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都議会質問記録

2019/11/29 都市整備委員会で大規模水害への対策を質問しました

11月29日、都議会の都市整備委員会に出席し、次回定例会に知事から提出される議案の説明を受けるとともに都市計画審議会に提案される案件について説明を受け質疑を行いました。江戸川区の都市計画変更についてですが、当該区を含む江東5区と言われる地域は、大規模水害が発生すると人口の9割以上にあたる250万人が浸水すると予測されています。今後の都市計画に際して地震だけではなく水害対策も盛り込むよう求めました。

○中村委員 それでは、私からは、都市計画審議会の付議案件のうち、江戸川区の地域における用途地域の変更等、土地区画整理事業の変更について質問します。
  ことしは秋に大型の台風が相次いで襲来し、各地に甚大な被害をもたらしました。
  江戸川区を含むいわゆる江東五区は、多くの地域がゼロメートル地帯で、大規模な水害が発生するとほとんどが浸水する地域とされ、人口の九割以上の二百五十万人が浸水すると予測されています。最大で十メートル以上の深い浸水になり、二週間以上、浸水が引かないとの予測もあります。
  こちら江戸川区のハザードマップを見ても、今回の都市計画変更に係る地域も、新中川に隣接し、荒川と挟まれ、浸水するおそれがある地域になっています。
  江東五区のパンフレットを見ても、区内にとどまることは危険で、埼玉県、千葉県や東京西部方面へ広域避難することを呼びかけています。
  今回の台風でも広域避難にはならなかったのですが、もう少し規模が大きな台風が来たら、広域避難の必要がある事態にならないとも限りません。
  また、仮に江東五区として、広域避難を呼びかけても何らかの理由で避難しなかった人がいた場合や、広域避難を呼びかけていなかったら、予報より大きな台風となった場合には緊急で域内での垂直避難をせざるを得ない状況もあり得ます。
  今求められているのは、危機から目をそむけず、正しく危機を認識して対応することだと思います。都市計画を変更してまちづくりを進めるということは、当然この地域に住み続けていただくためのものです。
  そこで、大規模水害への対応が求められている中、どのような認識を持っているのか伺います。

○小野都市づくり政策部長 本地区が位置します江戸川区を含む江東五区では、平成三十年八月に、江東五区大規模水害広域避難計画が策定されております。
  計画では、これまで経験したことのないような大規模な水害が危惧される場合は、江東五区外へ広域避難することとし、避難する時間がないなどやむを得ない場合に、垂直避難を行うこととされており、江戸川区では、待避施設として小中学校が指定されております。
  本地区計画では、こうした計画を前提としまして、地区の課題となっております道路や公園等の整備や敷地の細分化防止等により、木造住宅密集地域の解消を促進するとともに、良好な住環境の維持形成を図ることとしております。

○中村委員 今回の変更は、都決定は用途地域や建蔽率、容積率の変更で、詳細は江戸川区決定の地区計画になっています。
  江戸川区の地区計画を拝見すると、災害に強い安全・安心なまちとの項目がありますが、内容は、大震災とそれに伴う火災を想定して老朽木造建築物の建てかえを進め、燃えない、燃え広がらないまちをつくるとしていて、水害を想定しているようには見えません。
  昨今の大型台風の襲来などの大規模水害への対策として、今後こうした浸水のおそれのある地域は、都市計画においても水害対策を盛り込まざるを得ないと考えますが、見解を伺います。

○小野都市づくり政策部長 都では、河川や下水道の整備を着実に推進するとともに、雨水の流出を極力抑制する貯留浸透施設の設置などの流域対策や、降雨や水位を初めとする情報提供の充実など、総合的な治水対策を進めております。
  さらに、本地区におきましては、大規模水害から全ての人の安全を守るため、先ほども説明させていただきましたが、江東五区大規模水害広域避難計画が策定されております。
  これらを前提とした上で、当地区の課題である道路や公園等の整備や木造住宅密集地域の解消を促進するとともに、良好な住環境の維持形成を図るため、地区計画を策定しているものでございます。

○中村委員 先ほども述べましたが、広域避難となっても、緊急の場合など、建物の三階以上に避難する垂直避難せざるを得ない状況になる可能性があります。
  今回、容積率が一〇〇%から一五〇%になるので、単純な計算でも二階建てから三階建てにすることが可能になります。ただ、建蔽率が五〇%から六〇%になると、上に伸びず下膨れをしてしまいます。
  より高層な建物を建てる場合に、経済的な問題があるため、別の政策として補助なども必要かもしれませんが、少なくとも都市計画上は高層建築物に誘導することは可能かと考えますが、見解を伺います。

○小野都市づくり政策部長 江東五区大規模水害広域避難計画では、大規模水害が想定される七十二時間前から江東五区で検討を開始し、四十八時間前には自主的広域避難情報の発信、二十四時間前には広域避難勧告を行い、広域避難する時間的な余裕がないと判断したときには垂直避難指示が出るなど、タイムラインに沿った計画的な避難行動を行うこととなっております。
  地区計画の決定権限のあります江戸川区としましては、こうした考え方を前提とし、低層の戸建て住宅と低中層の共同住宅等が調和する良好な住宅地の形成を図るため、地区計画において建築物等の高さの最高限度などの制限を定めており、都としても、その考え方は了承しているところでございます。

○中村委員 良好な住宅地の形成というお答えをいただきました。私も通常のまちづくりであれば、景観は重要で、高層化を望むわけではありません。
  ただ、水害への危機は現実に迫り、何を優先して考えるかという議論をしたときに、まず優先すべきは安全だろうと思い、高層化していかざるを得ないと述べたものです。
  戸建てを高層化するよりも、集約して集合住宅にする方が高層化でき、より垂直避難がしやすくなります。しかし、区の地区計画では、建築物の高さの最高限度について、多くの部分を十六メートルとしています。
  景観などの課題があるのは十分承知しつつも、最大の課題の一つが水害への備えであり、都民の生命と安全を守ることが何より重要であると考えると、垂直避難を可能にするようなまちづくりを行うためには、十六メートルの規制は低いのではないかとも考えますが、見解を伺います。

○小野都市づくり政策部長 江東五区大規模水害広域避難計画では、タイムラインに沿った計画的な避難行動を行うこととなっております。
  こうした考え方を前提としまして、低層の戸建て住宅と低中層の共同住宅等が調和する良好な住宅地の形成を図るため、地区計画により、建築物等の最高限度を十六メートルに制限しております。
  なお、ハザードマップでは、当地区が浸水した場合の水深は三メートルから五メートル未満と想定されております。

○中村委員 浸水は三メートルから五メートルで、十六メートルでないことは、ハザードマップに掲載されていますが、まち全体での取り組みを進めるために、誘導するために高さ規制を緩和してはということで述べました。
  繰り返しになりますが、私も良好な住環境を整備するためには、通常なら高層化を望むものではありませんが、安全・安心を優先してはという観点から述べさせていただきました。
  さて、今、今回ずっと取り組んできた都市計画変更を提案したのだと思いますが、ことしの大型台風の相次ぐ襲来を考えると、今後はこれまでどおりにはいかなくなるとも思います。むしろちょうどこうして都市計画を変更するならば、その機会に水害対策も都市計画に盛り込んでいくことも重要です。
  とりわけ地区計画なので、住民の皆様の同意も必要ですが、その話し合いをする際に、危機感を共有し、広域避難を前提としたとしても緊急の場合には、垂直避難で地域内にとどまらざるを得ないことがあるため、それに備えた地域をつくることも必要だと考えます。
  今後、各区での都市計画や地域の住民を含めた地区計画の議論が各地域であると思いますが、そうした際には大規模水害の危機の状況を正確に伝え、危機を正しく認識した上で、どのようなまちづくりを選択していくのかということを都としても考えていただくよう求めて、質問を終わります。

 

 

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