> 都議会質問 > 都議会文教委員会 > いじめ対策、公教育の役割、障がい児教育について質問しました。

都議会質問記録

【17】2012/11/06 いじめ対策、公教育の役割、障がい児教育について質問しました。

東京都議会 文教委員会 質問(2012年11月6日)

2012年11月6日、東京都議会 文教委員会において、教育委員会の事務事業と報告事項「いじめの対応状況把握のための調査の結果及びいじめの総合対策の充実について」に対する質疑を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。

〇中村委員 それでは、教育委員会の事務事業について質問します。
 まず、いじめの問題について質問します。
 滋賀県大津市でのいじめを原因とした生徒の自殺、そして、教育委員会の不適切な対応が大きく報道されたことを契機に、いじめの問題がこれまで以上に報道されています。
 都教育委員会では、七月に緊急で全生徒児童に調査をしましたが、その後、都内でも品川区で中学生の自殺が発生し、きのう、品川区議会に報告書が提出されたようですが、死という結果を重く受けとめなければなりません。
 都議会民主党としては、いじめや虐待、体罰、事故、自殺など、原因が何であれ、かけがえのない子どもの命が失われることがないよう取り組んでいきます。
 昨今、教育については、教育委員会制度など、さまざま制度についての議論がされていますが、どれだけ制度について議論しようとも、教員がいかに生徒児童に向き合うかという部分が最も重要であることは、いつの時代も変わりはありません。
 最近では教員の多忙が問題になり、都教育委員会でも副校長の多忙解消に向けて取り組んでいるようですが、一般教員が子どもと接することができるような体制が必要です。
 民主党政権になってから、いじめ等の学校教育上の課題に適切に対応し、教員が子どもと向き合う時間の確保を図ることにより、質の高い義務教育を実現することを目的とし、既に三十五人学級を導入し、初年度の平成二十三年度は、都では七十五校で学級増を行ったとのことです。
 今後も教員が生徒児童に向き合う時間を確保できるよう、都教育委員会としても取り組んでいただきたいと思います。
 さて、いじめの問題について伺います。
 まず、いじめ問題の解決に向けて、学校、家庭、地域などが連携し、社会全体で取り組む必要があると考えますが、所見を伺います。

〇坂本指導部長 いじめは、学校の内外を問わず、さまざまな場面で発生しているため、いじめ問題の解決には、学校、家庭、地域などが連携して取り組むことが重要であります。
 都教育委員会は、九月下旬に、いじめ防止のためのシンポジウムを開催いたしまして、児童生徒から直接いじめ等の実態についての話を聞き、大人が何をすべきかについて考える機会といたしました。
 また、十月上旬には、いじめ問題に関する緊急アピールをすべての公立学校の児童生徒及び保護者に配布いたしました。

〇中村委員 さまざまな取り組みの方をお願いいたします。
 さて、さきの七月のいじめの調査については、市区町村の数字のばらつきをどうとらえているのか伺いたいと思います。
 極端に少ないところは、本当にいじめが起きていないのならそれでいいのですが、報道によれば、解決したものは計上しなかったからという自治体もあるようです。
 そこで、都教育委員会は、今回の緊急調査結果の市区町村の数値のばらつきをどのようにとらえているのか伺います。

〇坂本指導部長 すべての区市町村教育委員会が今回の緊急調査の目的と対応上の留意点を十分理解し、真剣に児童生徒のいじめの状況把握に取り組んだと認識しております。
 今回の調査においては、数の多寡を問題にするのではなく、いじめにかかわる情報を多面的、多角的に収集するとともに、把握したすべての案件に対応していくことを目的としているものでございます。

〇中村委員 滋賀県大津市の問題で問われたのは、事実の隠ぺいがないかということもあります。
 さきの定例会の都議会民主党の代表質問で、いじめ問題に積極的に取り組めるような教員評価とその周知徹底に取り組むべきとの質問に対する答弁で、課題解決の過程と成果を総合的に評価するもので制度の趣旨を徹底するとのことでした。
 引き続きこれはぜひ行っていただきたいと思いますが、一方では、本当にいじめがなくなるようなすばらしい取り組みをしている市区町村があるなら、理由を分析して、他の自治体と情報共有していくことも大切ですので、施策の検証を行っていただきたいと思います。
 また、調査そのものは実態を調べるためだけではなく、むしろ、調査を通じて、いじめの解決に取り組むことだと認識しています。ところが、この解決ということの認識がばらばらだと、いじめた子どもに注意して終わっていたということになりかねません。
 定義が大変重要だと思います。かつては、いじめそのものの定義でさえ不明確で、明確にしたら統計上の数値が大きく伸びたこともありました。
 そこで、いじめが解決したというのはどのような状態を指すのか伺います。また、今回の調査で解決していない案件についてどのように対応するのか伺います。

〇坂本指導部長 文部科学省の児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査によりますと、いじめとは、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じるものとされております。
 いじめが解消したとは、こうしたこれまで受けていたいじめの状況が改善され、いじめられていた児童生徒の精神面での負担が解消された場合と考えております。
 また、調査時において解決に至らず、指導を継続している案件につきましては、引き続き解決に向けて対応するよう区市町村教育委員会等と連携し、学校を指導しております。

〇中村委員 いじめの問題が難しいのは、表面的な解決ではなくて、問題が潜在化、陰険化していくことがあります。本当に悩んでいる子どもを一刻も早く救うことが大切です。同時に、教育ですから、いじめた子どもがいじめに至る背景が何かを突きとめ、根本的な解決に至るような取り組みをお願いします。
 また、今回、都教育委員会から対応についてのさまざまな取り組みが発表されました。この中にあった、いじめ問題に関する指導用DVDの内容と、どのような効果をねらっているかについて伺います。

〇坂本指導部長 DVDの内容は、いじめを受けている人の気持ち、いじめはなぜいけないのかなどについて、事例をもとに児童生徒に考えさせたり、話し合わせたりするものでございます。
 このDVDを活用した指導によりまして、児童生徒がいじめを自分たちの問題として真剣に考え、いじめの未然防止や早期解決につなげることをねらいとしております。

〇中村委員 こうした教材については、現場で望まれるものの作成が大切です。こうした教材を配っても、現場では積まれているだけということがないとはいえませんので、これからつくるということですが、その後の検証もきちんとしていただきたいというふうに思います。
 また、いじめのためだけということではありませんが、動物の飼育を行い、命の大切さ、とうとさを理解させることも、取り組みとしては重要です。
 現在、動物ふれあい教室を二十校で行っているようですが、日常的に動物を飼育していない学校もあるようです。直接的には、市区町村における取り組みとは思いますが、制度的に都が支援できるような部分があれば、検討の方をお願いします。
 さて、いじめ問題についてよく聞かれるのは、学校の問題だけではなくて、家庭についてはどうなのかといわれることがあります。
 もちろん、いじめた子どもの家庭での教育に問題があると決めつけることはできませんし、介入することもできません。とはいえ、一般論として、共働きがふえたり、核家族化が進んだことで、家庭の教育力が落ちたといわれることもあります。
 そこで、いじめ問題の解決のための学校と家庭との連携について伺います。

〇坂本指導部長 いじめは、学校内外を問わず、さまざまな場面で発生しており、学校だけですべてを把握するのは困難であることから、早期発見、早期対応のためには家庭からの情報が欠かせません。
 こうしたことから、いじめの解決のためには、保護者と連携し、児童生徒への指導を行うことが必要であると考えております。

〇中村委員 冒頭にも述べましたが、いじめの問題は学校と家庭の役割が大切ですが、近年では、それを補う地域というところが注目もされています。
 もちろん、地域の連携も薄れてきた昨今ですが、そのために、コミュニティスクールなど、地域に新たな動きもあります。地域全体で子育てができるような環境整備について、市区町村を支援していただきたいと思います。
 次に、スクールカウンセラーについて伺います。
 児童生徒が悩みを相談する役割として、非常に期待されます。都としても配置を進めていますが、今のスクールカウンセラーの配置状況と勤務条件について伺います。

〇坂本指導部長 都教育委員会では、このスクールカウンセラーの制度ができた平成七年度からスクールカウンセラーの配置を始め、平成十五年度には、中学校全校への配置を開始しました。平成二十四年度には、小学校三百二十七校、中学校のすべて六百三十一校、高等学校百校、合わせて千五十八校へ配置するなど、着実に配置校をふやしてまいりました。
 なお、東京都公立学校に勤務するスクールカウンセラーは、いずれの配置校におきましても、一日七時間四十五分、週一回、年間三十五回勤務することになっております。

〇中村委員 週一回というお答えでしたが、現場からはもっとふやしてほしいとの切実な声も届いています。まだまだ配置されていないところもあるということなので、そこからだとは思うんですが、ぜひともふやすということもご検討いただきたいというふうに思います。
 ただ、担任の先生にしっかりと生徒児童からの相談に対応できる力量を持たせることは前提ですが、専門性を有するスクールカウンセラーの配置については、さらに拡充することを求めます。
 さて、今回のいじめ問題に対する施策の中にある都教育委員会が設置した専門家会議の目的と内容についてはどのようなものでしょうか。伺います。

〇坂本指導部長 専門家会議は、学識経験者を座長に、弁護士、精神科医、臨床心理士などをメンバーとし、児童生徒の自殺予防やいじめ等の問題行動への対応のあり方全般について検討し、今後の各種施策に生かしていくことを目的としております。
 この専門家会議では、教職員が正しい知識に基づく適切な対応を行うための指導上の留意点や工夫のあり方、望ましい校内体制や関係機関等との連携のあり方、効果的な学校への支援策等、児童生徒の自殺及びいじめ等問題行動に関する方策等について検討しております。

〇中村委員 こうした会議等、いろいろ設置をして、本当にそれが有効なものになるように、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 先ほどもさまざま質問しましたけれども、教員が子どもと向き合う時間をふやすこと、そして、命の大切さを教育することというのは本当に重要になります。
 また、そのためにも学校経営における校長先生の力量というのは本当に重要で、学校を訪ねたり、地域の方からお話を伺うと、校長先生によって学校がよくもなり悪くもなりという状況のようです。
 昨今では、副校長を希望する教員が少なくなって、そのことが校長の質の低下につながらないように、しっかりとした人を校長に選んでいただいて、いじめ問題だけではなくて、しっかりとした学校経営をお願いしたいと思います。
 それでは、次に、公教育の果たす役割について質問します。
 社会でさまざまな問題が発生すると、教育はどうなっていたのかと問われることが多くあります。とはいえ、この国では、教育にそれほど高い割合で予算をつけていたわけではなかったので、教育の重要性から、高校の無償化や三十五人学級の実現などで、政権交代後、教育関連予算がふえています。
 とはいえ、所得の格差がある社会では、親の所得が低いからといって子どもが十分な教育が受けられないと、貧困の連鎖に陥ってしまいます。そうしたことがないように、公教育の重要性が増しているといえます。
 そこでまず、就学援助の実態について伺います。
 経済的に困難な子どもたちを対象に就学援助の制度があると聞いていますが、就学援助とはどのような事業であり、どのくらいの児童生徒が受給しているのか伺います。

〇谷島地域教育支援部長 学校教育法第十九条には、経済的理由によって就学困難と認められる児童生徒の保護者に対し、区市町村は必要な援助を与えなければならないと定められております。
 これに基づきまして、区市町村は、生活保護を受給している世帯や受給世帯に準ずる程度に困窮している世帯を対象として、学用品費や修学旅行費など、学校生活に必要な費用を給与することとしております。この事業を実施した区市町村に対し、国は、その費用の一部を負担しております。
 平成二十三年度は、都内公立学校の児童生徒の二三・五%、十八万五千七百二十六人が就学援助の対象となりました。

〇中村委員 数字的に見れば、多くの家庭がこうした支援を受けているということがわかりました。
 義務教育においては、経済的に厳しくても教育を受けさせる義務が保護者にあるため、就学援助という制度があるかと思いますが、高校についても、今、ほとんどの生徒が進学する時代になり、経済的事情で進学できない状況について何とかしたいとの声がありました。
 そこで、民主党政権が導入した高校無償化により、高校進学を希望する生徒は経済的に厳しい子どもであっても、家庭の状況によらず進学できるようになったと考えます。都教育委員会は、授業料無償化についてどのような認識を持っていますか。伺います。

〇直原都立学校教育部長 高校の授業料無償化につきましては、家庭の状況にかかわらず、すべての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、国の費用により公立高等学校の授業料を不徴収とするとともに、国立、私立高校等の生徒の授業料に充てる高等学校等就学支援金を創設し、家庭の教育費の負担を軽減する制度として、平成二十二年度より導入されたものでございます。
 授業料の無償化によりまして、これまで授業料の減額、免除を受けていた生活保護世帯及びそれに準ずる世帯以外についても、高等学校の就学に係る保護者の経済的負担軽減が図られたと認識しております。
 都教育委員会におきましては、このような状況を受け、今後とも都立高校に対する生徒、保護者の期待にこたえられるよう、教育内容の一層の充実に取り組んでまいります。

〇中村委員 次に、中高一貫校について伺います。
 東京では、他県に比べて私立の中高一貫教育校が多くあります。都では、経済的な理由で私立に行けない子どもにも中高一貫教育が受けられるようにしたことも設置の理由の一つと聞いています。
 現在、都内では十校設置され、私の地元の三鷹市でも唯一ある都立高校が中高一貫校になりました。まだ制度が始まったばかりなので、その評価にはもう少し時間がかかるとは思いますが、時々訪問すると、教職員も高い意欲を持って取り組んでいただき、希望を持って入学した生徒の姿を見ることができます。とはいえ、地元の三鷹市からは、高校からなぜ入学できないかとの質問を多く受けます。
 そこで、中高一貫校には高校から入れるタイプと入れないタイプがありますが、その違いは何でしょうか。その配置についての理由は何でしょうか。なぜ三鷹中高一貫校は高校から入れないのか伺います。

〇直原都立学校教育部長 中高一貫教育校には、一つの学校として一体的に中高一貫教育を行う中等教育学校と、同一の設置者が設置する中学校と高等学校を接続する併設型の中高一貫教育校がございます。
 中等教育学校は、六年間、同一の生徒集団に対して、計画的、継続的な教育指導を行うことができます。他方、併設型中高一貫教育校は、高校段階で一部他の中学の生徒を受け入れることで教育活動を活性化することができます。
 都におきましては、双方の特色を考慮し、それぞれ五校ずつ、全体で十校設置し、公立中高一貫教育を希望する都民の期待にこたえることといたしました。このうち、都立三鷹高等学校を母体として設置する中高一貫教育校につきましては、地域バランスを考慮して、中等教育学校として設置することといたしました。
 なお、地域の公立中学校を卒業する生徒につきましては、私立高校と分担しつつ、生徒の希望や適性、能力等に応じて、さまざまな都立高等学校で受け入れております。

〇中村委員 都の事情は、今、お答えがありましたが、導入当時、三鷹市では、コミュニティスクールを基盤とした小中一貫教育には既に取り組んでいました。当時、三鷹市からも都に意見を出していたと伺っています。都としても、地域との連携についてしっかりと考えていただくことを強く要望します。
 さて、中学校は市区町村の役割ですが、そのこととの分担を考え、中高一貫校の成果だけではなく、同時に市区町村立中学校への進学率を調べ、影響も考えるのが都の仕事ではないかと思います。特に区部では私立に進学する子どもの比率が高く、区立中学校への進学率は七割しかありません。
 そこで、公立小中学校でも私立に見劣りしないよう学力を身につけるよう、公教育の底上げが必要ですが、どう考えるか伺います。

〇直原都立学校教育部長 都立中高一貫教育校だけではなく、公立小中学校の教育におきましても、都教育委員会と学校設置者である区市町村の教育委員会が連携し、学力調査の実施など、さまざまな学力向上策を通して、今後とも確かな学力の定着と向上を図ってまいります。

〇中村委員 さて、せっかく都立高校に入学しても途中で退学する生徒もいます。さまざまな理由があるとは思いますが、学校の側面から見れば、できるだけ退学者を減らし、しっかりとした人材を社会に送り出すこと、生徒の立場に立って、親身になって人生について相談することが大切です。
 そこで、平成二十三年度における都立高等学校の中途退学者の状況と、都教育委員会の中途退学防止に向けたこれまでの取り組みについて伺います。

〇坂本指導部長 平成二十三年度における都立高等学校全日制の中途退学者数は千五百四十三人で、前年度と比較すると三百三十六人減少しております。また、定時制の中途退学者数は千七百九十四人で、前年度と比較すると六十三人増加しています。
 主な退学の理由としましては、全日制、定時制とも、第一位が学校生活、学業不適応、第二位が進路変更、第三位が学業不振でございました。
 都教育委員会は、中途退学の多い学校に対しまして、中途退学予防のための指導を行う教員の加配等を行いますとともに、中途退学防止に向けて学校が組織的に取り組めるよう、改善計画書を提出させ、個別に指導助言を行っております。

〇中村委員 全日制では減っているようですが、定時制でふえているのは気になるところです。引き続きの取り組みをお願いします。
 また、平成二十三年度における都立高等学校の中途退学者のうち、他の高校へ入学した生徒の状況についてもあわせて伺います。

〇坂本指導部長 平成二十三年度における都立高等学校全日制の中途退学者のうち、他の高校へ入学した生徒数は二百八十七人で、前年度と比較すると二百二十九人減少しております。また、定時制の中途退学者のうち、他の高校へ入学した生徒数は七十二人で、前年度と比較すると三十八人減少しております。

〇中村委員 ほかの高校への入学、いわゆる転学者の数は退学者の数の内数ということのようですが、積極的な事情があって学校を変わる生徒もいるかとは思いますが、やむを得ずという状況もあるかと思います。
 大人が会社をやめたり変わったりするのに比べて、高校生が学校をやめたり変わったりするのは大変重たいことです。せっかく都立高校に入った生徒がそうした状況にならないよう、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 さて、今や高校への進学率は九七%を超えて、高校進学が当たり前となった現在にあって、都教育委員会は、どのような生徒を高校教育の中で育て、世の中に送り出そうとしているのでしょうか。
 単に受験に必要な学力やテクニックだけを身につけさせ、偏差値の高い学校へ進学したとしても、本当の人間力をはぐくまなければ社会では通用しないのではないかと考えますが、ご所見を伺います。

〇直原都立学校教育部長 都教育委員会は、すべての生徒が個性や適性に応じて自分の能力を最大限に発揮し、社会の中で真に自立できるよう育成するため、本年二月に新たな都立高校改革推進計画を策定いたしました。
 生徒が社会の中で強く生き抜いていくためには、進路希望が進学、就職のいずれであっても、社会人として求められる能力と態度を身につけることが重要であると認識しております。
 今後は、計画に基づき、いわゆる知、徳、体といった社会的自立の基盤となる力を確立させるとともに、キャリア教育を通して、生徒に将来の明確な目標を持たせ、人間関係の構築に必要なコミュニケーション能力を確実に定着させるなど、社会人としての基礎的な力を育成してまいります。

〇中村委員 教育を変えるには、もちろん高校受験が大事とはいうものの、それだけに振り回されず、いかに学力や人間力をつけるかに取り組むことが重要です。
 また、受験の存在が大きいのは、大学教育や大学受験が変わらなければ、その影響は当然出てきます。高等学校を所管する都として、国に対して、大学教育がいかにあるべきかということを提言することも検討していただきたいと思います。
 次に、障害児の教育について質問します。
 都は、ふえ続けるニーズに対応するために、第一次から三次まで特別支援計画を策定し、特別支援学校を増設する計画を立て、実行していることは評価します。
 一方、複数の障害がある児童生徒の対応として、種別の違う学校が一つの学校である併置校の設置も進められています。
 趣旨は理解できなくはないのですが、それに伴い、これまでは種別の違った学校なので別の学校だったのが、一つの学校になることで大規模化がなされます。ところが、どれだけ規模が大きくても、一校として職員の配置が決められると、さまざまな問題が起きるのではないかとの懸念の声があります。
 そこで、特別支援学校の併置校の職員配置の見直しが必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

〇岡崎人事部長 都教育委員会は、特別支援学校に在籍する児童生徒の障害の重複化に適切に対応できる教育環境を整備し、在籍者が増加傾向にある知的障害特別支援学校の規模と配置の適正化を図るため、複数の障害教育部門を併置する学校の設置を進めてまいりました。
 複数の障害教育部門を併置する特別支援学校の教職員についても、その他の特別支援学校と同様に、国のいわゆる標準法に基づく都の配置基準により人数を算定しておりまして、教諭については児童生徒数に応じた学級数に基づき算定し、教諭以外の教職員については学校単位で算定しております。
 養護教諭につきましては、一校当たり一名の配置基準でございますが、児童生徒数などによる補正基準により一名の加配を行ってまいりました。今年度からは、特に大規模な併置校の現状にかんがみ、都立府中けやきの森学園の開設を機に、さらに一名の都独自の加配を実施できるよう、配置基準を改正したところでございます。
 また、実際の教職員の配置に当たりましても、学校の状況などに応じて適切に対応しているところでございまして、今後とも、大規模な併置校においては児童生徒数や学校の状況などを踏まえ、教育活動に支障が生じないよう万全を期してまいります。
 なお、国に対しては、児童生徒数が多く、複数の障害教育部門が併置された特別支援学校については、教職員の算定基準についてきめ細かな改善を行うよう提案しているところでございます。

〇中村委員 今のお答えの中にもありました都立府中けやきの森学園、ことし四月にできたわけですけれども、私も時々訪問します。
 知的障害部門と肢体不自由部門が統合されて設置をされました。その際、知的障害部門は高校だけだったのを、小中学校を増設しましたので、規模からすれば二・五校が一校になったわけです。
 肢体不自由部門が三鷹市の学区になっていることもあって頻繁に訪れますが、大学のキャンパスのような広大な敷地と広い校舎で、全国でも有数の規模と聞いています。この半年間、大きな事故もないようなので安心はしていますが、事故が起きてから変えるのではなく、事故が起きないような体制の検証をお願いしたいと思います。
 国の基準が想定しなかったような大規模な学校を設置することになっているので、国への提案は引き続き行っていただきたいのですが、その基準を承知で大規模校を設置したわけです。養護教諭の配置基準を一部見直したことは評価しますが、設置する前からすれば削減になってしまうということもありますので、問題が発生しないよう、国の基準が変わるまでは、都として独自の基準を、さらに実情に合わせて見直していただくことを要望します。
 次に、発達障害のある児童生徒への教育について伺います。
 現在、小中学校の通常の学級では、発達障害があると思われる児童生徒がふえていて、学級によっては担任の教員だけでは対応に苦慮していると聞いています。
 発達障害のある児童生徒の多くは通常の学級で学んでいます。中には、週のうちの数時間を情緒障害等通級指導学級に通って特別な指導を受けていて、都の計画では、平成十三年に千百三十七人であったのが平成二十三年度には五千六百六十五人、平成三十二年度には八千八百四人と想定しているとのことです。
 このように通常の学級に在籍している発達障害のある児童生徒の状況について、都教育委員会はどのようにとらえ、どのような体制整備を考えているのかについて伺います。

〇廣瀬特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、発達障害のある児童生徒は、すべての学校、学級に在籍する可能性が高いと認識しております。
 発達障害のある児童生徒が、在籍校や在籍学級において、より円滑に集団生活に適応していくためには、新たな特別支援教育推進体制の整備が必要であると考えております。
 そこで、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づき、すべての小中学校に特別支援教室を設置し、専門性の高い教員が巡回指導することにより、発達障害のある児童生徒は在籍校を離れることなく、対人関係の改善等に向けた指導を受けられるようにいたします。
 現在、小学校を対象にしたモデル事業を実施しており、平成二十八年度から小学校に対して順次導入していく予定でございます。

〇中村委員 平成二十八年度から順次導入していくということですけれども、すべての小学校に導入できるようお願いをします。
 今、都教育委員会の発達障害のある児童生徒を支援するための新たな特別支援教育推進体制の構築についてはわかりました。
 小学校で特別支援教室の設置が進められ、発達障害のある児童が、在籍する学校で、専門性の高い教員による指導が受けられる体制が整えられることは評価できるところですが、一方では、通常の学級で教員が対応に苦慮すると、安易に特別支援教室を活用されるようになるのではないかという危惧もあります。
 そこで、どのような手続により児童を特別支援教室における指導の対象としていくのか、都教育委員会の考えを伺います。

〇廣瀬特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、平成二十四年度から三年間、四区市を対象としたモデル事業を実施しており、その中で、特別支援教室における指導を受ける児童の判定について、試行、検証いたします。
 特別支援教室における指導の開始に当たっては、区市町村教育委員会が設置する判定委員会においてさまざまな専門家の意見を聴取し、総合的かつ適切に判定することが望ましいと考えています。
 また、特別支援教室における指導の成果が高い児童については、特別支援教室における指導の終了を判定する仕組みの構築も必要であると考えております。

〇中村委員 教員の力量不足によって通常学級にいられなくなるということは減らしていただきたいと思います。教員の力量の向上により、幅広い児童の対応ができるようにする視点は重要であり、欠かせません。
 また、保護者も学校も、児童にとってどの学級がよいか考える際、その意見が異なることがよくあるようです。保護者も納得でき、児童にとって最善の対応ができる仕組みが構築されるようお願いをいたします。
 以上で質問を終わります。

ユーティリティ

都議会質問内検索

Search

過去ログ