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都議会質問記録

2017/01/31 豊洲市場の地下水79倍の汚染検出について質問

○中村委員 質問に先立ちまして、故木内良明議員のご冥福を心からお祈り申し上げます。
  さて、報告事項に対する質問を行いますが、大変大きな話なので、少しこれまでの経過も触れながら質問に入っていきたいと思っています。
  一月十四日の専門家会議において、豊洲市場用地で実施をした第九回の地下水モニタリングの結果が暫定値として発表されました。それは環境基準値の七十九倍を超えたベンゼンや、その他、ヒ素、シアンが豊洲市場用地の合計七十二カ所の井戸から検出されたというものでした。私たち都議会民進党は、こうした結果に大変驚いているとともに、怒りを感じます。
  そもそも、なぜ生鮮食料品を扱う市場の移転先として、東京ガスの工場跡地を選んでしまったのでしょうか。このことについては多くの都民、国民が関心を寄せ、疑問を抱いています。豊洲市場予定地から環境基準の一千倍、あるいは四万三千倍のベンゼンが検出されるなど、土壌汚染に対する不安が高まる中、二〇〇九年七月、当時の都議会民主党は、築地市場を強引に移転することに反対し、多くの都民が望んでいる築地の現在地再整備について改めて検討すると主張し、選挙を戦ってきました。
  改選後には、都議会に東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会が設置をされ、都議会として現在地再整備案が検討され、成案を得ることができたのです。当時、民主党は、この現在地再整備案と豊洲案とを比較して、意向調査を実施した上で、移転の是非を判断すべきと主張していました。
  しかし、二〇一〇年十月、当時の石原知事が豊洲への移転を宣言し、翌年には特別委員会も廃止されました。このような強引な手法がまかり通る中で、中央区と東京都の合意などを受けて、民主党は土壌汚染問題に対して、豊洲新市場の建設工事は汚染処理を完了した上で実施することや、豊洲新市場の開場に当たっては土壌汚染対策を着実に実施し、安心・安全な状態で行うことなどの附帯条件を付して予算案にも賛成をしてきたのです。
  しかし、この間、約束をしていた敷地全面における盛り土が行われていなかったことを初め、地下水位を一定に保つと約束していた地下水管理システムの問題、そして何より、今回の調査結果で環境基準値の七十九倍を超えたベンゼンや、その他、ヒ素、シアンが合計七十二カ所の井戸から検出されたことは、この間、東京都が私たちに約束していた根本を全くもって覆すことの証左にほかなりません。
  昨日から専門家会議による再調査が始まりましたが、そもそも、なぜ生鮮食料品を扱う市場の移転先としてこの地が選ばれたのか、その経緯などを改めてこの特別委員会にて検証する必要があると考えています。
  私たち都議会民進党は、この委員会において、豊洲市場の移転問題を過去の経緯を初め根本から再検証していきたい。そのために、今回の地下水を調査分析した会社に加え、当時の石原知事など参考人を招致して議論を深めたいと考え、各会派の皆さんに賛同を求めます。
  それでは、まず質問に入りたいと思っておりますけれども、この第九回地下水モニタリング調査結果の最大七十九倍という数字は驚きましたが、都として、いつそのデータを知り、どのように受けとめたのか、市場関係者、都民に対してどのように説明を行うのか伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 今回の調査結果については、市場長には一月十日に報告いたしました。その後、専門家会議において、今回の測定結果はこれまでの調査結果と大きく乖離しており、現時点でこの結果を評価することができない、なぜ急激に濃度が上がったかについて検証していく必要があるとされ、市場関係者及び都民の皆様に対しては、試料の採取方法などについて確認中のため、今回のデータは暫定値とするとご説明をさせていただいております。専門家会議においても、暫定値として取り扱うことについては妥当であるとされております。

○中村委員 八回目の調査までは都が調査の主体であり、東京都が発表していました。専門家会議がこれまでなかったとはいえ、このデータは都が調査したデータなので、まず都が発表して、その後、専門家会議が評価を加えればいいのではないでしょうか。
  都のホームページでも、都が調べて発表したという形式ではなく、専門家会議の資料として掲載されているだけで、何か他人事のように見えてしまいます。
  都は驚いているというだけではなく、調査をした主体として認識すべきだと思いますが、見解を伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 調査結果については、専門家会議において一元管理した上で審議し、評価とあわせて公表する方針が打ち出されたことを受け、この方針に準じたものでございます。

○中村委員 専門家会議の平田座長は、一月十日にデータを見たと述べていました。
  市場長は、十二日に知事と一緒に築地市場を視察しています。このときに調査結果を知っていたのでしょうか。データを知っていながら、移転するかどうか決まらず不安な市場関係者と接して、どう思ったのでしょうか、伺います。

○村松中央卸売市場長 さまざまな分析結果につきましては、専門家会議におきまして一元的に管理いたしまして評価した上で公表する、そういう方針になっておりまして、今回の調査結果につきましても、それに向けて準備を進めてまいりました。
  その間の経過を申し上げますと、一月十日に私自身、報告を受けましたが、これまでのモニタリング調査と大きく異なった結果であり、数値や検査の状況について詳細に確認するように指示をいたしました。十二日の知事視察の際には、こうした確認を進めている途中でございました。その後、十三日に知事に報告いたしましたが、十四日の専門家会議までに確認が完了しなかったことから、暫定値として報告させていただいたものでございます。

○中村委員 市場長は、データを十日に知り、すぐには知事には伝えなかったとのことです。確かに驚くべき数値ですけれども、だからこそ、よくない情報というのはすぐにでも報告すべきものだと思います。結果的には、専門家会議直前の数日間とはいうものの、情報がとまっていたことに変わりはありません。この数値が発表されれば、世の中が騒然とするほどの情報であり、すぐにでもトップの判断を仰ぐべきであったのではないかと思います。そういう体質を改めることこそ、今の都政に求められているのではないかと思います。
  さて、また、汚染があった土地への移転を決め、盛り土がなかったのは過去の問題であって、今の担当者は尻拭いで大変だといわれてきました。ただ、今回の調査結果は、誰もが間違いであってほしいと願いますが、仮に間違いだとしても、それは今の担当者がこの調査会社をどう選び、どう指示し、どう確認をしたか、責任が生じるのではないかということになります。地下水の調査は法的な義務によるものではなく、不安を解消するものであるということですが、仮に調査方法を誤ったとしたら、不安を解消するどころか拡大させてしまったわけです。これは過去のことではなく、今の市場の担当者の責任ではないかと思いますが、そのことについてどのように考えているか伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 今回の調査結果は、これまで第一回から第八回までの調査結果と比べ急激に変動している箇所が多々あり、調査内容等の確認を行っていることから、暫定値として公表したものでございます。
  専門家会議においても、これまでの調査結果と大きく乖離し、現時点で評価できないことから、専門家会議の管理のもと、昨日より再調査を実施しております。
  再調査の結果については、次回の専門家会議で評価、検証する予定であり、都としては、その結果を踏まえて適切に対応してまいります。

○中村委員 何か聞いていると、まだ暫定値だから、おわびも責任もありませんというようにしか聞こえません。昨日からの調査で慌てて立ち会うようにしているようですけれども、最初からそうしていればよかったのではないでしょうか。これだけ大事な事業で注目もされている調査について、もっと丁寧に扱うべきではなかったのでしょうか。
  少なくとも八回目には基準を超えた数値が出ていたわけですから、楽観はできないはずでした。結果として都民や市場関係者に不安を抱かせ、都政に対する不信感が強まったことをもっともっと重く受けとめるべきだというふうに思います。
  さて、採水と分析を、では具体的にどのように行ったのか、詳しく説明を求めたいと思います。その際、異常な数値が出る原因となる可能性のある工程はどこだったのでしょうか。採水をする際に空気が入ったり、土壌の砂が入ったりしても結果が違うともいわれます。その後、分析までの時間、その間の温度や光に当たったりしても変わってしまうといいます。こういったことがきちんとなされていたのでしょうか。伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 採水及び分析については、国のガイドラインなどに基づいて実施しております。
  具体的な過去の調査方法については、専門家会議の関与のもとで、調査報告書を初めとした関係書類や施工を記録した写真などの資料に基づいて検証するとともに、受託会社などに対するヒアリングを行っていく予定でございます。

○中村委員 それでは、具体的に調査を行う会社についても伺いますが、そういった調査を行うのはどのような専門性を持った者ができるのでしょうか。東京都は、この調査会社に対してどのように指示をし、どのように監督をし、どのように正確性を担保しているのか、こちらについて伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 モニタリング調査については、国のガイドラインなどに採水の方法、試料の取り扱い、分析方法が定められており、ガイドラインに準拠するよう指導することで、調査結果の精度は担保されるものと考えております。

○中村委員 先ほどの委員の質問でもありましたけれども、国のガイドラインどおりにやっているとか、そういっただけで、全てに立ち会っていたわけでもないということのようですし、資料での検証やヒアリングというだけで、これではどこまで本当にわかるのかわかりません。なかなか、今の答弁だけを聞いていれば、当然都民が納得できるという状況ではないと思っていますし、第三者の関与という点では、意見等を含めて、私たち議会も積極的に直接話を聞いていくということも必要かと思っていますので、やはり直接お招きして話を聞くということの必要性を痛切に感じるものでもございます。
  さて、この二年間のモニタリングの調査で、異常が出たら、もともとどのように対応することになっていたのでしょうか。法的に調査を行う義務はないということなのでしょうが、基準を超える値が検出されたら、土壌汚染と関係ないとはいい切れないのではないでしょうか。伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 今回の調査結果については、専門家会議では、これまでの調査結果と大きく乖離し、現時点で評価できないことから、専門家会議の管理のもと、再調査を行うこととしております。
  再調査の結果について、次回の専門家会議で評価、検証する予定であり、都としては、この結果を踏まえ、適切に対応してまいります。

○中村委員 調査結果が専門家会議としても説明できないとして再調査をすることだそうなんですが、逆に、今回の調査結果を受けても土壌汚染対策は完了したという見解は変わらないのでしょうか。この調査が異常なのではなくて、土壌汚染対策が十分ではないという可能性はないのか、見解を伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 土壌汚染対策に対する見解についてのご質問でございますが、再調査の結果が出ていない現段階では、仮定の内容について答弁することは差し控えさせていただきます。
  まず、再調査を適切に実施し、結果について評価、検証する予定であり、都としては、この結果を踏まえて適切に対応してまいります。

○中村委員 専門家会議として説明できない結果なので、評価できないということだそうなんですけれども、ただ、よい結果だと思っていたのが、そうでないからやり直しというだけではなくて、この結果が真実だった場合にどうするかということも考える必要があります。都合の悪い情報から目を背けるわけにはいかないのではないでしょうか。
  これまで土壌汚染対策が終わったとしていた調査を疑い、再調査すべきとも考えます。当時は専門家会議がなく、技術会議で確認したそうですが、改めてクロスチェックを行うためにも、専門家会議としても、モニタリング調査の再調査だけではなく、土壌汚染対策そのものについても再調査すべきではないでしょうか。見解を伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 先ほどもご答弁したとおり、現段階では、再調査の結果が出ておらず、次回の専門家会議において再調査の結果を評価、検証する予定であり、都としては、この結果を踏まえて今後の対応を検討してまいります。

○中村委員 また、逆に、今回の調査結果は異常で暫定値とされましたが、では、再調査の結果が仮に基準値を超える濃度にならなかったとしたら、九回目のデータの扱いはどうするんでしょうか。九回目のデータについては、その調査が誤っていたと証明できない限りは、なかったことにできないのではないでしょうか。どのようにそれを証明するのか伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 再調査後の今回の調査結果の扱いについてのご質問でございますが、再調査の結果が出ていない現段階では、仮定の内容について答弁することは差し控えさせていただきます。
  次回の専門家会議において再調査の結果を評価、検証する予定であり、都としては、この結果を踏まえて適切に対応いたします。

○中村委員 また、都民からは、この九回目のデータが異常ではなくて、一回目から八回目が問題ではないかという疑いの声もあります。一回目から八回目のデータについても、調査方法が正しかったと証明できなければ、そのデータの信憑性は、幾ら技術的に問題ないといわれても、都民の心情として安心とはいえません。
  この一回目から八回目の調査が正しかったと証明する必要がありますが、それについての見解を伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 過去の調査の方法の検証については、専門家会議の関与のもとで、調査報告書を初めとした関係書類や施工を記録した写真などの資料に基づいて検証するとともに、受託会社等に対するヒアリングを行っていく予定でございます。

○中村委員 異常な数値となった理由として、地下水管理システムが動いたからともいわれていますが、五街区の地下水管理システムが稼働した後の第八回地下水モニタリングで、五街区からベンゼンなどが環境基準値を超えて検出され、全ての地下水管理システムが稼働した後の第九回地下水モニタリングにおいて、全ての街区で環境基準値を超えた物質が検出されましたが、関連についてどのように考えるのか伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 今回の調査結果について、地下水管理システムの稼働によるものではないかといったご意見があることは承知しておりますが、専門家会議では、現段階で地下水管理システムの影響があったか否かについて特定はしておりません。

○中村委員 なかなか、関連がないというようなことはいいんですけれども、もともと、そもそも何もなければ、動いたろうか動かまいが出ないはずなんですけれども、こういった、出たということになるわけですから、そうした物質が除去できずに地下に残っていたからということは考えられないんでしょうか。地下水は動いていると考えられることもないのでしょうか。見解を伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 今回の調査結果については、専門家会議では、これまでの調査結果と大きく乖離し、現時点で評価できないことから、専門家会議の管理のもと、再調査を行うこととしております。また、専門家会議では、現段階で地下水管理システムに影響があったか否かについては特定しておりません。

○中村委員 この再調査についても調査箇所数を減らして頻度をふやすということですが、これだけ重要な事業ですので、頻度をふやしたからといって、箇所数を減らす必要はないのではないでしょうか。それでは調査全体が粗くなってしまうのではないでしょうか。見解を伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 再調査は、可能な限り早く今回の結果について検証するため、第九回のモニタリング調査においてベンゼンまたはシアンが基準値の五倍を超えて検出された箇所に、低濃度の箇所などを加えた合計二十九カ所を選定し、正確性を期するため二回実施するものでございます。

○中村委員 再調査についてですが、専門家会議の立ち会いをやるということでしょうが、本当に今まで、先ほどからもお話が出ていましたが、全て立ち会うべきだったのではないでしょうか。これまで、どうも質問のやりとりを聞いていると、本当に一部しか立ち会っていなかったようなことでもありました。
  とりわけ、熟知した人には立ち会わせていたというような話もありましたけれども、こういったことを、そもそもどの程度立ち会っていて、そして立ち会っていなかった部分についてはどのようにデータが正しいといえるのか伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 地下水のモニタリング調査においては、都の監督員が採水時に立ち会うか、立ち会えない場合は写真や資料などで確認するとともに、国のガイドラインに準拠するよう指導することで、調査結果の精度を担保してまいりました。
  また、第一回から第八回までの分析については、計量法に基づく計量証明書が発行されていることをもって分析が適切に行われていることを確認しております。
  なお、改めて専門家会議の関与のもと、調査内容等について確認を行っていく予定でございます。

○中村委員 先ほども述べましたけれども、本当にこの一連の問題の重要性から考えれば、この調査をもっと重視して、常に立ち会うということで、調査そのものの信憑性を確保しておかなければならなかったのではないでしょうか。過去の担当者の責任とか、説明できないから再調査としているだけで、市場として都民の信頼を得ていく姿勢に欠けていたといわざるを得ません。
  さて、専門家会議では、地上と地下を分けるとして、地上は安全だとはいっています。ただ、地下がじゃあ安全ではないというままで都民の安心が得られると考えているのでしょうか。都の見解を伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 専門家会議は、地上部分と地下部分に分けて評価をしており、建物一階部分では、これまでの調査において環境基準値の超過は検出されていないことから、現状において問題はないとしております。また、地下部分については、安心を確保する観点から、科学的に調査していくとしております。
  都は、専門家会議の指示のもと、再調査を的確に実施することで、市場関係者や都民の皆様の不安の解消に努めてまいります。

○中村委員 次に、具体的に地下水の調査分析を行う事業者について質問します。
  まずは、再調査を行う事業者の一つ、東京都環境科学研究所についてです。
  環境局の監理団体である東京都環境公社の東京都環境科学研究所が調べることは、第三者性があるといえるのでしょうか。そもそもどのような能力を有した団体なのか、地下水の調査に必要な能力があるのか、また、この研究所は土壌汚染対策法上の指定調査機関としての指定を受けているのか伺います。

○小原環境局環境政策担当部長 東京都環境科学研究所は、東京の都市環境の改善、向上に資する幅広い研究を行っている公的試験研究機関でございます。これまでも、環境局が民間調査機関に委託した地下水や公共用水域の水質分析のクロスチェックの依頼を受け実施いたしておりまして、今回も公平、公正な立場からクロスチェックを実施いたします。
  なお、環境科学研究所は、土壌汚染対策の状況を調査するための指定調査機関ではございませんが、そもそも土壌汚染対策法上、地下水のモニタリング調査につきましては、指定調査機関であることを求められておりません。
  環境科学研究所は、今回調査する検体を分析し、クロスチェックを行う技術的能力を十分に有しているところでございます。

○中村委員 今の環境科学研究所を含めて再調査には四つの事業者がかかわりますが、再調査を行う会社の選定理由は何でしょうか。今後の再調査の具体的な工程がどのようになっているのか、あわせて伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 調査会社は、再調査の趣旨を踏まえて、専門家の視点から、事業者の信頼性や実績を考慮して複数者選定いたします。
  具体的には、これまでの測定結果の違いを考察するために、過去の調査を行った二者と、これまで専門家会議の指示による調査を行ってきた会社を加えた三者といたします。
  なお、分析には東京都環境科学研究所も参加いたします。これによって分析結果のクロスチェックが十全に行えるものと考えております。
  また、再調査の工程については、二回の調査結果を確認する必要があることから、採水と分析に一カ月余りを要すると見込んでおります。結果については、過去の調査の検証結果とあわせて、三月の専門家会議において公表していく予定であります。

○中村委員 二〇一五年十一月十六日の公営企業会計決算特別委員会で都議会民進党の西沢議員から、土壌汚染対策工事の調査に関して、指定調査機関の公平な手続を求めて質問し、当時の岸本市場長からは、調査は公正に行わなければならないとの厳格な義務規定が置かれているとの答弁がありました。地下水の調査についても公平な手続が必要だと考えますが、見解を伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 地下水のモニタリング調査については、国のガイドラインなどに採水の方法、試料の取り扱い、分析方法が定められており、ガイドラインに準拠するよう指導することで、調査結果の公平性は担保されているものと考えております。

○中村委員 今、公平性について伺ったんですが、一回目から三回目の採水は地下水管理システムの日水コンで、四回目から八回目までの採水、分析は建設工事を行うゼネコンに随意契約で発注をしています。これでは公平性がないのではないかというふうに思われるのですが、随意契約にした理由をそれぞれ伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 第一回から第三回の調査では、採水について地下水モニタリング実施計画などの策定を受託した会社と契約いたしました。この会社は、委託の中で、敷地内の地下水の採水作業を行うなど、現場状況を熟知していることから、契約の相手方として適切であると判断いたしました。
  第四回から第八回については、建築工事や外構工事など多くの工事がふくそうして施工されている中で調査を進めなければならない状況であったため、調査の採水作業などは適切な管理のもとに正確な作業が求められ、工事の施工と同時並行的に進めるには、綿密かつ十分な工程調整のもとに進める必要がありました。
  さらに、工事の進捗は各街区それぞれ異なる状況であり、モニタリング調査を適切かつ円滑に実施するため、各街区の工事を受注していたJVと契約することといたしました。

○中村委員 都は、一月十六日に、調査会社に都のOBはいないと発表しました。しかし、都が発注したのはゼネコンであり、実際に調査した会社ではありません。あくまで都はゼネコンに調査を依頼したのであるから、OBがいないというのはミスリードではないでしょうか。都が発注したゼネコン三者に再就職した都の幹部職員OBの人数と、その中に中央卸売市場を退職した者はいるのか伺います。
  また、その人たちを含めてゼネコン三者に再就職した都のOBはこの調査にかかわっていないのか、あわせて伺います。

○井上中央卸売市場新市場整備調整担当部長 第四回から第八回までの地下水モニタリング調査における採水、分析業務を受注したゼネコン三者とは、鹿島建設株式会社、清水建設株式会社、大成建設株式会社でございます。この三者への再就職状況については、平成十七年夏季幹部異動後の過去十年間で十名の幹部職員が再就職しておりますが、中央卸売市場を退職した者はおりません。
  なお、この三者に確認したところ、豊洲市場用地における地下水モニタリング調査に、これらの都のOBがかかわった事実はございません。

○中村委員 かかわりはないということではあったんですけれども、そこに行っている人がいればやはり疑われてしまうということもありますから、こういったところはきちんとすべきではなかったのかというふうに思います。
  さて、建設工事の間に調整が必要なので建設会社に委託をしたとしますが、建設会社が調査を行うのではなく下請に丸投げをしているのであれば、都が直接発注した会社とゼネコンとで日程の協議をさせれば済むはずではないでしょうか。そもそも丸投げの再委託は禁止をしていないのか、これは幾らで再発注されたのか伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 本調査業務は、各JVが受注した工事の主たる内容ではないため、契約書で禁止した一括委託または一括下請には当たりません。また、建設業法などでは、工事の下請で行われる調査業務については、工事の受注者と下請業者との間の契約書や仕様書を発注者に提出する義務はございません。また、このことから下請金額については把握しておりません。

○中村委員 下請の金額は把握していないとの答弁でした。そもそも、この委員会の二十三日の説明聴取の際に、四回目から八回目の調査に関する再委託の契約関連書類の提出を委員会として求めたのですが、出せないということであり、また、今、下請金額も把握をしていないということだったんですが、少し追加で聞きたいんですけれども、出せないということだったのか、そもそも東京都は先方に対して出してくれといったのか、そこのところをどのように相手と交渉したのか伺います。

○山崎委員長 答弁調整していないなら、もっとちゃんと、中村理事、はっきりいった方がいいよ。多分、聞き取れていないんだよ。(「うん、聞こえないんだよ。もう一回質問したら」と呼ぶ者あり)じゃ、もう一回、ちょっと改めて、中村理事の方から質問いたします。

○中村委員 もう一度伺いますけれども、下請の金額を把握していないということでしたけれども、委員会からは、再委託の契約関連書類の提出を求めていたんですが、出してこないということでありました。それは出せないということだったのか、そもそも交渉していないのか、どのように都は交渉したのか伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 建設業法などでは、工事の下請で行われる調査業務については、工事の受注者と下請業者との間の契約書や仕様書を発注者に提出する義務はないことから、現段階において都はそれらの資料を所有していないということでございますが、都としても、今後実施する過去の調査の検証でそれらの資料の確認を予定しておりますことから、現在、受注者に提出を依頼しているところでございます。

○中村委員 委員会の方から資料要求をしたわけですけれども、出てこなかったということなんですが、要求はしたけれども間に合わなかったということのようですから、後日それはいただければというふうに思います。
  さて、この四回目から八回目の工事ということは、今お話ししたように都が直接発注をしないわけですけれども、都はどうやってその調査が正しいとしてきたのか伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 地下水モニタリング調査においては、都の監督員が採水時に立ち会うか、立ち会えない場合は写真や資料などで確認するとともに、国のガイドラインに準拠するよう指導することで、調査結果の精度を担保しております。
  また、第一回から第八回目までの分析については、計量法に基づく計量証明書が発行されていることをもって分析が適切に行われていることを確認しております。

○中村委員 委員会の要求資料の中で、第九回目の地下水調査の入札経過調書を提出していただきました。落札金額約三百万円です。九者が応札をして、最も高額の価格は一千五百万円、次に高い金額は、今回随意契約で再調査を受託した会社で一千百万円でした。また、一回目から三回目までの調査では、採水は特命随意契約でしたが、分析は入札を行い、事前に担当の方から伺ったところ、落札金額百五十万円、九者応札をし、最も高い金額は六百三十万円とのことでした。
  同じ環境分析を行うのに、入札結果の金額が大きく異なっているのはなぜだと考えているでしょうか。低価格で落札した場合に、その質はどのように担保されていると考えているのか伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 委託には最低制限価格の規定はございません。入札金額は受託者が判断して入札したものであります。
  モニタリング調査については、国のガイドラインなどに採水の方法、試料の取り扱い、分析方法が定められており、ガイドラインに準拠するよう指導することで、調査結果の精度は担保されるものと考えております。

○中村委員 平成二十四年度の東京都中央卸売市場会計予算に対する付帯決議で、一、豊洲新市場の開場に当たっては、土壌汚染対策を着実に実施し、安心・安全な状態で行うこととし、リスクコミュニケーションなどの取り組みを通じて、都民や市場関係者の理解と信頼を得ていくこと、二、豊洲新市場の施設の建設工事は、汚染の処理を完了した上で、実施することを求めていました。
  この付帯決議をどのように受けとめているのでしょうか。守られているといえるのでしょうか。伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 都議会で議決された付帯決議を遵守することの大切さは十分に認識しており、汚染土壌の処理や地下水の浄化などを着実に実施し、計量法に基づく計量証明書の発行をもって土壌汚染対策が適切に講じられていたことを確認してきたところでございます。
  土壌汚染対策工事の完了後、二年間の地下水モニタリングを実施してきておりますが、今回の調査結果についてはこれまでの調査結果と大きく乖離し、現時点で評価できないことから、専門家会議の管理のもと、再調査を行うこととしております。
  再調査の結果について、次回の専門家会議で評価、検証する予定であり、都としては、この結果を踏まえ、適切に対応してまいります。

○中村委員 都は、技術的な判断基準は専門家会議に求めますが、盛り土問題に加えて地下水問題と、都民や市場関係者の都への不信感はこれまでにないほど募っています。そうした状況で、仮に専門家会議で技術的には安全とされても、都民が安心して市場として認めるためには、どのような基準をもって判断するのか伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 豊洲市場への移転に当たっては、食の安全・安心を確保することが最優先の課題であり、現在、専門家会議や市場問題プロジェクトチームにおける安全性などの検証について、市場業者の意見を伺いながら精力的に進めているところであります。これらの検討に当たり必要となる調査などに引き続き適切に対応するとともに、正確な情報提供に努めることで、安全・安心な市場の実現と都民の信頼回復を図ってまいります。

○中村委員 地下水モニタリングの測定は、先ほどもありましたが、全部で二百一カ所行っていますが、ベンゼン、シアン、ヒ素、鉛、水銀の五つ全部を全ての場所で調査はしていないとのことです。土壌汚染対策法に準ずる対策というんですが、これはなぜでしょうか。どういう基準で選んでいるのか、全部やるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 地下水の二年間モニタリング調査は、国のガイドラインに基づき、これまで土壌及び地下水の汚染が検出された物質を対象として実施するものでございます。

○中村委員 二百一カ所について、いずれにしても採水はするわけですから、五物質調べてもいいんではないかと思っていますが、予算では幾らかかるんでしょう。採水した水の分析について、一物質しかない場合と五物質全て分析する場合と、予算や期間はどのくらい変わるんでしょうか。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 採水に要する費用や期間については、モニタリング井戸の設置場所が、作業しやすい広い場所か、地下などの狭い空間か、井戸周辺の地盤の透水性などの現場条件などによって異なるため、一概にお答えはできません。

○中村委員 地下ピット内の水については、ベンゼン、シアン、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムを調査しています。なぜこれまでの地下水モニタリングでは六価クロムとカドミウムは調べていなかったのでしょうか。調べるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 地下水の二年間モニタリングは、国のガイドラインに基づき、地下水で汚染が検出された物質を対象として、汚染がない状況が二年間継続することを確認するために実施するものであります。
  一方、地下水の汚染が認められなかった物質については、モニタリング調査による汚染がないことを一回確認することが定められております。このため、地下水汚染が生じていない六価クロム及びカドミウムについては、平成二十六年に行った一回のモニタリングにより地下水の汚染がないことを確認し、完了しております。

○中村委員 今回七十二カ所で高い値が出ましたけれども、対策工事前の高濃度の汚染が出たときとの場所の相関関係はあるのでしょうか。これまで一回から八回までもベンゼンは不検出ではなく、基準値以下で検出をされていたのですが、それとの相関関係はどのようになっているのでしょうか。これが違っているということであれば地下水が動いていることになるのではないかと思いますが、見解を伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 今回の調査結果については、専門家会議では、これまでの調査結果と大きく乖離し、現時点で評価できないことから、専門家会議の管理のもと、再調査を行うこととしております。
  再調査の結果について、次回の専門家会議で評価、検証する予定であり、都としては、この結果を踏まえて適切に対応してまいります。

○中村委員 水銀について伺いますけれども、これは六街区の一カ所でしか測定をしていません。土壌汚染対策法に準ずる対策といいますが、地下ピット内の空気から指針値を超える水銀が検出されたのは五街区と七街区だったので、調べるべきではないでしょうか。仮にもともとなかったところだったからというのは、絶対に汚染がないか、絶対に地下水が横に動かないか、絶対に不透水層の切れ目から汚染が混入しないか、これらが絶対にないといい切れない限りは調べるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 二年間のモニタリングは、国のガイドラインに基づき、地下水汚染が検出された物質を対象として実施するものでありますが、水銀による汚染が検出された箇所は、六街区の当該箇所のみであります。
  なお、地下ピット内の空気中で指針値を超える水銀が検出されたことについて、専門家会議では、地下水に含まれる通常は検出されないほどの微量な水銀が空気中に気化し、換気されない状況で滞留したことが原因であると評価しており、モニタリングの調査対象としている水銀とは異なるものであります。

○中村委員 都議会民進党としては、以前から、地下水のモニタリングを毎月実施することやクロスチェックを行うことも主張してきました。残念ながら、これが行われなかったということですし、やっていれば、少なくとも再調査の数カ月は無駄にならなかったのではないでしょうか。なぜこれをやってこなかったのか。その結果、このようなことになったことをどのように受けとめているのか伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 モニタリング調査については、国のガイドラインなどに採水の方法、試料の取り扱い、分析方法が定められており、ガイドラインに準拠するよう指導することで、調査結果の精度は担保されると考えておりました。
  再調査の趣旨を踏まえて、専門家の視点から、事業者の信頼性や実績を考慮して民間三者を選定し、東京都環境科学研究所も参加して分析結果のクロスチェックを行います。
  再調査の結果について、次回の専門家会議で評価、検証する予定であり、都としては、この結果を踏まえ、適切に対応してまいります。

○中村委員 いろいろと質問はしたのですけれども、核心的なところは、暫定値だからとか、仮定の話とか、専門家会議に任せているとか、なかなか答えが出てはきませんでした。
  再調査が終わるまで議会が何もしないというわけにはいかないと思っています。分析や調査を行っている会社についても、やはりこういったことも議会の方でも積極的に調査をすべきだと思っていますし、都民も大きな関心を持っています。
  また、とりわけ、なぜここに移したのかということも大きく関心を持っているところだと思っています。先ほどお話をいたしましたけれども、この特別委員会でも、地下水の調査分析をしている会社についての参考人招致や、そしてまた、なぜここに移したのかという根本のところから、石原元知事などの参考人招致ということを求めていきたいと思いますし、この委員会でまずはもちろん呼ぶということを求めますが、それができないようであれば、強い調査権限のある百条委員会ということを求めていくこともせざるを得ないということも表明をしまして、質問の方を終わります。

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