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都議会質問記録

2019/02/26 代表質問で小池知事に築地まちづくり、児童虐待防止、犯罪被害者支援を問う

(実際には質問と答弁をまとめて行っていますが、1問1答に並べ替えています)

1.市場問題について

〇中村:私は、都議会立憲民主党・民主クラブを代表して、都政の諸課題について質問します。
 はじめに、市場問題について伺います。
 昨年の6月20日、小池知事が発表した「築地は守る、豊洲は活かす」との方針は、あえて都議選直前に発表
されたことからも、知事の選挙公約であると、多くの都民が認識しています。
 しかし、先に発表された「築地まちづくり方針案」は、「築地は守る」と言っていた知事方針から、大きく変質したと言わざるを得ません。
 そこで、都の方針案で「築地は守る」ことになるのか、公約違反でないのか、知事の認識を伺います。

〇小池知事:中村ひろし議員の代表質問にお答えをいたします。
  まず、基本方針についてのお尋ねでございました。
  私が基本方針でお示しをいたしましたのは、豊洲と築地の両方を生かすことを趣旨とする大きな方向性でございます。日本の中核市場としての可能性を持つ豊洲と、都心に近くさまざまなポテンシャルを有する築地、東京のさらなる成長に向けてこの両方を生かしていくということでございます。
  この基本方針をベースに、都として検討を行いまして、一昨年七月、市場移転に関する関係局長会議で、築地については民間主導で再開発を進めていくことといたしまして、その後、有識者のご意見をいただきながら検討を重ねてきたものでございます。
  まちづくりの方針の素案では、再開発の考え方として地域のポテンシャルを生かしつつ、新たな東京ブランドを創造、発信する国際的な交流拠点を形成するということといたしておりまして、都民の皆様からのご意見を踏まえて、年度内にまちづくり方針を取りまとめていくと、このことを申し上げております。
  東京全体の価値を最大化していくことこそが築地が培ってきた大切なものを守る、つまり築地を守る、そして発展させるということになると考えております。

〇中村:また、知事の公約を信じて期待した都民、仲卸の人に対して、まずは謝罪すべきと考えますが、併せて、見解を伺います。

〇知事:基本方針を踏まえました築地のまちづくりでございますが、私は基本方針におきまして、築地が培ってきた大切なものを守る、今申し上げたとおりでございます。そして発展させていくという思いで築地は守ると述べております。
  築地が積み重ねてまいりました長い歴史、大いなるポテンシャルを生かして、先進性と国際性を兼ね備えました東京の新たな顔として育てて、築地に期待を寄せる人々に応えていくことが、知事としての責務であると、このように考えております。

〇中村:知事は1月25日の定例会見で「食のテーマパークというのは捉え方にもよる。ウェルネスの部分でも、食というのも一つの課題」などと述べていますが、私は、築地が培ってきた食文化こそ、ウェルネスをはじめとする、多様なテーマを広く包含するものと考えます。
 そして何より、「食文化の拠点継承」は、都議会の附帯決議でも付されているのです。
 私は、築地のまちづくり方針において、「食文化の拠点継承」という視点を明確に位置づけるべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

〇知事:また、食文化の拠点の継承についてのご質問がございました。
  平成二十四年度の東京都中央卸売市場会計予算に付されました付帯決議についてでございますが、築地のまちづくりについては、都と中央区との合意を踏まえまして、築地での食文化の拠点が継承されるように最大限協力することというものでございます。
  そして、当時の中央区との合意でございますが、築地に卸売市場を整備することは適当でないという共通の認識に基づいて、場外市場など周辺とのかかわりの中で、食文化の拠点として築地が育んできた活気とにぎわいを継承していくことを確認したものでございます。
  築地再開発の検討会議によります築地まちづくりの大きな視点におきまして、隣接する場外市場につきましては、にぎわいの維持増進を図っていくということも重要であると提言をされています。
  築地まちづくりの方針の素案でございますが、この提言を踏まえまして、区も参画をされ、取りまとめたもので、築地場外市場とのつながりにも配慮しながら、にぎわいを創出することとしております。

〇中村:また、私は、知事が述べていた「目利きの力」をどのように活かすのか、「希望する仲卸が築地に復帰する際の手伝い」とは何か、具体的に説明すべきと考えます。
 さらに、知事は、築地市場のまちづくりについて、「場外市場の方、また、新規参入の意向のある方などを含めた行程表を作成したい」とも述べていましたが、これも示すべきです。
 併せて、知事の見解を伺います。

〇知事:次に、築地再開発についてでございますが、まず目ききの力については、築地は目ききの力などによって培われてきた築地ブランドや、都心に近接した好立地などの高いポテンシャルを有しているわけでございます。
  そして、基本方針では、こうしたブランドの価値をさらに高めて、世界への発信の重要な拠点とするために築地再開発を行う、これを大きな方向性として示したものでございます。
  その築地再開発の進め方でございますが、長期的な観点から、経済合理性を考慮しながら、民間の力を最大限に活用して、段階的に整備するということでございまして、都民の皆様からの意見も踏まえてまちづくり方針を策定いたします。その後、区とも連携しながら、築地場外市場とのつながりにも配慮をいたしまして、民間事業者からの提案を受けて、まちづくりを具体化してまいります。

 市場機能については、かねて申し上げてきたとおり、都が中央卸売市場として運営するのは豊洲市場でございます。今、豊洲移転がなされたわけで、その後の築地再開発において、都が改めて卸売市場を整備することはないものと考えております。
  一方で、築地にとりまして食文化は重要な要素の一つでありまして、築地に思いを寄せる仲卸業者の意見を聞きながら丁寧に対応をしてまいることでございます。

〇中村:築地のまちづくり方針が極めて曖昧な素案の段階で、有償所管換すなわち税金による購入を提案したのは、この問題の早期決着を図ろうとする知事の思いの現れでないかと考えます。都民や議会への丁寧な説明というプロセスを重視するのであれば、例えば、決算余剰金等は一時的に基金に積んでおくなどして、都としての方針を確定した上で、関係議案を提案することも可能であったと考えます。
知事の説明責任と提案時期について、見解を伺います。

〇知事:それから、補正予算案の提案時期等についてのご質問がございました。
  築地市場の跡地について、昨年十一月の市場移転に関する関係局長会議で、中央卸売市場会計の収支試算を行う中で、築地まちづくりの検討状況を踏まえて、一般会計への所管がえも視野に入れて検討を進めることといたしました。その後の第四回定例会で、一般会計への有償所管がえを軸に検討を加速する旨を表明するなど、それぞれの段階で状況を明らかにしながら検討を進めてきたものでございます。
  その上で、ことしの一月に、築地まちづくり方針の素案を取りまとめ、関係局長会議で、東京全体としての価値の最大化を目指すまちづくりを見据えて、市場会計の収支試算も踏まえ、中央卸売市場会計から一般会計へと公有財産の規則に基づいて有償所管がえを行うことといたしたところでございます。
  一般会計への移しかえにいち早く着手することで、民間事業者の参画意欲を早期かつ最大限に引き出すことができ、都としても円滑にまちづくりの具体案を検討することが可能となると考えます。
  また、再来年度以降には、今般の国による税制の見直しにより税収減が見込まれているところからも、将来の財政支出を可能な限り軽減する必要もございます。こうした中で、今年度、決算剰余金、予算執行状況の精査によって財源のめどが立ったということから、補正予算案を本定例会に提案をいたしているところでございます。

〇中村:また、有償所管換の経費5623億円は、極めて多大で、懸念する声も聞かれます。今後は、外部の不動産鑑定機関が実施した鑑定書を自ら進んで公開し、説明責任を果たすなど、都民に分かりやすく情報発信すべきと考えますが、見解を伺います。

〇武市財務局長:築地市場跡地の評価額についてでございますが、このたび依頼をした鑑定機関によりますと、鑑定額の算定においては、国土交通省が定める不動産鑑定評価基準に基づく手法や手順により、近隣の取引事例との比較や土地の収益性、開発による投資採算性などを考慮して評価を行っているとのことでありまして、専門的見地からの適正な評価であると受けとめております。
  また、この鑑定評価に基づく土地価格につきましては、平成二十九年度に試算した金額からの伸び率は、当該跡地周辺の地価上昇率と同程度でありまして、こうした観点から今回の土地価格は妥当であると考えております。
  都議会や都民の皆様に対しまして、こうした鑑定評価の内容についてわかりやすく示すなど、引き続き丁寧な説明に努め、説明責任を果たしていく所存でございます。

〇中村:さらに、知事は「都民の税金を投入することなどあってはならない」とも発言していましたが、今回の提案は、この発言と矛盾しないのか。伺います。

〇知事:築地市場跡地の有償所管がえについてのご質問で、今回の有償所管がえは、築地まちづくり方針の素案に基づくまちづくりのために必要となる用地を関係規則にのっとって適正な対価のもとで一般会計に移しかえるものでございます。
  都民の税金を投入することなどあってはならないという発言でございますが、市場会計の赤字を補填するために、一方的に税金を投入するようなことはあってはならないという意味で申し上げたもので、今回の補正予算案は、これと矛盾するものではございません。

〇中村:市場会計の持続可能性では、有償所管換した場合、「今後約50年間は事業継続が可能」と試算していましたが、裏を返せば、50年で破綻するということです。
 私は、知事が施政方針で述べていた「卸売市場の戦略的な経営と強固な財務体質の確立」は積極的に進めるべきとの立場であり、加えて、都内に11ある市場ごとの収支状況の明確化など、市場会計の見える化に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。

〇知事:市場会計についてでございますが、市場運営の状況や課題などにつきまして、都民などの理解を得る上で情報を発信することは重要でございます。市場移転に関しましても、市場問題プロジェクトチームや市場のあり方戦略本部におきまして、財政運営上の課題などを幅広く分析して、その内容をつまびらかにしてまいったところでございます。
  今後、市場会計全体の将来を見据えた戦略的な経営と強固な財務体質の確保に向けた経営計画を策定することといたしております。策定に当たりましては、外部有識者の専門的な知見を生かしながら、各市場の収支状況など十分踏まえながら検討し、検討の計画の内容を都民にも広く理解してもらえるよう、わかりやすく発信をしてまいります。

〇中村:また、市場会計が土地を所有し、長期貸し付けする場合は、年間最大154億円の貸付料が可能であるとも試算していました。
 そこで、私は、築地のまちづくりにおいても、知事の判断を検証できるよう収支を見える化すべきと考えますが、見解を伺います。

〇知事:まちづくりにおける収支についてでありますが、築地の再開発は、都心の大規模な土地を効果的に活用しながら、民間の力を最大限に生かして、東京の持続的な成長につなげることといたしております。
  まちづくりを進めるに当たりましては、長期的な時間軸を意識して、定期借地による活用も想定しまして段階的に整備することといたしておりまして、社会経済情勢の変化、将来のニーズにも柔軟に対応しながら、民間事業者からの提案を受けて具体化を図っていくこととなります。
  その際ですが、まちづくり方針に沿ってまちづくりが適切に進められるように、経済合理性を勘案しながら、各段階の開発整備を通じまして、中長期にわたって一貫してコントロールする仕組みを構築していくとともに、議会に対しまして適宜報告を行わせていただきます。

2.虐待防止・子育てについて

〇中村:次に、児童虐待・虐待死ゼロを目指した取組みについて伺います。
 条例案において、体罰禁止を明言されたことは、家庭内での暴力に対する都としての姿勢を明確にするものであり、評価致します。
 私たちが先の代表質問で、虐待・虐待死ゼロ宣言と、実現に向けた施策実行を求めた際、知事は明言されませんでしたが、先日の所信表明でも断固防ぐという表現にとどまりました。
 都では、最前線で虐待に対応する「人」が足りていません。人口や虐待対応件数から算出する国の参酌基準では、平成31年度、児童福祉司だけでも100人以上増やす必要があります。集合住宅が多い、人間関係が希薄など大都市ゆえの困難さがあること、虐待対応には経験を要することなどに鑑みると、計画的な育成が必要です。
 都には中長期の人員の確保育成計画、一時保護所の整備計画がありません。条例の骨子案を受けた3定の代表質問でも求めましたが、トップによる虐待・虐待死ゼロ宣言、条例、業務量に見合った人員等の計画、それを裏付ける予算は一体となって機能するものと考えます。平成31年度予算案において、虐待対応力強化と虐待・虐待死ゼロ実現に向けた体制整備に道筋をつけたと考えているのか、知事の見解を伺います。

〇知事:次に、児童相談所に関してのご質問でございます。
  深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するために、都はこれまで、児童相談所の体制強化に取り組むとともに、区市町村の虐待対応力の向上を支援してまいりました。
  来年度は、児童相談所の児童福祉司や児童心理司などの増員や一時保護所の定員拡充などを行ってまいります。また、子供家庭支援センターにおけます経験豊富な虐待対策ワーカーの配置、そして土日、夜間の相談体制の整備などへの支援を行ってまいります。
  こうした取り組みによりまして、児童相談所と子供家庭支援センターのさらなる体制強化を図るとともに、それぞれの強みを生かした新たな連携強化策を検討するために区市町村との合同検討会を立ち上げます。
  子供たちにとりまして安全・安心のとりでであるはずの家庭で、後を絶たない虐待を断固防ぐ、そうした強い決意のもとで、今回の条例案を提出したところでございます。
  今後、児童相談所の体制強化、区市町村との連携を一層進めまして、東京全体の児童相談体制を強化してまいります。

〇中村:妊娠期の面談・ケア、周産期医療の充実などにより、日本の新生児死亡率は世界で最も低く「赤ちゃんがもっとも安全に生まれる国」となりました。さらには、生後4ヶ月までの乳児のいる全ての家庭を訪問し、育児の悩み相談や家事援助などのサービス提供を行うなど、
新生児期における取組みも進められてきました。しかし訪問率は89.5%です。
 また、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1歳6ヶ月、3歳の健診や歯科健診、予防接種などのうち、主なものの受診・接種率は90%以上ですが、健診・予防接種を受けさせない家庭に訪問する自治体が数多くあります。
 私は、区市町村における人員確保を支援するなど、子どもに直接、複数回会う取組みが100%徹底されるように、都として取組むべきと考えますが、見解を伺います。

〇内藤福祉保健局長:健康診査未受診の子供等の状況確認に関するご質問にお答えいたします。
  区市町村では、妊婦に対する保健師等による面接や生後四カ月までの乳児のいる家庭への訪問を行っております。乳幼児健康診査が未受診の場合には受診を勧奨し、必要に応じ他機関とも連携して子供の状況を確認するほか、要支援家庭を把握した場合や状況確認ができない場合には、子供家庭支援センター等の支援につなげております。
  子供の健やかな成長を支えるためには、全ての子供の状況を確実に把握し、切れ目なく支援することが重要であり、都は、こうした区市町村の取り組みを支援してまいります。
  また、今回提案した、子供への虐待の防止等に関する条例案では、健康診査の受診勧奨に応じる保護者の努力義務を盛り込んでおり、このことも区市町村の取り組みの後押しになるものと考えております。 

3.犯罪被害者支援について

〇中村:次に、犯罪被害者支援条例の制定について伺います。
 人権条例をつくる際にも申し上げましたが、LGBTやヘイトスピーチ以外の人権課題、なかでも最も深刻な人権侵害のひとつである犯罪被害者条例がありません。
 私は、平成24年第3回定例会に条例の議員提案を行うなど、これまでも犯罪被害者支援の充実を、繰り返し求めてきました。都は、計画で支援を推進してきましたが、犯罪被害者等支援計画や条例のある自治体は少なく、窓口は決めても相談・支援業務に長けた職員は常駐していません。多岐にわたる支援ができる連携・協力体制も不足しています。
 加害者に対する損害賠償請求権にかかる債務名義を譲り受けることを条件として、300万円までの立替支援金を支給する規定を設けた自治体もあります。
 また、ネット上での中傷や過剰な取材による二次被害を防ぐための配慮規定を設けるなど、新たな課題への対応も必要です。
 犯罪被害者支援の充実と地域格差の解消を早期に実現するため、都として犯罪被害者支援条例を早期に制定するとともに、支援の取組みをより一層強化する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。

〇知事:それから、犯罪被害者等の支援条例の制定についてのご質問をいただいております。
  犯罪被害者やそのご家族の方々は、被害直後から心身ともに苛酷な状況に置かれており、周囲の心ない言動等の二次被害に苦しんでいる方も多いわけであります。このため、途切れることのない支援を早期から行って、穏やかな日常を取り戻していただくことは重要であります。
  都はこれまでも、支援結果に基づきまして、東京都総合相談窓口の強化や、性犯罪、性暴力被害者のためのワンストップ支援事業を初め、さまざまな支援に取り組んでまいりました。
  一方、都内の区市町村におけます犯罪被害者等の支援に対する取り組みにはばらつきがございます。東京都として犯罪被害者等を支援するための条例の制定に向けた検討に着手することといたしました。
  今後とも、犯罪被害者に寄り添った取り組みの強化を進めて、誰もが安心して暮らすことができる都市東京の実現に努めてまいります。

4.高齢者施策について

〇中村:次に、高齢社会対策について伺います。
 私は、何度も知事を先頭に全庁あげて超高齢化社会に向けた体制をつくるべきと訴えてきました。知事が招集した「超高齢社会における東京のあり方懇談会」の提言は、各局に伝えて終わったと聞いています。
 「多様で持続可能な地域づくり」を否定はしませんが、目前に迫った介護危機には一刻の猶予もありません。
 2025年には団塊世代が75歳以上、いわゆる  後期高齢者になり、超・超高齢社会に突入します。介護分野での人手不足は慢性化したままで、高齢化はこれまでと同じスピードではなく、さらに加速して進行します。
 改めて東京都高齢者保健福祉計画を見直すと、
2016年度から2025年度までに見込まれるサービスの増加量は、訪問介護1.4倍、訪問看護1.97倍、特養1.4倍、認知症グループホーム1.5倍です。中でも特養は2025年度までに3割増の1万5000床新設の計画ですが、実績は伸び悩んでおり計画目標の達成が危ぶまれます。
 実績と計画の乖離を鑑み、2025年問題への対処も見据えた新たな政策の強化が必要と考えますが、知事の見解を伺います。

〇知事:そして、高齢者の施策に関してでございますが、多くの高齢者は、たとえ介護が必要になっても、可能な限り住みなれた地域で暮らしたいと望んでいるところでございます。その思いに応えるために、適切な住まい、医療、介護、生活支援サービスなどを地域の中で一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が重要だということであります。
  都は、昨年三月に策定いたしました第七期東京都高齢者保健福祉計画に基づいて、介護サービス基盤の整備や認知症対策、介護人材対策など、さまざまな施策を総合的に推進をいたしております。
  特別養護老人ホームにつきましては、高齢者人口の将来推計や区市町村のサービス見込み量を踏まえまして、二〇二五年度末の整備目標を六万二千人分と定めておりまして、施設整備費の補助、土地の賃借料の負担軽減など、都独自の支援策を講じております。
  来年度は、整備用地の確保について新たな支援策を予算案に盛り込むなど、さらなる施策の充実を図っております。
  今後とも、地域で支え合いながら、安心して暮らし続けられる東京の実現に向けまして、都の特性を踏まえた高齢者施策を展開してまいります。

5.多文化共生について

〇中村:次に、多文化共生について伺います。
 排外主義や偏狭なナショナリズムが刺激されがちな昨今、東京において小池知事がダイバーシティを謳い、多様な人を包摂する社会を目指していることを歓迎致します。
 都には「多文化共生推進指針」がありますが、今後、多文化共生の条例やプラン策定など、推進体制を強化し、都をあげて取組んでいく必要があります。
 しかし、今のところ「3つのシティ実現に向けた政策の強化」では、生活情報冊子の多言語化や防災リーフレット作成、防災訓練といった取組みだけです。
 これまでも東京に暮らす外国人の増加には、区市町村が現場力で対応してきたのが実情ですが、4月1日から改正入管法が施行されます。労働者としては、受入機関が主体とは言え、生活者としての受入れ、多文化化に伴う課題に直面するのは基礎自治体です。
 2020年の後の多文化共生の実現に向けて、相談体制の充実や区市町村への支援など、政策の強化が必要と考えます。知事の見解を伺います

〇知事:次に、多文化共生社会の実現に向けた政策の強化についてのご質問でございます。
  グローバル化が進展する中で、東京が今後も力強く発展していくためには、外国人が日本人とともに安心して生活をし、活躍できる環境の整備が必要でございます。
  これまで、都は、区市町村が実施している外国人の生活支援や相談などについて、その人材を育成することなどで支援をしてまいりました。また、都の外国人相談窓口では、専門的な内容を含みます幅広い相談にきめ細やかに対応して、あわせて、各局が労働や教育など分野ごとの相談にも応じてまいっております。
  都内の在住外国人は、三年間で十万人以上増加しております。そして、現在五十五万人を超えております。今後の国の外国人材の受け入れ拡大を背景にいたしまして、その数はさらに増加する見込みでございます。
  こうしたことから、外国人支援の一層の推進に向けて、区市町村との連携強化を図るとともに、地域で支援を担う人材の育成を進めていく。さらに、都の相談体制の充実などについても検討いたしまして、多文化共生社会の実現に向けて総合的に取り組んでまいります。

6.日本語教育について

〇中村:次に、日本語教育の体制強化について伺います。
 国際交流からはじまり、国際協力、経済交流へと発展してきた自治体国際化は、今、内なる国際化を必要としています。
 1990年入管法改正以降、ニューカマー外国人が増加、それにともない外国につながる子どもも増えており、教育に関する言葉の問題は重要です。
 東京都では、日本語を母語としない児童生徒のため、都独自の事業として日本語学級を配置してきました。また、日本語指導に対する加配も措置しています。
 しかし、多言語化や保護者とのコミュニケーションまで含めた学校生活上の多様な課題があります。今後も日本に滞在する外国人が増加する中で、小中学校における日本語を母語としない児童・生徒の教育をより一層充実させる必要があります。
 日本語教育の体制を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

〇中井教育長:小中学校における日本語教育についてでございますが、都教育委員会はこれまで、日本語学級設置校や日本語指導が必要な児童生徒が多数在籍する学校に教員を加配するとともに、日本語の指導教材の作成や教員研修等を実施してまいりました。
  また、東京都教育相談センターにおいては、日本語による相談に加え、通訳を介した外国語による相談も受け付けるなど、教育相談体制の充実にも努めてきております。
  今後は、入管法改正等に関する国の動向を注視するとともに、都内における日本語指導が必要な児童生徒の状況等も把握しながら、日本語の円滑な習得に向け適切に対応してまいります。

7.オリンピック・パラリンピックについて

〇中村:最後に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 先日も、知事に直接お話しましたが、大会期間中に私たちは75回目となる広島・長崎の原爆犠牲者慰霊の日を迎えます。そして、オリンピック閉会式の8月9日は、長崎の慰霊の日の当日です。
 1945年8月9日を、人類に核兵器が使われた最後の日としていくための、平和の祈りの日です。
 私は、オリンピック・パラリンピックを通じて、日本だからこそできる、強い平和のメッセージを世界に発信するべきであり、それができないのであれば、多額の税金を投入して行う大規模スポーツ大会の意義がひとつ損なわれると考えます。
 ホストシティである東京都の知事として、2020年東京大会における8月6日、8月9日をどのような日にしていくべきと考えているのか、知事自身のお言葉で明快にお答え下さい。

〇知事:東京二〇二〇大会におけます八月六日、八月九日をどのような日にしていくべきかについてのお尋ねでございました。
  一九四〇年に計画されていた東京オリンピックでございますが、戦争のために返上されたということを考えますと、平和な社会があってこそのオリンピック・パラリンピックだとつくづく思います。
  オリンピック憲章では、平和な社会の推進がうたわれており、大会を成功させ、民族や国境を越えた平和の祭典として次世代に引き継ぐことが重要であると認識をいたしております。
  なお、オリンピック・パラリンピックの開閉会式の具体的な演出などは、例えば、平和を含めまして、共生や復興、未来など八つの基本コンセプトがございまして、それらを踏まえて、現在、組織委員会で検討を進めているところであります。
  私といたしましても、これら八つの項目はいずれも重要で、ぜひしっかりと取り組んでいただきたい旨、組織委員会にお伝えをしているところでございます。

 

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