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都議会質問記録

2020/02/13 都市整備委員会でマンション紛争の陳情、西武新宿線の高架化について質問

2月13日、都議会の都市整備委員会で、都民から提出された陳情について質疑を行い、千代田区のマンション建設に関して、総合設計制度の課題を踏まえ周辺環境に配慮した丁寧な対応を求めました。また、都市計画に関連して、西武新宿線の高架化についても質疑を行い、駅の改築にあわせてホームドア柵の設置を求めました。

1 陳情「千代田区三番26計画に関する陳情」について

 

○中村委員 それでは、私からも、千代田区三番町二十六計画に関する陳情について質問いたします。
 私も質問に当たりまして、この現地を訪れさせていただきました。市ケ谷の駅から九段下まで、当該場所を含めて周辺を歩いてみましたけれども、非常に良好な住環境であり、こういったことを維持していきたいという住民の方々の思いというのも受けとめさせていただきました。
 さて、本件について、身近なまちづくりというのは千代田区で行う権限だと思うんですが、本件の総合設計制度は都の権限のため、区議会でも一定の議論はしたようですが、都に対しても、都議会にも陳情が出されたということだと思います。
 そこで、改めて、千代田区と都の役割分担はどのようになっているのか、その上で、千代田区ではこれまでどのような議論をされてきたのか、まず冒頭伺いたいと思います。

○青柳市街地建築部長 地元区は、身近なまちづくりを進めるため、区の都市計画マスタープランや地区計画の策定などを担っております。
 一方、都は、広域的な都市づくりを進める立場から、都の都市計画マスタープランの策定、大規模な都市開発に関する都市計画や、延べ面積が一万平方メートルを超える大規模建築物の許可などに関する事務を担っております。
 なお、本件計画は、千代田区内の建築物の建設が予定されていることにかかわって、千代田区議会にも同様の陳情が出され、区議会において審査されたと聞いております。

○中村委員 地区のことについては千代田区で議論されているんですけれども、法令上、一万平米を境にして区なのか都なのかというところで分かれてくるようではあるんですけれども、当然、地域のまちづくりということでございますので、千代田区の区議会での決議があったという話も先ほどありましたが、これも大変大事なことだと思っています。一万平米以上ということで、都の方で許可をすることにはなるんでしょうけれども、ぜひこれは区の方のこれまでの流れの方も重んじていただきたいというふうに思っています。
 さて、今後になっていくわけですが、十二月に公聴会も行われたということですが、その内容も伺いたいと思います。また、現在、紛争予防条例に基づく三回のあっせんの場が設けられ、まだ当事者間の話し合いが続いているとのことです。都はどうかかわっているのか伺います。この話し合いと建築審査会のタイミングがどうなっているのかもあわせて伺います。

○青柳市街地建築部長 公聴会の内容についてでございますが、近隣住民から、建築物の高さを抑えるべきである、強風の被害が心配である、日影被害や反射光害を起こすのではないかなどの意見をいただいております。
 当事者間の話し合いにつきましては、当該建築物が延べ面積一万平方メートルを超えるものであることを踏まえまして、都が、紛争予防条例に基づきあっせんを開催し、建築主と住民の方々が和解に向けた話し合いを円滑にできるよう努めているところでございます。
 一方、総合設計の許可につきましては、建築基準法に基づき、今後、建築審査会に付議する予定でございます。

○中村委員 先ほどからも議論が出ておりますが、陳情の対象になっている案件については、都に総合設計制度の申請もなされたということです。陳情者からは、その趣旨を尊重するようにと主張されています。要件は整っているとして都は受理したとのことですが、許可する前に同意が必要な建築審査会ではまだ議論されていないので、詳細な審査はこれからだと思います。
 とはいえ、都は申請は受理しているわけなんですが、現時点で建築主が制度を尊重されていると考えているのか伺います。

○青柳市街地建築部長 許可申請につきましては、千代田区の都市計画マスタープラン、三番町地区地区計画と整合し、東京都総合設計許可要綱等の要件を満たしていることから、都はこれを受理したところでございます。

○中村委員 今後、建築審査会に付議されるとのことですが、これは法律に適合していれば認めるというものなのでしょうか。陳情者の主張されるように、総合設計制度は、周辺環境に十分配慮することとありますが、こうした定性的な項目はどのように判断されるのでしょうか、伺います。

○青柳市街地建築部長 許可申請の内容は現在審査中でございますが、法令等に適合し、建築審査会の同意が得られた場合には許可を行うことになります。
 総合設計における周辺環境に与える影響につきましては、中高層建築物の計画の際に建築基準法上、検証が必要となる日影に加えまして、風環境、交通混雑度などの項目について、事業者において通常大規模な開発の検討の際に行われている定量的な検証を行うことによって、それに基づき判断することにしております。

○中村委員 定量的な検証ということですけれども、日影とか、風環境とか、交通混雑度とか、それぞれについて、例えばこれを数値化して定量的な検証を行ったとしても、かなり大きな建築物ですし、総合して合わせたときにまち全体としてどうなのかということもあると思いますから、書類の方は形式的に受理されているんでしょうけれども、その中身一つ一つを見ていただいて、総合的な判断というのをぜひこれから慎重に行っていただきたいと思っています。
 そこで、総合設計制度についても先ほどお話がされているんですが、さまざまな問題点が指摘されています。公開空地などを設けることで、容積率がアップするというインセンティブが与えられるわけですが、そうするならば、高層な建物が建築される地域にとってはその分負担がふえるわけですから、公開空地等が地域に与える利益と均衡していなければ、建築主だけが得をすることになってしまいます。
 公開空地の内容を決める際には地域住民の声を反映させてもよいという説もあるようなのですが、この件について見解を伺います。

○青柳市街地建築部長 総合設計制度は建築基準法で定められた制度でございまして、公共的な空地空間の確保により市街地環境の整備、改善等を図るため、建築物の容積及び形態の制限の緩和を許可するものでございます。その際、周辺環境に十分配慮した計画とすることとなっております。
 なお、公開空地については、建築物の容積率緩和の度合いとの関係において、その面積、形状、緑化のしつらえ等が一律の基準により定まるものとなっております。

○中村委員 公開の空地ということで、周辺の皆様が利用できるようなところになるわけですから、一律の基準ということではあるんですけれども、周辺の方々がそういった空地があることでいいんだというふうに思っていただけるよう、手続等も含めて反映されるように工夫していくことが必要ではないかというふうに思っています。
 さて、都心の開発のために、建築に関する規制の大幅な緩和の中で、総合設計制度も緩和が進んできたわけですけれども、居住を誘導するということであったようなんですが、むしろ今、地方から東京へ、さらに東京の中でもよりセンター・コアへの集中が進んでいます。
 マンションの高層化に伴い、都心ではマンション紛争も頻発し、総合設計制度が適用される物件では、通常の案件よりも紛争の発生率も高いようです。都議会にも多くの請願や陳情が出されています。現行の総合設計制度に適合すれば許可せざるを得ないのでしょうが、これだけ紛争が起こるならば、大もとの制度そのものが適切かも再検討する必要があると思います。
 建築基準法には詳細な基準はないので、これは都としてどのような制度をつくるかにあります。防災力の強化のためなど、一定のインセンティブを与えて再開発を促進する要素はあるとは思いますが、周辺環境との調和も考える必要性があります。この点について見解を伺います。

○青柳市街地建築部長 総合設計制度は建築基準法で定められた制度でございまして、公共的な空地空間の確保により、市街地環境の整備、改善等を図るため、建築物の容積及び形態の制限の緩和を許可するものでございます。
 制度の大枠は国の許可準則により定められており、都においてはさらに、例えば防災備蓄倉庫の設置を義務づけているほか、緑化面積に応じた容積率の割り増しやカーボンマイナスの取り組みに応じた容積率の割り増しを導入するなど、その時々の政策課題に応じた総合設計制度の充実を図ってまいりました。
 また、先ほども答弁いたしましたとおり、総合設計制度においては、周辺環境に十分配慮した計画とすることとなっております。
 これまで、恵比寿ガーデンプレイスやタカシマヤタイムズスクエアなど、昨年度末現在で七百四十五件の許可を行っており、東京の市街地環境の向上に大きく貢献してきたと考えております。
 今後とも、総合設計制度の適切な運用に努めてまいります。

○中村委員 総合設計制度そのものは、高い建物を建てるためのものではなくて、インセンティブですから、周辺環境に十分配慮した計画とするということだということで、今もお話もありました。
 改めて、本件の話に戻りますけれども、陳情者の方は、この件に関しては慎重な検討を求めています。丁寧な対応を都はすべきだというふうに思いますけれども、今後の都の対応について伺います。

○青柳市街地建築部長 都は今後とも、建築主に対して、近隣関係住民の方々に十分な説明を行うよう指導するとともに、あっせんの機会を活用し、当事者双方が和解に向けた話し合いを円滑に行えるよう努めてまいります。

○中村委員 先ほど来の議員の質問からも続いておりましたし、今の答えでもありました。近隣の方々に対して十分な説明を行うよう指導していただいて、当事者双方が和解に向けて話し合いが円滑に行えるよう、都の方にも努めていただくことをご要望いたしまして、質問を終わります。


2 都市計画審議会の環境影響評価手続開始案件「西武鉄道新宿線連続立体交差事業について」

 

○中村委員 それでは、西武新宿線について質問いたします。
 今回の都市計画では、井荻駅から西武柳沢駅の連続立体交差事業と西武新宿駅から上石神井駅での複々線化に向けての線増線の廃止の二つが主な内容になっています。
 最初に、西武新宿線の連続立体交差事業について伺います。
 あかずの踏切で交通に大きな影響を与えていますが、その現状を伺います。

○山下都市基盤部長 連続立体交差化の区間であります西武新宿線の井荻駅から西武柳沢駅区間には、ピーク時の遮断時間が四十分以上である、あかずの踏切が十二カ所存在してございます。
 交差します都市計画道路といたしましては、外環ノ2や補助第二二九号線千川通りなどがございまして、広域的な道路交通への影響も大きいことが想定されます。そのため、踏切による交通渋滞の発生や、鉄道による地域分断などの問題が発生しておりまして、国などと協議、調整の上、連続立体交差化を進めることといたしました。

○中村委員 先ほども一部説明がありましたが、改めて、今後の事業の具体的なスケジュールと総事業費について伺います。
 また、工事が完了した際に踏切が解消されれば、交通状況が改善され、大きな社会的な効果もあると考えますが、見通しを伺います。

○山下都市基盤部長 今後のスケジュールといたしましては、令和二年度に都市計画決定、三年度から四年度の事業認可取得を予定してございます。
 事業認可取得後、約十五年の事業期間を予定しておりまして、総事業費は約一千七百十億円でございます。
 本事業の実施によりまして、十九カ所の踏切を除却するとともに、今後整備されます外環ノ2や、補助第二二九号線千川通りなどと立体交差することによりまして、踏切での交通渋滞の解消、道路と鉄道それぞれの安全性向上が図られます。
 さらに、鉄道により分断されていました地域が一体化されまして、都市計画道路などの整備とあわせて推進することによりまして、安全で快適なまちづくりが実現されることになります。

○中村委員 複々線化の廃止に関連して、混雑状況の緩和についても伺います。
 現在の西武新宿線の混雑状況はどうなっているのでしょうか。高架化そのものは輸送力には変化がありません。むしろ、廃止する地下の線増線を整備して複々線化すれば増便され、輸送力が増強されます。
 今回、線増線をやめるとのことですが、大きな予算がかかる事業なので、その実施については必要性が重要になりますが、今回の廃止は、人口減少社会に向けて輸送力をふやさなくてもよいという判断なのでしょうか。
 西武新宿線の混雑の緩和に向けての取り組みについて、状況の現状と今後の見通し、今後どのような対応をしていくのかを伺います。

○山下都市基盤部長 西武鉄道新宿線の西武新宿駅から上石神井駅間の複々線化計画は、都市交通の利便性の向上及び円滑化を図ることを目的としまして、輸送力増強のための線増線を追加変更し、平成五年四月に都市計画決定いたしました。
 その後、本路線における運行形態の改善が図られるとともに、車両の長編成化などの取り組み、輸送人員の減少によりまして、計画当時一九〇%を上回っていました混雑率が約一六〇%程度まで減少しております。
 さらに、今回都市計画を変更する区間では、引き続き連続立体交差事業の推進や鉄道施設の改良などを講じることとなっております。
 これらによりまして、計画当初の目的でございます都市交通の利便性向上及び円滑化が一定程度図られることから、都市計画を廃止することといたしました。
 引き続き、西武鉄道と連携を密にしながら、混雑緩和に向けました取り組みを着実に進めてまいります。

○中村委員 西武新宿線については、あかずの踏切について、地域からもその解消に向けて強い声がありましたが、他の路線と比べると決して早い対応ではなかったかと思います。高架化がおくれたため、幹線道路の環状八号線が大渋滞していたため、先行して地下化をしました。また、伏見通りも旧道が渋滞し、都市計画道路を整備する際にも地下化されました。
 鉄道や駅は、車中心の地方と違い、都市部においてはまちづくりの中心です。今回の連続立体交差事業を行うに際して、目的は踏切の解消ですが、それとともに駅も建てかえられます。計画が決まるまではいろいろなご意見があったとは思いますが、事業を行うのであれば、よりにぎわいを創出してこそ、大きな税金を使う意味もあります。
 今回の連続立体交差事業により、今後の西武線沿線のまちづくりをどのように考えているのか伺います。

○山下都市基盤部長 鉄道の立体化につきましては、地域におけるまちづくりと大きく連動することから、地元区市が主体となり、地域の将来像や鉄道立体化を契機としたまちづくりの方針などを検討することが必要でございます。
 今回の連続立体交差化の区間であります西武新宿線の井荻駅から西武柳沢駅間では、鉄道の立体化とあわせて、上井草駅や武蔵関駅などで地元区市による駅前広場の整備を予定してございます。
 引き続き、連続立体交差事業を契機とした計画的な駅空間の整備を促進し、交通結節機能を強化するなど、地元区市と連携しながら、沿線まちづくりを進めてまいります。

○中村委員 西武新宿線の高架化について、駅舎やホームの方も建てかえるわけでしょうけれども、少し関連して、同時にホームドアも設置できないのかと思います。
 かねてから、駅のホームドア柵の設置を求めていました。目の不自由な方が転落して亡くなる事故がことしも早々に報じられました。健常者の方も転落する事故が起きています。都営地下鉄で設置した駅では、当然のことながら転落の事故はゼロになっています。
 ホームドアをつけても混雑は緩和しませんが、少なくとも転落事故でダイヤが乱れれば、そのたびに混乱は増してしまいます。私は、今すぐにでも全ての駅のホームに設置をすることを求めるものですが、それが無理なら、せめてこうした駅をつくりかえる際には、一緒に設置をすべきと考えます。
 私はよく、地元が三鷹なので中央線を使うのですが、数年前に連続立体交差事業が完成し、新しい駅へと生まれ変わりましたが、ホームに立って猛スピードで電車が通過しているのを見ると、なぜ駅を新しくしたのにホームドアができなかったのかと悔やまれます。特に、中央線は頻繁に事故が起こり、ダイヤも大きく乱れます。西武新宿線でもこれから駅が新しくなるわけですから、ぜひホームドアを設置していただきたいですし、現在事業中の区間の駅でも、先行して設置をしていただきたいと思います。
 西武新宿線について、今すぐにでもホームドアの設置を望みますが、それが無理なら、高架化に際して同時にホームドアも設置すべきと考えますが、見解を伺います。

○山下都市基盤部長 ホームドアの整備につきましては、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。都は、事業者に対しまして、ホームドア整備を進めるよう積極的に働きかけております。
 西武新宿線の井荻駅から西武柳沢駅間につきまして、連続立体交差化とあわせたホームドアの設置は未定でございますが、設置の可能な構造でホームを設計しているものと西武鉄道から聞いております。
 引き続き、都といたしましては、国や地元区市と連携して、鉄道事業者のホームドア整備促進に向け、取り組んでまいります。

○中村委員 これで最後にいたしますが、西武新宿線だけではなくて、他の連続立体交差事業でも、駅がつくられるときは同時に設置していただきたいと思っています。
 私は、駅を新設や大幅改修をする際には必ずホームドア柵を設置するよう、例えば条例制定することなども必要だと思います。
 バリアフリーでエレベーターやエスカレーターは義務化されていますが、目の不自由な方にとってはこれも必要な設備であって、その観点からの設置の義務化もしてもいいのではないかと思います。
 鉄道事業者には、乗客の安全をもっと真剣に考えていただきたいと思います。都としても、法整備化を進めると同時に、知事を先頭に鉄道会社にもっと強く要請することが必要と考えますが、最後に見解を伺います。

○山下都市基盤部長 利用者の安全を確保するため、ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。都は、これまで鉄道事業者に対する補助を行い、これにより利用者十万人以上の駅のうち半数を超える駅でホームドアが設置され、整備が進みつつございます。
 さらなるホームドアの整備に向けて、昨年九月、ホームの形状などの駅の特性や、駅周辺における盲学校などの立地状況を考慮した鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方を取りまとめ、これに基づき、来年度から利用者十万人未満の駅にも補助を拡大する予定でございます。
 こうした取り組みによりまして、今後、ホームドアの整備を積極的に推進してまいります。

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