2019/11/27 都市整備委員会で住宅政策本部に質問しました
11月27日、都議会の都市整備委員会に出席し住宅政策本部の事業について質問しました。マンションの老朽化に際しての耐震化、民間住宅の中古流通市場の活性化、就労支援に際しての住宅支援、都営住宅の入居の公平性など多岐にわたり質問しました。都の住宅政策は都営住宅が中心ですが、空き家を活用した家賃補助制度も提案しました。
○中村委員 それでは、住宅政策本部の事務事業について質問します。
事業概要には、平成三十年度の総務省の調査で、都内の空き家は八十一万戸とのことです。高齢化の進展、人口、世帯数の減少が見込まれる中、空き家に関して適正管理、有効活用、発生抑制を三つの柱に、引き続き空き家対策に強力に取り組むとしています。
この同じ調査の数値では、世帯数が住宅数を逆転するのは昭和四十三年から四十八年の間で、このときも空き家率は四・〇から五・六%なので、住宅が足りなくても空き家はゼロにはならないようですが、このころから、住宅そのものは統計上は足りているということになります。
一方で、都営住宅は二十六万戸あり、市場において自力で適正な水準の住宅を確保することが困難な世帯への住宅供給を行う施策の中心的役割を担うとしています。しかし、全体の倍率が十倍を超え、高いところでは百倍を超え、入れるか入れないかで不公平になっています。
今回とりわけ、こうした超高齢社会に向けての対策と施策が真に困窮した方に届くことと公平性に焦点を当てて、質問していきたいと思います。
最初にまず、民間の住宅であるマンションについて質問します。
ことしは大型の台風が襲来し、対策の補正予算も組まれますが、いつ起こるかわからない地震への備えは常に重要です。マンションの老朽化と同時に住民も高齢化すると、ますます建てかえは難しくなります。先々、建てかえないまま老朽化したマンションが震災時に倒壊すれば、周辺に危険をもたらします。
緊急輸送道路の沿道建築物のように、耐震診断を義務化し、補助金も出すように、規制と補助を一体として耐震化を進められないかと考えています。
都は、マンションの耐震化の促進についてどのような考え方をもとに取り組んでいるのか伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 分譲マンションの耐震化を促進するためには、多数の区分所有者の合意形成が必要であるため、費用負担の軽減に加え、区分所有者が主体的に取り組むよう働きかけることが重要でございます。
このため、都は、区市等による耐震アドバイザーの派遣や耐震診断及び改修等に対する助成事業等の取り組みを財政的に支援しております。
平成三十年度からは、耐震診断の実施等に取り組んだものの次の段階に進んでいない管理組合等に対して、建築士などの専門家を繰り返し派遣し、耐震化の実施に向けた合意形成を支援してございます。
さらに、今年度からは、災害時に多数の者に危険が及ぶおそれのある延べ面積一千平方メートル以上のマンションの改修等に対する補助率を二三%から三分の一に引き上げ、助成制度を拡充しております。
こうした取り組みにより、分譲マンションの耐震化を進めてまいります。
○中村委員 専門家の派遣や補助率の引き上げなどに取り組まれていることはわかりますが、先ほど述べたように、緊急輸送道路沿道の建築物は、耐震診断を義務化していても、進めるのに大変苦労していました。今後、マンションの老朽化と同時に住民の高齢化が進むと、ますます合意形成が難しくなることが予想されます。
個人の資産でありながらも周辺に危険をもたらすという点では、緊急輸送道路沿道と同じともいえなくもないので、合意形成に向かうよう一定の法的枠組みをつくり、進めることが必要だと思いますので、改めて検討することを求めます。
さて、マンションだけではなくて戸建てについても、住民の高齢化は課題になります。とりわけバブルのころに購入し、都心から離れた地域で、さらに駅からも遠い戸建ては大変です。本人が高齢化をし、子供が自立をすると、不便なので売却をして駅の近くに住みかえようと思っても、想定しているような価格で売却できず、引っ越せないようです。所有者が亡くなると、子供は既に別居しているので売却もできず、そのまま空き家になる例も多いようです。空き家そのものの対策も必要ですが、高齢の方が売却できず、郊外で孤立していくことを防ぐための対策も必要です。戸建てなど民間住宅の中古流通市場が十分ではないことも一因です。
そこで、高齢者の住宅問題に対応するためにも、住宅の中古流通市場が必要であると考えますが、見解を伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 都内の高齢者世帯の持ち家につきましては、今後、空き家となる可能性があるものもあることから、空き家の発生を抑制し、既存住宅流通市場を活性化させる取り組みは重要でございます。
このため、都におきましては、これまでも、空き家のワンストップ相談窓口の開設や東京空き家ガイドブックを用いた普及啓発、事業者グループによる既存住宅の売買に係る相談体制の整備などに取り組んでまいりました。
引き続き、こうした施策を推進し、高齢者世帯の持ち家を含む既存住宅の流通促進を図ってまいります。
○中村委員 郊外に住むご高齢の方が亡くなった後に空き家が発生することも問題ですが、その前に、まだまだ元気に生活している人が地域で孤立していかないよう、希望すれば住みかえができるようにするためのサポートが必要です。
中古流通市場の活性化だけではなくて、相談体制についてもお答えいただきましたが、大変重要なことです。住まいは生活そのものですから、単に不動産の取引だけではなく、その人にとって一番よい老後の暮らしのサポートができるような窓口にしていただきたいと思います。
さて、平成二十三年の法改正により制度が創設された高齢者の住まいとして、サービスつき高齢者住宅、略してサ高住があります。高齢者がサービスを受けながら地域で自立した暮らしができる住宅として期待しています。ところが、広告などもよく目にしますが、家賃の幅が広いことは理解してはいますが、家賃が高く、入居が難しいのではないかとの懸念もあります。
制度が始まって数年たちますが、どのくらい普及しているのでしょうか、政策の狙いは達成しているのでしょうか、伺います。
○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 都は、高齢者が住みなれた地域で安心して住み続けることができるよう、生活支援や介護、医療等、高齢者の多様なニーズに対応し、主として中堅所得者層が適切な負担で入居できるサービスつき高齢者向け住宅等の供給を促進してございます。
これまで供給されてきたサービスつき高齢者向け住宅は、幅広い価格帯の家賃が設定されており、入居希望者のニーズに応じた住戸の選択が可能となっております。このうち、平均家賃が十万円未満の住宅が約六割となっており、比較的低廉な家賃の住宅も供給されてございます。
都は、サービスつき高齢者向け住宅等の令和七年度末までの整備目標を二万八千戸としており、平成三十年度までの実績は二万七百五十一戸と、着実に整備が進んでおります。
引き続き、高齢者が安全・安心に暮らせる住まいの確保に取り組んでまいります。
○中村委員 低廉な住宅もあるということだそうなので、目標に向けて進んでいることは確認しました。介護サービスを受けなくても、見守りやちょっとした支えで自立した暮らしができる方々が大勢います。このサ高住はまさしく住宅と福祉の融合ともいえる制度であり、さらなる拡大に努めていただきたいと思います。
住宅は生活そのものだけに、福祉だけではなくて、就労とも密接にかかわります。これから始まる第四回定例会では、就労困難者と認められる者が他の従業員とともに働いている社会的企業、これをソーシャルファームというそうですが、その支援を通じて就労を支援する条例が提出をされます。
就労困難な方は、就労を支援するだけではなく、住宅の支援もセットで政策を展開すると、より有効です。
そこで、福祉や雇用施策と連携した住宅政策が、今後、より一層重要になると考えますが、見解を伺います。
○土屋経営改革担当部長 住宅政策本部では、都営住宅の住戸を知的障害者グループホームとしての活用のほか、ホームレスに対する住宅支援など、福祉施策との連携による施策を実施しております。
また、現在、福祉保健局が実施している就労支援策であるTOKYOチャレンジネットと連携して、低収入で住宅に困窮する若年単身者に対して都営住宅を二十戸提供しており、昨年度は六十九名の利用がございました。
本年五月の住宅政策審議会答申においても、福祉や就労事業との連携が提言されており、今後とも、都のさまざまな施策との連携を進めてまいります。
○中村委員 就労にさまざまな困難を抱える方がいますが、就労だけに困難なのではなく、住宅についても苦労されていることが当然多いのであり、生活全般の支援となると、住宅、福祉、就労と密接な関連があるため、より一層連携しての取り組みを求めます。
さて、今の就労についての質問で、ホームレスの方々に対する住宅支援も行っていると答弁がありました。私は、都営住宅が真に困窮した方々の支援のために活用されることは重要だと考えています。ホームレスの方々の支援として、都営住宅に入居を認め、自立支援に取り組むことも必要な場合があると考えます。
そこで、ホームレスの方々の支援として、都営住宅を、真に困窮した人の入居と福祉施策を組み合わせた利用の仕方を検討できないかと考えますが、見解を伺います。
○土屋経営改革担当部長 ホームレス支援として、都営住宅では、真に住宅に困窮する低所得者に対し住宅を的確に提供していくという公営住宅法の趣旨に基づき、特別割り当て制度を実施しております。平成十四年度から、自立支援センターを自立により退所する方向けに、割り当てを実施しております。
なお、平成三十年度については二十戸割り当てております。
○中村委員 支援することは大切ですが、いろんなケースもあるので、自立支援センターを退所した方だけではなくて、直接都営住宅に入居を支援することも考えられるのではないかと思います。一人一人に合った支援があると考えますので、福祉の担当と連携するということですが、住宅そのものにも福祉的要素が内在しているのですから、住宅政策本部としても、必要な支援を行っていただきたいと思います。
先ほども述べましたように、都営住宅は、住宅に困窮した方々にとっては大変重要な政策だと思います。反面、倍率が大変高いところもあり、入れた人と入れない人の差が大きく、公平性が必要です。希望する方が全員入れればよいのですが、戸数に限りがあるため、より困窮した方が入居できるような制度が必要です。
都営住宅の入居の倍率が高く、厳しい中で、入居については収入要件だけしかなく、財産要件がないのは、不公平になってはいないのでしょうか。すなわち、莫大な預金があっても不動産さえ所有していなければ、入れてしまうのではないでしょうか。もちろん個人情報にかかわる部分です。一方では、限られた戸数の入居は公平でなければなりません。見直すべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○土屋経営改革担当部長 公営住宅法は、入居者資格を住宅に困窮する低額所得者としており、現在の住宅の状況を把握することは重要であると考えております。
都営住宅の募集においては、申込書に現在住んでいる住宅の種類や間取り、家賃などの記載を求めております。その後の入居資格審査において、住宅の賃貸借契約書や家賃の支払いを確認できる通帳の写しなどにより、住宅困窮者に該当することを確認するなど、厳正な審査を行っております。
一方、平成十七年に、国は、入居者資格について、住宅を所有しながら公営住宅への入居を希望している者や住宅の取得が可能な預金を保有している者は、住宅困窮者に該当しないことを示しましたが、公営住宅法では資産の取り扱いを明記しておらず、その調査権限に関する規定もございません。資産の取り扱い及び調査権限について、公営住宅法上明確に位置づけるよう国に対して提案要求しているところでございます。
今後とも、都営住宅を一層的確に供給できるよう十分検討していくとともに、現状に即した法制度の整備を国に要求してまいります。
○中村委員 サービスを受けるためとはいえ、どこまで資産状況と個人情報を提供しなければならないかという課題はあるとは思いますが、公平性の観点から見直しは必要とは考えています。この財産要件について、よく都営住宅の駐車場に高級車がとまっているではないかと都民の方からご指摘を受けることもあります。高級車イコール不正ではないので一概にはいえませんが、入れたか入れないのかの差が大きいという不公平感があると、こうした声が出ると思いますので、不満のないような公平な制度が必要だと思います。
とはいえ、最近では駐車場に停車している車の数は減ってきているようです。都営住宅には、平成三十年度で駐車場の区画数は四万八千三十五区画とのことですが、高齢化や若い人の車離れもあると思います。
都営住宅では最近、自動車の所有が減り、駐車場の多くがあいています。現状どのくらいの契約率でしょうか。
都内は地価が高く、保育園や介護施設を整備する土地が不足していることから、昨今では都立公園まで活用されるくらいですから、一棟ごとに駐車場があるのを団地全体で集約すれば、かなりの土地ができます。
建てかえる際に創出した土地だけではなく、建てかえの予定がすぐにはない団地でも、駐車場の用地を集約することで土地を創出して、福祉目的に活用できるのではないかと考えますが、見解を伺います。
○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の駐車場の契約率は、本年十月末現在、設置区画数約四万八千百区画に対して、六五%となっております。
今ある駐車場を廃止して福祉目的に活用する場合には、駐車場を利用している方々の理解や関係法令への適合が必要であるなど課題があることから、現在では、介護事業者等の利便性を考慮したコインパーキングや地域開放駐車場として、空き区画の活用を図っております。
○中村委員 利用者の理解ということですが、団地の利用者も福祉施設を利用することもできます。福祉施設の整備のために、使われていない都有地はないかと都庁全体で懸命に探していました。現状、駐車場は三五%、三分の一以上あいているということですから、恐らくこれからもっと契約率が下がっていくと推測されます。都内にある貴重な都有地なので、都営住宅の利用者だけではなく、多くの都民のために利用されるようご検討願います。
そういう点では、都営住宅にある集会所について、団地の住民だけではなく、近隣の都民の方からも使いたいという声をいただくことがあります。地域のつながりが希薄化する中で、地域の町会の中に都営住宅があり、その自治会が町会とは無関係に存在していることもあり、日常的なおつき合いやお祭りなどの行事でも交流がない場合もあります。町会の役員も高齢化し、近くにある集会所は便利な施設なのですが、都の施設とはいえ管理は自治会にあり、基本的には住民しか利用できず、自治会の許可があれば例外的に使えるというのも、超高齢社会を迎えるに当たり、時代に合わないのではないでしょうか。むしろ集会所の利用を地域に開放して、積極的に地域との交流を図るべきと考えますが、見解を伺います。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅の集会所は、居住者間、あるいは居住者を超えて地域のコミュニティ形成などのために設置しております。
都では、都営住宅の居住者と地域住民との間に良好なコミュニティを形成するため、自治会、町会等の協議が調ったものについては、地域に開放することに取り組んでおります。
今後一層、集会所の有効活用を通じて、都営住宅の居住者と地域住民との間によりよいコミュニティが形成されるよう努めてまいります。
○中村委員 居住者を超えて地域のコミュニティ形成のために設置とのお答えがありましたが、設置の目的にはすばらしいことが書かれているんだと思います。団地にお住まいの方は地域の公共施設も利用することができるのですから、双方向で交流が深まるように、協議が調えばというようにハードルを上げるよりも、積極的に利用してもらえば、老人クラブでもお茶飲み会でも新たな交流が生まれます。当事者任せだと、しがらみもあり進まないので、都が方向性を示し、改善していただきたいと思います。
さて、この集会所の管理も自治会の仕事になっていますが、そのほかにも、みずから住まう都営住宅ですから、その清掃、草取り、電灯の取りかえなども行っています。しかし、高齢化に伴い、自治会ではできなくなっているところもあります。これらの作業は本来居住者の仕事であるとして、自治会からの要望があれば、都がその費用を共益費として徴収して作業を行っています。
しかし、都に要望を行うにも自治会としての意見集約さえできない場合には、居住者の仕事ではなく、都の仕事として位置づけることも検討すべきではないかと思いますが、見解を伺います。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅では、共用部分の公共料金の支払いや草刈り、中低木の剪定などの作業を自治会が実施しております。こうした共用部分の管理が負担になっているとの声を受けて、都は、希望する団地について、これらの作業を自治会にかわって実施し、その費用を住宅使用料とともに共益費として徴収する事業を平成二十八年度に創設いたしました。
指定管理者である住宅供給公社においては、公社職員が自治会役員会からの相談に引き続き応じるとともに、今後は、この共益費徴収事業の拡大、充実に向けて、自治会に事業の利用を提案するなどして、自治会支援を強化していくこととしております。
○中村委員 私も自治会が行った方がよいとは思いますけれども、高齢化が進んだり、なかなか役員のなり手がなくなったりとか、できなくなってきているというところはあるので、改善をさらに図って共益費を徴収して行い、事業を創設したとは思いますが、さらに一層難しくなる場合もありますので、対応してほしいと思います。
少なくとも清掃や草取りなどがされずに近隣から苦情が来るようなら、民間であれば大家さんや不動産屋さんが対応するのでしょうが、都営住宅も、所有者である都が周辺に迷惑をかけないように対応することも必要かと思いますので、ご検討願いたいと思います。
さて、高齢化については、名義人の年齢で、六十歳以上では七六・七七%とのことです。七十五歳以上でも四三・一八%で、その半数は単身世帯とのことです。
高齢化が進むと、最初は家族で入居しても、配偶者が亡くなったり、子供が自立したりして単身になっていきます。建てかえをするときに、単身者用の部屋に住みかえてもいただいているそうですが、建てかえがないときはそのままになっていることもあるようです。
ご家族が亡くなり、思い出もあり、高齢で部屋をかえるのは大変ですが、一人で広い部屋に住んでいると、希望しても入居できない方との公平性も欠いてしまいます。もちろん、中には生活に合わせて住みかえたいという方もいらっしゃると思います。これはあくまで理解を得られればということになりますが、世帯構成が変化した場合に、その人数に応じた部屋に移っていただくことはどのようになっているのでしょうか、伺います。
○土屋経営改革担当部長 都営住宅では、入居者の転出、死亡などにより世帯員構成が減少した場合には、新たな世帯員構成に応じた適切な規模の住戸へ変更する制度を設けております。例えば、専用面積が五十平米超で、三DK以上の住戸の入居者が単身者となった場合、入居者の申請により、その世帯員数に応じた住戸への変更を受け付けております。
変更に当たっては、住戸の空き状況を確認しながら、同一団地周辺の住戸を変更先としてあっせんしております。
○中村委員 高齢の方に動いていただくのは大変ですが、多くの都民の入居を希望する方との公平性ということもあります。とはいえ引っ越しというのは大変ですから、移ってもいいと思っても、引っ越しが大変だからそのままということもあるようですから、ご協力いただけるなら、引っ越し用の費用を負担することなどを検討できないかとは思います。
とはいえ都営住宅は世帯向けが多く、単身向けが少ないので、実態に合っていないということもあります。応募状況は、昨年度は少し倍率が下がったようですが、世帯向けで十倍を超えるのに対して、単身者向けの応募倍率は四十倍を超えています。ちなみに、ポイント方式にはより困った方が入れるはずですが、それでも約七倍で、簡単には入れません。
建てかえ時に、単身者向けをふやしているとは聞いています。ただ、都営住宅は建てかえると決めてから、公募停止を始めて、最終的に建てかえるまでは、相当な年月がかかります。その間、あいている部屋は使われず、家賃も当然入らないことになります。平均的にはどのくらいの期間がかかり、それまでの間に空室ができることの損失はどのくらいなのでしょうか、伺います。
○妹尾建設推進担当部長 都営住宅の建てかえを円滑に進めるため、建てかえの事業化決定を行った住棟については公募を停止しております。公募停止から建てかえに着手するまでの期間は、建てかえる団地の規模等によりさまざまでございまして、平均期間を求めることは困難でございます。
また、例えば公募停止から除却まで四年かかるとした場合、その間の使用料収入では、入居に先立ち実施する多額の室内補修費を回収することは困難でございます。こうしたことから、公募を停止した住棟に発生した空き住戸は、使用しないこととしております。
○中村委員 平均期間を求めることは困難とのことでしたが、現実に建てかえているのですから、それぞれ数字はあるはずです。もちろん入居されている方がいるので、無理に追い出せといっている意味ではなくて、丁寧に行っていただきたいと思うんですが、一方ではコスト感覚を持っていただきたいと思います。
さて、都営住宅について質問してきましたが、都営住宅だけが住宅の施策ではありません。先ほど述べましたが、高倍率でなかなか入居できないと、不公平にはなっていないでしょうか。
先日、決算審査を行った平成三十年度の特別会計決算説明書によると、都営住宅等の管理運営、建設費等に約一千百三十五億円、使用料収入に約六百七十六億円となっています。対して、サービスつき高齢者向け住宅や優良民間住宅など都が行っている民間賃貸住宅への支援は、東京都一般会計決算説明書によると約三十四億円となっています。このように、民間賃貸住宅に比べて、都営住宅へは多くの公費が投じられています。
都営住宅は家賃収入が入りますが、家賃補助は出るだけだというのが、家賃補助をしない理由の一つとしても挙げられています。しかし、都営住宅に毎年一定の支出をしているのであれば、都営住宅に入れない生活に困窮した方の支援のために、家賃補助を行ってもよいのではないでしょうか、見解を伺います。
○澁谷住宅政策担当部長 家賃補助制度につきましては、国も、対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担の問題点を指摘しておりまして、また、生活保護制度との関係等、多くの課題がございます。
今後とも、社会経済情勢が変化する中で、都営住宅が住宅セーフティーネットの中核として重要な役割を果たせるよう、既存ストックの有効活用を図りながら、公平かつ的確に供給してまいります。
○中村委員 ことし五月の東京都住宅政策審議会の答申、都営住宅における管理制度等の在り方についてでも、住宅困窮者に対して社会情勢の変化に応じて的確に供給していくという視点が必要としています。しかし、能動的、機動的に対応しともありますが、本当に困った方のために迅速に対応できているかというと、そうはなっていないのではないでしょうか。
都営住宅が希望者全員入れるように整備を行うのも現実的ではない以上は、入居要件に当てはまる方が、くじで外れると何の行政サービスも受けられないことになります。特に、生活保護にならずにぎりぎりのところで暮らしている方への支援が必要と考えます。
さきの第三回定例会の会派の代表質問でも取り上げましたが、セーフティーネット住宅を進めていただきたいとは思いますが、家賃低廉化補助はまだ実績はわずか九件しかないとのことでした。
都の方針では、都営住宅はストックの維持更新に重点を置き、管理コストを抑制するということですが、都営住宅と家賃補助による民間住宅の活用をうまく組み合わせることが大切だと思います。
都営住宅とこの家賃補助制度を組み合わせ、ソフトとハードの融合した住宅制度に転換する必要があると考えますが、住宅政策本部長に本部設立の意義も含めて、政策の方向性について伺います。
○榎本住宅政策本部長 住宅政策本部の設立でございますが、住宅政策本部は、都の住宅政策を一層加速し、機動的に展開していくため、本年四月一日に新たな組織として発足をいたしました。
住宅に困窮する都民の居住の安定の確保につきましては、都営住宅を住宅セーフティーネットの中核として既存ストックの有効活用を図りながら、公平かつ的確に供給していきますとともに、住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅も活用しながら、重層的な住宅セーフティーネットの構築に取り組んでまいります。
加えまして、少子高齢化や住宅ストックの老朽化など、将来の社会経済状況の変化を見据え、老朽マンションや空き家への対策、大規模災害や復興への備えなど、多岐にわたる施策を推進してまいります。
今後とも、住宅マスタープランに定める住宅政策の基本方針であります豊かな住生活の実現と持続に向けまして、総合的、計画的に住宅行政を推し進めてまいります。
○中村委員 今後ますます高齢化が進み、人口減少社会になります。空き家対策にもつながる民間住宅の活用のための家賃補助の導入について、私は検討の時期に来ているのではないかと思っています。大きく変化をする中、ぜひ前向きにご検討いただけますよう要望いたしまして、質問を終わります。
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