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都議会質問記録

【16】2012/10/26 築地市場の移転問題、多摩地域の地方卸売市場への支援について質問しました。

東京都議会 平成23年度公営企業会計決算特別委員会 第1分科会 質問(2012年(平成24年)10月26日)

2012年(平成24年)10月26日、東京都議会 平成23年度公営企業会計決算特別委員会 第1分科会において中央卸売市場の昨年度の決算について質疑を行いました。主に多摩地域にある地方卸売市場への支援、築地市場の移転に関する昨年度の執行状況について質問しました。

 
◯中村委員 それでは、中央卸売市場会計について、まず初めに、地方卸売市場についての質問をします。
 都には十一の中央卸売市場がありますが、多摩地域には多摩ニュータウン市場が一カ所あるのみです。一方、都内には地方卸売市場が十五カ所ありますが、そのうち多摩地域には、青果五市場、水産三市場、花き四市場の、合わせて十二市場あります。そのため、多摩地域においては、地方卸売市場が大変重要な役割を果たしています。
 とりわけ東京多摩青果株式会社が開設する東京都国立地方卸売市場は、以前、三鷹市にあった市場も統合し、年間取扱高五百億円を超え、多摩地域における生鮮食料品の一大拠点になっています。私も先般訪問し、お話も伺ってきましたが、懸命に努力を重ね、多摩における都民生活を支えていただいています。
 そこで、多摩地域の流通の現状において、中央卸売市場と地方卸売市場がどのような役割を担い、そこに対して、都はどのような取り組みをしているのか伺います。

◯江藤市場政策担当部長 副委員長ご指摘のとおり、現在、多摩地域では、一つの中央卸売市場に加え、従来から多摩地域における生鮮食料品等流通の役割を担ってきた、規模の異なる十二の地方卸売市場が開設されております。取扱数量から見ても、地方卸売市場が多摩地域における生鮮食料品等流通の中心的役割を果たしていると認識しております。
 中央卸売市場と地方卸売市場とでは、卸売市場法における位置づけ、開設者の制限、取引にかかわる規制の程度等の差異はありますが、生鮮食料品等の円滑な流通を確保するための物流拠点という意味においては、地方卸売市場も中央卸売市場と同様の役割を果たしているところであり、地方卸売市場は、中央卸売市場とネットワークを形成し、相互に補完し合いながら運営されております。
 都といたしましては、中央卸売市場である多摩ニュータウン市場については、開設者として必要な施設整備、維持管理を行っております。また、各地方卸売市場については、市場運営の指導監督を行うとともに、これらの市場が多摩地域において生鮮食料品等流通の中心的役割を果たしていることを踏まえ、助成事業を行うなど、都民の日常生活に欠かせない生鮮食料品等の安定供給という責務を果たしております。

◯中村委員 昨年度の決算では、地方卸売市場への支援の取り組みとして、この助成事業費として一億三千百六十万円余が計上されています。
 都としては、どのような目的でこの事業を行っているのか、また、具体的にどのような支援が行われたのか伺います。

◯横山事業部長 都は、中央卸売市場とともに、都民の食生活を支え、地場産品取り扱いなど地域の多様な需要にこたえている地方卸売市場の運営を支援するため、施設の機能向上のための整備費や衛生管理、市場見学等に対して助成事業を実施しております。
 平成二十三年度は、四市場における倉庫等の施設整備や卸売り場の耐震診断などに約一億二千万円を補助することで、地方卸売市場の施設の老朽化や耐震性を改善するとともに、十四市場の廃棄物処理に約一千万円、六市場の市場見学に約二十五万円を補助することで、地方卸売市場の場内衛生の向上や地域貢献に役立っております。

◯中村委員 平成十七年四月に策定された第八次卸売市場整備計画において、多摩地域の流通について、さまざま記載がされています。
 決算年度である二十四年一月には、その次の計画である第九次東京都卸売市場整備計画が策定されました。その中では、多摩地域においては、地方卸売市場が生鮮食料品等流通の中心的役割を果たしていることを踏まえ、東京都は、多摩地域の地方卸売市場と連携し、生鮮食料品等の安定供給に寄与していくこととするとあります。
 ぜひ引き続き、この地方卸売市場の支援を行い、とりわけ多摩地域の都民の生活を支えていくよう積極的な支援をお願いして、次の質問に移ります。
 次に、築地市場の移転関係について質問します。
 都議会民主党は、平成二十三年度の市場会計予算について修正案を提案し、原案に反対しました。修正案の内容は、豊洲新市場関連予算二十一億三千八百五十八万円のうち、基盤整備費等十億八千七百三万円を除く、土壌汚染対策費十億四千百九十八万円と豊洲新市場建設工事費の九百五十七万円を削除するものでした。
 そこで、私たちが修正を求めてきた項目について、二十三年度決算における執行状況について確認をしたいと思います。
 まず、土壌汚染対策費十億四千百九十八万円についてですが、この十億四千百九十八万円は、決算審査意見書一五ページによれば、二十四年度への繰り越しとなっています。また土壌汚染対策としては、平成二十三年八月三十日に、東京都はJV三者と、五、六、七街区の土壌汚染対策工事として五百四十一億七千四百七十五万円の契約を交わしていますが、これらも含めて、二十三年度じゅうに執行された土壌汚染対策費はあったのか、まずは確認します。

◯塩見管理部長 豊洲新市場用地におきます土壌汚染対策工事につきましては、平成二十三年の八月に、今お話がありましたように、三街区合計で五百四十一億七千四百七十五万円の契約を締結しております。この契約は、平成二十四年度にわたる工事であり、今年度、出来高確定後に支出することになっているため、平成二十三年度中の予算執行はございません。
 なお、契約後に、平成二十三年十月から十一月にかけまして、三街区合計で五十四億一千七百三十万円を前払い金としては支払っているところでございますが、これは出来高確定前のものであるため、予算執行には当たらないものとなっております。

◯中村委員 土壌汚染対策費十億四千百九十八万円は、二十三年度は未執行であるということですが、なぜ二十四年度への繰り越しとなったのでしょうか。東京都が想定している土壌汚染対策の工事スケジュールに影響はないのか伺います。

◯塩見管理部長 平成二十三年度予算に計上いたしました土壌汚染対策工事費の十億四千百九十八万円につきましては、鋼管矢板など土壌汚染対策工事に必要な資材の購入にかかわる経費を計上したところではございます。
 これら資材につきましては、当初、私ども都が一括調達し、予定地内で保管することを想定いたしましたところ、改正土壌汚染対策法の適用による土壌の移動にかかわる制約等から、予定地内での保管場所の確保が困難となり、一括調達による経費削減効果が見込めないことが明らかになりました。
 また、都による資材の一括調達が東日本大震災の復興の妨げとなるという懸念もございました。
 これらのことから、資材調達につきましては工事契約に含めることといたしまして、その結果、代金支払いを今年度に行うこととなったため、予算を繰り越したものでございます。
 こうした理由でございますので、予算繰り越しに伴うスケジュールへの影響はございません。

◯中村委員 私たちは、二十三年度予算の議決当時、汚染原因者である東京ガスの負担などが明らかでないことなどを修正理由の一つにしていましたが、予算の議決後、三月二十五日に、東京都は東京ガスとの間で合意を交わしました。
 負担の内容は、東京ガス二億円、東京ガス豊洲開発株式会社七十六億円の計七十八億円で、この七十八億円というのは、平成十七年五月に東京都と東京ガスとが締結した確認書にある、東京ガスが実施すべき対策内容と同様の対策を改めて実施すると想定した場合の金額を算定したものということです。
 そこで、この積算根拠というものをより具体的に伺います。

◯日浦新市場事業推進担当部長 東京ガス株式会社及び東京ガス豊洲開発株式会社の負担額についてでございますけれども、この七十八億円は、ただいま副委員長のお話にもございましたが、平成十七年五月に締結いたしました豊洲地区用地の土壌処理に関する確認書で定めました内容と同様の対策を東京ガス等が改めて実施すると想定した場合の対策経費がどれくらいになるかということから算出したものでございます。
 具体的には、ガス製造工場の操業地盤面から深さ二メートルまでの処理基準を超える汚染土壌処理に係るもの、及び、それより下、深さ二メートルより深い部分で処理基準の十倍を超える汚染土壌処理に係るものを基本としつつ、土壌処理に必要な仮設プラント等の経費などにつきましても、土壌処理量の比率等により積算したものでございます。

◯中村委員 積算根拠は今お伺いしましたが、東京ガスの負担額七十八億円は、土地売却代金とセットで、既に、二十三年三月に東京都に全額支払い済みと理解していいのでしょうか。確認します。

◯塩見管理部長 豊洲新市場用地の土壌汚染対策に係る東京ガス株式会社及び東京ガス豊洲開発株式会社の一部費用負担につきましては、平成二十三年の三月、合意に至りまして、協定書の締結を行ったことから、その負担額を平成二十二年度の収入として計上するとともに、決算の経理処理的には未収金として処理したものでございます。
 また、同時期に、同社と豊洲新市場用地の売買契約を締結しており、その契約金額を平成二十二年度の支出として計上するとともに、未払い金として処理したところでございます。
 その後、平成二十三年四月、協定書に基づき、両社に対して、土地代金から未収金の額を控除して支払ったものでございます。
 このように経理処理を行っておりますことから、両社の費用負担にかかわる収入につきましては、平成二十二年度決算に計上されているものでございます。

◯中村委員 ことしの九月十三日に東京都が公表した豊洲新市場用地における土壌汚染対策工事に伴う調査の結果についてによると、不透水層のかなり深い部分からも、ガス工場操業に由来するベンゼンなどが確認されました。
 東京都はこれまで、有楽町層は水を通しにくく、汚染されている可能性は低いと答弁していたので、二深度、すなわち二メートルも掘り下げれば汚染がないと認識していたとも思えます。
 しかし、底面管理調査によって、最大で六深度、すなわち六メートル掘り下げたところなど、深いところからも汚染が確認され、処理しなければならない土の量も、これまで想定したものよりふえるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 また、これにあわせて、事業費についても、場合によってはふえるのではないかと考えますが、見解を伺います。

◯加藤基盤整備担当部長 これまでの不透水層内の調査によって確認いたしましたガス工場操業に由来する汚染も含めまして、対策すべき土量につきましては、今後行う調査がすべて終わった段階で確定してまいりたいと考えてございます。
 また、土壌汚染対策工事の工事費につきましては、今後の調査結果を踏まえ、工事全体の中で整理してまいります。

◯中村委員 不透水層内から検出された高濃度の汚染は、明らかに東京ガスの操業由来に基づく汚染です。東京都と東京ガスとが合意した東京ガスの負担額七十八億円は、例えば仮設プラントの経費などについて、処理量の比率等で積算したとしており、処理量が変われば積算結果も変わってくるように思われます。七十八億円の負担という額の大小は別にして、今後、土壌の処理量や工事費などが確定した段階で、改めて東京ガスの負担が合理的な内容であったのかを検証する必要があるのではないかということを意見として述べておきます。
 次に、二十三年度予算に計上されていた新市場建設工事費九百五十七万円についてですが、これは建築確認申請に必要な事務経費として、建築主が東京都なので計画通知ということになりますが、この事務手数料の経費であったはずです。その内容を確認します。
 また、あわせて、二十三年度は実施設計を行う予定であったはずですが、これら経費も含めて、二十三年度中に執行された豊洲新市場建設工事費はあったのか確認します。

◯塩見管理部長 平成二十三年度予算に計上いたしました建設費九百五十七万円は、今お話のありました計画通知の手続にかかわる手数料でございます。
 この計画通知につきましては、当初、平成二十三年度に手続を行うことを予定しておりましたが、施設計画に係る市場業界からの要望等への対応などから、時期を見直しまして、平成二十四年度に行うことといたしました。
 このため、この手数料につきましては、平成二十四年度予算に再計上いたしまして、平成二十三年度は執行しておりません。
 また、実施設計につきましては、平成二十三年十月に契約を締結しておりますが、平成二十四年度にわたる契約であることから、今年度、完了後に支払いを行うこととなっておりますため、平成二十三年度中の予算執行はございません。
 なお、先ほども申しましたように、同様に三億六千万円の前払い金は支払っておりますが、これは出来高確定前のものであるため、予算執行には当たらないものでございます。

◯中村委員 建設工事費で二十三年度中に執行したものはなく、計画通知に必要な事務経費九百五十七万円も二十四年度予算に計上し直したということですが、二十四年度の予算計上でいいのであれば、そもそも二十三年度予算に計上する必要はなかったのではないでしょうか。
 二十三年度内に執行できる見込みはなかったのでしょうか。また、東京都が想定している市場施設の建設スケジュールに影響はないのでしょうか、伺います。

◯久保田施設整備担当部長 計画通知は、建築基準法に基づき、都道府県等の建築物につきまして、建築工事等に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合するかどうか、建築主事の審査を受けるための手続でございます。
 平成二十三年度の予算要求に当たりましては、二十二年度に基本設計に着手をし、翌二十三年度には実施設計を進めるとともに、計画通知を行う予定でございました。しかしながら、設計作業を進める中で、施設計画について市場業界から要望が出されたことや、東日本大震災を踏まえた対応が必要となったことなどから、計画通知の時期を見直しまして、平成二十四年度予算に必要な事務経費を再計上いたしました。
 なお、既に今年度、六街区の水産仲卸売り場棟の計画通知を提出しておりまして、そのほか、今後、順次必要な計画通知を提出する予定でございます。あわせて、適切な建設工期を設定いたしまして工事発注してまいります。
 こうしたことによりまして、新市場の開場に向けた建設スケジュールの予定に影響はございません。

◯中村委員 豊洲新市場の基本設計は、当初の仕様書によれば、納入期限が平成二十三年六月三十日までとなっており、その後、二十三年度内に実施設計に入る予定になっていました。
 このような中、東京都は、ことし三月十三日の予算特別委員会において、民主党の門脇議員の質問に対して、各業界から設計に対するさまざまな追加要望が出されたことや、東日本大震災の教訓を踏まえた対応が必要となったことから、基本設計と実施設計を一体のものとしてとらえて業界との協議を進めることとしたとした上で、六月末を目途に業界との協議を取りまとめる予定だと答弁しています。
 そこで伺いますが、この基本設計、実施設計はまとまったのでしょうか、伺います。

◯志村新市場整備部長 豊洲新市場の施設計画につきましては、ただいま副委員長からお話がありました、本年三月の予算特別委員会でご答弁いたしましたとおり、東京都は、基本設計と実施設計を一体のものとしてとらえ、市場業界と調整を図りつつ策定作業を進めてまいりました。こうした市場業界との調整を進めることにより、各街区の施設配置、施設内における売り場や事務所等のレイアウト、電気、設備の設置位置など、具体的な施設内容についておおむね整理をいたしました。
 これにより取りまとめた計画案を、現在、業界に提示しているところでございまして、業界とは近々合意する予定でございます。
 なお、実施設計は、工事発注図書の作成や積算等を行うものでございまして、こうした作業につきましては今後も進めてまいります。

◯中村委員 実施設計の業界合意に時間がかかっているようですが、そもそも東京都は、豊洲新市場の建設工事で三十カ月を見込んでいました。つまり平成二十六年度末、すなわち平成二十七年三月末から逆算すると、ことし十月末には工事に着手していなければならないはずです。また、建設工事はWTO案件となるため、入札手続で三カ月程度かかるのではないかと思われますが、これはいつごろ建築工事に入る予定なのでしょうか。

◯久保田施設整備担当部長 市場施設の建設工事は、土壌汚染対策工事と調整の上、建物部分の整地時の地盤面を基礎下に下げ、掘削土量を削減するほか、建物の階数を低減することなどにより、工期の短縮を図っていくこととしてございます。
 したがいまして、必要な入札手続を行い、六街区の水産仲卸売り場棟の建設工事は今年度中に着手をいたします。
 また、五街区の青果棟、七街区の水産卸売り場棟と管理棟につきましては、平成二十五年度の早い時期に着手をいたしまして、スケジュールどおり完了することを目指してまいります。
 建設工事につきましては、ガス工場の操業に由来する土壌と地下水の汚染物質を確実に除去し、技術会議におきまして汚染処理が完了したことを確認した後、建物を支えるくい工事などに着手してまいります。
 市場用地の安全・安心に万全を期した上で、建設工事の工程管理を確実に実施し、市場施設の建設を着実に進めてまいります。

◯中村委員 二十六年度末までにという答弁ですが、私たち都議会民主党は、汚染された土壌が無害化をされ、安全な状態になっていなければ、豊洲新市場の開場には反対であり、開場スケジュールよりも食の安全を確保していくことの方が都民にとっては重要であるということを主張してきました。
 今回は決算審査でもあるので、その執行状況を確認するにとどめますが、私たち都議会民主党が提案していた修正案どおり、土壌汚染対策費、建設費が全く執行されていないにもかかわらず、東京都がこだわっている開場スケジュールについても大きな影響を与えていなかったということを確認しておきます。
 以上で質問の方を終わります。

 

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