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都議会質問記録

2019/10/18 決算委員会で看護師の職場環境改善を質問しました

10月18日、都議会で昨年度の税の使い方を審査する各会計決算特別委員会の第二分科会に出席し、福祉保健局と病院経営本部に対して質問しました。病院経営本部には、公社病院の経営、看護師の職場環境について質問しました。

○中村委員 病院経営本部の一般会計決算について、最初に、公社病院の運営を行っている東京都保健医療公社の経営について質問します。
  決算説明書を見ると、保健医療公社への運営費補助金として、九十八億五千七百五十四万円の予算額に対し不用額が七億八千八百十万円余、九二・〇%の執行率とのみ記載されております。もちろん、個別に積み上げた結果としての予算額であり、決算額であると思いますが、この九十億円の内訳、つまり公社病院の運営状況等について詳しく見てとることができず、今後、より詳しい説明をしていただきたいと思っています。
  さて、平成三十年三月に東京都保健医療公社は、第四次中期経営計画、二〇一八年度から二〇二三年度、二〇二五年に向けた行動指針を策定し、その中では、平成三十年度は、新入院患者数五万七百人、病床利用率七四・四%、医業収支比率は九〇・九%と見込んでいます。
  公社の見通しは達成できたのでしょうか。達成状況と、未達成の場合、その要因を伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 保健医療公社の第四次中期経営計画でお示しした計画指標の平成三十年度の目標値とそれに対する実績は、まず新入院患者数でございますが、平成三十年度の目標値五万七百人に対しまして実績五万一千百七十二人と、目標を四百七十二人上回る数値を達成してございます。これは、公社病院での地域の医療機関訪問による連携強化や、断らない救急の徹底等に取り組んだ結果によるものと考えてございます。
  一方で、病床利用率でございますが、平成三十年度の目標値七四・四%に対しまして実績が七一・八%と、目標を二・六ポイント下回ってございます。これは、今申し上げましたとおり、新入院患者数が増加した一方で、地域の病院や診療所と医療連携を進めるなど、退院支援を推進したことなどにより、平均在院日数が短縮傾向にあることが主な要因であると考えてございます。
  次に、医業収支比率は、平成三十年度の目標値九〇・〇%に対する実績ですが、目標を〇・六ポイント下回る八九・四%となってございます。これは、医業収益が対前年度比で約六億円増加した一方、医師不足に対応するための非常勤医師の増加によります人件費増や、高額医薬品の使用増等によります材料費増などにより、医業支出が医業収益を上回る増加となったためでございます。

○中村委員 公的な病院としての役割がありますので、数値だけでは判断できないわけですし、各病院の地域事情もあるとは思っています。患者を大切にした医療サービスを提供するとともに、経営的な視点の両立を図っていくことが重要です。
  決算を踏まえた公社病院の今後の経営について、改善に向けた取り組みを伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 患者や地域のニーズに的確に対応するため、収入の確保と支出削減の両面から取り組み、良好な経営基盤を構築する必要がございます。
  医業収入の増加に向けては、厚生労働省が公開していますDPCデータの分析等を通じた戦略的な連携医訪問や断らない救急など、入院患者の確保に取り組んでまいります。
  一方、支出につきましては、従来、各病院がそれぞれ行っていた高額医療機器等の保守委託の一括化や医薬品等の共同購入等のスケールメリットを生かした契約手法の活用、あるいは入札後に価格交渉を行う契約交渉権獲得入札の導入などにより、さらなる削減に取り組んでまいります。

○中村委員 次に、看護職について伺います。
  医療が日々高度化、複雑化している中、ケアの時代ともいわれ、看護師の仕事はますます重要となっています。一方では、離職率が高い、命を扱う重責の割にその報酬や地位は余り高くないともいわれています。
  保健医療公社が運営する地域病院などにおいても、離職防止や労働環境、キャリア形成やモチベーションアップについて見直し、改善する点があれば、決算審査を通じて来年度予算に反映し、都が支援をし、公社に指導もしていただきたいと思います。
  各病院等での看護職員の充足状況はどうなっているのか、また、看護師の離職率、中でも新卒看護師の入職一年目の離職率はどのようになっているのか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院の看護要員の充足状況は、平成三十年四月一日現在で、定数一千六百八名に対しまして現員一千六百八十八名で、八十名の過員となってございます。なお、平成三十一年三月三十一日現在では現員一千五百七十八名と、三十名の欠員となってございます。
  次に、平成三十年度の看護要員の離職率でございますが、一五・二%となってございます。その中で、平成三十年度の新卒採用者数百七十一名のうち、平成三十年度中の退職者は二十三名であり、離職率は一三・五%となってございます。

○中村委員 数字を見ると、年度の最初には八十名の過員だったのが、その末には三十名の欠員となるということで、本当にこの問題というのは大変な問題だと思っています。
  まだ年の若い方が、命の現場で患者さんと直接向き合うというのは、本当に大変なことだと思います。新卒の看護師をどのように育てるのか、どの現場でも心を砕いていると聞きます。パートナーシップ・ナーシング・システムとして、一対一で新卒看護師の指導を行い、さらにそれを支援する看護師、教育係の看護師、また看護職の副院長など、一丸となって新人をバックアップする体制をとって、新人の離職率ゼロを何十年も続けている病院もあると聞きます。
  公社病院における新卒看護師の離職防止、育成について、どのように取り組んだのか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新卒看護師の退職を防止するために、採用前から実践的な看護業務や現場環境を体験してもらうインターンシップ制度を導入してございます。
  さらに、六病院全てで、平成二十五年度からパートナーシップ・ナーシング・システムを導入し、先輩看護師が新卒の看護師とペアになって、職務に関する助言指導を行うとともに、さまざまな悩みの相談相手となることで、新卒看護師をできるだけ早く職場環境になれ親しませるとともに、OJTにより看護能力の育成、向上を図ってございます。

○中村委員 長く仕事を続けて、プロフェッショナルとして定着していくためには、仕事と家庭の両立環境が欠かせません。
  離職の危機としてもう一つ大きいのは結婚や出産と聞きます。産休、育休はもちろん、復帰に際しての支援も欠かせません。子育て中の看護師への支援や離職防止についてどう取り組んだのか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院におきます子育て中の看護師等に対する支援につきましては、夜勤の従事が困難な職員に対しまして、子供が小学校就学始期に達するまで日勤での勤務が可能となる子育て日勤制度や、育児短時間勤務制度といった勤務軽減制度を導入してございます。
  なお、育児短時間勤務制度につきましては、平成三十年度に制度改正を行いまして、対象となる職員の子供の年齢を、それまでの小学校就学始期に達するまでから、中学校入学始期に達するまでと拡大を図ってございます。
  また、子供一人当たり月額五万円を上限に、保育料の二分の一を助成する保育料助成制度等がございます。
  これらの支援策を通じまして、子育て中の看護師等の離職防止策に取り組んでいると考えてございます。

○中村委員 思いを持って資格を取って入職した人が、やめたり看護に従事しなくなることは大きな損失です。優秀で意識の高い看護師をしっかりと育て、キャリアアップを支援し、地域医療、行政的医療に貢献する人材を確保していくべきです。
  認定看護師などの資格取得支援など、キャリア形成に対する取り組みは重要です。公社病院に認定看護師はどれくらいいるのでしょうか。また、資格取得に対する支援などはどのように行っているのか伺います。また、認定看護師の積極的な活用など、モチベーションアップにつながる活躍の場などはどのようになっているのか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成三十一年一月一日現在の認定看護師は、緩和ケア認定看護師十一名、皮膚、排せつケア認定看護師十名など、合計七十五名となってございます。
  認定看護師の資格取得支援として、認定取得に係る授業料及び実習料等の費用負担を行うとともに、専門課程の受講及び認定審査の受験に必要な期間を特別休暇として認めるといった支援を行ってございます。
  認定看護師は、それぞれの専門的知識、技術を生かして、病院内外において活動できるよう配置してございます。
  その具体的な活用につきましては、例えば東部地域病院では、看護専門外来におきまして、認定看護師が皮膚、排せつケアや摂食、嚥下など、それぞれの専門分野を生かして日常生活指導などを行ってございます。また、多摩南部地域病院や大久保病院におきましては、地域の訪問看護師に同行し、在宅療養における患者のケアに関するアドバイスを行ってございます。
  このように、六病院がそれぞれの地域の要望や状況に応じた取り組みを行っております。

○中村委員 キャリアやモチベーションという意味では、病院経営にかかわる立場になれるということも大変大きいと思います。
  そこで、看護職の副院長選任を進めるべきとも考えます。病院業務の多くを担い、人員も多い看護職から副院長を選任する病院がふえていますが、公社病院ではどうなっているでしょうか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 看護部門を総括する看護部長職には、六病院におきまして、都からの派遣職員または都を退職した職員がついてございます。
  今後、東京都職員の派遣解消を進め、まずは看護部門の運営を担える固有職員の看護部長職を育成することが重要であると認識してございます。このため、マネジメント力を醸成する研修等を実施する等、人材育成策を充実させていくこととしてございます。

○中村委員 まだ公社病院の場合は東京都職員の派遣があるということで、少し特殊な状況ではあるようなんですが、これは看護職の方のキャリアという問題でもありますけど、一方で、そういった知識を病院の経営に生かすということにもなりますので、今後検討していただきたいというふうに思っています。
  今、るる、いろいろと看護職についても質問させていただきました。看護大学や大学院を修了する方もふえて、看護という仕事自体が、全人的ケアを担う観点から理論的にも高度化してきている中、それに見合った立場を担うべくキャリアプランを描けるかどうかで、日々の仕事に対する視点もモチベーションもおのずと変化をします。ある程度のキャリアを積んだら経営について学ぶチャンスも必要です。
  離職防止や両立支援、リクルートによる人材確保はもちろん、優秀な方から一生の仕事として選ばれるような取り組みを公社病院の看護職についても進めていただけるように、都としてしっかりバックアップしてほしいと思います。
  きょうは、ここは各決の質問ということだったので、公社病院のことではありましたけれども、これはもちろん都立病院のことにも当然かかわることですから、きょうは経営本部の皆さんいらっしゃいますので、公社病院と、そしてまた都立病院ともに、看護職について、より一層働きやすい職場環境ができるように取り組んでいただきますことを要望いたしまして、質問を終わります。

 

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