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都議会質問記録

【14】2012/10/22 港湾事業、臨海副都心開発事業の決算について質問しました。

東京都議会 平成23年度公営企業会計決算特別委員会 第1分科会 質問(2012年(平成24年)10月22日)

2012年(平成24年)10月22日、東京都議会 平成23年度公営企業会計決算特別委員会 第1分科会において港湾局が所管する東京都港湾事業会計決算と東京都臨海地域開発事業会計決算について質疑を行いました。以下に質問と答弁の概要を掲載します。

○中村委員:それでは最初に、東京都港湾事業会計決算について、監査委員による決算審査意見書での指摘事項について質問します。
  決算では、平成23年度から東京港埠頭株式会社への港湾施設用地使用料を無償化したことにより、港湾施設使用料が9億1千万円余の減収となりました。監査 からの指摘では、効果の検証が確認できないとあり、適切に行うよう指摘をされています。そこでまず、そもそもこの無償化はどのような目的で行われたものか を伺います。また、公営企業会計において、東京港埠頭に無償化する法的な位置づけは何か、あわせてお答え願います。

○野瀬港湾経営改革担 当部長:平成22年8月に、東京港は、川崎港・横浜港とともに、国際コンテナ戦略港湾に選定されたところでございますが、その選定時に国に提出した計画書 では、国際競争力の強化に向けた一つの手段として、ターミナル貸し付け料を4割低減することとしております。
 使用料を無償化の内容は、コンテナ ターミナルの敷地にかかるものではありますが、この目的は、東京港の利用者である船会社が、東京港埠頭株式会社に支払うターミナル貸し付け料を低減するた めの原資とすることでございます。使用料の無償化については、東京都臨海地域開発事業及び港湾事業にかかる行政財産使用料及び財産の無償貸付等に関する規 則で規定されており、東京港埠頭株式会社が、その事務事業の用に供する場合は、土地等の財産を無償で貸し付けることが可能となっております。

○中村委員:無償化についての目的と位置づけについては理解をしました。その上で、監査委員の指摘によると、効果検証が不十分と指摘されていますので、それに対してはどう対応するのか伺います。

○ 野瀬港湾経営改革担当部長:監査委員からの指摘は、この無償化がターミナル貸し付け料の低減につながっているかを十分に確認できない状況であるとのことで ありました。これについては、東京港埠頭株式会社から、都への報告様式や手続を明確化することで、効果検証が十分に行えるよう対応いたしました。

○中村委員:既に、対応は終わっているということの形式の方は確認をさせていただきましたので、次は内容についての確認させていただきます。
 東京港埠頭に対して用地使用料が無償化された利益は実際にはどのようにターミナル貸し付け料に還元されたのか伺います。またそのことによって国際競争力の強化につながる
という効果はどのようになったのか、あわせてお伺いします。

○ 野瀬港湾経営改革担当部長:東京港埠頭株式会社の平成23年度決算と22年度決算における外貿コンテナターミナル貸し付け料を比較いたしますと、16億円 を超える削減となっており、港湾施設使用料の無償化に相当する9億1千万円を上回っております。このことから明らかなように、東京港埠頭株式会社は、ター ミナル貸し付け料の低減に当たり、都が行った無償化の効果をすべて利用者に還元するとともに、みずからの経営努力も行っているところでございます。
 このように、都が行った港湾施設使用料の無償化と、東京湾叫頭株式会社における経営努力は、国際コンテナ戦略港湾の目標でありますターミナルコストの4割低減による国際競争力の強化に大きく寄与しております。

○ 中村委員:国際競争力の強化に対する取り組みということでした。ところで、この都の無償化によって9億1千万円ということなわけですから、実際には16億 円を超えるターミナル貸し付け料が削減されたということなので、東京港埠頭は7億円近い経営努力を行っていただいたことにはなります。株式会社とはいえ、 都が関連する会社ですから、どの程度の内部留保があれば十分かは精査が必要かとは思います。もちろん、ただ下げればいいということだけではないと思います が、一方では、公的な役割の一端を担っている会社ですから、今後も都の取り組みと歩調を合わせて国際競争力の向上に努めていただきたいと思います。
 さて、今回の無償化により、港湾施設使用料収入が大きく減少することになります。この会計で9億円というのは大変大きいと思いますが、港湾事業会計として、今後きちんと継続をしていけるのかどうか、この点について伺います。

○野瀬港湾経営改革担当部長:今回の港湾施設使用料の無償化は、港湾事業会計における将来の収支を予測し、十分に継続可能であると判断した上で実施いたしました。なお、平成23年度の港湾事業会計の決算では、約14億2千万円の純利益を確保しております。

○中村委員:国際コンテナ戦略港湾として国際競争力を強化していくために、このような港湾施設使用料の無償化を行ったということですが、これはアジア諸国に比べるとその対応の時期が遅かったのではないかという見方もあるかとは思うんですが、見解をお伺いし
ます。

○野瀬港湾経営改革担当部長:国際コンテナ戦略港湾として国際競争力を強化していくためには、このターミナル貸し付け料の低減に加え、貨物集荷力の強化、利用者サービスの向上など、さまざまな取り組みを重層的に実施していく必要がございます。
  東京港としては、国際コンテナ戦略港湾に選定される以前から、入港料や係留施設使用料の減免など、コスト低減に取り組むとともに、ポートセールスの積極的 な展開など、貨物集荷に向けた取り組みを実施しております。これらの取り組みに加え、平成23年度から、コンテナターミナルの敷地にかかる使用料の無償化 を開始したことにより、東京港の国際競争力はさらに強化されたと考えております。

○中村委員:国際競争力の強化に向けてさまざまな取り組 みを実施していただいていることはわかりました。しかし、上海や釜山などアジア諸港の躍進は目覚ましいものであります。この会計だけということではないん だと思うんですが、今後もスピード感を持って対応していただきたいということを要望しておきます。
 次に、東京都臨海地域開発事業会計決算の質問をさせていただきます。
 平成23年度決算では、営業収益のうち埋立地処分収益は、予算比で19%、昨年度比では2.1%と大幅に減っています。前年22年度は10件でしたが、23年度は2件になっています。予算と決算の乖離かおりますが、その理由は何か伺います。

○ 石原臨海開発部長:埋立地処分の収入予算につきましては、事業者等からの購入意向に基づき、開発計画等の調整を行いながら、入札の実施時期等を検討し、計 上しております。埋立地処分収益及び件数が減少していますが、平成23年度は、4件の処分につきまして予算計上して、そのうちの2件の売却となったことに よるものでございます。
 残りの2件のうち1件は当初22年度から27年度までの分納により代金が納付される予定であったものが、22年度に全額納付されたため23年度収入とならなかったものでございます。
 残りの1件につきましては、事業者から購入の意向が示され、予算を計上したところ、東日本大震災の影響により、国内の不動産市況全体が低迷したことなどを受けまして、事業者がこれを撒回したため、結果的には公募自体を見送ったものでございます。
 また、22年度の予算計上は、23年度と同じ4件でございましたが、年度途中で端切れ地を隣接事業者が購入したなどの理由によりまして、10件の処分となったものでございます。
  確かに、22年度の収入に比べ23年度の収入は2.1%にすぎませんが、さきに述べましたように、前年度に一括納入があったこと、中央卸売市場に市場移転 用地を所管がえした高額の収入があったため、22年度決算が一時的に高額となったことによるものでございまして、特段問題はないと考えてございます。

○ 中村委員:さまざまな社会経済状況の変化などもあり、単純にその年度だけでは比較できないとは思いますが、とはいえ、迅速な対応も必要です。現在でも、常 時公募をしている土地でまだ買い手がついていないところもあります。そこで、そうした上地が何カ所あり、面積でどのくらいあるのか伺います。そしてそれは どのくらいの期間公募されているでしょうか、伺います。

○山口営業担当部長:現在、臨海副都心において常時公募しております区画は、青海地区2区画、有明南地区1区画の計3区画でございます。その合計面積は約2.1ヘクタールとなっております。
  この3区画は、平成12年に処分可能な8区画について、一斉に公募を開始したうちの一部でございまして、公募開始から12年が経過をしております。そのう ち2区画につきましては、平成19年と平成20年に、それぞれ進出事業者を決定したものの、リーマンショックなどの影響により事業者が辞退したものでござ います。なお、売却済みの5区画につきましては、昨年ビッグサイト前に開業した有明セントラルタワーを初め、すべての区画が既に活用されております。

○ 中村委員:なかなか駅からの距離とか場所の問題もあるとは思うんですが、平成12年からということになると、かなり長い期間にもなりますので、リーマン ショックなどの影響があるということですが、とはいえ事業を進めるよう取り組む必要があるかとは思っています。そこで、なぜこういったところは買い手がつ かないのでしょうか、処分にどのように取り組んでいるか、見通しはあるのかお伺いします。

○山口営業担当部長:常時公募をしております3つの区画につきましては、現在もさまざまなお問い合わせがありますものの、現在の不動産市況は、東日本大震災の影響や世界経済危機の懸念等から大変厳しい状況にございます。現時点で、公募申し込みには至っておりません。
 なお、土地の販売に向けては、これまでも事業者が臨海副都心に、より進出しやすい条件を整備するため、転売禁止期間の撤廃、分割支払い時の利息の引き下げ、不動産仲介成功報酬上限額の増額などなど、さまざまな努力をしておるところでございます。

○中村委員:さまざまな努力はされているということでした。ただ、一度ここで、改めて会計全体の財政状況の方を確認してみたいと思います。
 当該年度は、企業債利息を32億円返済をして、元本の支払いはありませんでした。残った負債は幾らでしょうか、完済の見通しと計画ではどうなっているのでしょうか、計画どおり進んでいるのかどうかも含めて伺います。

○ 石原臨海開発部長:平成23年度末における企業績残高は2,353億円、今後発生する利子は144億円でございまして、32年度までに償還する計画でござ います。臨海副都心のポテンシャルは高く、中長期的に見れば、保有している土地の処分により確実な償還が見込めると考えております。

○中村委員:この場所ですから、ポテンシャルが高いというのはわかるわけですが、実際に利益を上げなければ、確実な償還にはつながりませんので、引き続きの取り組みをお願いします。
 次に、臨海副都心のまちづくりについて伺います。
  平成23年12月現在で、就業人口約4万8千人、居住人口1万2,600人と聞いていますが、これは計画どおりなのでしょうか。またマンション等になる場 合には、小学校などの公共施設が必要にもなりますが、これは地元自治体との調整はどのようになっているのか、伺いたいと思います。

○石原臨海開発部長:臨海副都心全体の計画人口は、就業人口が9万人、居住人口が4万7千人でございます。今後、青海地区北側に業務商業施設を、有明北地区に集合住宅を中心に開発していく予定でございます。
  まちづくりは、計画どおりに進んでおりまして、就業人口、居住人口ともに着実に増加しているところでございます。また、地元自治体との調整でございます が、小学校などの公共施設につきましては、開発の進捗に合わせて、地元区と十分協議を重ねながら、必要な施設の位置や規槙、整備すべき時期等につきまして 調整しているところでございます。

○中村委員:就業人口、居住人口ともに順調にということ、着実に増加をしているということでした。た だ、大分臨海副都心の開発も始まって長い間がたちますので、改めてこの臨海副都心のまちづくり全体の中でのこれまでの達成状況についてどうなっているのか 伺いたいと思います。
 また、世界の都市間競争が激化するなど、時代も変化してきていますが、これからのこの臨海副都心開発について潜在的な意義というのを伺いたいと思います。

○石原臨海開発部長:臨海副都心の有償処分面積の約7割の土地につきましては、既に開発されるか、開発事業者が決まっており、また、多くの人々や物、情報が集まる活力ある都市に成長してきておりまして、開発は着実に進んでおります。
 今日、世界の厳しい都市間競争を勝ち抜くためには、MICE機能の充実が必須と考えてございます。そこで、都は、昨年度に「2020年の東京」や、アジアヘッドクオーター特区構想におきまして、臨海副都心のMICE国際観光拠点化構想を打ち出しております。
  今後、開発予定の青海地区北側は、MICE機能の誘致に適しておりまして、東京の国際競争力の強化のために重要な役割を担うことが期待されております。こ のため、都では、青海地区北側に、東京ビッグサイトの展示機能と連携する国際会議機能や、商業施設などの国際観光資源の誘致に取り組みまして、臨海副都心 を世界に伍するMICE国際観光拠点へと発展させてまいります。

○中村委員:いろいろとご答弁ありがとうございました。
 決算という視点から多岐にわたって質問しましたが、東京の国際力強化という点では大切な地域ですから、引き続きの取り組みを申し述べまして質問を終わります。

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