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都議会質問記録

2018/12/17 五輪、中小企業支援、子育てについて文書質問を提出

2018年12月17日、本会議場で質問の機会を得られない代わり行う文書質問を都に提出しました。項目は大きく3点で、「1.オリンピック・パラリンピック大会の成功について、2.中小企業振興について、3.子育て施設の質の向上について」を質問しました。都民からいただいた要望を質問という形で提出しました。次回定例会の初日に答弁がされます。


1.オリンピック・パラリンピック大会の成功について

 2020年のオリンピック・パラリンピック大会の成功に向けて取り組みが進められています。大会の成功は望むべくものですが、都民の中にも温度差があるため、熱心な方もそうでない方もいるのは実情です。そのため、大会の成功といえるものとするには、多くの方が望み、期待し、納得するものとなることが必要です。そのためにも、人類が誰もが望む平和のための祭典であることが明確にされること、情報公開を積極的進め経費が適切に使われていることを示す必要があります。以下の質問をします。

質問1-1 オリンピックは7月24日から8月9日まで開会されます。期間中に広島に原爆が投下された8月6日を迎え、最終日の閉会式の日は8月9日は長崎に原爆が投下された日にあたります。世界中から注目されるイベントの最中に、人類で初めて核兵器が使われた日から75年の節目の日を迎え、閉会式の日には、人類で最後に核兵器が使われた日にしなければならない日から75年を迎えます。オリンピック・パラリンピック大会はまさしく平和の祭典です。世界中から注目される大会に際して、唯一の被爆国である日本の首都である東京から世界に平和を訴える絶好の機会でもあります。都として2020年の大会において平和の理念をどのように訴えるのか伺います。

答弁1-1 オリンピック憲章に定めるオリンピズムの根本原則においては、「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである」とされています。
  大会開催準備の基本的な枠組みを示す大会開催基本計画においても、大会ビジョンの基本コンセプト「多様性と調和」の中で、平和の維持がうたわれ、これに「全員が自己ベスト」「未来への継承」を加えた三つのコンセプトを掲げています。
  さらに、招致の際の原点である復興五輪や二度目のパラリンピックの成功、持続可能な社会の実現など、平和な社会の推進も含め、様々な理念が掲げられており、これらを踏まえて、組織委員会において大会運営に取り組んでいくものと認識しています。

質問1-2 2020年大会において8月6日の広島の原爆の投下の日をどのように扱うのか伺います。とりわけ、8月9日には11時2分に長崎で原爆の日の式典もある中で、同日にオリンピックの閉会式もあり、どちらも世界中が注目するものであり、それぞれが無関係ということにはならないと考えます。8月9日の閉会式では、どのように平和を訴えていくのか、伺います。

答弁1-2  東京2020大会の運営に当たっては、平和な社会の推進のほか、復興五輪の実現や二度目のパラリンピックの成功、持続可能な社会の実現など、様々な理念を踏まえて取り組んでいくものと認識しています。
  また、開閉会式については、平成29年12月に組織委員会が策定した東京2020大会開会式・閉会式に関する基本コンセプトにおいて、「平和」は、「共生」、「復興」、「未来」等の八つのコンセプトの一つに位置付けられています。
  なお、組織委員会は、平成30年7月、オリンピック・パラリンピック開閉会式の4式典に係る演出企画の実施体制を公表し、現在具体的な検討を進めています。 

質問1-3 オリンピック・パラリンピックについて情報公開が求められます。都には情報公開条例も、あらたに公文書管理条例も制定されましたが、大会開催に際して重要な役割を果たす組織が別団体として情報公開が十分とはいえません。そこで、まず、招致にあたって、招致委員会が、2016年大会と2020年大会、それぞれ設立されましたが、現在、その組織はどうなっているか伺います。また、その組織が保管していた文書はどのように保管されているか、また、どのように公開されるか伺います。

答弁1-3 2016年大会の東京招致に当たり、平成19年2月に特定非営利活動法人東京オリンピック招致委員会を設立しました。リオデジャネイロに開催都市が決定した後、当招致委員会は特定非営利活動法人国際スポーツ東京委員会に名称変更し、2020年大会の東京招致に当たり任意団体として設立した東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会と統合して、平成24年4月に特定非営利活動法人東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会を設立しました。
  その後、設立の目的である招致活動が終了したため、招致委員会は平成26年3月に解散しました。
  特定非営利活動促進法では、解散した特定非営利活動法人の文書の保存や公開に関して定められていません。文書については、それぞれの団体の責任において取り扱われているものと認識しています。
  なお、都は、2020年招致活動について総括するとともに、貴重な取組の記録を残すことを目的として、招致活動報告書を取りまとめ、公表しています。 

質問1-4 現在、2020年大会に向けて活動している組織委員会について適切な情報公開が必要です。多額の税金を使っている大会ですから、組織委員会には民間団体等も出資をしているとはいえ、情報公開は必要です。仮に今、個人情報や企業秘密などの理由で公開できなくても、将来、公開できるよう保存しておくことは、運営にあたって緊張感をもたらします。現在の組織委員会の文書の保管、公開については都と同等の扱いをするよう求めるべきですが見解を伺います。

答弁1-4 組織委員会は公益財団法人として、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律等に基づき、書類を適切に管理するとともに、事業計画書や収支予算書等の開示等を要する書類を一般に公開しています。
  また、東京2020大会という国内外の関心が高く、大規模かつ公共性の高いイベントの準備・運営を担っているという観点から、法令に基づく対応のほかに、意思決定機関である理事会の資料や議事録などについても、情報発信に努めています。
  都としては、大会の準備を万全にし、大会を成功に導くためには、都民・国民に丁寧な説明を行い、理解を得ていく必要があると考え、組織委員会に対して、情報公開を推進するよう働き掛けてきました。
  組織委員会は都とは別の法人格を持つ団体であり、個々の情報の取扱いはIOCをはじめ様々なステークホルダーとの関係を踏まえ、組織委員会が判断するものではありますが、組織委員会に対し、団体として可能な対応について引き続き働き掛けていきます。 

質問1-5 大会が終了した後の組織委員会は解散することになりますが、多くの貴重な資料があるため、廃棄せず、すべて都に引き継がれるべきと考えます。大会後に考えるのでは、遅いため、今から決めておく必要があります。組織委員会が保管している文書について大会後は都に引き継がれて保存し将来公開することを求めるべきと考えますが見解を伺います。

答弁1-5 組織委員会の重要な資料については、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に基づき、解散後の清算の結了から、清算人が10年間保存することと定められています。
  このほか、開催都市契約大会運営要件に基づき、組織委員会は、都、IOC、JOC等と合意の上、大会に関する記録を保存し、将来に引き継ぐための計画を策定することとされています。 
 
2.中小企業振興について

 昨今、景気がよいかのような報道がなされていますが、大企業とは違い、中小企業にとってはなかなかその実感が伴わないとも言われています。今定例会では会派からの要望を受け中小企業・小規模振興条例を提案されたことは評価します。そのうえで、条例の実効性を高める、中小企業・小規模企業の振興を図るため、以下の質問をします。

質問2-1 中小企業・小規模企業の新興を図るため、社会的公正を実現していく取り組みが必要です。下請企業の経営を危うくする、親企業などによる一方的な製品の単価引き下げや代金の支払い拒否などは無くなりません。提案された条例では大企業への協力を求める条文が記載されましたが、その条文は、「取引の適正化」を実現するために協力を求めるものとの解釈が含まれていると考えられるか、見解を伺います。

答弁2-1   東京の中小企業の経営の持続的な成長を図るためには、適正な利益を確保できる公正な取引慣行を確立することが重要です。
  そのためには、経済の活性化や地域の発展に貢献するという中小企業の役割についての理解を促進し、取引を公正に行う共通の認識を広げていく視点が不可欠です。
  こうした考えの下、条例では、様々な主体に、中小企業が重要な存在であることについての理解と都の振興施策への協力を求めています。 

質問2-2 都は、経済変動の影響を受けやすい下請中小企業の経営と安定と発展を図るため、下請取引に関する諸問題の解決や取引の適正化のための各種支援を行うとして、下請けセンター東京(下請取引紛争解決センター)を設置しています。相談件数の実績と主な相談内容とその対応について伺います。

答弁2-2   下請センター東京における相談件数の実績は、平成29年度は316件となっています。相談内容は、取引契約や代金回収に関するものが多く、弁護士を速やかに紹介し法律相談などを実施しました。 

質問2-3 下請企業への取引価格・単価引き下げなどの一方的決定に対して、都は下請けセンター及びその多摩支援室の専門相談員の増員を図るなど、下請センター東京での取り組みを充実させ、「取引の適正化」をより一層実現すべきと考えますが。見解を伺います。

答弁2-3 下請センター東京では、中小企業の適正な下請取引を確保し、受発注を巡る様々な問題への対応を図るため、相談や助言などを実施しています。
  具体的には、窓口での相談対応により下請取引に係る苦情などの正確な把握を行い、解決につながるアドバイスを行うほか、同センターの相談員が企業の現場を巡回しながら、様々な助言や情報提供のほか、法律の内容などの普及啓発の活動も行っています。
  今後とも、こうした取引適正化の推進を図るための取組を着実に推進していきます。 

質問2-4 都は毎年、東京ビッグサイトで産業交流展を開催し多くの中小企業が参加をしています。取り組みとしては重要ですが、これまで参加しいた企業がメリットがないとして参加しなくなるところもあります。都として産業交流展の経済的効果を数値で示し、成果をあげることが重要です。産業交流展の実績を伺います。また、展示会において取引が行われ新たなビジネスが生まれるなどの成功事例があればよりPRすることも必要ですが見解を伺います。

答弁2-4  産業交流展は、中小企業の販路開拓を効果的に促進するため、魅力的なイベントや著名な講師によるセミナーの開催などの工夫を重ねながら実施してきました。
  前回の平成29年度は884の企業と団体が出展し、3日間の開催期間中に約6万人の方に来場いただいた結果、延べで約8千件の商談が行われ、約4百件の成約に結び付きました。
  また、出展者の成果等について、報告書やウェブサイトにより発信しています。 

質問2-5 昨今、製造業など大企業の都外への移転が進み、とりわけ多摩地域では都が以前掲げた「シリコンバレー構想」どころか多くの事業者が都外に移転してしまいました。都としては企業の流出を防ぐとともに、移転した場合には下請けの中小企業や近隣の商店街をはじめとする地域産業に影響が及ばないよう対策することが求められますが、見解を伺います。

答弁2-5 多摩地域をはじめ、都内に集積する製造業等は地域の産業や雇用を支えており、大企業の転出等による影響から、こうした集積を守ることは重要です。
  このため都は、地域環境に配慮した工場の改修や都内での移転等を行う企業に対し、区市町村と連携した支援を行っています。
  また、中小企業と金融機関や大学など地域の様々な主体とのネットワーク構築や企業誘致の促進など、地域産業の活性化に取り組む区市町村の経費の助成等を行っています。
  こうした取組を通じて、地域の産業集積の維持発展を図っていきます。 


 3.子育て施設の質の向上について

 保育園の待機児童が問題になる中、その定員の拡充が求められていますが、同時に保育の質の保障されなければなりません。毎年、保育に関して痛ましい事故により子どもが亡くなる事例が報道されます。保育園の待機児童解消に向けてさまざまな子育て施設が設立され、同時に保育士の不足も言われる中ではありますが、都として、保育の質を落とさず、安心して子どもを預けられるよう取り組みことが重要です。そのため以下の質問をします。

質問3-1 子育て施設に関する事故の件数について毎年、内閣府が発表していますが、都道府県別の数値は公表されていません。都として都内での事故件数を公表し、事実を踏まえた対策を講ずるべきと考えますが見解を伺います。

答弁3-1  子ども・子育て支援法に基づく認可保育所や小規模保育事業などの特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業や、児童福祉法に基づく認可外保育施設などで発生した事故については、都道府県を通じて国に報告されています。国は、事故報告の集計結果及び事故防止に向けた取組を公表し、注意を喚起しており、都はこうした情報を、区市町村及び施設・事業者に対して周知しています。
  また、死亡事故等の重大事故が発生した場合には、認可保育所については区市町村が、認可外保育施設については都道府県が、個別に検証し、再発防止の取組を促進しています。 

質問3-2 現在、都は認可外施設について指導監督を行っています。数多くの施設を担当している事情があるにせよ、調査を受けた施設の中には、書類は見ていても、実際の子育ての状況を見ていなかったのではないか、との批判の声も寄せられました。どのような資格の職員が何人体制でどのような内容の検査を行っているのか伺います。

答弁3-2  都は、児童福祉法に基づき、認可外保育施設に対して、立入調査等の指導監督を実施しています。
  立入調査では、常勤職員と認可保育所での勤務経験がある非常勤職員からなる9班23名体制で、職員配置等の運営面や保育内容など、認可外保育施設指導監督基準に規定された全ての項目について、基準に適合しているか確認し、基準を満たしていない場合は、文書で指摘し改善指導を行っています。
  また、平成29年3月から開始した巡回指導では、認可保育所の園長経験者や、行政機関等で社会福祉施設等の指導業務に従事した経験等がある非常勤職員が、1班2名のチーム編成による10班20名体制で、基準のうち、子供の安全に直結する項目について重点的に指導を行っています。
  なお、巡回指導で重大な問題が認められた場合、迅速に立入調査を行うなど、機動的に対応しています。 

質問3-3 指導監督の徹底により、事故をなくすのは当然のこと、保育の質の向上につなげることになります。都では、保育施設全体での事故死ゼロを明確に掲げ、そのための指導監督の体制強化を図り、子育ての質の向上を図るべきと考えますが、見解を伺います。

答弁3-3 都は、児童の安全確保や事故防止を含め、保育施設の質の確保と向上を図るため、指導監督を行っています。
  認可保育所・認証保育所については、都に加え、子ども・子育て支援法等に基づき区市町村も指導監督を行っています。都は、区市町村職員に対し、都の指導事例を通じて学ぶ研修や都が行う指導検査への立会い等を通じた技術的支援を行うほか、指導検査結果などについても区市町村と情報共有を図っています。
  認可外保育施設については、立入調査に加え、年1回全ての施設を訪問する巡回指導を実施するほか、認可外保育施設を対象とする講習会において、事故防止の留意点を周知するとともに、事故防止及び救急対応策の徹底を促す通知を全施設に発出し、併せて区市町村にも情報提供を行うなどの取組を実施しています。
  課題を把握した施設に対しては、年複数回にわたり立ち入り、重点的に改善指導を行うとともに、巡回指導チームや区市町村との連携等により指導監督体制の強化を図っています。

 

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