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都議会質問記録

2017/03/15 3/17予算特別委員会で都政の課題を小池知事に質問

 

○中村委員 まず、知事、理事者の皆様、また百条委員会や特別委員会を抱える中央卸売市場の職員はもちろん、この予算審議においても多くの都庁職員が深夜、早朝までご苦労されています。しかし、そうした中で、このほど一会派の意向により、審議時間が大幅におくれました。極めて遺憾であると申し上げておきます。
 初めに、小池知事が策定した二〇二〇年に向けた実行プランについて伺います。
 実行プランにおいて、都民満足度を入れたことは評価します。公共施設ができれば便利になりますが、問題を抱えている人の生活満足度は向上しません。保育園や特別養護老人ホームに入れないと、個人にとっては大問題で、満足度は下がります。
 都民満足度を視点に置くことで、必然的に政策の優先順位が変わります。知事は施政方針演説で、今回の予算案は格差と段差、すなわち男女や教育機会の格差とまちの段差を解消する施策と述べました。当事者だけの力ではどうにもならない格差の解消は重要で、男女や教育機会の格差だけではなく、社会全体への経済的格差が問題になっています。所得の再分配が重要で、厳しい状況の人に手厚いサービスが必要です。
 そこで、二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、格差是正に向けてどのように政策を展開していくのか、知事の見解を伺います。

 

○小池知事 格差是正に向けての政策についてのお尋ねがございました。
 二〇二〇年に向けた実行プランの中には、都民が希望を持てるその都政を展開をする、そして三つのシティーを実現する、そして新しい東京をつくる、このことを目的といたしております。
 この新しい東京をつくるその鍵は、やはり都民一人一人の力にあると思います。誰もがその持てる力を存分に発揮して、そして活躍できるような、男女の教育機会などの格差の解消を進めていくことによって、その扉に近づけるものと考えております。
 実行プランの中には数多くの政策を盛り込みました。まず、女性の活躍を阻んでいる待機児童の解消に向けました幅広い取り組み、全ての子供が希望する教育を受けられるための給付型奨学金を創設、拡充いたしました。それから、若者には早期離職の防止、そしてまた望まない非正規雇用労働者の正規雇用化など、さまざまな政策を盛り込んでおります。それらが、今回ご審議いただいております平成二十九年度の予算案に反映させたということでございます。
 都民の皆さんの共感を得ながら、着実にこれらの政策を進めることで、誰にも平等にチャンスがある。そのチャンスを生かして、みずからの希望をかなえていけるような、そんな社会を実現したいと、このように思っております。

 

○中村委員 密室での政策決定では、公正さが保たれません。力の強い人の声だけが政策に反映されると、特定の人への利権が生じたり、格差が広がってしまいます。開かれた都政にすることで、真面目に暮らし働く方々の声や、厳しい状況で声を出す余裕のない方々の声をも反映させ、格差の是正につなげていただくことを要望いたします。
 次に、医療、健康について伺います。
 二〇一八年度に国民健康保険の運営が都道府県単位化されるため、今定例会に運営協議会設置の条例が提案されています。同年は、介護保険と後期高齢者医療の保険料改定など、社会保障制度が大きく変化する年となり、自治体では二〇一八年問題ともいわれています。
 都は国保の保険者となりますが、市区町村ごとに保険料が違う運営になります。とはいえ、都民や市区町村の負担が急にふえると大変であり、都として支えていくことが重要です。
 こうした社会保障の見直しの中に、都は、国保の保険者として、都民、市区町村に急激な財政的負担がないように配慮することが重要ですが、見解を伺います。

 

○梶原福祉保健局長 今、お話にありましたように、平成三十年度は国民健康保険の財政運営の責任主体が都道府県になりますとともに、介護保険と後期高齢者医療制度の保険料が改定される年でございます。都は、これらの制度の安定的な運営に必要な財源の確保を国に提案要求をしてまいりました。
 国保の制度改革では、毎年三千四百億円の公費投入により、財政基盤の強化が図られ、国は、これにより保険料の伸びの抑制が期待されるとしております。また、都は、医療費水準等を反映して区市町村ごとに納付金を算定する仕組みを導入することにより、保険料水準が急激に変化することがないよう、繰入金や財政安定化基金を活用した激変緩和措置を講じる考えでございます。
 今後、国から示される公費の内容や財政安定化基金の規模等も踏まえながら、区市町村とも十分協議を行い、具体的な激変緩和措置について検討してまいります。

 

○中村委員 次に、依存症対策について質問します。
 国会で、カジノに関する法律が、十分審議したとはいえない中で採決をされてしまいました。導入が仮に進められてしまうなら、ギャンブルへの依存症対策をする必要があります。
 ギャンブルについては、現状でもパチンコへの依存は問題になっています。また、依存症という点では、ギャンブルだけではなく、アルコールや薬物なども問題です。
 私は、依存症対策についてはこれまで以上に取り組む必要があると考えます。依存症対策についての都の対策を伺います。

 

○梶原福祉保健局長 ギャンブル依存症からの回復には、相談機関等の助言に基づき、精神科医療など適切な支援を受けることが重要でございます。
 そのため、都は、三カ所の精神保健福祉センターにおいて、ギャンブル依存症等についての専門相談を実施し、医療機関への受診等を促すとともに、同じ経験を持つ仲間が相互に助け合う活動を行っております民間団体の協力も得ながら、依存症に関する正しい知識や本人への適切な対応方法等を学ぶ家族教室を実施しております。
 さらに、精神保健福祉に携わる行政機関や相談機関等の職員を対象とした研修を実施し、援助技術などの向上を図っております。

 

○中村委員 次に、アルコールの依存症対策について伺います。
 飲酒については、もちろんこれは薬物と違うわけですから、適切な飲酒であればいいんですけれども、不適切な量の飲酒ということになると、がんなどの疾患や自殺などのリスクが高まるともいわれています。
 アルコール依存症は、本人の心身への影響だけではなく、児童虐待やDV、飲酒運転など、深刻な社会問題にもつながっています。また、過剰な量の飲酒、未成年の飲酒や妊婦の飲酒など、不適切な飲酒により健康に害があれば、医療費の増大にもつながってしまいます。
 二〇一三年十二月に、アルコール健康障害対策基本法が成立をし、二〇一四年六月に施行されました。まず都に伺いますが、アルコールに伴う患者の現状についてどのように捉えているか、伺います。

 

○梶原福祉保健局長 平成二十六年の国の患者調査では、アルコール使用による精神及び行動の障害のある患者は、全国で約六万人、都は約三千人となっております。また、精神保健福祉センターにおける精神保健福祉相談のうち、アルコール依存やギャンブル依存等に関する平成二十七年度の相談件数は、延べ二千九十二件となっております。

 

○中村委員 患者の方の数も大変多いということもあります。また、相談の対応ということで、アルコールやギャンブル等で統計が分かれていないということなんですけれども、もちろんそれぞれ特有な課題がありますから、しっかりそれは取り組んでいただきたいと思います。
 とりわけ、このアルコールに関しては、国で基本計画を定め、知識の普及の徹底や、予防から相談、治療、回復支援に至る切れ目のない支援体制の整備を掲げています。そのためにも地域展開と推進体制の構築が重要としています。
 基本法では、都道府県に対策推進計画の策定を努力義務としています。しかし、厚生労働省の調査では、三十七道府県が二〇一八年度末までに策定予定とのことですが、都を含む十都県が未定となっています。
 内閣府が作成したガイドブックによりますと、生活習慣病のリスクを高める量、これは男性で一日平均ビールなら大瓶二本以上、日本酒なら二号以上、女性の場合その半分の量を飲酒している人の割合だそうですが、男性で一五・八%、女性で八・八%となっています。国は計画でこの割合を減らすことを目指しています。
 また、未成年では、過去三十日に一回以上飲酒をした者の割合は、中学生男子が七・四%、女子七・七%、高校生男子で一四・四%、女子一五・三%とのことで、大変驚くべき数字です。これはもちろんゼロにしていくということになります。
 患者の数の対策ということだけではなくて、こういったアルコール依存症につながっていかないように、未然に不適切な飲酒を防いでいくということも含めて、総合的な対策というのが必要になるかと思っています。
 また、依存症だけではなくて、未成年の飲酒や飲酒運転などの対応も必要であることから、これは福祉だけではなくて、教育や警察など全庁的な取り組みも必要となってきます。国でも、内閣府が当初所管をし、後になって厚生労働省に移管をされたようです。
 都として、これは計画を策定して全庁を挙げて取り組むべき課題と考えますが、見解を伺います。

 

○梶原福祉保健局長 都は現在、保健医療に関する基本的かつ総合的な計画でございます保健医療計画に基づき、精神疾患医療対策として、精神保健福祉センター等におきまして、アルコール問題の本人向けグループワークや家族教室等を実施しております。
 また、健康づくりを社会全体で推進するための計画である健康推進プラン21におきまして、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人の割合を減らすという目標を掲げまして、飲酒の健康への影響に関する普及啓発やかかりつけ医や専門医の連携など、区市町村や保健医療関係団体、教育機関等が取り組むべき内容を定めております。
 来年度以降、これらの計画の改定や中間の見直しを行う予定でありまして、その中で、アルコール健康障害対策推進計画につきましても、現行事業の扱いを含め検討してまいります。

 

○中村委員 今、福祉保健局長から、計画について検討していくとの前向きな答弁と捉えさせていただきます。
 これまで都議会では、計画策定についての議論がなかったので、初めての答弁だと思います。計画の策定については、福祉保健局だけではなく各局にも関係がありますから、ぜひこれは知事を先頭に取り組み、都としてアルコール依存症対策に対して積極的に取り組むことを要望いたします。
 次に、多文化共生について伺います。
 前の知事はトップ同士の都市外交に前のめりでしたが、都市間交流は都民まで広がる草の根交流につなげることが重要です。
 東京には、企業に勤める人や、母国料理の飲食店を営む方、子供やその家族、あるいは留学生など、四十八万人の外国の方が暮らしています。観光振興で日本のファンをつくることと同様に、東京に住んでいる人にも、日本のファンになってもらうことは重要です。
 そのためには、国際交流を、より盛んにすることが重要です。このことは、外国人が安心して東京で生活できることにつながるとともに、日本人も、海外に行かなくても異文化理解ができるよい機会を得ることができます。
 都は、これからも在住の外国人との交流を積極的に取り組み、多文化共生社会を実現させていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

 

○小池知事 私が目指しております三つのシティーの一つが、ダイバーシティーでございます。これはすなわち、誰もが生き生きと活躍できる都市という意味といたしております。
 東京には、約百八十の国や地域に及びます、さまざまな文化的な背景を持つ多くの外国の方が、既に暮らしておられますし、また、二〇二〇年の東京大会に向けて、その数はさらに増加することが予想されるわけでございます。
 今後、東京が持続的に発展していくためにも、こうした外国の方々が日本人とともに東京の一員として活躍するということも、欠かせないことだと思います。
 そのためには、この外国からの方々も、安心して暮らして、働いて、生活を楽しむための支援を充実する。そしてまた、地域における交流などを通じて、多様性を尊重し、日本人と外国人がともに支え合う意識の醸成を図ることが重要かと思います。
 意外と身近なことで、ごみの出し方とか声の大きさとか、結構こういうことって重要なんですね。そのことを教えてあげないとわからないということだと思います。
 いずれにしましても、都は、二〇二〇年東京大会を絶好の機会と捉えたいと思います。区市町村、そして民間団体などと連携をして、支援に関するさまざまな情報をワンストップで提供する、そういう仕組みを構築しようと考えております。
 また、地域で支援を担う人材の育成も重要かと思います。さまざまな施策を展開して、多文化共生社会を実現してまいりたいと考えております。

 

○中村委員 多文化共生の社会という中で、国際交流が強まっていけば、好きな国になっていただければ、わざわざけんかをしようとは思わないわけで、大きくいえば国際平和にもつながっていくと思います。
 都には、今述べられたような政策について、東京国際交流委員会というところがあり、情報提供などは行っていますが、人が集まったり交流したり相談ができるような国際交流センターといえるようなものも開設して、積極的な国際交流に取り組んでいただきたいと私は思いますが、ぜひ都としてもそれは検討していただきたいというふうに思っています。
 次に、中国残留邦人等の問題について伺います。
 この方々は日本にルーツを持つ方々で、しかも帰ってくる年代によっては、日本の文化を持ち続けた方もいれば、中国の文化になっている方もいらっしゃるなど、いろいろいらっしゃいます。
 中国残留邦人等は、戦後何十年も中国に残留を余儀なくされました。中国での生活が長く、帰国後も言葉や文化の壁、なれない生活に苦労されました。
 戦後七十年を超え、中国残留邦人などの平均年齢は七十五歳を超えています。医療通訳や介護のニーズも高まっています。介護サービス利用への不安など、適切な支援に結びつかない方も多くいます。
 高齢化した中国残留邦人などとその家族が安定した老後を過ごすためには、今後も支援相談員など、人的な支援が欠かせません。日本に帰ってきて本当によかったと思えるようにしていただきたいと思います。
 また、二世といわれる方々も高齢化をしました。中国残留邦人などや二世の方々は、いわば日中のかけ橋ともいえる存在であり、こうした方々が抱える課題は、基本的には国が解決すべきではありますが、高齢化した中国残留邦人などに対して、医療や介護サービスの導入がスムーズに行われるよう、都としてどのように取り組んでいくのか伺います。

 

○梶原福祉保健局長 現在国は、高齢化した中国残留邦人等の生活の安定を図るため、生活費や介護費、医療費等の経済的な支援を行っており、区市は専任の支援相談員を配置して、支援給付等の事務手続を行う職員を補助するほか、さまざまな生活相談に応じております。
 都は、こうした支援相談員が中国残留邦人等の介護ニーズや医療ニーズに対応できるよう、介護保険制度に関する知識や専門用語の通訳技術、介護支援専門員や医療関係者等との連携方法などの専門研修を実施しておりまして、国に対しては、高齢化した中国残留邦人等のニーズに対応し、必要な財源を確保するよう、引き続き提案要求してまいります。

 

○中村委員 引き続き高齢化した中国残留邦人などのニーズに対応した支援をお願いしたいと思います。
 なお、都営住宅に一緒に住んでいて、本人が亡くなると同居している同伴帰国の二世は、一般の都営住宅居住者と同様に、六十歳以上の高齢者などでない限りは出なければならなくなりますが、高齢や言葉の課題から簡単に住まいが見つからず、ご苦労されているとの話も聞きます。中国残留邦人の二世への使用承継が認められるよう要望いたします。
 次に、高齢者施策について伺います。
 二〇二〇年のオリンピックが注目されていますが、団塊の世代の方々が全て七十五歳以上となる二〇二五年は、いわゆるこれは二〇二五年問題ともいわれていて、その対応は急務です。
 都は、高齢化により、社会保障費が毎年三百億円ずつふえるとしていますが、医療費を初め、社会保障費の抑制は容易ではありません。今まで以上に健康増進、介護予防など、医療費、介護費が増大しなくてもよいような施策を行うことが重要です。
 来るべく高齢社会に向けてどのように考えているか、知事の見解を伺います。

 

○小池知事 ご指摘のように、我が国では世界で類を見ないスピードで少子高齢化が進んでおります。
 国の推計によりますと、二〇二五年度の年金、そして医療等に係る社会保障関係費ですが、二〇一二年度と比較いたしますと約四十兆円の増加と予測されております。これは、都におけます社会保障関係経費も同じことで、今後、毎年約三百億円増加するとの試算もございます。
 東京の持続可能な発展のためには、めり張りをつけた財政運営をしていかなければならないということでございます。
 今回編成いたしました二十九年度予算案でございますが、事業評価の取り組みを一層強化いたしました。そして、施策を効率化する、実効性を向上させるといったように、費用の必要な施策に財源を振り向けたところでございます。
 お話の健康づくりや介護予防などの取り組みですけれども、医療費や介護費などの財政面はもとより、高齢になっても健康で生き生きと生活していくための福祉保健施策として重要な取り組みであり、また、今後も中長期的な視野を持ちながら、しっかりと財政運営も進めてまいりたいと考えております。

 

○中村委員 在宅での医療を進め、介護も施設から地域での介護を進める。できるだけ元気に過ごしてもらうようにとの方向ですが、絶対数がふえれば財政的な負担はふえていきます。
 介護予防事業の位置づけが変わりましたが、各地域で取り組む姿勢にも差が出てきています。都は、地域間格差が生じないよう、市区町村支援を行っていくことが必要ですが、この中で新たに設置をする介護予防推進支援センターがどのようにかかわるのか伺います。

 

○梶原福祉保健局長 都は、全ての区市町村が本年四月までに新しい介護予防事業を実施できますよう、介護予防に関する幅広い知識と経験を有する主任介護支援専門員や保健師等を、介護予防機能強化支援員として地域包括支援センター等に配置する取り組みを支援してまいりました。
 来年度からは、区市町村の取り組みを専門的な観点から支援していくため、東京都健康長寿医療センターに、介護予防推進支援センターを設置いたします。このセンターでは、介護予防の普及や地域の通いの場づくりに取り組む人材の育成のほか、専門的知見を生かした相談支援、介護予防事業へのリハビリテーション専門職の派遣調整などを行い、区市町村の実情に応じたきめ細かな支援を実施してまいります。

 

○中村委員 親の介護をするために介護離職をするという方の場合もあるわけですけれども、介護される方の年金で生活するということになる場合、その方が亡くなると収入がなくなってしまいます。比較的中高年になって介護離職をする場合になると、なかなか再就職が難しかったりとか、生活が厳しいという状況もあります。
 この介護する側の経済的支援や介護後の就労支援など、家族介護に取り組めるような支援ということが検討できないかと考えますが、見解を伺います。

 

○梶原福祉保健局長 平成十二年度に導入されました介護保険制度は、それまで主に家族が担ってきた高齢者の介護を、在宅サービスや施設サービスなどを提供することにより、社会全体で支え合う仕組みとして創設されたものでございます。
 こうした要介護高齢者等へのサービスに加え、介護保険制度では、家族介護支援事業を地域支援事業の一つに位置づけており、区市町村は、介護者同士の交流やリフレッシュの機会の確保、介護教室の開催など、さまざまな取り組みを実施しております。
 また、都は、認知症の方や、その家族の交流の場の設置や家族介護者を支援するボランティアの養成など、地域の実情に応じた区市町村の取り組みを包括補助で支援しているほか、家族介護者のレスパイトに有効なショートステイ、小規模多機能型居宅介護など、在宅介護を支えるサービス基盤の整備を進めております。

 

○中村委員 ぜひ家族の方の支援をお願いしたいと思います。
 また一方で、家族がいない単身の高齢者という方もふえてくるわけです。例えば今、生活保護であると、メニューが総合的な施策になっているため、相談事や、時には厄介なこともケースワーカーが対応できます。
 しかし、受給していない単身の高齢者の方は、相談する人も、気にかける人もいないことが多くあります。入院の手続など、身寄りがいない人については民生委員が引き受けるには責任が重過ぎます。見守りなどについては、地域の力でできることもありますが、善意だけでは対応できず、行政としての対応が求められる場合が多々あります。
 福祉政策として、生活保護を受けない人にも、ケースワーカーのように総合的な支援をする人がつけられるようにしてはどうかと考えますが、見解を伺います。

 

○梶原福祉保健局長 都は現在、区市町村の地域包括支援センターが地域における相談支援拠点として、高齢者や家族からの相談に適切に対応し、医療や介護など必要なサービスにつなぐことができるよう職員への研修を行うほか、地域のさまざまな社会資源とのネットワークの構築等を行うための専門職の配置について支援をしております。
 また、ひとり暮らしや夫婦のみの高齢者世帯等の生活実態を把握して、地域住民等と連携した見守りなどや、在宅高齢者等の相談に対応する窓口を設置する区市町村を支援しているところでございます。
 来年度からは、職員の増配置等により、開所時間の延長や生活困窮など介護以外の多様なニーズにも対応する区市町村を包括補助で支援をいたしまして、センターの相談支援体制の充実を図ってまいります。

 

○中村委員 最近、いろんな悩み事や相談事が地域包括支援センターに行くこともあります。一つ厄介な件を持つと、その人は一日そのことにかかり切りになったりと、なかなかまだまだ体制が厳しいところもありますので、今後こういったケース、増大してくると思いますので、ぜひそういった地域包括支援センター等の充実に向けての取り組みを、引き続きお願いしたいと思います。
 また、高齢者の方の中で、生活のためということもあり、当然、就労等する方も多くなってくると思います。雇用延長に伴って、企業の方としても、従業員の健康推進を行うことが、これまで以上に重要になっていくかと思います。
 病気にならないための健康保持や早期発見のための検診の促進も重要です。従業員の健康を守るのは雇用者の責任ですが、とりわけ雇用の高齢化に伴い、その重要性はますます増していきます。
 来年度は、新規事業で職域健康促進サポート事業を行うとのことです。健康推進に取り組む中小企業を支援することは重要ですが、都はこの事業にどのように取り組むのか、伺います。

 

○梶原福祉保健局長 都は現在、中小企業を対象にいたしまして、休憩時間の体操、バランスのとれた食事など、それぞれの企業特性に応じた健康づくりや、従業員のがんに対する理解促進等に向けた取り組みを支援しております。
 来年度は、こうした取り組みをより多くの企業に普及するため、東京商工会議所と連携し、職域健康促進サポート事業を開始いたします。この事業では、都がこれまで蓄積したノウハウに基づく研修を受講した東京商工会議所の健康経営アドバイザーが企業を直接訪問いたしまして、経営層等に対して、健康づくり、がん対策、肝炎対策、感染症対策の普及啓発や、従業員の健康に配慮した経営の実施に向けた支援を行ってまいります。

 

○中村委員 ぜひ、積極的に取り組む中小企業の応援をお願いしたいと思います。
 また次に、高齢者の住宅についても伺います。
 東京は地価が高いので、特に都営住宅を希望する方が多いんですが、入れるか否かによって暮らしぶりは大きく変わってしまいます。
 昨年十一月の都営住宅の世帯向けの募集は、千六百戸に対して三万六千六百九十二人の申し込みがあり、平均倍率は二十二・九倍。八月の単身者向け募集は、わずか二百十一戸のところに一万九百八十四人と、五十一・一倍の非常に高い倍率です。運でサービスが受けられるか否かが決まるような政策は、公平性に欠けるといわざるを得ません。
 今、都内にも多くの空き家があるので、もっと活用すべきです。家賃補助については国も考えているようですが、住宅政策として公平になるよう、都営住宅と民間賃貸住宅をあわせて、公平にサービスが受けられるような新たな制度を構築すべきです。
 都内の住宅戸数は世帯数より多いため、家賃補助の導入も含め、民間賃貸住宅の空き家を活用し、低所得者が公営住宅並みの家賃で入居できる公平な制度を導入すべきと考えますが、見解を伺います。

 

○邊見東京都技監 低所得者などの入居支援については、現在、国において、空き家等を活用した民間賃貸住宅の登録などを内容とする制度の検討がなされてございます。
 家賃補助制度については、国も、対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担等の点を指摘しており、また、生活保護制度との関係など、多くの課題がございます。
 住宅確保に配慮を要する方々の居住の安定確保のため、都は、居住支援協議会の活動を通じた借り手への入居あっせんや、貸し主への家賃債務保証制度の紹介などのほか、入居を拒否しない住宅の登録制度の活用を促進するなどして、セーフティーネット機能の強化に取り組んでまいります。

 

○中村委員 住まいの方は生活の基本になるものですから、今後、国の動向を見ていくということになるかと思いますけれども、ぜひともまた新たな制度等を検討願いたいと思います。
 また、高齢者の方々の地域での見守り、支え合いということについて、ボランティアの活動ということが大きく注目もされていきます。
 来年度の新規の事業として、ボランティア休暇制度が整備をされます。オリンピックをきっかけにしたボランティアの機運を高めるのはよいことですが、来るべき高齢化社会の対応につながるには、ボランティアに対する考え方を変える必要があると思います。ボランティアを単なる奉仕活動として捉えるのではなく、むしろ本人にも、そして人材育成の場として企業にもプラスになると、積極的に捉えるべきと考えます。
 しかし、まだまだ企業を含め、社会にはボランティア活動が根づいていません。仕事で忙しい人、参加はしてみたいがきっかけがつかめない人など、さまざまだと思います。また、企業においても、社員がボランティアを行うことの意識を認識しがたいところもあるのではないでしょうか。
 このボランティア活動の普及啓発が望まれます。高齢社会に対応していく上でも、都民によるさまざまなボランティア活動が広がっていくことが必要ですが、都はどのように取り組んでいくのか伺います。

 

○桃原生活文化局長代理次長 ボランティア活動を活性化させるには、より多くの都民に気軽に参加していただくことが重要でございます。
 そこで来年度は、ボランティア活動のPR事業を充実させまして、集客性のあるイベント等と連携いたしまして、ボランティア活動に関心がない方にも活動を体験していただける取り組みを実施いたします。また、仕事で忙しい方も気軽に参加できるボランティアの形であるちょいボラを、SNS等を活用して広く発信し、普及させてまいります。
 加えて、都内に集積する企業におけるボランティア活動をさらに推進するため、社員研修にボランティア体験を導入する等の先進的な事例を幅広く紹介いたします。
 こうした取り組みにより、ボランティア活動に参加する都民の裾野を拡大してまいります。

 

○中村委員 これからライフワークバランスを進めるということですが、仕事の時間が短くなり、ゆとりが生まれると、その時間はぜひ地域での活動に生かすことも重要かと思います。また、ボランティアのように、自分が直接活動できなくても、経済的支援という形で地域や社会に貢献するNPO、NGO、市民団体などへ寄附の文化ということの醸成を図ることも重要だと思います。
 ふるさと納税というのは、趣旨はよいのですが、物で釣るような手法は間違っています。寄附は、本来、見返りを求めるためにするものではなく、寄附をした団体の趣旨に賛同し、その活動を応援するものです。欧米に比べて寄附文化が根づいていない日本において、都も、知事を先頭に、ボランティア、寄附について積極的な機運醸成に努めていただきたいと思います。
 次に、子育て、教育について伺います。
 都が公立学校での返済不要な奨学金制度を独自に創設したことは評価いたします。また、私立学校の実質無償化は、奨学金を借りなくても済むようになるので、公立、私立を問わず、経済的に厳しい家庭にとっては大変よい施策となります。
 一方で、過去に奨学金を受給し、経済的に厳しいながらも今なお返済している人への支援も必要であると考えます。特に、若い世代の雇用や収入が不安定で、返済のためにキャリアアップも図れないようでは、負の連鎖が断ち切れません。
 滞納者への延滞金が厳しいため、柔軟な対応は必要ですが、過去どこまでさかのぼるかという議論はありつつも、現状厳しい状況にある方への免除を、減額や返済猶予、支払いの見直しなど支援を検討することも必要だと考えますが、見解を伺います。

 

○桃原生活文化局長代理次長 育英資金貸付事業におきましては、返還金が新たな貸付原資となることから、制度の維持のためには確実に返還していただくことが重要でございます。
 一方で、借り受け者は若年層が多くなっておりますが、大学等に在学中の場合や傷病、経済的困窮等により返還が困難になった場合には、申し出により返還を猶予するなど、借り受け者の状況に応じてきめ細やかに対応しております。
 返還方法等の見直しにつきましては、制度のあり方に加えまして、システム改修、返還手続に係るコスト増など課題が多くございますが、必要に応じまして、今後検討してまいります。

 

○中村委員 課題も多いということではあるんですが、ぜひ検討されるということですので、今なおやっぱり厳しい状況にある方がいらっしゃいますから、ぜひ検討のほどお願いしたいと思います。
 さて、次に保育サービスについて伺います。
 保育園の待機児童解消に向けて、就任早々に知事が補正予算も組んで全力で取り組まれていることは高く評価いたします。とはいえ、残念ながら、現時点での解消は難しく、ちょうど今、新年度の保育園の募集が終わり、結果が発表されて、入れなかった方から、何とかしてほしいという連絡をもらうのは、私だけではないのではないかと思います。
 就学前児童人口は増加傾向にあり、先日発表された二十七年度の都の人口動態統計によれば、都の合計特殊出生率や出生数が増加となっています。子供の数の増加に加え、女性の社会進出の進展や潜在需要の顕在化など、今後さらなる保育ニーズの高まりが予想されます。
 待機児童の解消に向けては既に取り組んでいただいていますが、それでもさらに取り組んでいただかなければならない喫緊の課題です。待機児童解消に向けて、都有地活用推進本部を設置し、都有地の活用に取り組んでいるとのことですが、その状況を伺います。

 

○梶原福祉保健局長 都は昨年九月、都有地活用推進本部を設置し、全庁的に都有地の洗い出しを行い、先月、財務局の未利用地とあわせ、保育所等として活用可能性のある二百二十八件の都有地に関する情報を区市町村に提供いたしました。
 また、昨年十月に区市町村や民間事業者等からの都有地に関する照会や提案を受ける窓口、とうきょう保育ほうれんそうを開設し、先月までに五十二件の問い合わせを受け、一部の土地につきましては活用意向が示されております。
 本年一月には、事業者の公募など、区市町村の関与を条件に、事業者への転貸を前提とした都有地の区市町村への貸付制度も開始しており、今後も、都有地を活用して区市町村が保育所を整備できるよう支援してまいります。

 

○中村委員 保育園のためにあらゆる都有財産の活用の検討というのがされていると思いますけれども、私は、都営住宅の土地の活用ということが検討できるのではないかと思います。
 今、都立公園の活用も検討されていますが、都営住宅の敷地の中には、かなり広い面積の広場や緑地があります。また、地元自治体から、団地の規模に応じて駐車場の附置義務が課されていますが、現実的に使用台数が減っている状況を見ると、附置義務の緩和を自治体と協議することで活用が図ることも十分可能だと思います。特に緊急ですので、これは短期的な仮の施設ということでもよいでしょうし、都営住宅の入居者の高齢化を鑑みると、長期的な施設として、将来は高齢者の施設に転用できるようにすれば、住民の理解も得られやすいのではないかとも思います。
 この都営住宅の敷地において、駐車場や広場など保育施設を建てられるスペースがある場合、待機児童増加という都全体としての緊急事態に対応すべきだと考えますが、見解を伺います。

 

○邊見東京都技監 都営住宅については、これまでも建設に当たり、区市からの要望を受け、住棟の低層部などに、保育所を初めとする福祉施設の整備を進めてまいりました。さらに、建てかえで創出した用地を活用し、関係局や区市と連携しながら、福祉施設の一層の整備を図ってございます。
 お話のように、既存の団地において、今ある駐車場や広場などを廃止して、新たに保育所などを建てる場合には、それらを利用している方々の理解や関係法令への適合が必要であり、地元区市からの個別の相談にも応じながら、協力して適切に対応してまいります。

 

○中村委員 いろいろと制約等もあると思うんですけれども、緊急の課題ですから、いろんなことを考えながら、地元区市とも協力しながら、ぜひとも協力をしていただきたいというふうに思っています。
 さて、この保育園に関してなんですが、例えば、小学校であれば義務教育ですから、児童の数がふえれば、校舎を建て増してでも入れるようにします。保育園は義務教育ではないのですが、希望すれば入園できるようにしたりとか、せめて入れなくても何らかの保育サービスが受けられるようにすべきです。
 地域では、国の制度に位置づけられている保育施設だけではなく、認可外保育施設やベビーシッターなど、さまざまなサービスが展開をしています。利用者の状況に応じた相談対応を行い、何らかの保育サービスを利用できるよう、さまざまな選択肢を示すとともに、その結果、認可外保育施設等を利用することになる場合は、経済的支援をすることも必要です。
 保育サービスの相談支援や経済的支援など、利用者支援にどのように取り組むのか伺います。

 

○梶原福祉保健局長 都は昨年十一月から、待機児童解消に向けた緊急対策として、利用者支援の充実を図っております。
  具体的には、保育所等の利用を希望する保護者にきめ細かく対応できるよう、区市町村が保育に関する情報提供や相談、助言等を行う保育コンシェルジュを複数配置する場合に、人件費を独自に支援しております。
 また、認可外保育施設の利用者の負担を軽減するため、区市町村が利用料を補助する場合、児童一人当たり月額四万円を上限に、その二分の一を補助しており、来年度からは、認可外の居宅訪問型保育サービスも補助の対象とすることとしております。

 

 

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