに、第1号議案「令和7年度 東京都一般会計予算」について申し上げます。
政治は、弱い立場、苦しい状況に置かれた人たちのためにあります。困難を抱える方、スタートラインにすら立てない方々に手を差し伸べ、都民の暮らし全体を底上げすることが本来の役割であり、これによってこそ、誰も取り残さず、誰もが自分らしく活躍でき、誰にでも居場所のある、健全で強い東京をつくるものと確信しています。
我々は、こうした観点から、本会議やこの予算特別委員会で、本議案を審査してまいりました。
この間、知事自身の政治姿勢や理念、施策の基本的な方向性に関する質問にすら、自らは答弁されないなど、予算案の提出者として、議会の多様な意見に向き合う姿勢に欠けていたことは、残念でなりません。
物価高騰や人手不足で苦しむ中小零細企業、望まない非正規で働く人々、真に必要な所に支援を届け、教育の原則無償化によって機会の平等を確保し、頑張ったものが報われる社会、教育による格差の再生産をなくすため徹底的に取り組むことが、我々の使命です。
小池知事の下で、多様性をはじめ、公平性や包括性が蔑ろにされています。
米国で、反DEIの動きが加速する中で、日本は関係ないと言えるでしょうか。我々は、今こそこれらの価値観を尊重すべきと訴え、知事の見解を求めましたが、いずれの質問にも答弁に立たれなかったことは、残念でなりません。そうした姿勢そのものが、多様性や公平性、包括性を否定している証左となり得ることを強く申しあげておきます。
物価高を上回る賃上げについて、これまで一貫して、知事の率先した機運醸成行動を求めてまいりましたが、いまだに積極的な発信や行動が見られません。
令和7年度予算案において、中小企業における賃上げなどを支援する事業は、都内中小企業数41万社に対し、対象はわずか1400社、予算30億円です。
我々は、少なくとも1万社を対象として、賃上げとその後の成長に繋がる支援策を大規模に実施すべきと考え、これも知事に問いましたが、ご本人は答弁されませんでした。
住宅政策について、我々はこれまで、都議会立憲ビジョン2023をはじめ、家賃補助による住まいの安定は最もベーシックな生活補償であるとして、都に実現を求め続けてきました。
住宅価格や家賃の高騰によって、多くの若い世代が、結婚し家庭を持てば都外への引っ越しを余儀なくされるなど、住宅事情はますます厳しくなっています。こうした状況下の予算案に、家賃補助に必要な項目は計上されていません。
金融スキームを活用したアフォーダブル住宅の供給については、いつ頃までに、何戸くらいの住宅を、どれ位の負担水準で供給させようとしているのか、全く示されませんでした。新たな住宅政策に結びつく可能性は否定しませんし、その進捗の見える化を強く求めるものの、現下の住宅高騰、都民の住まい安定化に対して直ちに効果を発揮することは望めません。
なお、我々が提案した、まちづくりの仕組みを活用したアフォーダブル住宅の提供について、来年度早期に検討を開始する必要があることを申し添えておきます。
教育については、将来を見据えた未来への投資、教育予算の拡充が必要です。
最低限、義務教育においては、学用品や修学旅行費などの学校教育費を無償化すべく、積極的な取り組みが求められます。
また、私立学校における入学金や施設費等の補助の新設、受験生チャレンジ支援の所得制限撤廃といった施策の拡充に加え、教育の質向上に向けて、VUCAの時代に対応できる、主体的な学びの場を確立するのは勿論のこと、いじめや不登校、多様な学びや居場所、体験格差、インクルージョンなど、個々の事情に合わせた、誰ひとり取り残さない教育体制を築いていかなければなりません。
一方で、英語スピーキングテストについては、不受験者の取り扱いや不適切な運営、事業者の財政上の懸念など、あまりにも課題が多いことから、都立高入試に使うべきではないことを、あらためて申しあげておきます。
子育て支援では、018サポートの効果的・効率的な実施に向けた再構築や、高校生等の子どもの医療費助成の所得制限撤廃について、自治体間格差が生じないよう取り組むことを強く求めます。また、学校における児童・生徒の事故が繰り返されていることから、事故情報データベースの活用を含め、都内全域で迅速に事例を共有し、対応できる仕組みとともに、安全点検における外部人材の活用について、区市町村への支援が必要であると考えます。
高齢者施策では、これまで見逃されがちだった、おひとり様高齢者に光を当てた課題の検討、支援強化、居場所づくり、地域見守り拠点の整備。シルバーパスについては、IC化を通じた効果的な施策の展開や見直しが求められる一方、知事公約であった多摩モノレールへの拡大は置き去りになっています。対象交通機関を広げるべきです。
平和施策では、東京空襲の証言映像について、さらなる使用承諾を頂けるよう取り組むとともに、常設での公開など積極的に活用すべきです。また、戦争の悲惨さを語り継ぐため、若い世代に「平和の日」の集中的な啓発を図ること、平和祈念館の整備に向けて一歩踏み出すことが必要であると考えます。
ジェンダー平等では、ジェンダー統計の整備をはじめ、その結果を分析し、男女間賃金格差の是正や、安心して働き続けられる環境整備など、SOGIに因らず活躍できる社会への取り組みを強化する必要があります。また、鉄道駅など公共施設におけるトイレ格差の問題に代表されるように、まちづくりの観点からも、ジェンダー主流化の考え方を進めることが欠かせません。
都内の公共交通、とりわけバス路線については、利用客の減少のみならず、運転手不足による減便・廃止など、地域生活への負の影響が出ていることから、都とバス事業者による協議を進めることも含め、地域公共交通の維持に取り組むこと、運転手の負担軽減策への支援強化を求めます。
また、その他の業態も含め、運輸業界による人材確保の取り組みに対して、都による支援を充実させるなど、人手不足の改善・解消に向けた施策をさらに進める必要があることを申しあげておきます。
次に、第22号議案「令和7年度 東京都臨海地域開発事業会計予算」について申し上げます。
お台場海浜公園の巨大噴水は、100%公金で整備・運営するという、破格の扱いとなっている一方で、他の賑わい事業では、地元企業などの実行委員会が主催し、協議会が共催、港湾局は後援として実施されている例が実際にあることからも、整備や運営のあり方について、抜本的な見直しを求めます。
さらに、市場や交通、水道・下水道事業において、経営ビジョンやプランが明確に示されているように、同じ公営企業会計である臨海会計においても、ただ噴水の整備を急ぐのではなく、長期的な収支見通しに裏付けられた、臨海地域全体のまちづくりの展望を描くことが不可欠であることを指摘しておきます。
結びに、総じて申しあげます。
目下の都税収が好調であることは、自他ともに認めるところです。しかし、これに甘えるべきではありません。終了した工事の金額ですら翌年度の財源確保とされるようなお手盛りの評価に終止するのではなく、政策の効果や必要性を絶えず検証し続け、税金・公金の使われ方として適切なのか、短期・長期、双方の視点から施策を組み立てていかなければなりません。
特に昨今、SNSを中心にポピュリズムが台頭しつつある中、見せかけやパフォーマンスに偏重することなく、政治・行政の真の役割を貫くことが、ますます求められています。
今だけ、金だけ、自分だけではなく、東京、そして日本の将来を見据えたうえで、我々は常に弱い側、苦しい立場に置かれた側の視点に立って議論し、提案を重ねていくことをあらためて申しあげ、東京都議会立憲民主党を代表しての討論を終わります。
Twitter
@Nakamura_Mitaka からのツイートfacebook