2018/12/03 水道局に談合事件について質問しました
都議会公営企業委員会で水道局に、公正取引委員会が捜査中の談合事件について都による調査の中間報告について質問しました。ここ数年だけで3度目の事件であり、徹底した原因究明と再発防止を求めました。
○中村委員 私からも、今回報告された水道局所管委託契約に係る談合疑いに関する調査特別チームによる中間報告について質問します。
水道局は、平成二十四年には職員が収賄で逮捕され、平成二十六年には情報漏えい事件が発生しました。水道局としては、謝罪はしつつも、その都度、内部による調査をして報告しただけで終わりにしていたのではないでしょうか。たびたびこうした問題が発生すると、水道局の体質そのものに問題があると指摘せざるを得ません。
個人の犯罪として組織としては済ませてしまおうということではなく、組織として徹底した原因究明と再発防止に取り組むことが必要です。今回の報告書に出てくる職員Aは、平成二十二年度から平成二十五年度まで在籍し、その間の事件ということになります。すると、これまでに二度事件が起きているわけですから、そのときに局内を徹底的に調査すべきではなかったかと思います。
真相究明と再発防止が重要ですが、個人の犯罪として終わりにせず、水道局の組織としての体質を抜本的に改め、こうした事件を根絶するために質問します。
今回、一職員の行為とはいえ、水道局の体質に問題はなかったのでしょうか。まだ容疑段階だからとはいえ、これだけ世間を騒がせているのですから、事故と表現していますが、この姿勢はいかがなものでしょうか。私は、事故ではなく事件ではないかと思います。
談合は、都民の貴重な税金が毀損してしまい都民に迷惑をかけることになります。まず最初に、あえて事件と申し上げますが、この事件に対して、個人の犯罪なのか、組織としてかかわっていなくても責任はないのか、水道局の受けとめ方を伺います。
○金子職員部長 当局では、過去二回の事故が発生して以降、さまざまな再発防止策に取り組んできたにもかかわらず、今回、新たに情報漏えいの事故が発生いたしました。この事故の要因は、受託事業者を管理監督する立場の事業所職員が積算価格を知り得る立場にあるとともに、受託事業者と日常的に顔を合わせる関係という当局の職場環境にもございました。
こうしたことを局としては重く受けとめており、中間報告書においては、こうした事故から直接導かれる要因等に加え、水道局事業の構造的な要因等に関しても考察を行い、それを踏まえた再発防止策を策定いたしました。
今後は、この再発防止策を着実に実施していくとともに、公正取引委員会の調査に引き続き協力し、必要に応じて調査を行うなど適切な対応を行ってまいります。
○中村委員 それでは、この中間報告書について、少し細かい質問になるんですが、事件の背景を伺うために、たとえ個人の犯罪だということでも、水道局の体質にも原因がなかったのかと思いまして尋ねていきます。
この中間報告書では、一二ページ以降に原因分析と再発防止策が示されていますが、それ以前に私は、この原因分析、とりわけ七ページ以降にある調査により判明した事実というのが、どこまで裏づけのある事実なのか確認します。
例えば、八ページ目の二つ目の丸印のところでは、職員A、すなわち係長AがX浄水場で初めて排水処理の業務につくことになったが、部下職員や上司である技術課長の十分なサポートが得られないとあり、このことから受託事業者Pの社員であるB所長を頼るようになった旨の記載があります。これは本当でしょうか。
部下の職員や上司は係長Aに対して十分なサポートをしなかったのか、裏づけのある事実なのか伺います。
○金子職員部長 浄水場の組織は、課長、課長の補佐や部下の監督を行う課長代理のほか、日常の管理業務や突発的な事故にも臨機に対応できるよう、課をまたぐ困難な課題解決や調整の中心役となる統括課長代理を配置しております。しかし、排水処理担当は担当職員が少なく、職員の相互支援が十分でなかったと認識しております。
また、職員Aは、内部調査において、在籍当時、担当内にはベテラン職員がおり、相談はできたものの、所属長は所管している職員も多く、相談等の時間が十分とれず、突発時も迅速に対応する受託事業者を頼もしく思うようになったと説明しております。
○中村委員 今のご答弁のように、この係長Aのいうことが本当であれば、水道局は初めて職場を経験する人に対して十分サポートをしていないことも事件の原因の一つであると考えられます。
水道局は、組織としてそういう体質なのでしょうか。再発防止策について伺います。
○金子職員部長 排水処理担当は、担当職員が少なく、職員の相互支援が十分でなかったことに加え、受託事業者と一対一になり得る状況でございました。
このため、再発防止策では、排水処理担当と同じ技術課内の浄水施設担当との統合により担当組織を大くくり化し、職員の相互支援や職員の専門的ノウハウの共有、複数名での受託事業者対応の徹底などを図ることとしております。
○中村委員 今回のこの原因を見てみると、A係長とB所長がかなり親密だったというようなことが原因にあるようなんですけれども、例えば、こういった表現の中で、これも八ページのところにありますけれども、職員Aは、単独で巡回の途上で、三階事務所にいるB所長のところに寄って、業務上の意見交換をすることも多かったという事実です。
一般的には、業務上の意見交換をすることが多かったと書くと思います。細かいことなんですけれども、これはひょっとしたら世間話や身の上話なんかもしていて、たまに業務上の意見交換もすることもあったというようなふうにも捉えられがちですけれども、一体これはどういうことなのか確認したいと思います。
○金子職員部長 職員Aは、X浄水場で初めて排水処理業務につき、受託事業者との打ち合わせのほか、毎日現場を巡回しておりました。その巡回中にB所長のところに寄って、業務上の意見交換をすることが多くありました。こうしたことを報告書には記載したものでございます。
○中村委員 このA係長に対するサポートがなかなかできていなかったということなんですが、また一方では、こういう浄水施設では、巡回と称して単独でこういった他の執務室に入り込んで話ができるような職場なのでしょうか。きちんとそういったところを、執務上の管理ができていたのかどうか、そういったところも確認したいと思います。
○青木浄水部長 排水処理作業委託を管理監督する職員は、毎日、受託事業者からの報告を中心とした打ち合わせや巡回を行い、脱水機の稼働状況などを確認しております。また、脱水機にふぐあいが発生した際には、受託事業者と現場の状況確認を行い、排水処理施設内等において業務上の打ち合わせを行うこともございます。
このような、受託事業者との打ち合わせなどを行うとき以外は、執務室内におきまして、資料作成や浄水処理に関する調整等のデスクワークを行ってございます。
こうしたことから、受託事業者と長い時間、業務と関係のない会話を行う職場環境にはないと認識してございます。
○中村委員 この職員Aは、平成二十二年度から二十五年度の在籍中に情報提供した年度については、年度、回数は覚えていないと供述していますが、職員Aは、部下や上司から十分なサポートが得られない中で、B所長に恩義を感じ、頼るようになり心酔していったとあるのであれば、少なくとも勤務年次の当初はあり得ないのではないでしょうか。
八ページの最終行で、情報提供に対して、これは翌年度も排水処理業務を円滑に遂行していくためだと認められると職員Aを擁護しているが、こう書くということは、職員Aの異動が想定される平成二十五年度には情報提供がなかったということが前提であると考えられますが、この情報提供の年度、回数について、どの程度把握しているのか伺います。
○金子職員部長 職員Aの供述は、情報提供の年度や回数に限らず、曖昧なところがございます。これまでの調査により判明した事実は、X浄水場の排水処理係長であった平成二十二年度から平成二十五年度までの間に複数回、X浄水場の排水処理施設運転管理作業を受託していた受託事業者PのB所長に対して、複数単価契約による翌年度の設計単価に関する情報を示したでございます。
○中村委員 少しいろいろと細かいことを聞いたんですけれども、この中間報告の方は、Aの方の証言等々に基づいて書いたんだろうとは思います。本当にこれはどこまで裏づけがあるのかということが不明なのではないでしょうか。
いろいろ考え方はあると思います。このとおりの報告書だとするのであれば、水道局の体質としてサポート体制が足りないということですから、サポート体制をしっかりつくっていくことで再発防止になりますが、逆に、この人の証言が本当に正しいのかどうかというところを少し疑いたくなるところもないわけではありません。改めてこれもしっかり見ていきたいというふうに思っています。
また、そういった中で、これまで水道局で起きていた事件の中では、前々回に起きた事件のときには、収賄ということですから見返りがあったということなんでしょうが、前回の事件では見返りを求めてはいなかったということなんですが、人間関係の中で、それをすることが当然のごとく行われたのではないかと指摘もされています。こういったことを許す文化があっては絶対になりません。
今回については見返りがなかったと報告がされていますが、もし本当なら、この記述どおりいくと世話になったから漏らしたかのような、損得でやったのではなく、人間関係により仕方なくやったんだという情状酌量を求めているかの表現になっています。これは事実をしっかり押さえなければなりません。
まず、この七つの浄水場を三者が受託しているとのことです。報道では四者を調査しているとのことでしたが、この四者の中に、今回のP社も入っているのだから、これらの会社と都や監理団体との資本関係はあるのかどうか伺いたいと思います。
また、あわせて、退職した職員が雇用されているのかも伺います。仮に、ここに退職職員が雇用されているとなると、今回の事件では見返りをもらっていないとのことですが、将来的に再就職という見返りがあることになってしまいます。もしそうなら大問題ではないかと考えますが、実態を伺います。
○松丸総務部長 報道されています四者に対して、都や監理団体から出資している事実はございません。
また、退職者の雇用関係につきましては、四者のうちの一者である水ing株式会社に公正取引委員会の立入検査が行われた時点で、当局の元局長級、元部長級及び元課長級の各一名、計三名が在籍しておりましたが、現時点では、元課長級一名のみが在籍しております。
職員Aに関しましては、調査特別チームによる調査の結果、再就職のあっせんを含め便宜供与はなく、現時点でも、現在や将来の再就職についての便宜供与はないことを確認しております。
○中村委員 先ほどの委員の質問の中で、今の時点ではどの会社がということはお話しになれないということでしたので、これはわかりませんと、仮定の話になってしまいますけれども、元職員が就職している会社との関係ということがあれば、全く本当に何もなかったのかということは当然疑われてしまいます。
いろいろとこういったOBの方々の再就職している会社があれば、直接その人でなくても、その人がいる会社ということになると、やはりどうしても関係性が疑われてしまうところがありますから、職員の再就職という関係と、そしてまた、そことのこういった関係については、より慎重になっていただきたいというふうに思っております。
先ほどの質問の中で、また、サポートが少し不足していたんだということの方が事実なのだったら、その対策についても伺いたいと思います。
今回の事件の対応として、技術職員の不足が外部の事業者に頼らざるを得なかったのではないかということになっているんですが、再発防止のために、簡単に人をふやせる状況ではないという事情は承知しつつも、最低限必要な人員としての技術職員の採用や育成が必要ではないかと考えますが、この点に関して見解を伺います。
○金子職員部長 局では、民間に委ねられる業務は可能な限り民間事業者に委託しており、排水処理作業についても委託することで、効率的な業務運営を実施してまいりました。その中で、適切な施行管理を行うため、これまでも研修やOJTの実施を通じて技術職員の確保、育成に努めてまいりました。
今回の改善策では、排水処理担当と浄水施設担当の統合により、担当組織を大くくり化し、職員の専門的ノウハウの共有を図ることを掲げており、こうした取り組みを通して、引き続き効率的かつ確実な業務遂行体制を確保してまいります。
○中村委員 今回の事件は、二年前の事件よりも既に前に発生していた事件とのことなので、二年前に示された対応策の効果は及んでいないようなことになります。しかし逆に、前回事件があったときに徹底的に調査をして、今回の件は見つけられなかったのかということになります。
改めて、前回の事件のときに徹底した検証をしなかったのか、なぜそのときに見つけられなかったのか、また、今後どのような対策を講じていくのか伺います。
○金子職員部長 これまで自己申告時に職員の非違行為について確認してきましたが、職員の自発的な申告には結びつかず、情報漏えいの事実を把握できませんでした。
このため、非違行為に関する自発的な申告について、現在の申告した場合に懲戒処分の量定を軽減することができる仕組みに加え、新たに自発的な申告がなかった場合は、量定を加重する仕組みを取り入れ、職員の自発的な申告へのインセンティブを導入いたします。
今後は、自己申告の面接時に、この自発的な申告と懲戒処分の関係などについて詳細に説明した上で、過去に情報漏えい等の非違行為を行ったことがないかを確認いたします。
○中村委員 二年前の調査のときには、今回の事件は発見できなかったので、今回の対策として、自発的な申し出を促すよう職員としての処分を軽くするとのことですが、その場合、内部としての処分は軽くなっても、社会的な責任は別です。
申し出をしても、犯罪行為であれば、自首を促すか、しないなら刑事告発しなければならないのでしょうか、いかがでしょうか。都庁内の処分と刑事処分は別ですけれども、どのようになるのでしょうか。
また、昨今では、新たな制度として司法取引制度が話題になっていますが、再発防止に向けて、こうした制度を活用して職員に告発を促したりはするのか伺います。
○金子職員部長 職員が刑事事件に係る非違行為を行い、かつそれが犯罪行為に該当すると考えられる場合、刑事訴訟法上、局は刑事告発を行わなければならないとされております。
今回の事故につきましては、現在、公正取引委員会において事実関係の解明及び犯罪行為の該当性等に関する調査を行っており、局としましては、引き続きこの調査への協力を行ってまいります。
刑事事件に関する非違行為の告発と局による懲戒処分の軽減は、それぞれ別の根拠法令に基づくものであり、両者は直接的に関連するものではございません。また、刑事訴訟法における合意制度の導入、いわゆる日本版司法取引制度は、被疑者、被告人と捜査機関の間の合意に基づくものでございまして、局は関与できないものでございます。
○中村委員 中間報告書では、今回の事件に関して、水道局における原因分析と再発防止策について言及しています。過去二回の汚職事件発覚時には、汚職等防止対策本部で原因究明と再発防止策の検討を実施しています。
今回の事件により、これまでの取り組みでは不十分ではないかとの見方があります。このことを踏まえて、再発防止策の一つとして第三者コンプライアンス委員会を設置するとあります。今回、副知事をトップとする調査特別チームが立ち上げられました。しかし、副知事は、局外とはいえ都庁内に変わりはありませんので、一般的には第三者とはいえません。
私は、先月二十二日の委員会でも、都庁内ではなく外部による第三者委員会の立ち上げを求めました。今後、外部からのチェックを強化するという観点で、第三者コンプライアンス委員会を設置するとのことですが、今後ではなく、今回の事件の原因究明においても、当該委員会に任せるべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○金子職員部長 調査特別チームは、現時点までに、都として把握した情報をもとに集中的に調査し、原因を究明するとともに再発防止策を策定し、中間報告書として取りまとめました。
今後は、平成三十一年四月に設置する第三者コンプライアンス委員会におきまして、中間報告書の原因究明や再発防止策についても検証を行い、提言を行っていただきます。
○中村委員 ようやくとはいえ、外部の評価を受ける機会を設けることはよいのですが、一度内部で検証したものを外部に点検してもらうのであれば、なぜ最初から外部の目で検証しなかったのか理解できません。
たびたび繰り返すのは身内に甘いのではないかといわれかねない対応であれば、また繰り返してしまうのではないかとの疑念も湧きます。これから外部を入れるからよいではないかということではなくて、意識を変えていただくことを求めます。
とはいえ、新たな組織を設置するからには、しっかりとした方針のもとで組織を動かしていくことが重要です。
そこで、第三者コンプライアンス委員会が原因の究明を行った後は、本委員会で何を議論していくのか伺います。
○金子職員部長 第三者コンプライアンス委員会では、今回の事故に関するこれまでの調査結果をさらに掘り下げて分析、精査するなど、原因究明の検証を行い、その結果を踏まえた再発防止策の検証、提言を行っていただきます。
加えて、過去二回の事件を踏まえた再発防止策の取り組み状況を総括し、検証するとともに、当局の構造的な課題にもメスを入れ、新たなコンプライアンス強化策につなげてまいります。
○中村委員 こうした有識者による新しい視点やチェック機能が入ることになるのですが、ある意味で、あるべき姿になるのですから、さらに掘り下げて分析、精査するだけではなく、これまで内部で調査したものはあくまで参考にして、ゼロベースで検証することを求めます。これまでの取り組みでは不十分であった点を補い、抜本的な取り組みを実現することを求めます。
今後、さらなる調査と原因分析を踏まえた効果的な再発防止策の構築に向けて取り組むことを求めて、質問を終わります。
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