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都議会質問記録

2016/10/13 文書質問「高齢者施策について」を都に提出しました。

一 高齢者施策について

 9月28日に行われた小池知事の初の所信表明演説では、「新しい東京」を目指して「セーフ シティ」「ダイバーシティ」「スマート シティ」の3つのシティの実現を掲げました。その中の、「ダイバーシティ」の実現の一つとして、超高齢社会についても言及されました。2020年のオリンピック後の東京の未来像「Beyond2020」を描くことも表明されていますが、そこに向けて最も大きな課題の一つは来たるべく超高齢社会への対応です。とりわけ2025年にはいわゆる団塊の世代の方がすべて後期高齢者を迎え「2025年問題」と言われています。そこで超高齢社会に向けての取組について以下、質問します。

1 知事は公約で「あらゆる都内遊休空間を利用し、保育施設、介護施設不足を解消。同時に、待遇改善等により保育人材、介護人材を確保する。」と掲げました。住み慣れた地域で生活し続けることは望ましいのですが、介護施設もまだまだ不足しており必要であることは言うまでもなく、都も整備を進めていますが、多くの方が待機しているのも現実です。これまでの「東京都長期ビジョン」を基本的には継承するとのことですが、保育園の待機児童の問題のように計画を前倒しして緊急対策をすることも必要です。今後の方向性について伺います。

回答
 都は、現在、第6期東京都高齢者保健福祉計画で定めた、平成37年度末までに特別養護老人ホームを定員6万人分、介護老人保健施設を定員3万人分、認知症高齢者グループホームを定員2万人分確保する整備目標の達成に向け、整備費補助の拡充や都有地の減額貸付けなど、様々な取組を進めており、その成果や目標の達成状況は、保健医療福祉の関係者等からなる委員会で進行管理を行っています。
 今後、第6期計画の達成状況や、区市町村が地域のニーズに基づき算定するサービス見込量などを踏まえ、平成29年度に平成30年度からの第7期計画を策定し、介護施設の整備を進めていきます。

2 予算の問題などから、国の介護保険制度の見直しで、特別養護介護老人ホームには原則要介護3以上しか入所できないことになりました。制度の変更によって、都が見込んでいた待機者数はどのように変化したのか伺います。また、制度が変わったからといって困っている人が減るわけではないので、実態をどう把握しているのか伺います。

回答
 介護保険制度の改正により、平成27年4月1日以降の特別養護老人ホームの入所対象者は、原則として、要介護3以上となりました。
 都は、東京都高齢者保健福祉計画の策定の基礎資料とするため、特別養護老人ホームの入所申込状況について、3年ごとに調査を実施しており、平成25年度に実施した直近の調査では、入所申込者は43,384人で、このうち要介護3以上は31,411人でした。
 制度改正後の入所申込状況については、次期計画の策定に向け、現在調査中です。

3 特別養護老人ホームへの入所は原則要介護3以上ということのため、原則要介護1、2の方は入れなくなりました。しかし、原則なので、認知症の方は要介護度1、2の方も制度上は入所できるとのことです。実際に要介護度1、2の方でどのくらいの方が入所できているのか伺います。

回答
 要介護1又は2であっても、認知症で日常生活に支障を来すような症状等が頻繁に見られるなど、やむを得ない事情により特別養護老人ホーム以外での生活が困難な方については、平成27年4月の制度改正後も入所できることとなっています。
 特別養護老人ホームにおける要介護1及び2の人の利用状況は、制度改正前の平成27年3月では全利用者43,318人中4,743人であり、制度改正後の平成28年3月では44,692人中3,941人となっています。

4 老人保健施設に入所される家族の方から、本当は特別養護老人ホームに入りたいけれど、入れないので、老人保健施設に入っていると聴くことがあります。実態として介護老人保健施設に入所している方々で、どのくらいの人が特別養護老人ホームの待機者であると把握しているか伺います。また、その数は、特別養護老人ホームの待機者の数としてどのように扱われているか伺います。

回答
 平成25年度に実施した特別養護老人ホーム入所申込状況調査では、自宅や認知症高齢者グループホームなど、入所申込者の現在の居住場所についても調査しており、それによると、入所申込者43,384人のうち、介護老人保健施設に入所している人は7,994人でした。

5 老人保健施設はリハビリテーションが目的のため、3~6ヶ月で退所を求められるとのことです。しかし、実際には特別養護老人ホームの待機者は自宅に戻れる状態ではないため、その期間が来るごとに次の施設を探し、転院することで苦労しています。ある施設で一緒だった方が、別の施設でまた一緒になるという話もよく聴きます。こうした矛盾をどのように捉え対応すべきか、負担を軽減する施策が必要と考えますが、見解を伺います。

回答

  介護老人保健施設は、病状が安定期にある要介護高齢者を入所させ、在宅生活への復帰に向けて機能訓練等のサービスを提供する施設ですが、入所申込状況調査によれば、介護老人保健施設に入所しながら特別養護老人ホームに入所申込みをしている人もいます。
 都は、今後とも、大都市東京にふさわしい地域包括ケアシステムの構築を進めるという考えに立って、在宅サービスや施設サービスなどをバランスよく整備し、高齢者が安心して地域で暮らすことのできる環境整備を進めていきます。

6 生産年齢人口の減少や共働き世帯の増加などにより、今後、介護と仕事との両立の課題がますます増大していきます。両立ができないと介護離職せざるを得なくなり、そのことは経済的な困窮に繋がりかねません。都として介護離職の問題をどのように捉えていますか。また、実際にどのくらいの人が介護離職をしていると把握していますか、伺います。

回答
 高齢化の進展に伴い、今後ますます介護を要する方の増加が見込まれる中、働く方が、介護を含む家庭生活と仕事との両立を図り、離職することなく働き続けられる職場環境の整備が必要です。
 なお、国の就業構造基本調査によると、介護、看護のために離職した方は、平成23年10月から平成24年9月までの1年間に、東京都内で9,200人と推計されています。

7 知事は、「ライフ・ワーク・バランス」を掲げ、生活の重要性を掲げました。今後、介護離職への対応については、働き方の改革からの対応も重要です。その見解を伺います。

回答
 介護と仕事との両立が可能な職場環境を実現するには、長時間労働の削減や有給休暇を取得しやすい職場づくりといった働き方の改革を進めることが重要です。
 都は平成28年度から、それぞれの実情に応じた改革に取り組もうとする企業を応援する「TOKYO働き方改革宣言企業制度」を開始しています。
 今後も、「ライフ・ワーク・バランス」の実現に向けて、企業における働き方の改革を支援していきます。

8 一方、仕事を続けざるを得ない状況にあれば、介護の制度からの対応も必要と考えますが見解を伺います。

回答
 介護保険制度では、訪問介護や通所介護など、要介護高齢者の在宅生活を支える様々なサービスが提供されています。
 また、都は、家族介護者のレスパイトに有効なショートステイ、小規模多機能型居宅介護など、在宅介護を支えるサービス基盤の整備を促進するとともに、特別養護老人ホームなどの介護施設の整備促進にも取り組んでいます。

9 晩婚化・晩産化等により、育児と介護を同時に担ういわゆる「ダブルケア」の問題が指摘されるようになっています。今年4月に内閣府男女共同参画局が「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」を行い、全国で25万人がいると推計されます。都においてはその現状をどう把握しているか伺います。

回答
 平成28年4月に内閣府が公表した「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」では、いわゆる「ダブルケア」を行う者は、総務省が実施した「平成24年就業構造基本調査」に基づいて推計すると、全国で25万3千人になるとしています。
 都の推計はありませんが、「平成24年就業構造基本調査」によると、有業者で育児をしている者は全国で710万6千人、都では75万2千人、有業者で介護をしている者は全国で291万人、都では29万9千人となっています。

10 ダブルケアについて、東京では、核家族化が進む中で、同居のダブルケアだけではなく、別居の親の介護をすることも想定されます。経済的負担の軽減策について子育てと介護を含めて総合的に判断するなど新たな施策も求められます。ダブルケアに関する対策について都の見解を伺います。

回答
 子育て支援について、都は、妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援体制を整備するため、妊娠や出産に関する相談窓口を設置するほか、地域における子供と家庭の相談窓口である子供家庭支援センターの体制強化や保育サービスの拡充等に取り組む区市町村を支援しています。
 また、介護については、介護保険制度に基づき、要介護度に応じて必要な在宅サービスや施設サービスが提供されており、都は、制度運営に必要な財源を負担するとともに、介護サービス基盤の整備などを進めています。
 なお、子育てや介護の経済的負担に対しては、保育や介護サービスの利用料における低所得者への配慮に加え、児童手当や乳幼児等の医療費助成、介護サービスの利用に要した費用の一部が所得税の医療費控除の対象になるなど、様々な対策が講じられています。

 

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