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都議会質問記録

【5】2010/03/16 地球温暖化対策について質問

2010年3月16日、東京都議会 環境・建設委員会において環境局に対して議案である平成22年度予算案(環境局分)について質問を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。

〇中村(ひ)委員 それでは、平成二十二年度予算案について、新規事業である中小規模事業所省エネ促進・クレジット創出プロジェクトを中心に質問します。
 政府は温室効果ガスの二五%削減に向けて、先般、地球温暖化対策基本法案を閣議決定し、今後、国会での議論が始まりますので、世間的にも大きく関心があるところです。
 四月から始まる大企業向けのキャップ・アンド・トレードについては、先ほど山下ようこ議員から質問がありましたので、私は中小規模の事業所の対策について質問します。
 都内には、全国の一割強を占める六十九万の中小規模事業所があり、都における業務、産業部門の六割の二酸化炭素を排出しています。東京都の二酸化炭素排出量の削減を図るためには、削減義務のかかる大規模事業所だけではなく、中小規模事業所においても削減を図っていくことが重要と考えます。
 平成二十年七月の環境確保条例の改正によって、中小規模事業所を対象に地球温暖化対策報告書制度が創設されました。この制度では、規模によって義務提出と任意提出の会社があるかと思いますが、義務になる会社が何社くらいあるのか、お伺いします。

〇大野理事 報告書制度におきましては、同一事業者が都内に設置する中小規模事業所などのエネルギー使用量が年間で三千キロリットル以上の場合に報告書の提出が義務づけられております。こうした中小規模の事業所は、これまで、都のみならず国の制度の対象になってございませんでした。このため、義務対象が何社になるか、正確な推計は非常に困難でございます。都が各企業のホームページなどを見まして行った推計によれば、義務対象はおおむね、これは非常に大まかな推計でございますけども、二百社から三百社程度、事業所数にしますと、二万から三万程度になるのではないかと思っております。

〇中村(ひ)委員 まだ制度の実施前で、実態把握が困難という状況はありますが、今後は義務となる事業所の把握に努めて、対象の事業者にはきちんと取り組んでいただくことが必要になります。
 また、報告書の提出は四月から開始されるということを聞いています。義務対象者は当然のこととして、広く環境への意識を高めるためには、数でいえば圧倒的に多い義務対象外の事業者にも、任意での提出を進めていただけるような取り組みが重要です。このためには、制度について、十分な周知を図ることが必要と考えます。そこで、これまでの周知の状況についてお伺いします。

〇大野理事 本制度につきましては、昨年の春から説明会の開催などで周知を図ってまいりました。二月には、報告書に関するハンドブックでございますとか、エネルギーの使用量を算定するツールなどを作成した上で、報告書作成説明会を開催しまして、約千八百人の事業者の皆さんにご参加をいただいております。また、このほか、主税局や産業労働局などとともに、制度を説明するリーフレットの配布などを行っております。

〇中村(ひ)委員 報告書を提出すると、省エネ促進税制の対象となり、税の減免が行われるなどのメリットもあります。ただ、特に景気が厳しい昨今、赤字の会社では法人事業税や個人事業税を支払っていない会社もあり、余りメリットがあるということもいえないのかもしれません。そうした会社は、税の減免だけでは報告書を提出するインセンティブという点では少し弱いのかもしれないです。任意提出を促進させて制度の趣旨を生かすためには、報告書制度に取り組む事業者のメリットについて、よりよく周知を図ることや、また工夫が大切になっていくと思いますが、いかがでしょうか。

〇大野理事 多くの中小規模事業所におきましては、エネルギーの使用量などの実態が正確に把握されていないという状況がございます。報告書制度に取り組んでいただきまして、都の提供する算定ツールを使っていただきまして、エネルギー使用量を把握し、さらにハンドブックなどでお示しする対策メニューを実践することで、光熱費の削減を図ることができると考えております。
 また、提出されました報告書は、都のホームページでも公開をいたしますので、温暖化対策に取り組む企業としてのイメージアップを図ることも可能であると考えております。さらに、都の省エネ促進税制や、排出量取引制度への参加の前提になると、こういうメリットもございます。
 こうしたメリットを周知しまして、中小企業事業所の対策の推進に努めてまいりたいと思っております。

〇中村(ひ)委員 今後、より多くの事業者が積極的に取り組めるようなインセンティブについて、さらに工夫をしていただきたいと思います。
 環境に関する国際規格でもあるISO一四〇〇〇の取得は、特にヨーロッパで取得を取引の条件とする企業もあることから、取得がビジネスチャンスの広がりにつながって、大変な労力はかかるんですけれども、多くの会社が取得をしました。今回、報告書の作成にはISOほどの労力はかかりませんが、多くの事業所に取り組んでいただく以上は、この取り組む事業所にとってプラスとなるように、この制度そのものが知られていなければ、取り組んでいることをPRしても意味がなくなってしまいますから、この制度の設計者である東京都がより広くこの制度の周知を図ることが必要になりますので、さらなる取り組みをお願いして、次の質問に移ります。
 次は、新たに創設される中小規模事業所の省エネ促進・クレジット創出プロジェクトについて伺います。
 来年度の予算では、八十億三千七百万円が計上されています。スキームの図を見ると、東京都地球温暖化防止活動推進センターの名前があります。法令で各都道府県に一カ所設置されることになっておりまして、先ほどの野上副委員長の質問の中に対する答弁にもありましたが、東京都では財団法人東京都環境整備公社に設置されているとのことです。そこで、このセンターがどのような役割を行うのか、お伺いします。

〇大野理事 都からの出捐によりまして、センターに基金を造成し、委託事業として、対象事業所の募集や選定などを行っていくこととしております。本プロジェクトの前提となります省エネ診断もセンターで実施しておりますので、センターが実施しますことで効率的な執行が図れると考えております。

〇中村(ひ)委員 このセンターを中心としまして、このプロジェクトが二年間の事業ということで行われることになるかと思います。八十億円の基金をつくって、二年間で何件ぐらいの助成を見込んでいるのでしょうか。また、二年間ということですから、このプロジェクトを実施した後にどのような将来像を考えているのか、お伺いします。

〇大野理事 省エネ設備の導入は、本来は、先ほど申し上げました光熱費の節減というメリットがございます。また、総量削減義務における中小クレジットの創出も可能であるというメリットもございますが、これらの点は、必ずしも十分に知られておりません。今回、実施しますプロジェクトで、こうしたメリットを明らかにしまして、中小規模事業所で省エネ投資を行うことが、経済的にも大きなメリットがあるということを示すことによりまして、中小規模事業所におきます今後の自主的な省エネ対策を推進していくことができると考えおります。
 なお、件数も、まだ確定的に申し上げられませんけれども、年間二百五十件程度、二年間で五百件程度を想定しております。

〇中村(ひ)委員 この報告書制度のインセンティブとは別の枠として、こういった新しいインセンティブをつくったわけですけれども、八十億円を使って行うわけですから、ぜひその効果を最大限PRして、より広がりができるように工夫をしていただきたいと思います。
 また、政府の方でも、成長戦略としてこの環境という問題を挙げています。この制度は中小規模事業所が環境関連設備を導入する助成を行うことから、関連産業の振興にもつながると思います。産業労働局とも協力して、環境関係の産業育成にもこれを機に力を入れるべきであり、経済効果の試算を行うこともあってもよいかと思います。
 いずれにせよ、公共事業といっても土木工事だけが景気対策や雇用対策につながるわけではなく、環境のような新しい分野を切り開いていくきっかけをつくっていただきたいと思います。さらにいえば、こうした取り組みを広げることで、会社の事業主だけでなく、従業員まで多くの方の意識を高め、会社のことということだけではなく、家庭生活にまで環境の意識の高まりが広がるような取り組みであることを願っています。
 以上、意見を述べて質問を終わります。

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