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都議会質問記録

2020/03/02 都市整備委員会で緑地の確保を質問しました

3月2日、都議会の都市整備委員会で知事から提出された補正予算と「緑あふれる東京基金条例」について質疑を行いました。セーフティーネット住宅事業の執行率が1割と低く家賃補助制度の創設が必要と主張しました。また、マンションの耐震化の促進を求めました。さらに、都内の緑地の確保のための基金の設立に際しては計画的な取り組みを求めました。質疑後採決を行い全会一致で可決しました(答弁は後日掲載します)。

1 住宅政策本部の補正予算について

○中村委員 それでは、私からも、住宅政策本部の今年度の補正予算案について伺います。
 まず、安心居住推進事業について伺います。
 今回の補正予算案では、安心居住推進事業で約八億円の減額補正になっています。この事業にはセーフティーネット住宅の関連経費も計上されていると聞いていますが、その当初予算額と減額補正した金額について伺います。また、あわせて補助実績について伺います。
 
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 お話の安心居住推進事業のうち、セーフティーネット住宅に関連する事業は改修費に対する補助などが主な内容となってございます。セーフティーネット住宅関連の事業の当初予算額は約二億七千五百万円でございますが、執行が当初の見込みを下回った結果、今回の補正予算案におきまして、約二億四千七百万円を減額してございます。
 また、補助実績につきましては、改修費が八戸、家賃低廉化が二十五戸、家賃債務保証料低廉化が七戸となる見込みでございます。
 
○中村委員 予算額に比べるとほとんど未執行で、執行率が約一割と極めて低いのは大変残念です。補助実績としても大変寂しい限りです。制度そのものに進まない理由があるなら、それを市区町村から聞き取り、国に伝えていくことも重要だと考えます。
 改めて実績減となった理由と、それに対する認識を伺います。
 
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 さきにお話し申し上げました改修費などの補助は、区市町村が貸し主等に対して行う補助の一部を都が助成するものでございます。そのため、これらの補助を活用するためには、対象となるセーフティーネット住宅が所在する区市町村におきまして予算措置を行っていることが必要でございますが、令和元年度に予算措置したのは四区二市となっております。
 補助制度を導入していない区市町村からは、対象となる住宅の登録戸数が少ないことなどから、予算措置の必要性が低いと聞いております。
 都といたしましては、引き続き一層の登録促進を図るとともに、区市町村に対しまして補助制度の導入を働きかけていくことが必要と認識してございます。
 
○中村委員 もちろん、制度の大枠は国で、実施主体は区市町村であり、さらには不動産業者が参加してこなければ制度は進まないとはいえ、より一層、都としてどう促進できるかを検討していただきたいと思います。
 都の住宅政策の基本は二十六万戸の都営住宅になっていますが、地域によっては百倍を超える倍率になることもあり、入れない人も多くいます。さきの決算委員会でも知事に家賃補助制度の創設を求めましたが、対象世帯の範囲や民間家賃への影響、財政負担の問題、生活保護制度との関係などの理由を述べて、課題があると認識していると答弁するのみでした。
 とはいえ、実績が伸び悩むセーフティーネット住宅だけで住宅に困っている人の問題解決になるのでしょうか。私は、せめて都営住宅にポイント制で申し込むことができる方々には、入居できなかった場合には、家賃補助などの代替措置について検討すべきではないかということを申し上げます。
 次に、マンション耐震改修促進事業について伺います。
 補正予算案において、マンション耐震改修促進事業について当初見込みから実績が上回ったものもあるとは聞いていますが、全体として約一億四千万円もの減額補正になっています。
 この事業における今年度の実績見込み、実績減に至った理由について伺います。
 
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 今年度の実績見込みにつきましては、耐震アドバイザー派遣が八十七件、耐震診断が三千八百四十五戸、耐震改修及び設計が三千四百一戸、また、耐震化サポーター派遣が百二十三件となっております。
 実績減となった理由は、耐震化を検討するに当たり、区分所有者間の合意形成に時間を要するなどにより、今年度内の事業実施に至らないものが多かったためと認識してございます。
 なお、耐震改修及び設計につきましては、当初に見込んだ三千戸より実績が上回っており、これは団地型のマンションや規模の大きなマンションにおいて利用があったためでございます。
 
○中村委員 予算は執行残になりましたが、目標としていた以上の戸数が耐震改修及び設計が進んだことについては、その取り組みは評価したいと思います。しかし、マンションの場合、一棟単位になるので、成果として戸数で示すと、大規模マンションがうまくいったかどうかで年度の成果は大きく変動してしまいます。ご答弁があったように、区分所有者間で合意形成が困難なことは、先々本当に深刻になると思います。だからこそ、成果として何棟合意形成が図れたのかとか、建物単位での合意形成も指標とすることが実際の取り組みを反映すると思いますので、ぜひご検討願います。
 また、さきの決算委員会でも質問しましたが、今後、マンションの老朽化、そしてそこに住む方々が高齢化もしていくため、都としてもその耐震化、その先にある建てかえについて、大変大きな課題の一つになると思います。
 都は緊急輸送道路の沿道建築物について耐震診断を義務化し、耐震化を努力義務化し、大幅に補助したにもかかわらず、当初の予定に比べて大幅におくれています。これでは通常のマンションの耐震化はもっと難しく、より一層の取り組みをしなければ、幾ら個人の所有物とはいえ、倒壊や老朽化で戸建ての空き家に比べて周辺の住民や通行する方への危険ははかり知れないものになります。
 四月から条例も施行されますので、期待したいとは思いますが、長期的な視点でさらなる対応について早目早目に対応していくことを求めて、質問を終わります。

2 都市整備局の補正予算と緑あふれる東京基金条例

 

○中村委員 それでは、緑あふれる東京基金について、条例、補正予算に関して質問します。
 今回、新たに条例を制定し、基金を創設し、補正予算で三百億円を基金に積むことが提案されました。一九九二年に生産緑地地区に指定された多くの生産緑地が三十年を経過したことで買い取り申し出が可能になり、生産緑地の二〇二二年問題ともいわれています。
 もちろん、都市農業の振興がまずは重要であり、営農を続けていけるようにしていくことが大切です。その上で、都市部の緑地の多くが農地であることから、相続で農地を手放さざるを得なくなった場合、農地として維持できなくても、少なくとも緑地として残していくことが重要です。
 生産緑地制度は、買い取りの申し出があれば、自治体は原則買い取らなければならないことになっています。しかし、相続が発生した際などにも都内は地価が高いことから、実際には買い支えることができず、結局は売却され、膨大な緑地が減少し続けるという厳しい状況にあるのが現状です。改めて都の取り組みを確認したいと思います。
 そこで最初に、生産緑地公園補助制度の平成三十年度の実績を伺います。

○桜井次長 生産緑地公園補助制度は、都市計画公園区域内の営農が困難になった生産緑地を買い取る区市に対し、都が助成を行うものでございます。
 生産緑地公園補助制度の平成三十年度の実績でございますが、二区に対して補助を実施しておりまして、補助対象面積は約五千六百平方メートル、補助金額は約四・七億円でございます。

○中村委員 補助を受けた自治体はわずか二区のみということで、買い取ることができた面積は、多くの緑地が失われたことを考えると、わずかといわざるを得ません。だからこそ、新たに基金を設けることになるのですが、効果をどう発揮するかが重要です。
 そこでまず、緑地にもいろいろ種類があるとは思いますが、開発による緑地の創出や屋上、壁面緑化のことであれば、それでは人工的な創出であり、限られた基金を活用するとなれば、相対的な優先度は低いと考えます。
 条例では基金は、生産緑地、樹林地等の保全に加え、新たな緑の創出などにも活用するとありますが、これはどのようなことなのか伺います。

○桜井次長 今後、緑の量的な底上げと質の向上に向けまして、この基金を適切かつ効果的に活用するとしてございますが、本基金が充当される事業につきましては、来年度以降の予算編成の中で個別に決定していくことになります。

○中村委員 もちろん緑を確保しないよりも、どのような緑地であっても確保した方がよいとは思いますので、屋上や壁面の緑化も進めていただきたいとは思いますが、今ある自然な緑地をいかに守っていくかは、より一層重要だと思っています。そのためには、むしろ開発の規制を強化する方が緑地の保全に効き目があるのではないかとも思いますが、直接的な買い取りという方法で緑地を確保することも重要ですので、ぜひこの基金の活用に際しては、自然な緑地の確保を優先に考えていただきたいと思います。
 さて、今年度の最終補正予算での三百億円はどのようにして積んだのでしょうか。今回は年度末の執行残を積んだということでしょうか。地価が高いので、基金の規模として三百億円では足りないということも考えられますが、積み立ての規模の目標はどう考えているのでしょうか。また、今後の使い方についても、毎年基金を取り崩して使うのでしょうか。また、今年度末のように、毎年度末に執行残を積み立てるのでしょうか。
 そこで、今回の三百億円をどのように積んだのか、今後どのように積み立てや取り崩しを行うのかの考え方について伺います。

○桜井次長 今回の補正予算では、平成三十年度決算剰余金や都税収入の伸びなどにより生まれた財源を活用し、今後対応が必要となる膨大な財政需要に備えるため、四千五百億円を六つの基金に積み立てることとしております。このうち、緑あふれる東京基金の財源として三百億円を積み立てることとしたものでございます。
 今後の積み立てや取り崩し額につきましては、今後の財政状況、基金残高、基金充当事業の状況などを勘案しながら検討してまいります。

○中村委員 今後検討するということで、まだ決まっていないということですが、都市における良好な住環境の確保だけではなく、災害対策などを考えても、少しでも緑地の減少を減らすことが重要ですし、基金の今後の積み立て、取り崩しの計画は大変重要だと思います。
 基金は自治体の貯金であり、年度末に執行残が出ると、とりあえず積み立てようとなりますが、できれば、そのような受け身な姿勢ではなく、緑地の確保とあわせて計画的な積み立て、取り崩しを求めます。
 さて、この基金は、どこを優先して取り組むのでしょうか。買い取り申し出があって、全て買い取れるだけの予算確保は困難でしょうから、買い取れない場合には、売却されて宅地化をし、緑地が損なわれてしまいます。
 市区町村の制度との連携は、基金ができることによって変わるのでしょうが、財源のある自治体に偏ってしまわないでしょうかなど、いろいろ懸念があります。
 そこで、基金の活用は令和三年からとのことですが、具体的にはどう使っていくのか伺います。

○桜井次長 都は、区市町村が進めている将来に引き継ぐべき緑の保全や、緑が不足する地域等における緑の創出を進める取り組みを強力に後押しすることとしております。これまでも特定生産緑地の指定促進や緑化率を定める地区計画の導入など、技術的支援や都市計画の観点から、区市町村と連携してさまざまな取り組みを進めてきております。
 先ほどもお答えいたしましたが、本基金が充当される事業につきましては、来年度以降の予算編成の中で個別に決定してまいります。

○中村委員 個別に決定していくという答弁でしたが、都としてどう重点的に取り組んでいくかは重要です。もちろん、どこが買い取り申し出があるかは事前にはわかりにくいですし、買い取った農地を各市区町村がどのように利活用するかは各自治体の判断になるとは思いますが、だからこそ、都としても多額の基金を組み、市区町村を補助するのですから、基金ができたから、毎年度の予算の執行ごとに市区町村の求めに応じるということだけではなくて、基金を創設する最初に大きな方針を検討する必要があると考えます。そのことを要望しまして、質問を終わります。

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