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都議会質問記録

【17】2011/11/24 都民からの陳情で都道・放射第5号線について質問

2011年11月24日、東京都議会 環境・建設委員会において建設局に対して都民からの陳情について質問を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。

〇中村委員 陳情二三第六二号、放射第五号線岩崎橋付近の道路構造決定に関する陳情について質問をします。
 本件については、これまでもたびたび陳情が出され、私も、当時もこの委員会にいましたのでその都度質問をしてきました。当該道路は杉並区にあり、選出の委員もおられますが、この道路の終点は三鷹市との境にある牟礼橋であり、また、三鷹駅は玉川上水の真上に建っていますので上水沿いに通勤や散歩をする方も多く、三鷹市民からも、放射第五号線については多くの声をこれまでいただいてきました。
 私自身も頻繁に訪れるんですが、陳情審査に当たり改めて現地を見て、沿道や岩通ガーデンを歩いてきました。すばらしい自然が残り、これをそのまま残したいという思いを抱くのは十分理解できるものです。
 はるか以前に、もっと南側の住宅街を通すことになっていた道路の計画が、恐らく当時は自然が多く、その重要性が今ほどいわれなかったであろう時代だったがゆえに、玉川上水に都市計画線が引かれたのではないかと思いますが、今の担当者はその計画に従って事業を進めることになるため、できるだけ自然を残すために道路幅を変えるなど、苦労されたんだとは思います。
 また三鷹の側から高井戸インターチェンジに向かうために、東八道路が途中でとまっているため、下本宿通り、いわゆる区境通りを通るのですが、幅の狭い道路で渋滞が頻発しており、その解消を求める声もいただいています。
 現在、用地の買収が進んでいますが、住民の方にも、あくまで反対の方、工夫をすれば受け入れるという方などさまざまで、これまで議論を積み重ねてきました。また一方では、隣接する富士見ケ丘地区の方からは、中央高速道路の負担があり、これ以上負担をふやさないでほしいという陳情が出され、この委員会でも全会一致で趣旨採択をしているという経過もあります。都市整備と環境保全をいかに両立させていくのかという難しい課題の解消を図っていかなければならないわけですが、そういう視点で幾つか質問をします。
 まず、今回陳情が新たに出されたのは、道路構造が平面案に決まったことを受けてです。
 そこで改めて伺いますが、これまでは協議会の最終報告書で、道路専門部会の最終報告として一部トンネル案と平面案の両案が併記されていましたが、両案のメリットとデメリットを伺います。

〇野崎道路計画担当部長 放射第五号線事業推進のための検討協議会の最終報告における道路専門部会の最終報告によりますと、一部トンネル案のメリットは、放射第五号線と岩通通りが平面交差しないため地域への通過交通の流入を抑制することができる、岩通通りの歩行者は放射第五号線を横断する必要がないため安全で快適、などでございます。デメリットは、掘り割り部やトンネル部で土地の有効利用に影響を及ぼす構造物を構築することにより、平面案より玉川上水へ影響を与える可能性が高いなどでございます。
 平面案のメリットは、沿道土地利用に制約を与えない、玉川上水の保全・施工上の配慮の点から有利、などでございまして、デメリットは、地域内への通過交通の流入が懸念される、岩通通りの歩行者は放射第五号線を横断することになるため安全が懸念される、等でございます。

〇中村委員 両案ともメリット、デメリットがありますので、この間いろいろなご意見があったかと思います。
 今回、沿道の方の意向調査の方を都が行い、平面案に決まったとのことですが、陳情では、一部の沿道関係者の意向調査だけが重視されたとして、限られた範囲の方にしか行わなかったとの記載があります。確かに、この第三建設事務所が発行している「三建・放5ニュース」の第六号も拝見しましたが、配布は三千五百戸にしているんですけれど、調査件数は二百八十一名が対象となっています。
 多くの方が関心を持つ事業ですが、どうしてこのようにしたのか伺います。

〇野崎道路計画担当部長 協議会の提言では、留意事項といたしまして、掘り割り部やトンネル部では放射第五号線への直接出入りができなくなるなど、土地の有効利用に影響を受ける沿道関係者や、排気ガスが増加するトンネル坑口部周辺の沿道関係者に、本案の趣旨を十分説明し、理解と協力を得ることとされておりました。
 この提言を踏まえまして、意向調査は、放射第五号線に直接面する土地建物所有者、及び坑口からの排気ガスの増加が予測される範囲内の土地建物所有者、合わせまして二百八十一名の方々の沿道関係者を対象として行ったものでございます。

〇中村委員 道路そのものは、沿道の方だけではなく、いろいろ安全や環境の面など含めて多くの方が関心があるかと思いますので、その点についても確認したいと思います。
 まず陳情にあるように、この近くには拠点病院である久我山病院や、盲学校である都立久我山青光学園、大規模私立学校である國學院久我山中学校、高校が近くにあります。目の不自由な方、病院に通う方、学生など、交通安全上配慮することが必要ですが、冒頭の質問への答弁でも、平面案のデメリットとして歩行者の安全への懸念が挙げられています。安全対策についてはどのように考えているのか伺います。

〇野崎道路計画担当部長 放射第五号線を横断する歩行者の安全対策につきましては、だれもが安全に横断できるよう、歩道や玉川上水の両側に設ける新たな緑地内に十分な滞留スペースを設けるとともに、信号機の設置などについて、交通管理者と協議を進めてまいります。

〇中村委員 安全の面では、いろいろな方々がいらっしゃると思いますので、本当にこれは留意していただきたいと思います。学校や病院等も含めていろいろな方から意見を聞いていただくなどして、今後取り組んでいただきたいと思います。
 今度は環境面について質問します。
 玉川上水を初め、できるだけ自然環境を保全してほしいという声もあります。岩通ガーデンは、平面案では、一部トンネル案より狭くなってしまいます。こうしたことも含めて、環境保全についてどう取り組むのか伺います。

〇野崎道路計画担当部長 放射第五号線は玉川上水の保全と沿道環境に配慮するため、幅員を五十メートルから六十メートルに拡幅する都市計画変更を行ってございます。
 幅員六十メートルのうち、玉川上水の史跡に指定された約十メートルの区間、区域については基本的に保全し、その両側に遊歩道と新たな緑地を設け、合わせて二十五メートルの緑地帯とするとともに、その両側に七・五メートルずつの車道、さらに外側十メートルずつの環境施設帯を設置し、緑を豊かにすることで沿道環境に配慮する計画としております。
 また、岩通ガーデンの樹木を街路樹として取り込みながら歩道を整備するなど、できる限り既存樹木の保全にも努めてまいります。

〇中村委員 自然環境というのは一度失われるとなかなかもとに戻すのは難しいところではありますけれども、できる限り保全をということですので、これからもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 これまでの道路事業については、平面案に決定してから既に周辺住民に二回説明会を行っているということですけれども、周辺への説明は丁寧にしなければならないと思います。今後どのように行うのか伺います。

〇野崎道路計画担当部長 工事着手に当たりまして、工事説明会を開催するとともに、沿道からの求めに応じて個別説明も行ってまいります。また、環境施設帯の整備に当たりましては、副道の有無や緑地帯の構造などについて、計画線内に構築した環境施設帯モデルも活用し、沿道の方々との話し合いを始めることとしております。
 引き続き、地元の理解と協力を得ながら、本路線の整備を進めてまいります。

〇中村委員 冒頭にも述べましたけれども、都市整備と環境保全は矛盾する部分はありつつも、その中でどう両立を図るかが重要です。何もないところに道路をつくるのではなく、家があれば、そこには人が住んでいるのですから丁寧な対応が必要ですし、緑地があれば、それに手を加えていくことになりますので、影響を最小限にしていく取り組みが必要です。
 多様な意見がある中で、議会では一定の判断をすることにはなるのですけれども、引き続き周辺住民や自然環境に配慮することを申し述べまして、質問の方は終わります。

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