【5】2009/11/26 都道放射5号線、京王線連続立体交差事業について質問
2009年11月26日、東京都議会 環境・建設委員会において、都民から出された請願について、建設局に質問を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。
(1)請願:京王線連続立体交差事業について
〇中村(ひ)委員 それでは質問をさせていただきます。
まず、京王線の連続立体交差事業そのものについては、まちを分断している踏切をなくして交通渋滞を解消するという点で、早期実現をしていただきたいという立場から質問します。
その中で、東京都が案として示す併用式と、請願として地下式、高架式の三つの方法が議論されています。私も何度か説明会が開かれたうちの一回に参加しました。中学校の体育館がいっぱいになるほど多くの方が参加されて、さまざまなご意見の違いはあるとは思いますが、連続立体交差への関心の高さがうかがわれます。
そこでまず、都市計画素案説明会では、参加された住民の皆様からどのような意見が出されたのかを伺います。
〇藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 都市計画素案説明会は、今月十一日から二十日までの八日間行い、延べ約三千人が参加し、八十七名から質問などがございました。
その主な内容ですけれども、構造形式に関する要望、複々線の運行計画、環境への配慮、事業スケジュール、地元区が進めるまちづくりなどに関する質問や意見でございました。
〇中村(ひ)委員 沿線に住んでいる方は特に関心が高いかと思いますが、特に京王線は、近くに並行して中央高速道路があって、地域の方にとっては、長年鉄道と道路の騒音や振動で二重に苦しんでいる方もいました。だからこそ、連続立体交差事業に対する期待も大きく、また不安も入りまじっているのが現状です。
そこで、連続立体交差事業について、鉄道の騒音と振動についてはどのように対応するのか伺います。
〇藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 本区間の連続立体交差化に当たりましては、今後、環境影響評価手続の中で、事業の実施による影響について、事前に調査、予測及び評価を行い、必要な対策を講じてまいります。
なお、高架式で整備された小田急小田原線世田谷代田駅から喜多見駅間では、遮音壁の設置、ロングレールの採用、レールの重量化などの騒音振動対策を講じたことによりまして、事業実施前と同程度もしくは下回る結果となってございます。
〇中村(ひ)委員 また、完成後に至るまでの工事を行う期間中には大きな騒音も伴い、その対応もしっかりとしていかなければなりません。また、場合によっては交通規制も発生をします。周辺にお住まいの方々にとっては、こうした問題についての不安があると思いますが、どのように対処するのかお伺いします。
〇藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 工事中の騒音につきましては、低騒音、低振動の工法、機械を採用するとともに、敷地境界付近に仮囲いを設置することなどにより低減に努めてまいります。
また、交通規制につきましては、地域住民の生活に配慮しながら、事前に交通管理者との調整を行った上で、適切な施行計画を検討してまいります。
こうした工事の実施に当たっては、事前に工事説明会を開催するなど、地域住民の方に十分説明いたしまして、理解と協力を得ながら事業を進めてまいります。
〇中村(ひ)委員 連続立体交差事業は、長期的なまちづくりに重要な要素となるだけではなくて、また地域の住民の生活にも大きな影響を与える事業です。早期に事業を推進していただきたいのですが、同時に、近隣住民の意見もしっかりと聞いていただき、今後も丁寧な説明を行っていただきたいと思います。そこで、情報提供を求める住民の皆様の声に、どのようにこたえていくのかを伺います。
〇藤井道路建設部長情報基盤整備担当部長兼務 先ほどもご説明いたしましたが、今回都市計画素案説明会を八日間にわたり開催し、その中で計画の内容について説明するとともに、住民の皆様方の意見を伺いました。
今後も、都市計画及び環境影響評価の手続などを進める中で、節目節目で説明会を開催し、適切に情報提供を行うとともに、住民の皆さんの意見を伺ってまいります。
また、電話や窓口での問い合わせに対して丁寧な対応を進めてまいります。引き続き、住民の理解と協力を得ながら事業を推進してまいります。
〇中村(ひ)委員 連続立体交差事業、大変大きなプロジェクトでありますから、住民の皆様のさまざまな意見などに対して、まだまだ慎重な対応も必要であることから、継続して調査をしていくことを主張しまして、質問を終わります。
(2)請願:玉川上水と放射第5号線について
〇中村(ひ)委員 それでは質問をいたします。
請願の審査のために実際に現地を見てきました。玉川上水のすばらしい自然も見ましたし、外からではありますが、岩通ガーデンも拝見をしてきました。
一方では、整備中のモデル工事の部分であったりとか、既に買収が済んだ用地や、また放射五号線につながる三鷹三・三・二号線、いわゆる東八道路の整備状況や、また中央高速につながる区境通りの交通状況も見てきました。
玉川上水は貴重な史跡であり、また自然環境保護が叫ばれる中で大変貴重な緑地帯でもあり、多くの方からその保存を求めるご意見をいただいています。一方、交通ネットワークの整備という観点から道路の整備が必要だという意見もあります。
この委員会は、環境と建設の両方を扱う委員会であることは、まさに時代の要請から、両者は相互に関連性の深い事項であるからだと思います。
そこで、最初の質問として、放射五号線の整備について、東京都が必要だと考える理由について、まずはお伺いしたいと思います。
〇谷村参事 放射第五号線は、千代田区半蔵門を起点とし、三鷹市内の東八道路に接続する延長約十五・一キロメートルの骨格幹線道路であり、現在事業中の一・三キロメートルの区間が唯一の未整備区間となっております。
本区間は、平成十六年に都と地元杉並区を含む特別区で策定した、区部における都市計画道路の整備方針において、活力、安全、環境、暮らしの道路整備の四つの基本目標を踏まえ、必要性を確認しております。本区間の整備によりまして、甲州街道や区境通りなどの渋滞緩和や、生活道路への通過交通の減少による歩行者の安全性の向上など、居住環境の改善、消防車や救急車など緊急車両の円滑な通行と、災害時の避難路の確保を図ることができます。
〇中村(ひ)委員 今、東京都の方からは放射五号線の必要性を述べていただいたんですが、それでは一方で、この玉川上水の保存についてはどのように考えているのかについても伺いたいと思います。
〇谷村参事 本区間は、計画線の中央に玉川上水があることから、玉川上水の保全など、地域の環境に配慮するため、全国初の総合環境アセスメント制度の試行手続を経まして、平成十六年五月に、地表式で幅員を五十メートルから六十メートルに拡幅する都市計画変更を行っております。
幅員六十メートルのうち、玉川上水の史跡に指定された約十メートルの区域については基本的に保全いたしまして、その両側に遊歩道と新たな緑地を設け、合わせて二十五メートルの緑地帯とするとともに、その外側に七・五メートルずつの車道、さらに外側に十メートルずつの環境施設帯を設置して緑を豊かにすることで、沿道環境に配慮する計画としております。このように、総幅員六十メートルのうち約四分の三を緑地及び歩行者のための空間としております。
〇中村(ひ)委員 道路の整備については、住んでいる場所であったりとか、また環境に対する考え方の違いなどもあり、どうしても関係者が、皆さんが一致するということはなかなか難しいという事情はあるとは思います。だからこそ、本件も、現在に至るまで、多くの方が、それぞれの事情の中で判断しながら議論を積み重ねてきたことだと思いますし、その経過についても尊重はされなければいけないとも思います。
今回、関係者と行政が入った協議会がつくられ、長い議論の末に一部トンネル案が提言されたとありますが、地域住民の理解はどうなっているのか伺います。また、この一部トンネル案の採用の可否を含めて、道路構造はいつ決まるのか伺います。
〇谷村参事 放射第五号線の事業推進のための検討協議会は、玉川上水及び沿道の環境に配慮した道づくりを検討するため、地域住民初め、都、杉並区、学識経験者で構成されております。協議会からは、一部トンネル案を基本的な道路構造としつつ、この案の採用に当たっては、構造物を構築することによる玉川上水への影響、土地の有効利用に及ぼす影響、トンネル坑口部における排気ガスの影響などの留意事項に配慮して事業を実施することが提言されております。
協議会の提言内容は、地域住民約一万七千世帯に、「放5・協議会だより」を配布するなどしてお知らせしているところでございます。
道路構造につきましては、協議会の留意事項などに対する検討を行うとともに、沿道地権者の意見を踏まえて決定してまいります。
〇中村(ひ)委員 環境への配慮というのは大変重要です。今後、環境施設帯等のモデル工事を実施しているということもありますが、このモデルというのは、いつ完成して、どのように沿道地権者の意見を聞いていくのか伺います。
〇谷村参事 現在実施中の道路の緑地のモデル整備は、玉川上水の両わきに整備される緑地のイメージや緑のボリュームを体験してもらうとともに、歩行空間や緑地副道などの環境施設帯の構造を理解してもらうために行っているものでございます。
検討協議会の報告におきましても、平面構造となっている兵庫橋の西側でモデル整備を実施しておりまして、今年度末に完成する予定でございます。完成したモデルを現地でごらんいただきまして、街区ごとに環境施設帯のつくり方につきまして沿道地権者の意見を聞いてまいる予定でございます。
〇中村(ひ)委員 今回の請願については、今の放射五号線の事業区間だけではなく、願意の2として暫定交通開放区間の問題についても記述があります。
先ほども述べましたが、一般的に道路については住んでいる場所によって考え方が違うこともあるようです。暫定交通開放区間の方からは、今回のこの審査には間に合いませんでしたが、陳情を議会に出すというような話も聞いています。現状、この暫定交通開放区間の問題がどうなっているのかについてお伺いします。
〇谷村参事 複数の住民団体と協定を結び、暫定的に二車線で供用しております浅間橋から環状第八号線までの本区間につきましては、久我山区間の整備に合わせた四車線化を計画しております。願意2にある本区間の地下トンネル化による整備は、中央自動車道の橋脚や水道管などが支障となるため困難でございます。
現在、本区間の住民団体と、今後の整備に関して意見交換を行っているところでございますが、住民団体からは、中央自動車道と放射第五号線による騒音や排ガス、放射第五号線と交差する富士見ヶ丘通りの混雑による事故の危険性などの問題が指摘されております。
なお、本区間の二十年度の測定結果によりますと、大気質は環境基準を満足しており、騒音は要請限度を下回っております。
一方、一部トンネル案の留意事項に、久我山区間の道路構造が本区間に与える影響に関連して車が集中することの危惧や、トンネル坑口部周辺での排気ガスの増加が挙げられております。さらに全面地下トンネルとなれば、これらの影響が大きくなるものと考えられます。
このため、平成二十一年九月、本区間の住民団体から都へ寄せられた意見では、久我山区間のトンネル案の実施は本区間への影響がはかり知れないこと、久我山区間の検討に際し、本区間へより一層の負担がかからないような道路構造とすることなどを求められております。
〇中村(ひ)委員 さまざまな質問をさせていただきましたが、道路構造については、これから検討もしていくことになると思いますし、モデル工事をしながら沿線の地権者の意見を聞いていくこともあります。また、暫定交通開放区間の方の意見を聞いていくということもありますので、今後とも地域の皆様の意見を丁寧に聞きながら、環境保全についても最大限の配慮をしていただきたいということを述べて、質問を終わりたいと思います。
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