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都議会質問記録

2018/11/06 下水道局に豪雨対策、市の下水の都への編入を質問

11月6日、都議会公営企業委員会で所管の交通局、下水道局の事務事業に対して議員しました。都営バス、都営地下鉄の災害対策、サービス向上、安全のための働き方改革などを質問しました。下水道については豪雨対策、とりわけ三鷹台駅近くの浸水対策、また、今後、三鷹市の下水処理の東京都の処理場への編入などについて質問しました。以下は下水道局への質問を掲載します(交通局への質問は別に掲載)

○中村委員 それでは、下水道局の事務事業について、まず最初に、豪雨対策について質問いたします。
  ことしは西日本豪雨災害や大阪で関西国際空港が冠水した台風二十一号など、全国で甚大な被害をもたらしました。東京においても何十年に一度といわれる集中豪雨が頻発しています。一時間当たり百ミリを超える雨も降るため、浸水対策は急務です。各市区町村では浸水ハザードマップも作成しています。
  そこで、浸水が予想される地域における貯水能力を高める取り組みについて伺います。

○池田計画調整部長 都市化の進展により、降った雨が地面に浸透しづらくなるなど、下水道に流入する雨水の量の増大によって、下水道が整備された地区でも浸水被害が発生しております。
  このため、下水道局では、下水道の能力不足を解消し、時間五十ミリの降雨に対応できるように施設整備を計画的に進めております。
  また、都では、河川や下水道の整備に加え、流域内における雨水流出抑制施設の整備、設置など、さまざまな対策を組み合わせ、浸水被害の軽減を図る総合的な治水対策を進めております。この一環として下水道局では、雨水を地中に浸透させる公共雨水浸透ますの設置も進めております。

○中村委員 浸水する地域は、そこに降った雨の量だけではなくて、高い土地から低い土地に降った後の雨が流れ込むことでも被害も起こります。だからこそハザードマップは地形で判断してつくることができますし、警告というどころか、実際に浸水が繰り返し発生している箇所も多くあります。当該地域に暮らす方からすれば早急な対応が必要ですので、より一層の取り組みを求めます。
  さて、市区境などで各市での下水道事業だけでは対応できない広域的な豪雨対策は、都と市が連携して対応する必要があると考えます。
  具体的には、京王井の頭線の三鷹台駅は、三鷹市と杉並区の境界近くにありますが、駅の北側の地域は、高地にある杉並区側から低地にある三鷹市に向かって雨水が流れ、たびたび浸水する地域があります。雨水の多くは線路沿いに流れる神田川にも注がれるようですが、線路が堤防になってしまい冠水する地域があります。
  三鷹市だけでは区側から流れてくる雨水への十分な対応ができず、平成十七年以降だけでも九回も浸水しています。区部の下水道は都が管理していますので、都として早急に対応すべきですが、見解を伺います。

○猪八重建設部長 三鷹台駅の周辺はくぼ地で、また、坂下となっておりまして、雨水がたまりやすい地形となっておりますことや、雨水流出量が増大しておりますことなどが浸水被害の原因であると考えております。
  これまで、杉並区と協力しながら、雨水ますのふたを格子状のグレーチングに取りかえたり、道路を横断する方向にグレーチングを設置することなど、下水道管に雨水を取り込みやすくするための対応を行ってまいりました。
  今後、過去の浸水被害の状況や降雨の特性、被害の発生原因などを踏まえ、地元の三鷹市や杉並区と連携しながら調査検討を実施してまいります。

○中村委員 線路の構造もあり複雑な状況でもありますが、同じ地域が何度も浸水するという状況は異常な事態ですので、今回、地域でも大きな課題になっている地域についてピンポイントで質問しましたが、頻繁に浸水する箇所については特に早急な対応を求めます。
  また、豪雨の対応という点では、合流式下水道の改善も急がれます。分流式と違い、汚水と雨水が分かれていない合流式の場合、豪雨時に汚水があふれ、そのまま河川に放流されてしまいます。
  そこで、合流式下水道の改善についての取り組みについて伺います。

○池田計画調整部長 合流式下水道の特徴として、大雨の際に、まちを浸水から守るために、汚水まじりの雨水が河川などへ放流されます。区部においては、約八割を占める合流式下水道の改善対策として、雨天時に河川などに放流されていた降雨初期の特に汚れた下水を水再生センターで処理するための下水道幹線の増強や、一時的に貯留する施設の整備、雨水はけ口やポンプ所から流出するごみなどを削減するための対策などに取り組み、平成三十六年度から強化される下水道法施行令の雨天時放流水質基準の達成に向けて事業を行っております。

○中村委員 引き続き合流式下水道の早期の改善を求めます。現状、対応が終わっていない場合には、汚水まじりの雨水が河川に放流されるどころか、浸水すれば、汚水がまちにあふれることになります。大量の雨水に比べれば薄まってしまうとはいえ、環境衛生上よいわけではありません。
  まずは、排水口の清掃など、雨の前に浸水を予防することが重要で広報もされていますが、同時に、合流式下水道の仕組みも都民にも理解していただくことで、豪雨時に使用して出た汚水がまちを汚す可能性があることを広報することも検討していただきたいと思います。
  次に、流域下水道の大きな課題でもある単独処理区の編入について伺います。
  都が直接下水道事業を行う区部と異なり、多摩地域では対応が異なって、市町村が独自に行っています。下水処理については、複数自治体が共同で行う流域下水道の方が環境上も望ましいことから、多くは広域自治体である都が行うようになってきています。
  そうした中、多摩地域では、地形的に編入が難しい町田市を除き、八王子市、立川市、三鷹市の三市以外は流域への編入が行われていますが、三市の単独処理区を流域下水道に編入することが下水道局の経営計画に盛り込まれ、既に八王子市、立川市は具体的に話が進んでいますが、三鷹市だけが進んでいません。
  平成二十一年に改定された都の多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画にも、平成三十六年度に野川処理区への編入が定められています。編入に向けた取り組み状況について伺います。

○小団扇技術部長 お話のあった三鷹市単独処理区の野川処理区への編入につきましては、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画において定められております。この編入を事業化するには、都市計画法や下水道法などに基づき関係市の同意を得るなど、定められた手続を進める必要がございます。
  野川処理区への編入には、六市という多くの市が関係しているため、流域下水道本部が主体となり、関係六市と情報交換を行っているところでございます。

○中村委員 既に都の計画で平成三十六年度に編入するとなっていますが、水再生センターのような巨大な施設をつくるとなると、六年前の段階で、現状を踏まえると事実上計画どおりにはいかないというような状況になっているのではないかと思います。
  三鷹市を含めて関係市が六市あり、それぞれの自治体の事情があり複雑なのは理解をいたしますけれども、だからこそ、都が広域的な視点で調整をすべきだというふうに思っております。先ほど、流域下水道本部が主体となりという話がありましたので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思っております。
  また、多摩地域では、各市町村が下水道事業を行っておりまして、実は三鷹市は、全国で初めて下水道一〇〇%を達成するなど、自治体として事業を優先して取り組み、努力もしてきました。
  しかし、流域下水道の考えでは、複数自治体で取り組むことが前提の制度になり、市町村の事業への国費の補助率が違っています。現在、市町村が行う下水道事業への補助について、単独と流域でどう違うのか伺います。

○飯田管理部長 下水道事業に対する国庫補助金は、下水道法施行令第二十四条の二におきまして、管渠建設費等と処理場建設費について定められております。
  管渠建設費等に対する補助率は、流域下水道、市町村の単独公共下水道とも五〇%でございます。また、処理場建設費に対する補助率は流域下水道では約六七%であり、市町村が行う単独の公共下水道では五五%となっております。
  流域下水道に対する補助率が公共下水道に対する補助率よりも高いのは、流域下水道による水質保全の効果が広域に及ぶことなどによるものでございます。

○中村委員 国の制度の方を伺いましたけれども、ご答弁のように、市町村単独事業よりも広域的に行う流域事業を推奨しています。この考え方に基づいても、都も協力して、より一層の取り組みを行うことを求めます。
  三鷹市では、計画がなかなか見通せていないために、老朽化した現在ある三鷹市東部水再生センターに、長らく時間をかけながら九十五億円ももう投資をして再構築せざるを得なくなってきました。そのため、昨年、三鷹市長からも、流域への早期編入を求める要請書について、流域下水道本部長にも提出をされました。
  これから進める野川処理区だけではなくて、流域下水道事業は、公共用水域の水質保全にも資するなど重要です。もとより三多摩格差などの財政の問題もあるので、建設負担金が各自治体の財政の重い負担にもなっています。東京都市長会や議会による三多摩上下水及び道路建設促進協議会からも建設負担金軽減の要望が出ていますが、それに対して見解を伺います。

○飯田管理部長 東京都市長会や三多摩上下水及び道路建設促進協議会から都に提出されました陳情書の中で、下水道局に対しては、建設負担金等についての要望があり、これまでも要望の背景等を認識し、建設負担金の軽減などに取り組んできております。施設の老朽化が進む中、今後とも国費の安定的な確保に努めるとともに、施設の建設に当たりましては、一層の効率的な事業執行を図り、建設コストの縮減に努めてまいります。

○中村委員 東京都は昨今、以前に比べると、社会インフラの整備率の差が縮まったことで、みずから格差ということをいわなくなってきましたが、財政の差はあり、今後は老朽化した施設の改修なども考えると、より一層財政的な負担が重くなってしまいます。ぜひ市町村から出ている要望は、役所のためではなく、多摩四百万都民として、意見として聞いていただき、引き続き負担軽減に取り組んでいただきたいと思います。
  これから計画されているこの野川水再生センターについてですが、予定地が調布基地跡地の中にあるとはいえ、昨今の社会状況を見ると建設は簡単ではありません。
  現在は、都から調布市、府中市に貸与され、両市はグラウンドとして使用しています。この場所に下水処理場を整備するとなった場合には、施設の上部でのスポーツ施設利用は可能でしょうか。また、現在利用されている方も含め、地域にお住まいの方々には、突然使えなくなると知れば驚かれるでしょうから、この場所に下水道施設が建設される計画があることなども知っておいていただくことが必要と考えますが、見解を伺います。

○飯田管理部長 水再生センターの上部利用の一般的な手続につきましては、地元市が住民要望を踏まえて利用形態を決め、下水道局へ要望をいただいております。
  下水道局は、施設の構造や維持管理に問題がないことを確認した上で、上部利用に関する基本協定を締結して使用許可を行い、地元市の施設として地域の皆様にご利用いただくことになります。
  今後、事業化する際には、地域にお住まいの方々などに丁寧に説明してまいります。

○中村委員 このグラウンドの場所というのは、味の素スタジアムのすぐ北側になるので、私もよく前を通りますし、この週末も通りました。多くの方が野球やサッカーなどを楽しんでいます。上部の利用ができるようになるというのは、現在利用されている方にとっても、建設中は一時的に使えなくても、よりよい施設として整備され、また使えるようになれば理解もされやすいと思います。
  スポーツも下水処理も生活にとっては必要な施設ですから、地域の皆様とともに考えていくためにも、今からお知らせをしていただくことが大切です。
  さまざま質問もしてきましたが、改めて、この三鷹市単独処理区の野川処理区への編入については、関係市が多くて調整が大変ですが、都の広域的な視点に立った取り組みが必要だと考えますが、見解を伺います。

○小団扇技術部長 流域下水道本部は、流域別下水道整備総合計画で定められている三鷹市単独処理区の野川処理区への編入を事業化するため、関係市などの理解が得られるように情報交換を行ってまいりました。
  引き続き、関係市の理解が進むよう取り組んでまいります。

○中村委員 関係市が多く、大変な状況ということは理解はしますが、横並びの市同士の中で決めていくというのは、なかなか限界もあります。
  きょうは流域下水道本部長もこの場にいらっしゃいますので、ぜひ都が率先して取り組んでいただくよう強く求めまして、質問を終わります。

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