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都議会質問記録

2017/12/14 都議会で文書質問「防災対策について」を提出

一 防災対策について
 東日本大震災から7年近くが経過しますが、11月に都が発表した「平成29年度第2回インターネット都政モニター」でも「東京都が取り組むべき分野」として「防災対策」が53.1%と最も高くなっています。東日本大震災では東京都内では最大震度5強と大きく揺れ、社会インフラに大きな被害はなかったものの、交通機関が麻痺し数多くの帰宅困難者が発生し大きな問題となりました。首都直下型地震に備えるため、都も帰宅困難者対策に取り組んではいますが、施策の策定時から時間の経過もあることから、あらためて施策の現状を確認し、課題については対策を行い、都民の安全・安心を守るため取り組むことが求められます。防災対策について、より一層推進することを求めて、以下、質問します。

質問1 都は、平成28年12月策定の長期計画である「都民ファーストでつくる『新しい東京』〜2020年に向けた実行プラン〜」において、帰宅困難者対策に関し、2020年度の目標として、行き場のない92万人の帰宅困難者全員の安全確保を掲げています。都はこれまで、一時滞在施設の確保を進めていますが、現在の確保状況について伺います。

答弁1 都はこれまで、都立施設を一時滞在施設に指定するとともに、区市町村や国の協力を得て、公的施設での一時滞在施設の確保を進めてきました。
 また、経済団体や企業が開催する防災に関する講演会など、様々な機会を捉え、民間事業者に対して一時滞在施設の確保に向けた協力を要請するとともに、帰宅困難者向けの備蓄品購入費用への補助などを通じて、事業者が確保に協力しやすい環境整備を進めてきました。
 その結果、平成29年7月1日現在で、918施設、受入人数としては約32万8千人分の一時滞在施設を確保しています。


質問2 92万人分の一時滞在施設の確保に向けた課題、確保の見込みについて伺います。

答弁2 事業者を対象としたアンケート調査によると、一時滞在施設になることが困難な理由として、「外部の帰宅困難者を受け入れるスペースがない」「外部の帰宅困難者用の水・食料の備えがない」ことなどが挙げられています。
 都はこれまで、主要ターミナル駅周辺で帰宅困難者の受入スペースなどを整備した場合の施設整備費や帰宅困難者向けの備蓄品購入経費について、民間一時滞在施設を対象とした補助制度を創設するなど、事業者の一時滞在施設への協力を後押しする取組を進めてきました。
 また、平成29年度、一時滞在施設確保への協力を事業者に直接働きかける専任の職員を新たに配置し、区市町村との連携の下で更なる確保に向けた取組を進めています。
 今後も引き続き、事業者に幅広く協力を求めつつ、一時滞在施設の確保に努めていきます。

質問3 首都直下型地震はいつ来るか分からない状況で、すぐにも発生する可能性は誰も否定できません。92万人分の一時滞在施設を確保するまでに、帰宅困難者に対してどのように対応するのか伺います。

答弁3 都は、帰宅困難者対策条例において、都・都民・事業者のそれぞれの責務を規定し、自助・共助・公助による総合的な対策を推進してきました。
  92万人分の帰宅困難者への対応としては、一時滞在施設の確保に加え、例えば企業に対して、従業員以外の帰宅困難者を受け入れるために従業員向け備蓄品の10パーセント余分の備蓄や、鉄道事業者等に対し、駅や集客施設での利用者保護などを広く呼びかけてきました。
  また、平成29年9月に設置した有識者による検討会議では、一時滞在施設の協定を締結していない施設についても、発災時には3日未満でも帰宅困難者を積極的に受け入れるよう日頃から広く呼びかけていくべき、といった議論を行いました。
  今後、帰宅困難者の更なる安全安心の確保に向け、報告書の内容を踏まえた事業展開について検討を進めていきます。

質問4 発災時に、民間一時滞在施設が受け入れた帰宅困難者に対して備蓄品を提供した場合、また一時滞在施設の協定を締結していない民間施設が帰宅困難者に対して備蓄品を提供した場合、それぞれ災害救助法に基づく補償が受けられるのかどうか伺います。

答弁4  災害救助法では、第2条において、都道府県知事が、災害により被害を受け、現に救助を必要とする者に対して、救助を行うと定めています。その上で、第4条において10種類の救助を定め、第18条において、第4条の規定による救助に要する費用は、救助の行われた地の都道府県が、これを支弁すると定めています。
  一時滞在施設の協定を締結していない施設はもとより、協定を締結している一時滞在施設においても、備蓄品の提供については、災害救助法には明文化されておらず、都から支弁が受けられるのかどうか必ずしも明確ではありません。
  一時滞在施設の更なる確保に向け、多くの民間事業者の協力を得ていくためには、一時滞在施設に協力した事業者の負担を軽減していくことが重要です。このため、都はこれまで、一時滞在施設の運営に当たり事業者が負担した費用について、災害救助法による都からの支弁を受けられることを明らかにするよう、国に対して提案要求を行ってきました。
  今後も引き続き、国に対して要求していきます。

質問5 民間が一時滞在施設として協力する場合、水、食糧、毛布などの備蓄品を用意することになります。設置当初に購入するだけではなく、水、食糧等の保存期限があるものは定期的に買い替えなければならなくなります。一時滞在施設として使用協力していただくためには、最初の購入時、さらには定期的な買い替え時について都の支援が必要と考えますが、見解を伺います。

答弁5  都は、共助の理念に基づく帰宅困難者対策を推進する観点から、様々な事業者に対し、一時滞在施設の確保に向けた協力を幅広く呼びかけることに加え、帰宅困難者向けの備蓄品購入費用の負担軽減のため、水・食料・毛布などの購入費用に対する補助を実施しています。

質問6 災害時に帰宅困難者が一時滞在施設に避難した際、万一施設内で事故があった場合の損害賠償責任に関し、公の施設と民間施設について、それぞれ誰が責任を負うことになるのか伺います。

答弁6  国や地方公共団体が設置する施設について、設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国家賠償法第2条の規定により、その施設を設置又は管理する国又は公共団体が損害賠償責任を負うことになります。
  一方、民間施設の場合には、民法第717条の規定により、施設の所有者又は占有者が損害賠償責任を負うことになります。

質問7 民間の施設が善意で一時滞在施設として協力しても、災害発生時において、万一、避難した人がその施設内で事故があった場合、損害賠償請求を受ける可能性があります。今後、一時滞在施設の協力を求めていく際に、こうしたことが原因で協力を躊躇することが考えられます。自治体によっては、一時滞在施設として協力を求める際の協定を締結する際に、その責任を自治体が負うとの取り決めを交わす事例があるとのことです。
  民間一時滞在施設を対象とした、帰宅困難者を受け入れた際の損害賠償責任が免責されるしくみづくりについて、都として対応すべきと考えますが見解を伺います。

答弁7  民間一時滞在施設において、発災時に余震等で施設が損壊したことなどにより、受け入れた帰宅困難者が怪我等をした場合には、施設側が民法に基づく損害賠償責任を負うリスクがあります。
  この問題は、東京のみならず全国的な課題であることから、法改正による全国共通の制度の創設が必要であると考えています。
  このため都は、「発災時の損害賠償責任が事業者に及ばない制度」の創設に向け、国に対して法改正を実施するよう提案要求を行ってきました。
  現時点では、国に動きはありませんが、今後も引き続き、その実現に向け、更に強力に国に対して働きかけを行っていきます。

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