2016/09/02 東京都都市計画審議会で2040年代の東京を議論
「2040年代の東京の都市像とその実現に向けた道筋について」の答申案について意見を申し上げます。案文を作成された特別委員会の皆様に敬意を表します。
東京は、2020年にオリンピック・パラリンピックを開催しますが、その5年後の2025年には団塊の世代の方々がすべて後期高齢者を迎える超高齢社会に入り、その先に2040年を迎えます。
今回の議論では、まちづくりをハードの側面だけではなくソフトの面からの検討も行われたことは評価します。まちに合わせて人が住むのではなく、人に合わせたまちづくりが大切です。少子高齢化、人口減少社会は大きな問題であり、ハード、ソフト両面から対応し、すべての人に居場所と出番がある社会を構築していただきたいと思います。
昨今では、地方から東京への集中が進み、東京の中でも郊外から都心へ、各地域でも周辺から駅前へと集中しています。インフラ整備を集中させ魅力を向上させることは重要ですが、集約されたところ以外が置き去りになるようではなりません。所得が高い人だけが便利なところに住め、社会的に立場の弱い方が暮らしにくい社会になってはならないと思います。むしろ周辺地域には良好でゆとりある住環境など別の付加価値を創造し、多様な方にとって選択できるようにし、誰にとっても住みやすい東京にしていくことが大切です。
東京は地価が高く住居費が生活費の多くを占めるとゆとりや豊かさを感じられません。都営住宅は数十倍の倍率である一方、民間住宅には大量の空き家があります。自然を壊しての開発や、急斜面地の開発などではなく、いまある都市空間、インフラをどう生かし、生まれ変わらせるかが重要です。
また、多摩地域についてはインフラ整備が遅れ、格差の解消が長年の懸案になっています。かつては多くの電機メーカーの事業所が立地していたのですが、昨今では残念ながら撤退が相次いでいます。大学は都心回帰を、企業は海外や地方への移転が進んでいる状況です。そうした背景において、「多摩広域拠点域」、「多摩イノベーション交流ゾーン」と位置付けられていますので、積極的取り組みに務めていただきたいと思います。
今後、この答申を受けて都が行政計画を作成する際にいま述べたことを踏まえていただくことを要望して、答申にあたっての意見とします。
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