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都議会質問記録

2019/10/23 決算委員会で消費者行政、平和事業等について質問しました

10月23日、都議会各会計決算特別委員会の第二分科会に出席し、生活文化局に質問しました。消費者行政、平和事業、私学助成、国際交流、市民活動活性化などテーマとして取り上げ、成人年齢の引き下げへの対応としての消費者教育の充実、私学助成による校舎等の耐震化促進、企業の従業員へのボランティアの推奨などについて議論しました。

○中村委員 それでは、生活文化局の決算について、まずは消費者行政について伺います。
  高齢者人口が増し、また悪徳商法の手口も巧妙をきわめ、消費者被害が多く発生しています。注意喚起はしているのでしょうが、いまだ空き店舗に催眠商法らしき事業者が高齢者を集めてセミナーをやっている様子も散見されます。また、余りに巧妙で、だまされたことにさえ気づかないこともあるようです。
  より積極的な広報や、悪徳事業者の情報公開や共有化により、地域全体で防いでいくことが必要です。超高齢社会における消費者被害の実態と対策を伺います。

○吉村消費生活部長 高齢者は在宅している場合が多いことから、訪問販売や電話勧誘販売の際に強引に契約の勧誘をされるトラブルについての相談が多く寄せられております。
  平成三十年度に、東京都内の消費生活相談窓口に寄せられた相談件数約十三万九千件のうち、六十歳以上の高齢者の相談件数は約五万六千件と全相談に占める割合は約四割となっております。
  こうした高齢者の消費者被害を防止するため、都は敬老の日を含む九月を高齢者悪質商法被害防止キャンペーン月間とし、ポスター、リーフレット等の作成、配布や、交通広告を実施しております。
  また、宅配事業者等と連携したリーフレットの配布や、介護事業者や民生委員等を対象とする高齢者見守り人材向け出前講座を実施しております。

○中村委員 以前、都の消費生活対策審議会の答申で、高齢者を消費者被害から守るために福祉の見守りネットワークとの連携が提言されました。超高齢社会に向けて各地域では、高齢者の見守りネットワークが構築されていきますので、消費者部門とも連携ができれば、より一層被害防止につながります。
  福祉部門と消費者被害防止の連携した取り組みについて、具体的な取り組み状況と成果を伺います。

○吉村消費生活部長 高齢者の消費者被害防止のためには、地域における見守りが重要であり、福祉部門を中心に構築されている見守りネットワークに消費者被害防止の視点を取り入れることが有効でございます。
  そのため、都では、見守りネットワークのメンバーなどを対象に、高齢者見守り人材向け出前講座を平成三十年度に三百回実施しました。
  また、区市町村に対して、見守り関係者と消費生活相談窓口との連絡体制づくりなどを支援するモデル事業を実施しており、平成三十年度は五自治体で行いました。
  こうした取り組みにより、昨年度末時点で二十三自治体において福祉部門と消費生活部門の連携による見守りネットワークが構築されております。

○中村委員 高齢化がますます進んでいきますので、より一層対策をやってほしいと思います。
  最近では、いろいろ高齢者の集まりがあるところに、例えば警察であれば特殊詐欺とかの防止等があるので、来てお話をするとかいう機会もあるようですから、ぜひこちらの消費者問題の方も積極的に連携をしていただいて取り組んでいただきたいと思います。
  さて、急速なインターネットの普及により、これは年齢を問わず、新たな消費者被害も発生しています。インターネットでの取引の場合、基本的な知識が不足をしていたり、加害側の住所がわからなかったりと、これまでの消費者被害とは違った問題があります。こうした課題について、被害の特徴と対策を伺います。

○吉村消費生活部長 平成三十年度に都内の消費生活相談窓口に寄せられたインターネット通販に関する相談件数は、約三万件となっております。
  インターネット通販では、ホームページ上の情報を頼りに契約するため、トラブルになるケースも多くございます。
  具体的には、にせものが届いた、商品が届かないという相談のほか、一回のみのお試し契約のつもりが定期購入の表示を見落としてしまい解約したいという相談、返品に関する規定を確認せず返品の期限を過ぎてしまったという相談などが寄せられております。
  こうしたトラブルを防止するため、東京都消費生活総合センターでは、事業者の所在地や連絡先、キャンセルや返品条件などの確認、注文時のホームページの画面や事業者からの確認メールを保存することなどを消費者にアドバイスしております。
  このほか、具体的な相談事例や消費者が注意すべき点について、ホームページやSNSで随時発信しております。

○中村委員 民法改正により、成人年齢が二十から十八歳に引き下げられ、保護者による取り消し権も引き下げになったことから、若年層の消費者被害対策が重要になります。
  高校三年生でも、十八歳の誕生日を迎えると成人として扱われ、被害に遭っても契約を取り消すことはできなくなります。とりわけ、消費者教育、啓発活動などが重要になります。
  そこで、若年層の被害状況はどうなっているのでしょうか、また、都はそれに対してどんな対応をしていたのか伺います。

○吉村消費生活部長 平成三十年度に都内の消費生活相談窓口に寄せられた相談件数のうち、二十九歳以下の若者の相談件数は約一万三千件となっております。
  若者の消費者被害の特徴として、社会経験や知識等が少なく悪質商法の被害に遭いやすいことや、SNSがトラブルのきっかけになっていること、気軽に知人を紹介、勧誘することでみずからが加害者にもなり被害を拡大させることなどが挙げられます。
  都は、消費者教育に取り組む学校現場を支援するため、教材の作成や教員向け講座の開催、情報提供誌の発行、学校向け出前講座の実施などの取り組みを行っております。
  また、平成三十年度には、取り組みを強化するため、啓発ノートを新たに作成し、高校二年生全員に配布しました。
  このほか、一月から三月の間に悪質商法被害防止キャンペーンを実施し、ポスターの掲示やリーフレットの配布、交通広告などを実施しております。
  また、平成三十年度から、消費生活に関する情報を連載形式で掲載するコーナーをホームページ上に新設するとともに、SNSやメールマガジンでも発信しております。

○中村委員 民法の改正によって、十八歳に成人が引き下げられたということで質問したわけですけれども、もともと引き下げられていなかったとしても、消費者教育というのは大変大事なことですし、また、より一層これからインターネット等で、より巧妙化をしていく可能性もありますので、ぜひこれからも引き続き、より一層消費者教育や啓発活動などを行っていただければと思います。
  それでは次に、平和の日の事業について伺います。
  都は一九四五年三月十日に東京大空襲があったため、毎年三月十日を平和の日として式典を行っています。しかし、戦後七十四年が経過をして、その事実を知らない都民もふえてきました。式典を滞りなく行うことも重要ですが、戦争の悲惨さと平和のとうとさを都民で共有することが重要です。
  平和の日に際して、都民にその趣旨をどのように伝えているのか、また、どの程度伝わっていると認識しているのか伺います。

○古屋文化振興部長 都は、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓い、東京大空襲により、一夜にして多くのとうとい命が失われた三月十日を東京都平和の日と定めております。この趣旨を広く都民の皆様にお伝えするため、毎年、平和の日記念式典を初めとした平和の日記念行事を実施しまして、式典のインターネット中継を実施しているほか、都のホームページや「広報東京都」などを活用して、平和の日の意義等について周知を図っているところでございます。
  東京都平和の日条例の制定から三十年近くが経過しまして、この間実施してきましたこれらの取り組みによりまして、都民の皆様に東京都平和の日の趣旨が一定程度浸透してきていると認識しております。

○中村委員 平和の日のそのものの趣旨を伝えるには、当日だけではなくて、平和そのものへの日常的な取り組みが必要です。
  これまでの事業を踏まえて、どのように考えるのか見解を伺います。

○古屋文化振興部長 都はこれまで、毎年継続して三月十日に記念式典を開催するほか、東京空襲資料展の開催や東京空襲関連資料の区市町村への貸し出し、東京空襲犠牲者名簿の収集、さらに都内の小中高校生等から募集したデザインに基づく東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑の花壇の制作など、年間を通じたさまざまな取り組みによりまして、都民の皆様に平和について考えていただく機会を提供しているところでございます。
  今後とも、これらの取り組みを継続的に行うことで、東京都平和の日の趣旨を都民の皆様に広く伝えていくことが重要であると考えております。

○中村委員 改めて東京都組織規程というのを見てみますと、生活文化局の分掌事務として、東京都平和の日に関することと書いてありましたが、これだけ巨大な都庁組織に平和に関連する事務として掲載されているのは唯一これだけです。私は、平和の日に限定せず、広く平和に関する事務を担当する部署が都庁にあるべきだと思っております。
  三月十日は最も被害が大きかった日ですが、ほかの日も大きな被害は出ています。今の規定でも平和の日をなるべく広く解釈して、都民に平和の大切さを広められるよう取り組んでいただきたいと思います。
  なお、現在建設が凍結されている平和祈念館のために東京都が収集し、保管している貴重な戦争関連の資料について、民間主催の展示会等に貸し出しができるようにすることも大切です。今後の検討をお願いします。
  次に、私学助成について伺います。
  私学助成は千八百三十八億円の予算に対して執行率九三・六%で、各個別の事業を見ても、おおむね高くはなっています。しかし、私立学校安全対策促進事業費補助は執行率わずか二七・〇%で、不用額が四十八億円と規模が大きいだけに巨額になっています。
  昨年度は六月に発生した大阪府北部地震でブロック塀が倒れ、小学生が死亡する事故が発生し、対応が全国的にも問われました。そのため、十二月にさらに五億円の補正予算も組み、積み増しを行ってきました。
  この事業費の執行率が低い理由を伺います。また、当初予算での耐震化、アスベスト対策工事、非構造部材耐震対策工事、防災力向上の成果について伺います。さらに、ブロック塀の倒壊の対策については、どのような取り組みがなされたのか伺います。

○濱田私学部長 執行率が低い理由でございますが、平成三十年度の当初予算では、未耐震の建物等を有する学校の耐震化に対応するために必要な予算を確保しておりましたが、各学校において耐震化に向けた検討に時間を要していることなどから、結果として補助実績が少なかったものでございます。
  平成三十年度の補助実績は、耐震診断及び耐震補強改築工事が三十校、アスベスト対策工事が四校、非構造部材対策工事が五十六校、災害時における非常用食品を整備する防災力向上が七百八十四校となっております。
  また、ブロック塀等の安全対策につきましては、大阪府北部地震が発生した昨年の六月以降、各学校におけるブロック塀等の状況調査を実施するとともに、各学校に対し、ブロック塀等を含めた学校施設及び通学路の安全確保の徹底を要請いたしました。
  さらに、昨年十二月の第四回定例会で成立した補正予算に基づきまして、新たにブロック塀の安全対策に係る補助制度を創設し、三十二校に補助を行いました。

○中村委員 私学助成事業は都にとって大変重要な事業であることはいうまでもありません。私たちの会派からも、毎年私学助成の拡充を求め、年々拡充の方向で予算が算定されてきたことは評価をします。
  私学助成は、何より子供たちの学びの機会を保障するためのもので、そのために学校、保護者に助成をするものです。そして、私学の教育内容には介入はしないのですが、民間の学校に対して税金を使って補助する以上は、都民が納得するものでなければなりません。
  そのためにも、学校には積極的な財政情報の公開が求められますが、学校における取り組み状況について見解を伺います。

○濱田私学部長 私立学校法では、学校法人は、財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書及び監査報告書を各事務所に備えておき、当該学校法人が設置する私立学校に在学する者、その他利害関係人から請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならないとされております。
  情報公開につきましては、各学校法人において、私立学校法に基づき適切に対応すべきものと認識しております。

○中村委員 次に、職員の労働環境についての質問をします。
  私学助成の拡充によって、教職員がよりよい労働環境のもとで児童生徒の教育指導に当たることは、教職員のためだけでもなく、指導への意欲が向上して子供の利益にもつながります。
  私学助成の算定方法において、教職員の身分が安定し、賃金が向上するような仕組みになっているのか、そして実際に教職員に支給されているのか伺います。

○濱田私学部長 私立学校に対しましては、基幹的補助として経常費補助金を交付しておりますが、その算定に当たりましては、都内公立学校の決算値をもとに、学校として必要な標準的運営費を算出し、その二分の一を補助額として算定しております。この標準的運営費には、教職員の人件費も含まれております。
  なお、各私立学校におけます教職員への給与や雇用条件等につきましては、各学校においてそれぞれ判断すべきものでございます。

○中村委員 次に、幼稚園類似施設について伺います。
  この幼稚園類似施設の現状把握と支援についてですが、ことしの十月の消費税増税に伴い幼稚園が無償化をされましたが、法律に附帯決議が盛り込まれ、幼稚園類似施設の無償化については積み残しの課題となっています。
  しかし、子供たちが同じように安心して幼児教育を受けられるためには、施設によって差があるのは問題です。
  そこで、決算年度に至るまで、都は幼稚園類似施設について、どのように支援をしてきたのか伺います。

○濱田私学部長 都は昭和四十年代後半におけます幼稚園の不足に対応するため、教員配置数や保育室、保健設備などの一定の要件を満たした施設を幼稚園類似の幼児施設として独自に認定し、保育料等の保護者負担の軽減を行ってまいりました。

○中村委員 都が補助するという形、負担軽減を行ってきたのは、幼稚園類似施設としては十四園だというふうに事前に聞きました。ほかに何園あるか正確には把握していないようです。
  今、同じような施設であっても過去の経過で支援の方法は変わるようですが、今というときを育つ子供にとっては、経過が重要なのではありません。
  この附帯決議があるために、国は都道府県を通じて市区町村に対して調査を始めたとのことです。その結果を通じて、初めて都は実態を知ることになります。
  しかし、調査項目を伺うと、市区町村が独自で支援するか、今後支援する予定の園ということのようなので、十四園以外にも同等の施設があったとしても、そもそも市区町村が支援しない園は、今後も都や国に存在さえ認識されないことになります。
  都から国に対しては、実態が反映する調査を行うとともに、幼稚園類似施設も無償化するよう強く申し入れるよう求めます。そして、万が一、国がやらないという判断をしてしまった場合は、都が独自で無償化の仕組みをつくっていただきたいと要望します。
  さて、育英資金の返還に係る支援について伺います。
  これまで、都は、私立高校等特別奨学金補助制度の拡充など、私立高校に通う生徒の保護者の教育費負担を軽減する取り組みを進めてきました。これらの取り組みの結果もあり、学費全般を支援する育英資金事業の貸付実績は年々減少し、平成三十年度の貸付実績は三千二百六十一人に対して約十二億九千七百万円、前年度比で約八百人、約三億円の減となっています。
  一方では、育英資金は貸付制度であり、将来返還が必要です。特に教育費負担軽減制度が拡充される前に貸し付けを受けた方などが、今なお返還のために生活苦に陥る状況にあれば、返済猶予や減額なども検討してはどうかと考えます。
  現在、経済的に困窮な状況にある方などに対して育英資金の返済猶予や減額等の支援をしているのでしょうか、また、行っている場合、どのように周知をしているのか伺います。

○濱田私学部長 育英資金は、原則返還するべきものでございますが、大学等への進学や、傷病や経済上の事由などにより返還が困難な場合には、申し出により返還を猶予するなどの制度を設けております。
  また、貸し付けが終了し、返還が開始される前には、返還金の猶予手続なども記載した返還のしおりを本人に渡すほか、育英資金の申し込みや相談対応を行う各学校の担当者を対象に、年に複数回説明会を実施し、育英資金の仕組みや猶予制度などについて生徒への周知に努めております。

○中村委員 次に、国際交流について伺います。
  国際化社会が進展する中、東京に滞在する外国人も五十五万人を超えています。観光だけではなくて、日本に滞在する方々との交流や支援は重要です。とりわけ、入国管理法も改正され、ますます在住外国人はふえると見込まれます。
  都は、在住外国人を支援する事業を行う団体に対して助成を行っています。以前は年間わずか数件の応募ということもあったようですが、ここのところ件数がふえているようです。改めて、都が行った団体への支援と成果、課題を伺います。

○金子都民生活部長 東京都在住外国人支援事業助成は、民間団体が行う東京都内の在住外国人を支援する事業に対して助成するものでございます。
  平成三十年度の実績は、助成交付団体数が十六件、助成金額が二千八十七万七千円であり、平成二十九年度に比して助成交付団体数で四件、助成金額で百九十一万三千円の増となっております。
  この助成により、在住外国人の日本語習得などのコミュニケーション支援や日常生活を営むために必要な情報提供など、民間団体の活動の充実が図られたものと考えております。
  今後は、都内におけるさらなる在住外国人の増加や多国籍化を踏まえた事業の充実が重要であると認識しております。

○中村委員 次に、この支援の体制について伺います。
  これまでもたびたび取り上げてきたんですが、真に国際都市としてふさわしい体制を整備する必要がありますが、残念ながらオリンピックを前にしても十分な体制とはいえず、そこでまた質問します。
  東京都には東京都国際交流委員会がありますが、十分な規模とはいえません。都として、国際社会にふさわしい体制を構築し、多文化共生社会への取り組みをより一層行う必要があると考えますが、見解を伺います。

○金子都民生活部長 都はこれまで、外国人に対する生活や防災に関する情報の提供や、専門的な内容を含む幅広い相談に対応を行ってまいりました。さらに、区市町村における専門人材の育成や外国人支援団体への助成などを行うことで、その取り組みを支援してまいりました。
  今後は、外国人の生活支援などを担う区市町村とのネットワークを強化するとともに、東京都国際交流委員会や地域の国際交流協会、外国人支援団体との連携を密にし、都の多文化共生施策の総合的な推進を図ってまいります。

○中村委員 市区町村への支援とかということだとは思うんですけれども、それでも広域的に都がやることや市区町村へのバックアップとか、もう少し体制強化をする必要があると思っています。これは何も監理団体をつくるとか箱物をつくれということに限定しているわけではないのですけれども、少なくとも組織の強化を図って、国際社会にふさわしい広域的な行政としての体制を整えていただきたいというふうに思います。
  次に、市民活動の支援について伺います。
  都は、今後の超高齢社会に向けて、オリンピックのボランティアに期待しているようです。しかし、あくまでこれ、キーワードはボランティアではなくてオリンピックであって、オリンピックは手伝ったけれども、地域で活動するとは限りません。そもそもオリンピックのボランティアは、膨大な予算と仕組みで候補を募集、研修などの運営をしています。その人たちが何の仕掛けもなく、地域でのボランティアにかかわることにはなりません。
  とはいえ、今後の地域社会には市民の力が必要であり、多くのボランティアが必要です。昨年度は、オリンピック後を見据えた都民の活動を支援する新たな体制の検討を行う予算を計上していましたが、どのような検討結果になったのか伺います。

○馬神都民活躍支援担当部長 東京二〇二〇大会では、十万人以上の方がボランティアとして参加し活躍することで、ボランティア活動への参加機運が高まると考えられます。しかし、ボランティアに参加する方の興味、関心は多様であり、大会関連ボランティアの方がそのまま地域で活動していくことにはつながりにくいと思われます。
  このため、ボランティア機運を着実に維持、継続させ、さまざまな活動への参加につなげていくこと、また、大会を契機としてボランティア活動に参加する裾野を広げることを目指し、昨年度からそのための推進体制や仕組みなどについて検討を行っているところでございます。

○中村委員 オリンピックが即ボランティアでない、つながらないとはいいましたけれども、それでもそれだけの方々が、少なくともオリンピックに関してはボランティアとして参加するわけですから、ぜひそのことの機会をうまく捉えて、その方々が地域につながるような工夫と検討を引き続きつなげていただきたいと思います。
  さて、超高齢社会においては地域での居場所が重要になります。元気な高齢者も多いことから、活動する場が求められます。ただし、長年地域と関係がなく、家と会社の往復をするだけでは、定年後にうまく地域に溶け込むことができません。四十代、五十代から徐々に地域での活動をふやしていき、軟着陸していくことが重要です。
  都ではライフワークバランスの普及啓発に取り組んでいますが、もちろん、仕事と家庭の両立を広げるものですが、この家庭の部分に地域の活動が含まれてもよいかと思います。また、職場でのスキルを生かしたプロボノの存在も地域にとっては貴重な存在です。
  地域を見ると、まだまだ、高齢者にボランティアサービスを提供する方も高齢者になっています。働きながら市民活動ができるよう取り組むことが重要ですが、都の取り組みを伺います。

○馬神都民活躍支援担当部長 新たなボランティア参加者をふやし、共助社会づくりを進めるためには、企業への働きかけは大変重要でございます。
  企業が行う活動には、社会貢献活動の一環として、企業がボランティア活動を行ったり、社員が行うボランティア活動をサポートするなど、さまざまなケースがございます。
  そこで、企業が行うボランティア活動の事例集の作成や社会貢献表彰によって先駆的な取り組みの周知に努めております。
  また、東京ボランティア・市民活動センターにおいても、企業向けセミナーや相談、他企業の事例紹介など、社員のボランティア活動につながる取り組みを行っております。

○中村委員 少し話は違うかもしれないんですけれども、最近、企業でも副業を勧めるような企業もあるようです。これは、なかなか企業の給料だけでは難しいので副業してくれということかもしれませんけれども、ただ、そのもう一つ理由として、副業をすることによって、いろんな目で社会を見れば、本業にもいい影響があるだろうということも一つ理由としてあるようなので、例えば、副業ということよりもボランティアで地域で活動していただくことは、本業に対しても、またいろんな目で仕事を見直すことにもなれば、企業にとっても回り回っていい影響があることもありますから、ぜひ企業に対しても、社員のこういったボランティア活動の推進等を積極的に進めるように取り組んでいただきたいと思います。
  さて、NPO法人が積極的に活動するための課題の一つとして資金不足がいわれます。海外のような寄附文化が根づかず、政府のふるさと納税では、ふるさとを何とかしたいという思いではなくて、物でつるような仕組みを可能とし、違った方向へと進んでしまったのは残念なことです。
  認定NPO法人ができてから寄附金控除が受けられるようになったのですが、それほど知られているというわけではなさそうです。
  ふるさと納税であれば、自治体の存在そのものが知られていますし、結局、商業ベースに乗ったことで紹介サイトも生まれています。都が積極的に寄附文化の醸成を図るべきと考えます。
  昨年度、新たに認定NPO法人は何件認定され、それを含めて何件の認定NPO法人があるのでしょうか。そして、都はそうした制度の周知を初め、寄附文化の醸成にどのように取り組んできたのか伺います。

○金子都民生活部長 平成三十年度に、都は新たに認定NPO法人として三十四法人を認定しました。これらを含め、平成三十年度末の認定NPO法人数は二百九十九法人でございます。
  都は、運営組織及び事業活動が適正であって、公益の増進に資するNPO法人を適切な審査により、寄附者が税制上の優遇を受けられる認定NPO法人として認定しております。
  都民がこうした認定NPO法人制度を正しく理解し、法人の情報を容易に把握できるよう、都はホームページ上にあるポータルサイトで寄附者の税制優遇制度や法人の活動内容を広く公開しております。

○中村委員 NPO法人の数の中で見れば、まだまだ認定NPO法人は多いというわけではないわけです。こういった制度があるということをもっと広めていただいて取得をする法人がふえればと思っていますし、そういった法人に対する寄附が控除されるというようなことも含めて、より一層広報していただいて、市民活動がより活性化をするようにお願いをいたしまして、質問を終わります。

 

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