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都議会質問記録

【6】2009/12/11 都立公園の運営について質問

2009年12月11日、東京都議会 環境・建設委員会において建設局に対して議案について質問を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。

〇中村(ひ)委員 それでは、東京都立神代植物公園の指定管理者の指定について質問します。
 神代植物公園は、調布市の北部に位置し、私の地元の三鷹市からも近くにあり、多くの方が訪れています。私の自宅からも自転車で十分ほどで行けるために、この間、週末にも改めて訪れてみました。四季折々の花が咲き、多くの利用者が楽しんでいます。
 植物公園として、他の都立公園とは違い、特殊な管理が必要にもなります。これまで多くの都立公園に指定管理者制度が導入される中、ここまで都の直営だったのにはそれなりの意義を東京都も見い出していたからではないかと推察します。
 そこでまず、都における神代植物公園の役割をどのように考えているのか伺います。また、このタイミングで指定管理者を導入する理由を伺います。

〇三浦公園管理担当部長 神代植物公園は、昭和三十六年に開園した、都立で唯一の植物公園で、多彩かつ貴重な植物コレクションを有し、来園者が豊かな花と緑を楽しみながら植物の知識を得ることができる公園でございます。
 これまで、都民サービスの向上と効率的、効果的な管理の実現を目的に、順次、公園等に指定管理者制度を導入してまいりましたが、神代植物公園につきましては、植物公園という特性にかんがみ、管理要綱の検討に時間を要したため、今回導入することとなったものでございます。

〇中村(ひ)委員 ただいまサービス向上ということもありましたので、都立公園におけるその考え方を伺いたいと思います。
 都市における公園は、環境の改善や防災空間、レクリエーション、コミュニティ活動の場、動植物の生息、生育空間や地域活性化の拠点など、重要な役割を担っています。だれも来ないような公園ではいけませんが、ただ静かに植物を観賞したい人もいるので、いたずらにイベントをふやして来場者数をふやすことだけが公園の役割でもありません。
 今回、指定管理者制度を導入する理由としてサービスの向上という話でしたが、神代植物公園におけるサービス向上として何が期待できるのか、また都はこれまで神代植物公園においてどのような取り組みをしてきたのかお伺いいたします。

〇三浦公園管理担当部長 神代植物公園におきまして、これまで、都は、都民協働によるガイドボランティアの実施や、利用者ニーズにこたえて、桜の開花期や春と秋のバラフェスタの開催時には開園時間の延長やライトアップを行うなど、豊かな花と緑を楽しみながら植物の知識を得ることができる公園としてサービス向上の取り組みを実施してまいりました。
 今回、東京都公園協会は、モーニングツアーなど、新たな鑑賞プログラムの提供や、周辺地域における諸行事と連携したイベントの開催、ガイドボランティアの拡充などを実施すると計画しております。
 これまでも、文化財庭園グループにおいて、それぞれ庭園の植栽や立地を生かしたイベントを開催し、来園者数増加につなげるなど、創意工夫を発揮していることから、利用者満足度を高めるサービスの向上が期待できます。

〇中村(ひ)委員 ただいま、これまでの都の取り組みと公園協会の取り組みについて伺いました。
 一般的に、サービスは民間の方がよいといわれますが、公園協会は株式会社ではないため、インセンティブが十分に働かないため、公共的な使命感を持っていただくことが必要です。逆に、これまで指定管理者制度が導入された公園で、民間や公園協会が行ってきたサービスを東京都も学び、取り入れ、都の直営の公園にフィードバックをしていくことも必要です。さらなる相乗効果を出して、都立公園全体のサービス向上につなげていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 東京都は、これまで、ほとんどの都立公園に指定管理者制度を導入してきました。改めて、その導入の目的と、それによりどのような成果と課題があるのかを伺います。

〇三浦公園管理担当部長 都立公園の指定管理者制度は、サービスの向上と効率的、効果的な管理の実現を目的として導入しております。
 指定管理者の管理運営状況評価では、平成十九年度は十一の公園が優良、平成二十年度の管理運営状況評価では十六の公園が優良となるなど、都立公園の指定管理者制度導入は一定の成果を上げております。
 今後、さらにそれぞれの都立公園の特性に応じた管理を行うために、効果的な選定方法や評価方法が課題と考えております。

〇中村(ひ)委員 これまで公園協会を指定管理者として行った評価では、良好や優良と判断をしていますが、どういう判断に基づくかを伺います。特に、日常利用する方々の声こそが大切ですが、どのように聞いてきたのか、その上での評価なのかを伺います。

〇三浦公園管理担当部長 指定管理者管理運営状況評価につきましては、全庁的な統一基準に基づき、学識経験者などの外部委員を含む評価委員会を設置して、施設、樹木等の管理状況と、利用者満足度調査の結果やサービス向上の取り組みなどの事業効果について評価し、それらを総合して決定しております。
 評価に当たりましては、利用者からの苦情、要望への対応状況や、毎年、公園別に実施しております利用者満足度調査の結果を評価項目とするなど、利用者の声を反映したものとなるよう工夫しております。

〇中村(ひ)委員 指定管理者からは定期的に書面等で業務の報告がなされると思いますが、書面だけの報告を受けるだけではなくて、また頻繁に都の職員もみずからが訪問して現場を見る必要もあると思います。指定管理者に対する指導監督や評価を行うに当たって、都は管理状況をどのように把握をされているのか伺います。

〇三浦公園管理担当部長 指定管理者の指導監督や評価に当たりましては、指定管理者からの書面による報告だけではなく、毎月の履行状況の確認や利用者からの苦情、要望への対応など、さまざまな機会をとらえて現場の状況を確認しております。指定管理者管理運営状況評価における評価委員会におきましても、現場調査を実施してございます。

〇中村(ひ)委員 公園事業は営利を追求する事業ではないため、今回、監理団体として公共的役割を担う財団法人の東京都公園協会が指定されることには理解します。ただ、東京都が公益目的を持って設置しているので、民間とはいえ、東京都と同様の透明性と公平性が必要です。
 また、国の外郭団体のファミリー企業のようなものが形成されるようなことはあってはなりません。東京都公園協会が業務を発注する場合、都と同様の入札制度と情報公開の制度が必要だと考えますが、どうなっているのか伺います。

〇三浦公園管理担当部長 東京都公園協会は、東京都の監理団体として、東京都指導監督要綱や東京都監理団体指導監督基準に基づき、公平公正な契約制度と透明性を確保する情報公開制度を整備してございます。
 具体的には、業務の発注については東京都の契約規定に準じた会計に関する規程及び契約事務取扱要綱に基づき行われ、情報公開につきましては、東京都情報公開条例の趣旨に基づき、財団法人東京都公園協会情報公開要綱を定め、適正に運用しております。

〇中村(ひ)委員 さて、また今回のこの神代植物公園の指定管理者の指名は特命による選定ですので、委託料はどのようにして決めるのでしょうか。
 また、今回の神代植物公園について、公園協会が提案している管理費用の額と、その額が従来の管理費用と比較してどの程度縮減されているのか伺います。

〇三浦公園管理担当部長 指定管理者への委託料は、特命、公募、いずれの場合も、申請者から提案された事業計画の内容と提案額の妥当性を確認し、この提案額を踏まえ、年度ごとに都の予算の範囲内で指定管理者と協議を行い、委託料を決定しております。今回、東京都公園協会の提案額は、約四億二千五百万円で、指定管理者導入前の経費と比較した縮減額は約二百万円でございます。

〇中村(ひ)委員 今回、指定管理者として指定する期間は一年間だけという契約になっています。そのため、翌年は再度指定先が変わるという可能性もあるわけです。仕事というのは、なれるまでに時間もかかります。また、働く人のことを考えると、雇用の点からも疑問が残ります。今回、一年間という期間にしたことは効率的な運営といえるのでしょうか、お伺いします。また、雇用の点からも問題はないのか、お尋ねします。

〇三浦公園管理担当部長 現在、公園、霊園、動物園等、公園緑地部所管で制度を導入しております九十一の施設中、八十六の施設の指定期間が平成二十三年三月末までとなってございます。神代植物公園につきましても、指定期間の終了時期を、これらの施設と一致させることといたしております。それにより指定期間が一年となりますが、既存のグループに編入することで、既に制度を導入している施設における指定管理者のノウハウ等の活用やスケールメリットを生かすことで効率化を図ることができます。また、指定期間一年という前提で事業計画書が提出されておることから、雇用の点については、財団法人東京都公園協会が適切に対応すると考えております。

〇中村(ひ)委員 指定管理者制度が導入されて以来、公共施設の管理には、どの目的を重視するかなどで、さまざまな形態の管理が行われています。公益性を重視するなら直営が望ましく、競争性を重視するなら完全な民間の会社に、さらにその中で、さらに公平性を重視するなら、余り大きなグループにせず一つ一つの公園を別々に発注して、地域の中小規模の会社や団体が入札に参加する資格を得られるようにすることも考えられます。
 また、それぞれの目的をバランスよく重視すれば、公益的な目的で設置された監理団体である公園協会という選択もあり、現在ではほとんどの公園を公園協会が管理しています。最適な運営を行うため、それぞれの手法をバランスをとって相乗効果を出すということも考えられます。そこで、公園の運営についての東京都の考え方をお伺いします。

〇三浦公園管理担当部長 都立公園におきましては、平成十六年新規開園した小山内裏公園を初めとして、平成十八年度から本格的に指定管理者制度を導入いたしました。この指定管理者制度につきましては、公園の特性などを踏まえた上で、順次導入を図っております。
 現在、公園緑地事務所の直営による公園、公募により監理団体である東京都公園協会が指定管理者となっている公園、民間企業が指定管理者となっている公園等があり、それぞれ特色ある管理運営を行ってまいりました。引き続き運営形態の特性も考慮して、それぞれの都立公園で効果的、効率的な管理運営が行われるよう取り組んでまいります。

〇中村(ひ)委員 最後に、今後の都立公園の運営について伺います。今回の神代植物公園の指定管理者制度の導入で、東京都の直営の公園は二つだけになります。私の地元三鷹と松下議員の地元武蔵野市にまたがる井の頭恩賜公園と、中村明彦議員の地元の台東区の上野恩賜公園の二つだけです。
 もし、仮に都の直営公園がなくなった場合、東京都に公園管理のノウハウがなくなってしまい、指定管理者に適切な指導をしたり、評価をすることもできなくなってしまいます。また、コストという点でも一時的に価格が下がっても、長期的に見ればブラックボックス化して事業者のいい値になってしまうおそれもあります。都は今後の公園管理にどのように取り組んでいくのか、考えを伺います。

〇三浦公園管理担当部長 都立公園の管理におきましては、指定管理者制度の趣旨を生かしながら、都民本位の効率的で、かつ効果的な行政サービスの提供を図っていくことが必要であります。都は指定管理者の指導監督や、各都立公園の特性に応じた管理運営状況の評価方法を工夫するなど、的確に対応してまいります。今後も直営公園というフィールドを十分に活用し、これまで取り組んできた地域との連携事業を推進するとともに、公園管理のノウハウや技術の継承などを図ってまいります。

〇中村(ひ)委員 管理方法がどのようであっても、都立公園の設置者は東京都にあり、都民にサービスを提供する責任も東京都にあることに何ら変わりはありません。また、長期的な人材の育成という点でも、そのノウハウの継承についても考えていく必要があります。指定管理者の導入後も、指定管理者の管理だけではなく、公園の大規模な改修は従来どおり東京都の業務になります。また一般的に、当初はコストが縮減できたとか効率的になったといっても、長期的に見て結局は割高になったり、管理状況が悪くなるということも想定されます。
 来年度中には、ほとんどの公園の指定管理者の期限を迎えるため、その機会に改めて制度全般についてさらなる検証が必要になります。今後とも制度の趣旨を生かしながら、都が責任を持って都民の期待にこたえていただくよう要請して質問を終わります。

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