2025/11/06 環境局に地球温暖化対策等について質問しました
2025年11月6日、所属する都議会環境・建設委員会に出席し、環境局の事務事業について質問しました。地球温暖化の影響か猛暑が続くこともあり環境問題は重要です。都は2050年にCO2排出実質ゼロを定めましたが、そこに至るまでの毎年の目標値を定めていないことを指摘、毎年の目標を定めて進捗管理を行い、最終目標が達成されるよう求めました。そのために太陽光パネルや洋上風車などの再生可能エネルギーの普及などを求めました。
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問1:都議会立憲民主党・ミライ会議・生活者ネットワーク・無所属の会の中村ひろしです。環境局の事務事業について質問します。
まず、最初に家庭等に対するLPガス価格高騰緊急対策事業の期間延長について伺います。都は、先の定例会の前の9月5日、物価高騰緊急対策事業について、令和7年9月末までとしている実施期間を、同年12月末まで延長すると発表しました。半年分で総額153億円、単純計算で3か月分なら70億円を超える規模の予算であり、本来であれば、補正予算を組んで議会に提案し、先の定例会で議論すべきでした。提案がされなかったので質問する機会を得られなかったため、まずは最初に質問とします。
環境局が所管する家庭等におけるLPガスの価格高騰緊急対策事業についても3か月延長されました。物価高騰を行う必要はあると思いますが、補正予算として議会で審議すべきだったと主張ました。都の資料によると、もともとの半年の予算が23億円、1世帯当たり最大3,000円の支援でしたが、今回は、半分の1,500円の支援と発表しました。そもそも延長する前提として6か月の成果はどうだったのでしょうか。また、延長する3か月分の予算はどこから捻出するのか、伺います。
答1への意見:既定の予算で支援期間を延長するとのことでした。しかし、議会の議決を経ていないので、局間の流用はできないので、環境局としては局の中でやりくりするしかありません。これはもちろん、知事や財務局の判断が問題なのですが、都の単独事業でもありので、これまでの成果を検証し、延長する必要があるのかを審査する必要がありました。あらためて、物価高騰対策について補正予算を組むべきであったことを指摘して、次の質問に移ります。
問2:次にユニバーサルデザインタクシー、いわゆるUDタクシーについて質問します。都はオリンピックに向けて業界とともにUDタクシーの導入を拡大していきました。都は、UDタクシーの中でも、環境性能の高いタクシー車両を対象に補助を行い、普及していますが、最初に導入した車が買い替え時期が来ます。高齢者や車いすの方にとっては乗り降りしやすいため、オリンピックが終わったからといって時計の針を逆に戻すことはできません。UDタクシーの普及、継続のためには、新規だけではなく買い替えについても支援する必要があると考えますが、見解を伺います。
答2への意見:UDタクシーの普及に取り組むと答弁で、UDタクシーの買い替えについてはお答えがなかったのは残念です。環境局の事業なので、メーカーが少しでも環境性能が向上した機種を開発していただければ、買い替えによる環境への効果があるのであれば支援を継続してもよいと思います。私はこの事業は福祉と環境の両方の側面があるので、まずは、これまで取り組んできた環境局にさらなる支援していただきたいのですが、一方では、福祉的側面もあるので、縦割りではなく都庁全体での議論を行うことが必要です。事業の押し付け合いによって移動に困難を伴う方々が置き去りにされないようにすることが必要です。環境と福祉の両面からの都庁全体での議論を通じて、引き続いての支援を行うことを求めます。
問3:次に、環境についての国際貢献・国際発信に関連して伺います。地球規模での環境問題への取り組みとして、都が積極的に国際的な取り組みに参加し、都の国際的なプレゼンスを向上することは重要だとは思います。環境問題は地球規模の問題であり、その問題解決は都民のためにもなります。
しかし、都の国際的な環境分野の取り組みについて、国際会議に出たり、他の都市と協定を結ぶなど、環境局の国際連携の成果が見えません。協定を結ぶだけではなく、締結してどう取り組み、都民に具体的に還元されたかが重要です。説明責任を果たすべきですが見解を伺います。
答3への意見:先日、小池都知事は、今年5回目の海外出張として、エジプトなど中東を訪問しました。東京都は世界の主要都市として、そのトップである知事が、国際会議に招かれたり、講演を依頼されることはあるでしょうし、必要があれば出席することは大切です。ただ、歴代知事に比べて回数が多く、地域的にも中東が多いという偏りもあるようです。税金を使っての出張ですから、大切なのは都民にどのように還元されるかという成果が問われます。環境局の取り組みはご答弁いただきましたが、引き続き、都民に対して説明責任を果たしていただきたいと思います。とりわけ知事には都民に対して説明することを強く求めます。
問4:次に気候変動対策について伺います。ここ数年の猛暑は、地球温暖化の影響と言わざるを得ません。以前、温暖化で何度か気温が上がると言われても、何度か上がるだけなら大したことはないと思いがちですが、とんでもなく大変な事態になっていることが、厳しい猛暑で否応なく考えさせられれます。都は、これまでも環境問題には取り組んできたとは思いますが、都民の皆様とともに着実な取り組みが必要になったと思います。
都は、バックキャストの手法として、「理想的な未来の状態を設定し、そこから逆算して現在の行動を計画する」手法で取り組んでいます。「ゼロエミッション東京」として、2050年にCO2排出実質ゼロを定めました。その目標達成は高いハードルですが、実現しなければならない目標でもあります。しかし、どうもその達成が危ぶまれて仕方がありません。さらに、新たな目標として2035年に2000年比で60%以上削減を示しました。
まずは、直近の達成状況をお答え願います。また、その達成状況は最終的な目標達成に向けて十分なものとして評価しているのかどうか伺います。
答4への意見:数値を聴いたのでお答えもいただいたわけですが、2023年度の目標の数値がないので、比べようがないため、評価のしようがありません。今後、技術が進み飛躍的に削減できるという可能性はなくはありませんが、それにしても、2000年から23年間で9.9%減とすると、あくまで単純計算ですが、あと27年間で90.1%減らさなければならないことになり、普通から考えると大変厳しい数値です。
しかし、そもそも、毎年の目標数値が示されていません。2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減するカーボンハーフを掲げていますが、毎年の数値目標は示されていないので、毎年結果が示されても2050年にゼロになるかは分かりません。バックキャストの手法とはいえ、毎年の目標を示してはいけないわけではありませんし、むしろ示していないので途中経過が分からず、実際に目標年次に近づいて達成で危ぶまれても、気付いた時には手遅れになってしまいます。
問5:最終年度までの目標を毎年示すべきです。年度ごとに達成できてるかが分かれば、不十分であれば、さらに強化できます。毎年の目標を設定し公表する必要がありますが見解を伺います。
答5への意見:先に設定した目標に向けての施策の設定をしても、毎年の目標がなければ順調なのかどうかも分かりません。達成に向けて取り組んでいるので仮定の話になるかもしれませんが、未来に目標を設定するので、その段階で達成できなくても今関わっている人の多くはその時には異動などして、いまいる人は誰もおらず、誰も責任を取らないことになります。私はこれは大変危機的な状況だと思います。
問6:施策の実効性を向上させるとの答弁がありました。Airソーラー導入量や断熱改修など多くの項目について2035年の目標がありますが、それぞれの項目での達成の見通しも必要です。例えば、新築住宅での太陽光パネルの設置のように法規制を定めるとか、また、法規制が適切ではない場合には補助金など予算を確保するなど、裏付けが必要となります。都が目標を立ててあとは民間任せというわけにはいかないなか、すべての項目に達成への施策を講ずる必要がありますが、見解を伺います。
答6への意見:2035年の温室効果ガス排出量を2000年比で60%以上削減するために、個別の政策目標も新たに掲げたとのことでした。具体的な施策は重要ですが、それぞれの施策も2035年の目標だけで、毎年の目標設定がされていません。一体どのように進捗を管理するのでしょうか。私は今からでもすべての施策に毎年の目標を設定し、その総体が温室効果ガス排出量60%以上削減でもあるので、2050年までの毎年の目標設定を定めることを求めます。
問7:さて、建築物からだされる温室効果ガスの削減のため、建築物環境計画書制度やキャップ&トレード制度などさまざまな制度があります。しかし、建物の脱炭素化をいかに制度化しようともCO2排出はゼロではありません。建物の総戸数が増えればCO2排出の総量は増加します。都全体のまちづくりを決める際に、環境局も積極的に参加すべきです。開発だけではなく環境面から見たまちづくりに取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
答7への意見:環境局の先進的な取り組みは進めていただきたいと思っています。しかし、それは都市整備局などが進めるまちづくりを前提として、建設されるものへの規制でしかありません。都全体での政策決定の中で、環境局が発言力を強め、まちづくりの方針を決める段階から積極的に関わってほしいと思います。都心部に超高層ビルが立ち並びますが、どのような街づくりを行うかを決める際に、環境の視点をいれていただくことを求めます。
問8:CO2削減について、部門別の目標についても定める必要があります。エネルギー起源CO2排出量について、産業・業務部門では2030年で約50%程度削減とし、2023年度の速報値では10.2%減でした。運輸部門は2030年約65%程度削減の目標に対して2023年度は52.6%減でした。そもそも毎年の目標値がないので何とも言えませんが、確かに減ってはいます。しかし、これが家庭部門になると、2030年で約45%程度削減の目標に対して、19.3%増加となっています。減るどころか増えているのでこれは目標達成が大いに危ぶまれます。この状況をどう考えていますか。家庭部門の取り組みへの遅れにどう対応するか伺います。
答8への意見:待ったなしとの答弁でした。率直な感想ではありますが、具体的にどうするのかのお答えはありませんでした。毎年の目標を定めるどころか、この時点でも達成が危ぶまれます。より一層の危機感を持って取り組むよう求めます。
問9:家庭部門の削減には、都民にも当事者として生活をどう考えるかが重要です。気候変動都民会議を開くべきと考えます。都内でも世田谷区や武蔵野市などの自治体では取り組まれています。私は、都でも取り組むとともに、まだ行っていない市区町村への取り組みも支援すべきですが見解を伺います。
答9への意見:都民の声を取り入れようと取り組みがされていることは分かります。しかし、これだけ危機的な状況になると、環境について意識の高い方だけではなく、日ごろあまり関心を持たない方にも無作為抽出の手法をとるなどして参加していただき、さまざまなご意見を得て、それを政策決定に反映させることが重要です。温暖化対策は自分たちの生活をどうするのかが問われているので、役所が勝手に決めて押し付けようとするだけではうまくいかないので、住民自らが考え行動できるような仕掛けが必要です。すでに取り組んでいる自治体はありますので、都でも積極的に取り組んでいただきたいと思います。、
問10:さて、都民に積極的に省エネに取り組んでいただくためにも、都の施策を積極的にPRすることは重要です。担当者の方は一生懸命やっていると思いますが、申し訳ないながら、「HTT」という言葉が認知されているとは言えません。この「HTT」の広報にかけている費用、取り組み、効果について伺います。
答10への意見:「HTT」を見たことがある方の9割が実践しているとのことでしたが、多くの見たことがない方がいると推測します。環境への理解をしてもらうには確かに広告宣伝は必要ですが、これだけの費用をかけるのであれば効果を出すことが必要です。ここで言いたいのは、都の広告宣伝がきちんと費用対効果を出せているのか、問われるところです。膨大な費用をかける以上は、成果が求められます。検証をしっかり行い、方向性が違っているのであれば立ち止まって見直すことも必要だと思います。
問11:HTTはなじみにくいのですが、ペロブスカイトあらため、Airソーラーはなじみやすいとは思います。ただ、名前がなじんでも、それが普及するには課題があるようです。都はAirソーラーについて、2030年に導入量を約1GWとしています。もちろん、毎年の目標値がないので達成ができるのかは分かりません。Airソーラーが普及するには、耐久性や発電性能の向上、発電コスト低減の必要があると考えます。Airソーラーの普及拡大に向けたとの取り組みについて伺います。
答11への意見:新しい技術が普及するには、技術そのものが画期的であることですが、普及のためには量産が可能になり、価格が下がる必要があります。都としても下水処理場での実証実験への協力なども行っていますが、日本発の新技術として、CO2削減の切り札となるよう、普及に向けた施策展開を要望します。
問12:さて、これまでの太陽光パネルに比べてAirソーラーは柔軟に設置できるとは思いますが、それにしても場所は必要です。これまでは環境のためとして、屋上緑化を進めてきましたが、太陽光パネルとのすみ分けはどう考えるか伺います。
答12への意見:ビルの屋上は室外機などもあり設置できる場所は限られていますが、屋上緑化も太陽光パネルもどちらも設置が促進されるよう求めます。
問13:都が掲げる2035年目標の一つに、洋上風力発電導入量として1Gw以上としています。もちろん、これにも毎年の目標値がないのですが、現時点では設置そのものがありません。浮体式洋上風力は期待したいのですが、都の取り組みを伺います。
答13への意見:東京都には島嶼部に広大な海域があるので洋上風力には期待できます。もちろん漁業関係者の方々の理解が必要なので、丁寧に進めていただきたいと思います。
問14:しかし、最近の報道では、他の地域で設置の準備を進めていた三菱商事が徹底を表明したことに大きな衝撃が走りました。この撤退の影響をどう見ているのか伺います。また、都はどう対応するのか伺います。
答14への意見:事業者の選定は国が行うとのことなので、今後選ばれる次の事業者には撤退がないよう、取り組みを求めます。
まとめ:さまざま質問しましたが、近年の地球温暖化は否応なく環境への関心を持たざるを得なくなりました。厳しい目標であっても達成していくには、毎年の数値目標を定め、進捗管理を行いながら、着実に実施することが必要です。そのことを申し上げ質問を終わります。
