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都議会質問記録

2019/03/19 下水道局に財政、環境とエネルギー、浸水対策を質問

3月19日、都議会公営企業委員会で下水道局と水道局に質問しました。下水道局には、財政、環境とエネルギー、震災対策、工事の安全を質問しました。

○中村委員 初めに、下水道の事業運営について伺います。
  下水道事業は、汚水は利用料金で、雨水は一般会計で負担しています。今後、人口減少社会になると、汚水が減るのに伴い、設定がそのままであれば料金も減りますが、雨水については、都市型水害の対応として予算もふえることが懸念されます。このように、汚水と雨水とで全く逆の動きをすることも想定して事業を考えていく必要性があります。
  今後も、下水道事業の安定的な運営のための不断の努力は重要です。しかし、コンセッション方式といった民間委託も検討されているようですが、雨水の排除は完全に行政が行うべき仕事であり、料金は入ってきません。両方の対応を同時に行っている下水道事業においては、将来的な増減が違った動きをする汚水と雨水をそれぞれ分析し、運営していくべきと考えます。
  また、経営が厳しいなどの理由からコンセッション方式など民間活力を導入しているように聞こえますが、そもそも、民間だと創意工夫ができるのに、なぜ役所だとできないのでしょうか。民間のノウハウを生かすには委託しかないということではなくて、現状の体制でも、民間からよいところを学び改善するのが順序です。
  下水道局は、東京都下水道サービス株式会社と役割分担をしながら事業を運営していますが、下水道サービスは、都の出資は五〇%で、あとの半分は民間からの出資を受けています。民間の出資が五〇%もあるなら、普通の民間の資本提携や合弁会社なら、両社からの役員が参加しての役員構成になり、両方の長所を持ち寄ります。それができて初めて東京都下水道サービスの活用もあるのではないでしょうか。
  そこで、監理団体の活用も含め、今後の下水道事業の運営のあり方について見解を伺います。

○安藤総務部長 安定的に下水道サービスを提供していくためには、将来見込まれる豪雨回数の増加や人口減少などの課題に対し、重点化して浸水対策事業等を実施することや、人口や都市構造に応じた汚水排出量の推計を行うなど、財政収支への影響を踏まえて適切な対応を図り、一層効率的かつ効果的に事業を運営していくことが必要でございます。
  ご指摘のコンセッション方式には、民間事業者のインセンティブが働きやすいとされるメリットがある一方、豪雨時や災害時における官民のリスク分担などの課題があると認識してございます。
  今後の下水道事業運営については、将来の見通しを踏まえ、下水道局と監理団体である東京都下水道サービス株式会社との役割分担の見直しとあわせて、さまざまな施設運営手法について、経済性だけでなく安定的なサービスの提供という観点も重視し、幅広く検討してまいります。

○中村委員 下水道事業は厳しいと一言でいっても、雨水と汚水があり、水害対策は都の責任で行うべきとの主張をしました。都の事業とはいえ、常にコスト感覚を持つことは必要ですが、災害に備えることは、常に採算ベースに合うものでもありません。改めて、下水道事業の都民サービスの向上という面だけではなくて、都民の命と安全を守るという側面を、判断において重視すべきと申し上げます。
  また、東京都下水道サービスの活用ということもいいましたが、今のままでいいというつもりもありません。民間は倒産することもありますので、常に危機感を持ち、だからこそ創意工夫を持って取り組みます。監理団体は、半官半民という中で潰れないという安心感とモラルの低下ということにならないよう、高い公共性と民間の創意工夫の両方の長所を生かすよう求めます。
  また、同じ監理団体という点で、水道局の監理団体に特別監察が入りました。また、水道局本体でもたびたび談合事件も起きています。他局のこととはいえ、構造的には、他の局や監理団体にあってもおかしくない事件です。職員派遣やいわゆる天下りといわれる退職職員が多いこと、また、特命随意契約など、もたれ合いもあるとも考えられます。
  下水道局では、監理団体も含めたコンプライアンス確保にどのように取り組んでいるのか伺います。

○白川職員部長 下水道局では、東京都コンプライアンス基本方針の趣旨を踏まえ、コンプライアンス推進委員会を設置し、コンプライアンスの推進に向けた取り組みを進めております。
  具体的には、全職員を対象に、コンプライアンス推進研修を実施するとともに、局独自の取り組みでございます各職場での十分間ミーティングにおきまして、過去事例をもとにした討議を行うなど、職員の意識醸成や風通しのよい職場づくりのための取り組みを年間を通じて行っているところでございます。
  また、東京都下水道サービス株式会社は、コンプライアンス基本方針を策定するとともに、下水道局とコンプライアンス推進に関する連絡会議を実施し、取り組みを共有するなど、局と連携し、取り組みを進めているところでございます。

○中村委員 私は、この機に全ての監理団体の監査を行い、結果を公表する必要があると考えています。この定例会の議論の中で、全庁的に監理団体の監査を行うようですから、ぜひ監査に協力し、適切な運営をされるよう求めます。
  次に、下水道事業の国庫補助について伺います。
  ちょうど一年前の昨年三月、都議会で、下水道施設の改築に係る国庫補助の継続に関する意見書を可決し、国に提出しました。これは、国が下水道施設の改築に係る国庫補助を見直す方針を示したことに対し、都議会として意見を表明したものです。
  いうまでもなく、下水道は極めて公共性の高い社会資本であり、改築更新により老朽化対策を着実に進めることが必要です。国庫補助は、下水道局が事業を将来にわたって安定的に継続するために不可欠な財源と考えますが、国庫補助の状況と国への働きかけについて伺います。

○安藤総務部長 お話の国庫補助については、全国の地方議会の中で、いち早く都議会から意見書を提出していただいたところでございます。平成三十年度当初の下水道局への国庫補助額は約五百二十八億円で、前年度と比較すると約二十三億円の減少でございました。そこで、下水道局は、下水道施設の改築に係る財源の確保を平成三十年度から都の最重点事項として提案要求を行ってきたほか、他都市と連携した要望活動を精力的に実施するなど、例年以上に国への働きかけを強化してまいりました。
  一方で、平成三十年七月豪雨などの自然災害の頻発化、激甚化を踏まえ、昨年十二月に閣議決定された防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策の実施に向けた国の補正予算では、約七十六億円の追加交付がございました。この補正も合わせますと、平成三十年度については、約六百億円の国庫補助の交付決定が出ておりますけれども、今後とも、これまでの要望活動に加え、本年一月に設置された国と東京都の実務者協議会などさまざまな機会を通じまして、国に働きかけてまいります。

○中村委員 三カ年の緊急対策ということがあったので、合計としては多くなったわけですけれども、ベースのところが減ってしまえば、三年後にどうなるのかわからなくなってしまいますから、引き続きこれは国に対して働きかけをお願いいたします。
  ここまで下水道事業の運営について質問してきましたが、市町村の財政も厳しく、都としては、流域下水道事業として市町村への協力が求められています。都への編入が進み、二〇一九年度予算では、八王子市と立川市の編入に向けた施設整備費用が計上されている中、残るは三鷹市だけです。都と三鷹市だけの問題ではなく、周辺関係市もあるので難しいことは承知をしておりますが、老朽化した三鷹市の施設をめどもなく更新し続けるには限界があります。
  これまでも機会を捉えて、たびたび質問し、事務事業でも質問したので、今回は問いませんが、流域下水道事業として三多摩地域で唯一編入がされていない三鷹市の編入について、引き続きの協力を求めます。
  次に、水環境について伺います。
  下水道局は、東京湾が富栄養化する一因である窒素やリンを削減するため、下水の高度処理を順次導入してきました。ことし一月に発表された二〇二〇年に向けた実行プランでは、高度処理を、二〇二〇年度に二〇一三年度比で一・八倍、二〇二四年度には二・六倍にするとのことですが、目標は順調でしょうか、伺います。

○池田計画調整部長 平成三十一年度は、八王子水再生センターに高度処理、森ヶ崎水再生センターなどに準高度処理を導入し、合わせて一日当たり三十三万立方メートルの処理能力を有する施設を完成させます。これにより平成三十一年度末までに、高度処理と準高度処理を合わせた一日当たりの処理能力は四百十四万立方メートルに達し、二〇二〇年度の目標である四百三十万立方メートルを達成する見込みでございます。
  今後も、高度処理の導入を計画的に進め、二〇二四年度の目標達成に向け、着実に取り組んでまいります。

○中村委員 二〇二〇年度の目標を達成できるという見込みだそうですので、計画どおり進んでいることが確認できました。文字どおり、高度に処理しているということは、標準的な処理に比べて処理に要するコストが増加するとも思われます。
  そこで、高度処理は標準的な処理に比べてどのくらいコストが増加するのでしょうか。また、それにより環境への影響はどう低減できるのか、それぞれ数値でお示しください。

○池田計画調整部長 電力使用量について、標準的な処理法と比較いたしますと、高度処理の場合は三割程度の増加、既存の施設の改造により、早期の導入が可能な準高度処理の場合は同程度となります。処理水質について、標準的な処理法と比較しますと、高度処理はおおむね窒素が三五%、リンが六〇%削減されます。同様に、準高度処理はおおむね窒素が一五%、リンが五〇%削減されます。

○中村委員 窒素とリンが削減され、快適な水環境の創出が期待できますが、高度処理の場合は、電力使用量がかなり増加するとのことでした。
  そこで、最終的に一〇〇%の高度処理を目指すのでしょうか。コストと環境のバランスをどのように考えているのか、見解を伺います。

○池田計画調整部長 高度処理は、施設の更新、再構築などの時期に合わせて適切な処理法を選択し、導入のスピードアップを図っております。また、当面、更新などの予定がない施設については、運転管理の工夫により処理水質を向上させています。ハードとソフト両面を組み合わせ、水質とコストのバランスをとりながら良好な水環境の創出に貢献してまいります。

○中村委員 高度処理にはコストがかかりますが、環境への影響をできるだけ減らしていくことを考えると、最終的には導入していくということになると思います。ただ、いつかは一〇〇%ということなのでしょうが、全くめどが立たないほどはるか将来というわけにはいかないと思います。もちろん、必要なエネルギーの低減という技術開発をしていくことでコストを下げることは当然努力しつつも、ぜひ計画的な導入を図り、将来に良好な水環境を残せるよう取り組んでいただくことを求めます。
  また、新たに策定された二〇二〇年に向けた実行プランでは、新規の目標として、下水汚泥処理工程におけるエネルギー自立型焼却システムの導入について記載されています。これまでのプランでは、開発との表現にとどまっていましたが、今回は二〇二〇年度に導入と前進をしています。
  改めて、エネルギー自立型焼却システムを開発した目的を伺います。また、今後二〇三〇年度までに四基導入との記載もありますが、全ての焼却炉について導入を進めていくのか伺います。

○袰岩技術開発担当部長 従来の焼却システムは、汚泥を焼却する過程で、都市ガスなどの補助燃料や電力を大量に使用しており、その使用量の削減が課題でございました。この課題を解決するため、下水汚泥の焼却処理工程における焼却炉の廃熱により発電し、炉の運転に必要となる電気を自給するエネルギー自立型焼却システムを開発いたしました。
  従来の焼却システムと比較した場合、廃熱発電システムなどが追加されることで建設コストが増加いたしますが、焼却時の補助燃料が不要となり、さらに、購入している電力費より安いコストで発電することから、維持管理コストが削減され、トータルコストは、これまでの焼却システムと同等以下になる見込みでございます。使用電力をみずから賄うことができ、補助燃料及び電力使用を大幅に削減が可能であり、省エネルギーに寄与するものでございます。
  本焼却システムにつきましては、新河岸水再生センターなど四基の導入を進めてまいります。そのほかの焼却炉につきましては、汚泥の処理量等に応じて適切な焼却システムを導入してまいります。

○中村委員 開発の目的として、エネルギー使用量の削減ということですが、副次的にコストの低減も可能になるかもしれないというのはよい話です。実際にどの程度低減できるかは具体的に動かしてみてということになるのでしょうが、仮にコストの低減が可能であれば、他の焼却炉への展開も積極的に行えますので、しっかりとした検証を求めます。
  次に、浸水対策について伺います。
  今般、想定する降雨強度が一時間当たり百十四ミリから百五十三ミリに見直されました。降雨が大きくなったことで浸水範囲も広がりました。例えば、私の地元三鷹市のことでいえば、神田川流域が昨年三月に見直されましたが、それでは市の一部分でしかなく、三鷹市の大半を占める野川、仙川、谷沢川及び丸子川流域の浸水予想図は、平成十七年六月以降、見直されていません。全地域の見直しに時間がかかってしまうと、地域ごとに想定が違い、面的な水害対策がとりにくくなってしまいます。
  そこで、都が管理する河川流域において、早急に全地域の見直しに取り組み、面的な水害対策をとることが必要ですが、見解を伺います。

○池田計画調整部長 浸水から都民の生命と暮らしを守るためには、下水道や河川の施設整備などに加えて住民の避難等に資する浸水予想区域図の公表など、ソフト対策を進めることが重要でございます。
  浸水予想区域図は、区市町村のハザードマップの作成に活用されており、平成十三年度から公表しております。平成二十七年の水防法改正を受け、これまでの東海豪雨規模の一時間百十四ミリの降雨から、現在想定し得る最大規模の一時間百五十三ミリの降雨を用いて浸水予想区域図の見直し作業を進めており、昨年までに神田川流域及び城南地区河川流域で改定を行っております。
  野川、仙川、谷沢川及び丸子川流域については、建設局等と連携して、出水期前の本年五月を目途に公表する予定であり、都が管理する全ての中小河川流域について、二〇二〇年度末までの改定を行う予定でございます。
  なお、想定される最大規模の降雨に高めたものの下水道の整備などが進んだ地域では浸水範囲が減少傾向にございます。

○中村委員 さて、今、浸水対策について質問をしましたが、そうした事業を含め下水道事業を推進していくには、工事における安全管理は重要と考えます。先月、下水道局の工事現場において墜落事故があり、とうとい命が失われました。一たび事故が発生すると社会的にも影響は大きく、事業の進捗にも影響を与えかねないのですが、何よりも人の命は重く、事故を未然に防ぐ取り組みが重要です。
  下水道局の工事は、規模が大きいものも多く、危険な作業もありますので、都の職員だけではなくて関係する多くの事業者の方も含めて、事故の防止、とりわけ命にかかわるような重大事故の発生を防がなければなりません。
  そこで、下水道局では、事故を防止するためにどのように取り組んでいるのか伺います。

○池田計画調整部長 下水道局では、工事の安全施工に最大限の努力を傾けております。受注者に対しては、工事着手前に個々の現場のリスクを踏まえた施工計画の作成などを徹底させるとともに、工事実施時においても、労働安全衛生法、建設工事公衆災害防止対策要綱等の関係法令などを遵守するよう、下水道工事安全管理者講習会や事故防止講習会などを通じて徹底しております。
  さらに、局職員にも安全管理研修などを実施の上、安全パトロールなどにより、工事現場で受注者への適宜適切な安全指導を行っております。こうした取り組みを通じて、受注者及び局職員の安全管理に関する意識の向上を図り、工事事故の防止を目指してまいります。

○中村委員 昨今では、オリンピックに向けた駆け込み需要もあり、建設現場では労働者不足もいわれています。無理なスケジュールになっていないのか、劣悪な労働環境になっていないのかなど、しっかりと監督し、事故のない工事現場を目指すよう要望して、質問を終わります。

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