【5】2011/03/03 来年度予算について、都議会民主党を代表して意見開陳を行いました
2011年3月3日、東京都議会 厚生委員会において、来年度予算の審議において、都議会民主党を代表して意見開陳を行いました。以下に内容を掲載します。
〇中村委員 私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成二十三年度予算案にかかわる議案について意見の開陳を行います。
一般会計の予算規模は、前年度比〇・四%減の六兆二千三百六十億円で、三年連続の減額となりましたが、一般歳出は前年度比一・〇%減の、四兆五千八百三十九億円にとどめています。経常経費を七百十六億円の減とする一方、投資的経費を、前年度比三・三%増の八千四百四億円、単独事業費も前年度比八・六%増の五千百四十八億円とし、ハード面を重視した予算となっています。予算案策定に当たり行った事業評価では、範囲を拡大し、百九十五件を見直して、約二百十億円の費用を確保するとともに、歳出を精査して約八百九十億円の事業費を削減しています。こうした取り組みで基金の取り崩しを最小限にとどめた財政運営については、基本的に評価するものです。個々の施策では、雇用情勢が厳しい若年層、離職者への就職サポートや、円高などの影響で経営が苦境にある中小企業への支援、遅々として進まない耐震化の推進など、都民が抱える不安に対する支援を強めるとともに、急速に増加が進む高齢者の対策、環境そして次の世代をはぐくむ教育、都市インフラの整備などの諸施策を戦略的に取り組むとしています。
しかしながら、医療従事者の確保や、救急搬送時間への対応、木造住宅密集地域の耐震化の推進など、都民福祉の向上を図るためには、より一層の取り組みが必要です。
なお、中央卸売市場会計には、豊洲新市場の整備にかかわる予算が二十一億円計上されています。既に私たち都議会民主党は、当該予算に対しては厳しい対応をせざるを得ないと述べてきたところですが、予算特別委員会の締めくくり総括質疑での議論も踏まえ、予算の修正も視野に入れて対応していきたいと考えています。
以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局にかかわる事項について申し上げます。
まず、福祉保健局について申し上げます。
一、都民の健康づくりについて普及啓発を一層進め、健康的な生活習慣を身につけるための取り組みや、特定健康診断の受診率向上などへのさらなる取り組みを行うこと。
一、脳卒中の疑いがあるとき、できるだけ早く治療につなげるためには、本人や周囲の人が気づくことが必要であり、具体的な症状など、わかりやすく示した普及啓発を行うこと。
一、救急医療の東京ルールの効果、参加病院の負担を検証し、救急搬送時間の短縮等にも資するよう、必要な施策を実施すること。
一、周産期母子医療センター運営費補助を拡充するとともに、配置バランスをとるため取り組むこと。また、M-FICUやNICU、GCU、施設整備費補助を拡充し、NICU一・五倍など、必要な病床整備に取り組むこと。NICUの新生児を担当する医師に手当を支給すること。
一、退院後の受け皿がなく、NICUに入院している子どものため、移行支援をモデル実施し、地域医療機関や福祉サービスとの連携を担うコーディネーター配置などを検討すること。
一、急性期からリハビリ、療養、介護サービスまで切れ目のない連携構築のため、地域連携クリティカルパスの活用促進、退院後に療養する場の調整を円滑に進める仕組みづくりに取り組むこと。
一、療養病床の機能強化研修に取り組むとともに、療養病床の整備を一層促進するため、さらに取り組むこと。
一、精神障害者の地域移行支援のため、協力病院と連携し、地域での支援体制構築に取り組むこと。
一、精神障害者への訪問型支援、アウトリーチを早期に全都で実施するため、取り組むこと。
一、精神疾患の早期発見、早期支援のため、一般診療科医師への研修を行うとともに、NPO法人、社会福祉法人などの民間団体を支援するとともに、連携して取り組むこと。
一、待機児童の早急な解消に向けて、潜在的ニーズへの対応も含め、経済状況、労働環境、年齢構成など、需要の動向をしっかりと考慮して整備を促進すること。
一、介護人材の確保については、就労に結びついた後の人材の質の向上と定着を視野に入れた施策の展開を図り、雇用のミスマッチに向けて取り組むこと。
一、チャレンジネット及びチャレンジ介護における貸付事業は、効果的な債権管理のあり方を検討すること。
一、地域支え合い体制づくりでは、都内各地域に小さな拠点が整備されるよう積極的に支援すること。
一、福祉人材センターの広報経費については、費用対効果をしっかりと見きわめて行うとともに、事業規模の拡大に伴い、必要な体制を整備すること。
一、虐待等社会的養護を必要とする子どもへの対応として、児童相談所を運営するとともに、一時保護所の定員増、児童福祉司、児童心理士を増員すること。
一、小さな子どもが生活する児童福祉施設の耐震化のため、保育所や乳児院、児童養護施設の耐震診断、耐震化工事、建てかえ等を、市区町村や事業者に対し積極的に働きかけること。
一、障害者児施設の重点的整備を進めるため、グループホーム、ケアホーム、短期入所事業、生活介護や日中活動の場、障害者支援施設、福祉的就労の場の経営改革などを補助すること。
一、発達障害者が身近な地域で支援を受けられるよう、区市町村における発達障害支援体制の整備、早期発見、支援のための取り組みに対する財政支援を推進すること。
一、国民健康保険事業の円滑な運営に努めるとともに、運営費補助を行うこと。国保組合についても引き続き補助を行うこと。
一、原爆被害者対策として、健康診断や各種手当の支給などを行うとともに、申請手続等サービスの利用支援を強化すること。健診の内容、検査方法の改善に取り組むこと。
一、中国残留邦人、その家族の生活実態調査を行い、雇用、住宅、教育など、総合的支援を行うこと。また、市区町村の地域生活支援事業の実施について積極的に支援すること。
次に、病院経営本部について申し上げます。
一、公立病院としての役割を果たしながらも、甘い経営を改め、行政的医療を安定的に提供できるよう、不断の経営改善に取り組むこと。
一、公社病院については、医薬品や、診療材料の購入価格を下げる工夫を引き続き行うとともに、ジェネリック医薬品についても取り組みを進め、一般会計からの補助金の削減につなげること。
一、都立松沢病院の再整備に当たっては、精神科救急、精神身体合併症、薬物、アルコール依存症などの精神科特殊医療への対応を充実強化し、医療機能向上に努めること。
一、都立松沢病院においては、精神疾患の長期入院患者、いわゆる社会的入院患者の退院促進のための取り組みを強化すること。
また、入院時から医療福祉相談など各部門と連携して新たな長期入院患者の発生を防止するよう努めること。
一、精神障害者が地域で暮らし続けられるよう、訪問介護や訪問診療など、地域生活支援、多職種によるアウトリーチサービスに取り組むこと。福祉保健局と連携し、包括的地域支援サービスの普及拡充に努めるとともに、地域ネットワーク構築に対し積極的に役割を果たすこと。
一、八王子小児病院、清瀬小児病院、梅ケ丘病院の再編整備により、地域の医療機能が低下しないよう、引き続き十分な対策を実施していくこと。
一、高度専門的医療提供体制確立、患者サービスの向上のため、専門看護師や認定看護師の養成を進めること。
以上で、都議会民主党を代表しての意見開陳を終わります。
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