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都議会質問記録

2020/05/26 都市計画区域マスタープランについて質問しました

2020年5月26日、都議会都市整備委員会で「土砂災害特別警戒区域における要配慮者利用施設の建設に関する陳情」、「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」に質問しました。新型コロナウイルス感染症後のまちづくりについても議論しました。質問の主な内容は以下の通りです。
 
1 「土砂災害特別警戒区域における要配慮者利用施設の建設に関する陳情」への質問
 
○中村委員 それでは、私からも、土砂災害特別警戒区域における要配慮者利用施設の建設に関する陳情について質問をさせていただきます。
 近年、広島県での土砂災害や東京都でも大島での土砂災害が甚大な被害をもたらしました。土砂災害警戒区域については、法律で該当する箇所は指定しなければならないのですが、なかなか進んでいなかったのが実情です。しかし、危険な箇所は危険と認識することは重要です。
 指定は建設局の所管になるそうですが、平成三十一年以降に警戒区域は二千二百九十七カ所、特別警戒区域は三千五百五十二カ所が新たに指定され、それ以前からの指定と合わせると、警戒区域は一万五千四百七十八カ所、うち特別警戒区域は一万三千六百五十カ所とのことです。多摩地域や島しょが多いのですが、二十三区にもかなりあり、陳情された方の文京区は百六カ所と、二十三区においては港区、板橋区に次いで三番目に多いようです。
 さて、ここ数年で多くの箇所が指定されたため、指定される前から存在する要配慮者利用施設がある可能性もあります。また、そもそもこの法律制定前から存在する要配慮者利用施設もある可能性があります。この場合、安全上の基準を満たしていない事例があるのではないでしょうか。その場合、どう対応するのか伺います。
 
○三宮防災都市づくり担当部長 土砂法では、区市町村の地域防災計画において、警戒区域ごとに土砂災害に対する避難の体制などに関する事項や、要配慮者利用施設がある場合は、必要に応じてこれら施設の名称、所在地を記載し、施設への情報伝達体制を定めることとなっております。
 
○中村委員 区市町村の方でということではあるんですけれども、今の時点での許可は東京都になるわけですから、ぜひここは情報共有していただいて、対応することも検討していただければと思っています。
 さて、特定開発許可の場合に、基準を満たせば許可せざるを得ないということでご説明がありました。この陳情者の方については、都独自の防災、減災上の厳しい基準を設けることを検討することということを出されてはいるんですけれども、法律の方を見ると、法十三条では、知事が災害を防止するために必要な条件を付することができると書いてあります。
 都は、どのようにこれは対応しているのか伺います。
 
○三宮防災都市づくり担当部長 土砂法十三条の許可の条件は、対策工事等の施行に伴って災害が発生することがないよう条件を付すものでございます。
 都においては、工事施工時の安全確保や施工管理及び品質管理を適切に行うこと、周辺区域に対する環境への配慮などを許可の条件としております。
 
○中村委員 基準の部分ではなくて、工事の施行に伴うということだそうなんですけれども、大事な部分にはなりますので、しっかり工事の安全が確保されるようにしていただきたいというふうに思っています。
 さて、昨今こうした対応をとっていただいても、想定外の災害が起こるということもあります。起きてほしくはないんですが、万が一こういったことが起きるということを考えると、許可した建物であっても、要配慮者利用施設の運営者には避難場所を確保させる必要もあると思うんですが、この点、見解を伺います。

○三宮防災都市づくり担当部長 土砂法では、区市町村の地域防災計画において、避難場所や避難経路に関する事項を区域ごとに定めることとなっております。
 また、地域防災計画に記載された要配慮者利用施設の所有者等は、避難の計画を作成し、訓練を行わなければならないとされております。

○中村委員 これから高齢化や人口減少社会ということで、より一層都市の集約が進んでいきます。
 そうすると、先ほども避難のことも説明はいただいたんですが、危険な場所にはできるだけ建築物、とりわけ要配慮者利用施設が建築されない方が望ましいという考え方もありますが、見解を伺います。

○三宮防災都市づくり担当部長 土砂災害特別警戒区域内における社会福祉施設などの要配慮者利用施設の立地を目的とした開発行為については、土砂法に基づく特定開発許可により、急傾斜地の崩壊等によるこれら建物への被害の抑制を図ることとしております。
 都としては、本制度の適切な運用により、土砂災害から都民の生命及び身体の保護を図ってまいります。

○中村委員 本当に安全が大切だということですので、そういった点でも陳情者の方々も陳情されたんだと思いますが、法的には許可せざるを得ないということでもご答弁の方はありました。
 許可に際しての、いろいろと安全を図るということでいろいろご説明もいただきましたので、ぜひともこれからもしっかりと安全にしていただけることをご要望しまして、質問を終わります。
 

2 「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」への質問
 
○中村委員 それでは、私からも、都市計画区域マスタープランについて質問します。
 今回改定される都の都市計画区域マスタープランは、都全体のまちづくりにとっても重要なプランであり、各市区町村のまちづくりに与える影響も大きいものがあります。建蔽率や容積率の権限については、都から市に権限が移りましたが、自治は必要だと思いますけれども、競い合って各市が過剰に緩和するならば、乱開発によって各駅前が高層ビルばかりになってしまい、周辺環境への影響が出たり、都全体で見ればバランスの悪い都市になってしまいます。
 都は、各市における建蔽率や容積率の設定を初めとするまちづくりに、どうかかわっていくのでしょうか。
 また、この都のマスタープランに即して、区市町村のマスタープランが策定されるということも書いてありますが、この各市区町村に意見を聞くのは当然ですが、影響が大きいだけに、各区域の意見だけではなくて、都の方針全体に対しても意見を聞くべきであると思いますが、どのように意見を聞き、反映させたのかを伺います。

○小野都市づくり政策部長 都市計画区域マスタープランは、都が広域的観点から定める都市計画の基本的な方針でございまして、区市町村の都市計画マスタープランや土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業などの具体の都市計画は、本マスタープランに即して定めることとなります。
 このため、本マスタープランの取りまとめに当たっては、区市町村に対します説明会の開催や数回にわたる意見聴取などにより、十分な協議、調整を重ねてきたところでございます。また今後、都市計画審議会の付議に際しまして、改めて法に基づく区市町村への意見照会を行うこととなっております。
 なお、各市におけます建蔽率、容積率につきましては、都市づくりのグランドデザインを踏まえまして、東京都都市計画審議会から答申されました東京における土地利用に関する基本方針に基づき、東京都全域を対象としました用途地域等に関する指定方針及び指定基準を昨年十月に策定し、統一的な運用を図っていくこととしております。

○中村委員 ぜひ策定に当たっては、各区市町村ともよく意見交換等していただければと思います。
 さて、今のこの新型コロナウイルス感染症の影響というのは、まちづくりにどのような影響を与えるのでしょうか。直接的には、今、財源の問題もあり、都市開発がおくれるのではないかと懸念もしております。また、集約型の地域構造を目指すわけですけれども、このコロナウイルスによって、密集に対する警鐘を鳴らされたのではないかと思っています。
 今回の都市計画区域マスタープランでは、AIやIoTなどの最先端の情報通信技術の活用が盛り込まれております。テレワークなど、これまでできないことが可能になる中、郊外に広い家に住むことも可能になるなど、まちづくりを考え直す機会にもすべきかと思います。
 このコロナウイルスが与えた社会への大きな衝撃は、まちづくりへの考え方も変えなければならない部分も出てくるかと思います。知事も、コロナによる社会の構造改革を行うといっておりますが、この新型コロナウイルス後のまちづくりはどう変わっていくのか、また変えるべきなのか、見解を伺いたいと思います。

○小野都市づくり政策部長 都市づくりのグランドデザインでは二〇四〇年代の都市像を描いており、技術革新の進展も踏まえ、多様なライフタイルなどにも対応できる都市を目指しております。
 例えば、情報通信技術などを活用しながら、鉄道交通の混雑緩和、価値観の多様化への対応やライフワークバランスの実現に資する環境整備、屋外の開放空間を拡充することにも資する新たな緑の創出等の取り組みを推進していくこととしております。
 今般の感染症拡大に伴いますテレワークの普及などの行動様式の変容は、こうした都市づくりの方向性と軌を一にするものと認識しております。このような取り組みを進めながら、感染症拡大の防止と経済成長を両立することで、東京の持続的な発展を支える都市づくりを推進していくことが重要であると考えております。

○中村委員 また、これまでには類を見ない少子高齢化や、さらに人口減少社会があります。コロナの問題で密集への危機感はありますけれども、全体としてこの集約型の地域構造への再編ということになるかと思いますが、いわゆるこのことによって、郊外の公共施設の整備改修費の負担の削減であったりとか、高齢者の集住による医療、介護、移動などの問題解決につながるなど期待できるところもあります。今後、最も大きな問題であり、人口構成の変化は都市そのもののあり方を変えると考えます。
 今回の都市計画区域マスタープランにおいて、少子高齢化、人口減少社会への対応をどのように改善を図るのか伺います。
 
○小野都市づくり政策部長 今回の都市計画区域マスタープランでは、今後、少子高齢化や人口減少が進行する中におきましても、都市経営コストの効率化を図り、身近な地域で、誰もが活動しやすく快適に暮らすことができる環境を実現することが必要でございまして、そのため、集約型の地域構造への再編に向け、取り組みを推進していくこととしております。
 具体的には、おおむね環状第七号線の外側の地域におきまして、主要な駅周辺や身近な中心地に生活に必要な機能を集積させ、その徒歩圏に住宅市街地を誘導し、歩いて暮らすことができるまちへの再編、再構築を図っていくこと、また、駅や中心地から離れた地域では、緑豊かな良質な環境を形成することを目指すものでございます。
 
○中村委員 次に、住宅についても質問します。
 高齢化、国際化に的確に対応するためにも、量的拡大から質の向上へ住宅政策を転換するとあります。もともと日本、とりわけ東京は地価が高く密度も高いことから、狭小な住宅に多くの人が暮らしてきました。地価が高いがゆえに、生活費の多くを住宅費が占めると経済的な格差が直接的に住める住宅を限られたものにしてしまいます。
 新型コロナウイルスで、多くの人が家に閉じこもっていた中で、快適な住空間については、多くの人がこれまで以上に感じたんだと思います。今回、質の向上への転換ということですが、どのような方向に転換していくのか、見解を伺います。
 
○小野都市づくり政策部長 これまで、職住近接などを図るため、センター・コア・エリアにおける都心居住を推進してまいりました。今回の都市計画区域マスタープランでは、中枢広域拠点域において、人口の推移や住宅ストックの形成状況、都心の利便性を生かしたさまざまな居住ニーズを踏まえながら、高齢化や国際化等に的確に対応するため、これまでの量的拡大から質の向上へ、住宅政策を転換することとして位置づけております。
 このほかの地域区分では、高度成長期に建設された大規模団地などでは、更新に伴い、地域の課題に対応した子育て支援や高齢者福祉などの機能導入や、バリアフリー化などが進み、安全・安心な質の高いまちが実現することを目指していくとしております。
 さらに、価値観の多様化への対応やライフワークバランスの実現に資するよう、地域の拠点や生活の中心地を取り巻く住宅市街地では、空き家の活用や、高経年マンションの再生が進むなど、良好な居住環境の形成を目指していくこととしております。
 
○中村委員 先ほど、豊かな良質な環境形成を図るということも答弁ではありましたけれども、災害に備えるということもあるんですが、農地や緑地、崖地や斜面地の規制などを強化して、開発を抑えるということも大事ではないかと思います。先ほどの陳情でも、特に崖地、斜面地については、なるべく抑制した方がいいのではないかという話をさせていただきました。
 また、新型コロナウイルスの関係で自粛した人、外出自粛ということで、家にいることが多かったんですけど、やはりずっとそうでもないわけですから、公園に集まれば、またその公園が混んでしまうということになってしまいます。本来ならば、そういう都市にある公園というのは、整備が十分進んでいれば、そこでゆっくり過ごせるぐらいの面積が必要なんですけれども、そこが密になってしまったということです。
 今後、都市の集約化が進めば、これ以上今ある緑地を減らすということはないと思うんですが、見解を伺います。
 
○小野都市づくり政策部長 今回の都市計画区域マスタープランでは、都市の緑の重要性を東京の都市構造に位置づけ、丘陵地や河川、崖線、公園、緑地などと一体となった、厚みとつながりのある緑を充実していくとともに、都内全域で緑の量的な底上げと質の向上を図っていくこととしております。
 さらに、都市機能を誘導する区域における開発に合わせ、居住機能を誘導する区域内の空き地を有効活用し緑に転換するなど、緑の保全、創出を図っていくこととしております。
 
○中村委員 空き家の問題などもあるわけですから、一方では空き家があって、一方では緑地をなくしてしまうというのも矛盾がありますから、今ある緑地というのは本当に残していっていただいて、むしろ緑地をふやすぐらいの取り組みをしていただきたいと思います。
 また、災害の対策ということで、災害に強いまちづくりということがあるわけですけれども、とりわけ、近年の都市型集中豪雨の問題もありますので、東部低地帯のゼロメートル地帯についての問題もあります。
 二百五十万人もの方が避難するということがいわれていますが、十分、今、有効な対策がとられているというわけではありません。良好な住環境の整備ということで、日照権や景観の問題もあるので、個人的には余り高層住宅化がいいということではないとは思っているんですが、こういう低地帯に関しては、人がそこに住み続けるためには、高層住宅化を促進して、浸水する場合の垂直避難を可能にするというのは有効な解決方法の一つともいえるかと思います。
 こうした浸水に対応したまちづくりについての見解を伺います。
 
○小野都市づくり政策部長 今回の都市計画区域マスタープランでは、特に東京東部の海水面よりも低い地域の広大な市街地、いわゆる広域ゼロメートル市街地において、気候変動によって高まる大規模水害リスクに備えて、地域の実情に応じた効果的な対策を講じ、浸水に対応したまちづくりを進めていくことを主要な都市計画の決定の方針として位置づけております。
 具体的には、低地部において、かさ上げした公園や公共施設、住居の整備を行うなど、市街地整備の面からも浸水対策を促進することや、国などにおける検討等を踏まえ、都市開発諸制度などの活用による浸水対策についても検討することとしております。
 
○中村委員 都市づくりにおいては、本当に快適に暮らすことも大事なんですが、何よりも安全に暮らしていけるということが大事かと思っています。災害に関しては、想定外ということもよく言葉としては使われますけれども、そもそも想定されている災害そのものにも、じゃあ十分対応できているかというと、まだまだではないかと思っています。
 いつ来るかわからない災害に対して、まちづくりの中でしっかりと対応して、都民が安心して暮らせるまちづくりを目指していただくことをご要望いたしまして、質問を終わります。
 
 

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