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都議会質問記録

2017/02/14 豊洲市場の移転延期に伴う補償や市場の収支を質問

都議会豊洲市場移転問題特別委員会で質問しました。移転延期に伴う事業者への補償を誠心誠意行うこと、市場の収支について財政計画をきちんと立てることを主張しました。委員会後の理事会で石原元知事等を22日から始まる定例会中に参考人招致することで決まりました。

○中村委員 それでは最初に、移転延期に伴う補償スキームについて伺います。
 都の中央卸売市場全十一市場の水産仲卸業者の経営状況を見ると、市場外流通の増大や卸売市場経由率の長期的な低下傾向などにより、平成二十六年度で七百四十六業者のうち、調査業者数六百二十二では四一・五%の事業者が赤字であり、青果仲卸業者の経営状況では、三百四十五業者のうちの調査業者数三百九では二九・四%の事業者が赤字で、厳しい経営状況にある事業者の現状が見受けられます。
 こうした状況の中で、老朽化した築地市場で現在営業を続けている事業者において、老朽設備などを補修、修理、更新していくことへの負担や、豊洲市場へ新たな設備を導入するとともに、人員を雇用したにもかかわらず、都の意思で移転延期としたため使用できなくなっていることや、新たな人員配置ができないことなどへの損失補償に、都は誠心誠意、事業者の立場に立って取り組まなければなりません。
 都が損害補償を行った前例として、都は、財団法人東京フロンティア協会を通じて、世界都市博覧会、東京フロンティアの中止に伴う損害の補償を行っています。補償の相手方は、都市博の開催を前提として直接契約した者や活動などを行った者が対象ともなっており、また、補償には、下請業者などへの補償金も含まれているとしました。このときも今回と同様に、昭和五十六年の最高裁の判例を判断の根拠としているとのことです。
 そこでまず、今回の豊洲市場への移転延期に伴う損害賠償においては、設備を営業利用できない期間に生じる費用が補償されることになっていますが、まずその内容について伺います。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 豊洲市場の設備を営業で利用できない反面、費用が発生することで生じる損失を補償するものでございまして、設備の価値減耗分、保守点検費、保険料、修繕費、設備をリースで導入した場合のリース料などを想定してございます。
○中村委員 今回の補償が積極的な部分であって、逸失利益等の消極的な分は対象外ということのようですけれども、いろんな補償をしてほしいという声も当然あるとは思っています。過去の判例を見ながら、こういったところで決めたということのようなんですけれども、延期の判断があったということではあったにしても、今回その期間がこれだけ長くなっていくというのは、盛り土がなかったことや土壌汚染の問題等が原因になっているわけですから、ここはぜひ重く受けとめていただきながら誠心誠意対応していただきたいと思っています。
 そういう中で、先週の二月十日に、都は、移転延期の補償を支払うために五十億円の補正予算案を議会に提出すると発表されました。補償の財源は建設改良積立金で、目的外使用による対応を予定しているとのことです。そもそもこの積立金はどのような目的のものなのか、なぜ補償に使われることになったのか、市場関係者の理解を得られるのかどうか、伺いたいと思います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 建設改良積立金は、建設または改良工事等を行うための財源として充てる目的で、利益に応じて積み立てる積立金でございます。
 市場業者への補償に関する経費について、市場業者が支払う使用料を直接その財源に充てることは適当ではないことから、市場会計の保有資金である建設改良積立金を活用する予定としたものであり、市場関係者の理解を得られるものと考えております。
○中村委員 使用料は充てないということで、この積立金を使うそうなんですけれども、これとて目的があるものですから、本当にこのことについては業者の関係者にきちんと説明していただきたいと思います。
 また、特に今回のこの補償に関しては、市場会計ということでこういった積立金を使うことになるんですが、もし、いろんな行政の分野、皆さんも異動すればかかわるところもあると思うんですけれども、仮に違う部門でこういったことがあれば、一般会計等を使うことになれば、やはり税に影響も出てくるところもありますから、本当にこういった事業を行う際には、きちんと今後とも行っていただきたいということを改めて、先ほど申しましたが、お話をしたいと思います。
 さて、補償のこのスキームを決める前に行われた市場業者へのヒアリングの調査結果を拝見しました。きょう提出された資料の1になるわけですけれども、これを見ますと、八百八の全事業者を対象にはしていますが、調査票の回収率が四三・九%の三百五十五件、ヒアリングの実施は三四・〇%の二百七十五件と、回答した事業者の割合が著しく低くなっています。とりわけ水産、仲卸業者は最も事業者数が多いのですが、ヒアリング率二三・七%と低くなっています。事業者の方々も忙しいでしょうから、うまく調整するなどして、丁寧に話を聞く必要性があったのではないでしょうか。
 実際どのようにしてヒアリングを行い、どのような意見が出されたのか、十分これで意見が聞けたという認識なのか伺います。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 事業者への補償スキームの迅速な構築に向けまして、豊洲市場への移転延期に伴う設備導入状況など、事業者に生じている影響を把握するため、昨年十一月下旬から十二月中旬にかけまして、調査票及びヒアリングによる個別調査を実施いたしました。
 仲卸事業者や関連事業者につきましては、日程調整やヒアリング場所の提供など、事業者団体の協力をいただきながら実施したところでございます。年末の繁忙期でございましたが、多くの事業者の方々にご協力いただきまして、短期間ながら、豊洲に設置した設備の状況、築地での営業継続のための修繕費負担など、さまざまな実情や意見を伺うことができ、補償スキームに反映させたところでございます。
 なお、今後は、実際の補償を進めるに当たりましても、個々の事業者の実情を丁寧に伺ってまいります。
○中村委員 おっしゃったように、確かにこの時期、年末の繁忙期ですから、当然、ひょっとしたら話を聞いてほしかったかもしれないけれども、忙しくて時間とれなかったということもあると思います。これから具体的な相談の際に、またいろんな意見が出てくると思いますから、引き続き丁寧に聞いていただきたいと思います。
 そういった点で、損害の補償の実務について伺いたいと思います。
 補償に関する手続を行っていくには、事業者などに対して補償の基準や指針などを説明し、今後の手続などについて十分に理解していただかなければならないと思っていますが、この取り組みについての見解を伺いたいと思いますのと、あわせて伺いますが、補償を請求する事業者からは、補償基準などの解釈や運用などについて質問や問い合わせが多く寄せられることも考えられます。対応と請求を受け付ける前の調整作業など、どう見積もっていたのか伺います。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 今回の補償内容や手続等についてご理解いただくため、先週の二月六日から十日にかけまして、市場内全事業者を対象とした説明会を計六回開催し、多くの事業者にご参加いただきました。補償スキームについて説明したほか、今後の申請に当たっての必要書類やスケジュールなど、具体的な事務手続について詳しく、この説明会で説明いたしました。
 そして、昨日二月十三日から相談ブースを開設いたしまして、事業者の方の補償に関する個別相談を開始したところでございます。この個別相談におきましては、個々の事業者の実情をお伺いするとともに、補償金交付申請に係る書類作成をサポートするなど、丁寧に対応してまいります。
○中村委員 この補償の請求が、これから正式に行われた後に、その請求内容を補償基準にのっとって審査を行っていくことになりますが、会計帳票類や領収書などの証明書類や設備、成果物などを確認し、補償額を確定していくために、実際に現認作業をどのように行っていくかということが大切になります。そのやり方について伺いたいと思います。
 また、これは実際に都の職員が行うのか、それとも違う人がやるのか、誰がどういう基準で判断をするのか伺います。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 補償項目や必要書類が多岐にわたるため、仲卸事業者や関連事業者向けに個別相談窓口を設け、事業者の実情を伺いながら、交付申請に係る書類作成をサポートしていきます。
 また、本審査につきましては、市場の職員が証明書類や関連資料の確認を行い、必要に応じて現地調査を行います。その上で、第三者である専門家による審査会を経て、補償額を確定していきます。
○中村委員 最終的な判断は第三者の方々がされるということではあったわけですけれども、ただ、そうはいってもいろいろなこともあると思います。審査の結果、請求内容が補償基準に適合しない場合に、請求者とどのように協議をしていくのか伺います。
 特に審査内容に不満が生じた場合に、異議申し立てをする組織を設けるのかどうか伺います。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 補償金交付申請者に理解していただけるように、誠実に説明するなどの対応を行ってまいります。
 このため、市場職員二名一組による相談ブースを最大六ブース開設し、丁寧に対応することとしております。
○中村委員 意見が合わなかった場合に別の組織があるのかということなんですけれども、相談ブースを設けるということだけですから、ある意味で丁寧に説明するから納得してもらおうということに聞こえます。
 そうはいっても、いろいろ行き違いがあるわけですし、判断そのものを第三者機関がするわけですけれども、こういったところも基準を明確にするとか、さらに別の機関、相談するところを設けるとか、不満のないような、公平な機関を設けることが必要であるということを申し述べておきたいと思います。
 また、実際、四月一日から正式な手続が始まるとのことですが、事前申請をしているとはいえ、その後の手続も事務も当然あるので、即日にというわけにはいかないんだろうと思います。とはいえ、一日も早くと支払いを待つ方もいるわけですから、できるだけ早急に支払われるようにすることが必要だと思います。
 きょうは、提出資料の2のところで、この事業者の補償金申請手続というのを出していただきました。説明会や支援や、申請書の提出というところで、ここまでは四月一日という日程が入っているんですけれども、ここから先、具体的に補償が支払われるのはいつになるのか、お答え願います。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 平成二十九年四月以降、できる限り早期に補償金支払いを実施できるよう全力を尽くします。
○中村委員 全力を尽くしていただくのは当然やっていただきたいと思うんですけれども、当然、本当に補償を待っていらっしゃる方、一日も早くというふうに思っています。これ、できればめども、事前に要求した資料ですから入れてほしいということではあったんですが、なかなか具体的には入らなかったようですけれども、本当に早急にやっていただきたいというふうに思っています。
 また、そういった点では、都はこれまでも、補償が行われるまでということで、つなぎ融資を行ってきました。現在も、今審査中ということのようですが、申請の締め切り自体は二月末までとのことです。仮に、それまではつなぎ融資の必要がないとして申請していないと、この補償の支払いが四月以降では、急遽資金繰りが厳しくなった場合に、せっかくのつなぎ融資の制度を使えなくなってしまいます。補償が実際に支払われるまでの期間は、つなぎ融資の申請を延期してはいかがかと考えますが、見解を伺います。
○長田中央卸売市場移転支援担当部長 仲卸業者、関連事業者向けの特別融資、いわゆるつなぎ融資でございますが、補償金が支払われるまでの間の市場業者の資金繰りを支えるため、資金需要が高まる年末に創設したものでございます。
 つなぎ融資の延長につきましては、市場業者が資金繰りに困らないよう、実情を踏まえながら検討してまいります。
○中村委員 検討していただけるということですから、前向きにというふうに捉えたいと思っています。
 補償のスキームに関してはここまで質問してきましたが、ぜひ丁寧に対応していただきたいというふうに思っています。
 先ほど来の質問の中でも、いろいろ幅広い関係者の方がいらっしゃるということはあったんですが、かなり限定的に捉えているところもあるようですけれども、なるべく本当にいろいろ丁寧に相談していただきたいというふうに思っています。
 例えば築地の市場の方も、この間、経済・港湾委員会の資料を見せていただいたら、豊洲に移転することを前提に、もう築地の解体なんかも、契約業者がいらっしゃるみたいですし、そういったところも、じゃあ、ひょっとしたら人員を手当てしていたとか、いろいろな工具を用意していたとか、いろんなこともあるかもしれません。いろんなところで補償等が必要になっていないかどうかということを含めて、いろいろきめ細やかな対応をしていただきたいというふうに思っています。
 次に、市場問題プロジェクトチームの方について質問したいと思っています。
 今回、こちらのプロジェクトチームの中では、全十一市場を一体として捉えた事業運営が行われている中、各市場の収支が都から示されました。豊洲市場の収益と費用の概算額について、今後の事業継続性を見据える上でさらに詳細な内訳について説明していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 豊洲市場の収支概算額につきましては、試算の前提条件といたしまして、営業損益ベースで、本庁分の経費は各市場使用料により案分し、人件費等については、築地市場の平成二十七年度決算額を計上して試算をしております。
 その結果、収益は約六十八億円、費用は約百六十六億円であり、収益の内訳は、売上高割使用料十四億円、施設使用料二十九億円、雑収益二十五億円、費用の内訳は人件費等四億円、管理費及び業務費七十七億円、資産減耗費一億円、減価償却費七十一億円、本庁分十三億円でございます。
○中村委員 今こういった収支について報告いただきましたが、せんだって、二月十日、第十次となる東京都卸売市場整備計画が発表になりました。中身を拝見させていただきましたが、中身を見ても、財源の詳しい話というのは触れられていませんでした。
 今回プロジェクトチームの中で、十一市場ごとの収支が初めて公開されたわけですが、豊洲新市場が年間九十八億円の赤字との数字が発表され、大変衝撃的な数字でもあります。
 中央卸売市場として、長期的な財政計画を、それでは一体どこでどのように立てていたのか伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 中央卸売市場では、東京都卸売市場整備計画におきまして、計画策定時の社会経済状況や卸売市場を取り巻くさまざまな環境変化等を踏まえ、各市場の実情に合わせ、必要な施設整備を計画しており、第九次の卸売市場整備計画に定めた施設整備についても着実に実施し、事業を運営してきました。
 また、今回のプロジェクトチームにおける調査検討の中で、平成四十年度までの収支試算を行ったところでございます。
○中村委員 経過についてお伺いはしたんですけれども、計画的に本当に長期的に見通してやっていたというような回答には聞こえませんでした。しっかりと、これ民間とは違うとはいうものの、収支をしっかり考えて、計画を立ててやっていかなければならないというふうに思います。
 さて、プロジェクトチームの参考資料の中に、ゼネコンの視点というふうに書いてあったんですが、建物、設備の修繕費用というものがありました。これによると、初期建設費は、ライフサイクルコストの二〇%程度で、建設費の四倍以上の運営費用。光熱水費、点検費、保守費、清掃費、警備費、修繕費などがかかるそうです。かねがね、公共施設をつくるのに、それを見通して整備すべしと私自身もいろんな場面で、特に財政委員会等で財務局にもいってきたんですが、なかなかそういったことが考慮に入れられてきませんでした。しかし、少なくともこれは公営企業会計ですから、こういった考え方を導入すべきではないかと思うんですが、見解を伺います。
○金子中央卸売市場市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 市場施設の整備に当たっては、イニシャルコストのみならず、ランニングコストについても十分に留意することが重要でございます。
 市場施設は、昭和四十年代から五十年代までに整備されたものが多く、施設の老朽化が進行しており、計画的に施設の維持更新を進めていく必要がございます。
 今後、適切な維持管理や保全の実施、材料や工法等の施設整備上の工夫などによりまして、長寿命化を推進し、ライフサイクルコストの低減等を図ってまいります。
○中村委員 重要だという認識は示していただきましたので、今後ぜひそういったことを目に見える形で、しっかりと、これからつくるものは当然なんですが、今あるものも含めてどれくらいかかるのかということも試算した上で、それができて初めて低減ができていくものですから、そこはしっかりとやっていただきたいとお願いをしたいと思います。
 さて、減価償却費を含めると、豊洲市場は毎年九十八億円の赤字で、減価償却費を除くと二十七億円の赤字ということなので、差引減価償却費そのものは七十一億円という計算になります。この減価償却費の算定根拠をまず伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 中央卸売市場会計では、定額法により減価償却を行っております。豊洲市場の減価償却費につきましては、建物や構築物など償却年数ごとに分類し、一年間の減価償却費を試算いたしました。
○中村委員 減価償却費等含めて、今後の財政見通しに大きな影響があるわけですけれども、例えば、今回のこの豊洲の市場においては、建設工事においては不調による再入札で、当初予定額の一・六倍もの建設コストがかかったりとか、土壌汚染対策工事も追加費用がかかっています。そうなると、これは当初の計画時における赤字額と、どのくらい差異があったのか、伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 豊洲市場を含め、市場ごとの収支試算は今回初めて試算し、プロジェクトチームに報告したものでございます。
○中村委員 今までいろいろ質問したりすると、例えばこういう資料が出せるとか出せないとかというのがよくあったんですが、そもそも今回初めて行ったということは、やっていなかったということなんでしょうか。それぞれの市場の収支の計算というのは当然やってしかるべきものだと思うんですが、今回これをきっかけにして、今後きちんとこういったことはしていただきたいというふうに思います。
 また、平成四十年度までの市場会計の収支試算は、減価償却費を除くとほぼ均衡としています。そして使用料を改定せずに、会計として十年以上の運営可能な資金を保有しているとしています。平成四十年度における正味運転資本は一千七十九億円としていますが、ただ移転延期に伴う事業者への補償費というのもあるかと思いますが、この収支試算に反映されているのかどうか、伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 移転延期に伴う補償につきましては、現段階では補償金額の全体像を把握できる状況にないため、反映しておりません。
○中村委員 今回、補正予算で五十億円という大きな金額です。また、どれくらい続くかわからないので、全体がわからないにしても、総投資費は三百億円ということがあるわけでしょうから、これだけの大きな金額ということもかかわってくれば、何ら状況を反映していないということでは、今後の収支の見通しも立たなくなるでしょうから、しっかりこのあたりも加味していただきたいというふうに思っています。
 また、この開場の延期の期間の伸長や土壌汚染対策の追加など、今後ある程度想定され得る費用については、今回の事業継続性の議論の中ではどのように捉えられているのか、伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 試算では、豊洲市場の開場時期は平成三十年度とし、今後の追加的な工事は試算に盛り込んでございません。
○中村委員 いろいろ対策費等が出てくれば、これからいろいろと費用も必要になるところもあるかと思いますので、そういった都度、また、こういった場を通じて報告いただきたいというふうに思っています。
 さて、事業者の負担について、今回のような問題がもし発生していなければ、築地市場と比べてHACCPにも対応し得る施設として付加価値が高い施設と今なっていたはずですが、この場合、使用料の単価というのはどのようになっているのか、設定の理由とあわせて伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 都の十一の中央卸売市場は全て東京都という同一の開設区域において、相互に補完しながら一体として機能を発揮しており、全市場の施設について、老朽化の状況など、各市場の実情に応じて順次開設者として必要な整備、更新を行っております。
 このため、都では、全市場の整備や運営に係る経費を市場業者が等しく負担することとし、原則として全市場同一の使用料を適用しており、豊洲市場でも基本的に現行の使用料が適用されます。
 ただし、豊洲市場の施設のうち、高性能の断熱材など、都が従来の整備水準を超える設備を付加した水産卸売り場などの低温施設につきましては、追加的な経費を上乗せする形で新設いたしました使用料が適用されます。
○中村委員 上乗せをした形で使用料が適用されてはいるんですけれども、この豊洲市場について見れば、経常損益は赤字で、減価償却費を控除しても収支はほぼ均衡としていて、大規模な修繕があれば赤字になるおそれもあります。
 十一市場全体で収支とのことですが、最初から経営状況の厳しい豊洲市場を、他の市場も含めて積み立てた積立金と他の市場の収支で支えるということでしたら、将来他の市場の建てかえや状況の変化などで財政が厳しくなるおそれがあります。こういう状況をどのように考えているのか、伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 東京都中央卸売市場では、十一市場を一体として捉え事業を運営しており、財政運営におきましても、十一市場全体に係る経費を全市場の収入で賄うという考え方をとっております。
 この考えのもと、試算では、豊洲市場を含む十一市場で毎年度五十億円の整備、改修費を計上しており、適切な施設の整備、改修を行いつつ、会計全体の資金も十分に保有した状態で市場事業を継続できるという考えをお示ししてございます。
○中村委員 十一市場を一体として捉えるという市場の特殊性もあるでしょうから、そのことそのものはいいと思うんですけれども、それぞれかかったお金を、例えば経理をやるときに、全部領収証を集めてまぜて計算して、一個ずつがわかりませんということはないでしょうから、今回こういった十一市場それぞれの収支が出てきたわけですから、今後それをしっかりそれぞれ出していただいて、いろいろと経営状況、収支状況等を見ながら、運営等していただきたいというふうに思っています。
 また、今回の議論では、豊洲市場の事業収支が合うかどうかという点での事業継続性を検討したものですが、盛り土がなされず、地下水からも環境基準を超えるベンゼン等の化学物質が検出されたことにより、豊洲市場のブランドイメージが大きく損なわれている現在において、市場事業者の観点から見た事業継続性への影響も、都としては検討する必要があると考えます。この点についてどのように検討しているのか伺います。
○井上中央卸売市場新市場整備調整担当部長 豊洲市場への移転に当たっては、市場業者が安心して事業を継続できる環境を整える必要があり、生鮮食料品を扱う市場として、安全・安心を確保していくことが都に求められると認識しております。
 このため、現在、専門家会議や市場問題プロジェクトチームにおいて、豊洲市場の安全性等の検証を進めており、今後、それぞれの会議からの提言に基づく対策を適切に講ずることで、豊洲市場における安全・安心の確保に努めてまいります。
 また、地下ピット内の水位低下の状況などについて、プレス公開やホームページへの掲載を行うなど、豊洲市場の現状について正確な情報を発信し、誤った情報による風評被害の防止に努めてまいります。
 豊洲市場において、市場業者が安心して事業を継続できるよう、今後ともこうした取り組みを着実に進めてまいります。
○中村委員 通常の市場の移転ということであれば、事業採算性の観点など、個々の事業者の経営判断というところもあるとは思いますが、今回の問題は、都の責任において、食の安全という観点から市場のブランドイメージを損ねてしまったことから、都として仮に移転をすると判断した場合は、事業者の経営にどのような影響が生じるのかとか、しっかりとこれは検証して、それにどう向き合っていくかを提示しなければ、事業者の協力も得られないと思いますので、改めてしっかりとここは検討していただくことをお話ししたいと思います。
 プロジェクトチームについて、いろいろお話をさせていただきましたが、しっかりと、これからも、本当に収支状況等を含めて、また、それぞれの収支等もしっかりと見ながら、市場の経営等をやっていただきたいということをお話しまして、質問を終わります。

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