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都議会質問記録

2015/06/19 主税局、会計管理局、財務局に質問しました

2015年6月19日、都議会財政委員会に出席し議案等4つのテーマで25問を所管局に質問しました。不動産取得税、固定資産税、都たばこ税等の都税条例改正、議会の議決が必要な9億円以上の契約、青山にある都有地の信託運用の契約延長、基金等の約3兆円の公金管理について主税局、会計管理局、財務局の順に質問しました。

1 主税局への質問

○中村委員 それでは、都税条例の改正及び専決処分に関して質問をします。
 知事は所信表明演説の中で、わがまち特例について述べられました。五月二十二日には、都は国に対して、国際競争力の強化を図る観点から、池袋駅周辺地域について特定都市再生緊急整備地域への指定を申請しました。
 そこで、今回の特例措置でどのような効果を期待しているのか、また、これまでの成果もあわせて伺います。

○加藤税制部長 今回の特例措置は、地方税法の改正によりまして、これまでの法律で一律に定める方式にかえて、いわゆるわがまち特例が導入されたものでございます。新たな特例割合の設定により、都市再生の一層の推進と良好な都市空間の確保に寄与していくものと考えております。
 また、これまでの成果でございますが、平成二十六年度の実績で申し上げますと、都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の合計で、不動産取得税につきましては六棟で約十二億二千万円、家屋について係る固定資産税、都市計画税につきましては九棟で約一千四百万円、償却資産に係る固定資産税については五事業者で約三百万円となっております。

○中村委員 今回のこの特定都市再生緊急整備地域の課税標準からの控除は、国が示す自治体で決めてよい幅の中で最大の数値ということになっています。
 しかし、もう一方のサービスつき高齢者住宅の方の割合については、今後まだまだ需要が高まると思われますが、その税の減額措置については、わがまち特例があっても参酌基準のままになっています。最大限減額をしてサービスつき高齢者住宅を整備促進することも考えられたはずですが、特例割合を決めた考え方を伺います。
 また、これまでどのくらいの件数があり、減額されたのか、実績をあわせて伺います。

○加藤税制部長 この特例措置につきましては、平成十三年度の税制改正で導入されて以降、一般の優良賃貸住宅よりも軽減割合を高めている中で、既に一定の供給が進んでいることなどから、現行と同様の割合としたものでございます。
 平成二十六年度の実績で申し上げますと、三十六棟、約四千五百万円の減税となっております。

○中村委員 サービスつき高齢者向け住宅等の整備については、都は長期ビジョンで二〇一三年度末で一万四千百八十一戸だったのを二〇二五年度末には二万八千戸にするとの目標があります。既に一定の供給が進んでいることは、そのことそのものはよいことなんですが、超高齢社会に向けて引き続き順調な整備が求められ、都でも長期ビジョンで重要課題として取り組むべく目標を定めていますので、最大限の支援が必要と考えます。わがまち特例として都で減額措置について決められるのですから、今後もその整備状況を見て、税の面から整備が促進されるよう求めます。
 また、特定都市再生緊急整備地域はもとより、現在、都においては、東京駅周辺など各地で大規模再開発が行われており、固定資産税の対象となる大規模家屋の増加が見込まれます。
 先日、この財政委員会としても、固定資産税に関する視察を行いました。そこで、今後増加が見込まれる大規模家屋の評価上の課題と、その対応について伺います。

○安藤資産税部長 オリンピック・パラリンピックの開催に向け、都内各地で大規模開発やインフラ整備が加速しており、今後、大規模家屋の増加が見込まれております。
 大規模家屋の評価につきましては、膨大な工事関係資料の中から評価に必要な情報を抜き出す作業などに非常に時間がかかります。また、地中熱などの自然エネルギーを利用した冷暖房設備を備えた家屋や既存建物の一部を残しつつ新たに高層建築物を増築した家屋など、評価の困難性の高いものが多くなってございます。
 主税局では、これらの課題に対応するため、大規模家屋の評価を本庁で集中的に行い効率化を図るとともに、そこで蓄積したノウハウを研修等で事務所へ還元しながら、今後とも適正な評価に努めてまいります。

○中村委員 大変大きな物件がふえてきたので担当の方には大変だと思いますが、まさしく適正な評価というのは大切なことですから、これからも引き続き担当者の方のご努力を望むものです。
 次に、たばこ税について伺います。
 たばこに関しては、オリンピックに際して受動喫煙防止に関する条例については都の有識者の検討会が開かれましたが、結論は今のところ先送りになっています。
 たばこ税については、税収だけの問題ではなく、健康問題から喫煙を抑制する意味合いもあり、増税が進んできました。自治体の大きな収益になるという主張もありますが、健康を害すれば医療費が上がるという考え方もあります。
 過去、税率が上がった場合に、単純に現在の数量で税収がふえるのではなく、抑制効果も一定程度あったのではないかと推測をされます。これまでのたばこ税の増税と売上への影響について所見を伺います。

○加藤税制部長 一般的には、商品の価格が上がりますと販売数が減る傾向にございます。しかしながら、たばこの場合、都を例にとりますと、平成五年度を境に一貫して売り渡し本数が減少しております。この間、数度にわたり増税等に伴う価格改定はあったものの、価格の上昇が売り渡し本数にどの程度寄与しているのかということにつきましては、必ずしも明確ではございません。
 ちなみに、平成二十二年十月には、国税、地方税、あわせて二十本当たり七十円と大幅な税率引き上げが行われました。翌二十三年度の都内でのたばこの売り渡し本数は、前年度比一一・九%の減となっております。

○中村委員 平成五年度以降、一貫して減っているということは、都民の健康への意識の高まりと関連していると思います。今回のたばこ税の増税は、さきの委員会の議論で、厚生労働省から国民の観点からたばこの消費を抑制すべきとの税制改正要望があったためとのことでした。
 また、確認ですが、海外との喫煙状況がよく比べられますので、ここで、主要国のたばこ一箱当たりの価格及び税額について伺いたいと思います。

○加藤税制部長 若干古い資料で申しわけございませんが、総務省が公表しております資料をもとにご説明いたします。
 平成二十五年一月現在の主要国主要銘柄で申し上げますと、各国の紙巻きたばこ一箱当たりの価格は、日本が当時は四百十円、イギリスでは約千二十円、ドイツ、約五百二十円、フランスで約六百三十円となっております。
 また、各国の一箱当たりのたばこ税額は、日本が約二百四十円、イギリス、約六百円、ドイツ、約三百円、フランス、約四百十円でございます。
 なお、当時の為替レートは一ドル八十一円程度でございますので、現在は若干これよりは高くなるかと思います。

○中村委員 今お話のあったような価格を比べてみると、他国に比べて日本の価格そのものは決して高額とまではいえないようです。税率そのものは国が決めたとおりに都のたばこ税が決まるだけなので、都に裁量の余地はないようですが、都民の関心も高まっていることから、都として都民の健康、受動喫煙の問題などに関して国に意見を出していく際においては、税の視点からも意見を出すことも検討していただきたいと思います。
 次に、専決処分された不動産取得税について伺います。
 不動産取得税による中古住宅の流通促進について、二年間につき減額が創設されました。中古住宅の流通促進、空き家の活用の観点からは有効な税制だと思われますが、この措置の趣旨を伺います。

○加藤税制部長 この特例措置は、これまで形成されてきた住宅ストックを有効活用しながら質の高い多様な住宅を供給することで、中古住宅流通の活性化を図るため創設されたものでございます。
 買い取り再販事業者が中古住宅を買い取り、住宅性能の一定の向上を図るための改修を行った後、住宅を個人に再販売する場合に、事業者に課される不動産取得税につきまして、個人が住宅購入をする場合と同様に、住宅の価格から一定の額を控除する制度でございます。

○中村委員 空き家がたびたび問題にもなってきますけれども、この中古住宅の評価方法が、手法が確立をせず、流通が市場としてまだまだ未成熟といえます。新築と中古の流通が両立することが望ましいといえます。
 今回の減税は、不動産事業者が強く求めてきたといわれていますが、事業者の税負担が減れば、個人が購入する価格が安くなり、恩恵を受けることにもつながります。今回の税制改正の中で目立つものではないようですが、中古住宅の改修が促進され、良質な住宅が都民に提供されるよう、事業者への広報を行っていただくことを求めて質問を終わります。

2 会計管理局への質問

○中村委員 それでは、公金管理ポリシー、公金管理計画、資金管理実績について質問します。
 今回は、ペイオフ対策以来の大幅な見直しになります。国は多額の借入金があるので、インフレの政策によって円の価値を下げ借金を減らそうとしております。都は健全経営をしていたので、何もしないと資産価値が下がることになってしまいます。国内金融機関の預金の利率は低く、国債も入手が困難と聞きます。政府の政策や経営状況も含めて、今回の見直しの背景を伺います。

○松下管理部長 平成十四年に策定いたしました資金管理方針及び都におけるポートフォリオから既に十年以上が経過しておりまして、この間、世界的な超低金利状況や国内の金利状況の変化など、都の公金を取り巻く国内外の環境は大きく変動しております。
 公金管理におきましても、安全性、流動性の確保を大前提にしつつ、こうした金融環境の変化に柔軟に対応するため、これまでの資金管理方針を一部見直しまして、新たに公金管理ポリシーとして策定したものでございます。
 あわせまして、日銀の大規模な金融緩和などにより、国債のマイナス金利や需給逼迫、あるいは預金の運用利回りが極めて低い水準で推移する中、運用商品の多様化の視点から、運用商品の具体的な管理、手法を定めました平成二十七年度公金管理計画を策定したところでございます。

○中村委員 知事は所信表明演説の中で、効率的な公金管理と同時に国際金融市場の活性化も図っておりますと述べられたものの、安全性についての言及がなかったのは不安であります。
 ポリシーの項目の中の保管及び運用の基本的な考え方というところで、これまでは、安全性の確保を最重要視し、流動性を確保しつつとあったんですが、これが、安全性、流動性を確保しつつになり、安全性が最重要という表現ではなくなったのも懸念材料です。
 国際金融センター構想の資料を見ると、今後は国際金融活性化の視点も踏まえ、安全性を確保しつつ、適正にリスクを管理し、より効率的な運用を行う必要があるとありました。
 本来、公金の管理の大前提は安全であることですが、この適正にリスクを管理という意味は何なのでしょうか。改めて、今回のポリシー見直しに当たっての公金管理の安全性の確保についての考え方を伺います。

○松下管理部長 公金の管理につきましては、地方自治法第二百三十五条の四第一項及び第二百四十一条第七項、これに明文で規定されておりますが、最も確実かつ有利な方法により行うと規定されております。安全性を最重要視する基本原則に一切変更はございません。
 しかしながら、預金先金融機関や債券発行体が元本保証をした商品であっても、預金先や発行体自身が破綻するリスクや、あるいは流動性リスクなども含め、どのような運用商品にも当然リスクは存在するものでございます。このため、運用においてのリスク管理は必須項目であり、その旨を記載したものであると考えております。
 なお、預金先や発行体の評価におきましては、新規追加の時点や各決算期におきまして、財務諸表の分析やIR説明会等を利用いたしまして経営評価を行い、資金管理・活用アドバイザリーボードの専門家の意見をその都度聞いているものでございます。
 また、株価やスプレッド等の日常監視も日々行うなど、安全性の確認を行っているところでございます。

○中村委員 安全性については最重要という言葉はなくなってしまったんですけれども、それでも基本原則には一切変更ないということは確認させていただきました。
 それでは、この今回変わったことの内容について、具体的に、前の公金方針と今回の公金管理ポリシーや計画でどのように変わったのか伺いたいと思います。

○松下管理部長 公金管理ポリシーにつきましては、安全性及び流動性を担保した上で、先ほどご説明いたしました国内外の金融環境の変化に応じまして適切にリスクを管理し、柔軟かつ効率的な運用を行う旨、総則及び考え方の部分に記載するとともに、基金の運用商品のメニューにつきまして、円建て外債を追加するなど、金融市場の変化を踏まえて一部見直したものでございます。
 また、平成二十七年度の公金管理計画につきましては、同様に昨今の金融情勢の変化を踏まえまして、公金全体の金融商品の構成が最適なものとなるよう、元利保証型の金銭信託、外国銀行への預金、円建て外債・ユーロ円債の三つの新たな取り組みにつきまして、具体的な運用商品や運用方法を追加記載したものでございます。

○中村委員 今回、具体的にこの三つの新たな取り組みが始まったということですので、それをまず確認したいと思います。
 まず初めに、元利保証型の金銭信託についてですが、公として初めての手法とのことですが、元利保証だけではなく予定配当率は国債以上の利回りを確保する予定ともされておりますが、どのような仕組みで安全性が確保されているのか伺います。
 また、信託の投融資先として国内向け貸付、海外向け貸付、国内債券、外国債券とありますが、ここに株式は入らないということは確約をされているのか伺いたいと思います。

○松下管理部長 元利保証型の金銭信託は、都と信託銀行が共同開発した運用商品でございまして、都が信託した資金は国内外の投融資で運用されますが、この投融資には安全性の高い信託銀行の銀行勘定による元利保証がついておりまして、公金の安全性は担保されているものでございます。
 また、都と信託銀行との金銭信託契約は、いわゆる指定金銭信託でございまして、都は国内外の貸し付けや債券購入という投融資の種類の運用指図を信託銀行に対して行っておりまして、予定配当率は国債以上の利回りを想定しているものでございます。
 なお、株式運用は変動が大きく、元利保証をつけることは困難でございますので、投融資先には株式は含まれないものであります。

○中村委員 新たなポートフォリオについては、金銭信託の割合は三%ということで、新規として注目するには割合としては低いのですが、あくまで目安とは思います。
 しかし、そのことで数字として一千億円という金額が出されていることは重いと思っています。この目標金額を一千億円とした理由は何か伺います。

○松下管理部長 都はこれまで、五年以上の比較的長期で運用可能な資金につきましては、国債等の数千億円単位の大規模な運用などによりまして、安全かつ効率的な運用を行ってきたところでございます。
 しかしながら、前述のとおり、国債はマイナス金利や需給逼迫により一定額 以上の購入は困難な状況になっております。そのため、預金、債券と並ぶような大規模な運用の柱といたしまして、今回の元利保証型の金銭信託の運用を開始したところでございます。
 また一方、信託銀行は元利保証型の金銭信託を成立させるためには、一定以上の金額を確保し、あわせてリスク分散を行う必要もございます。これらの観点から、スキーム設立の検証を進めていく中で一千億円という本年度の目標設定額を定めたものでございます。

○中村委員 先ほどの質問の中でもお話をしましたけれども、元利保証というだけではなくて、予定配当率は国債以上の利回りを想定するということですから、それに向けて取り組んでいただきたいというふうに思っています。
 また、次の手法として外国銀行の預金入札参加についても伺います。
 銀行自体の経営ということもしっかり見なきゃいけないんですが、その銀行自体がよかったとしても、その国が政情不安であればリスクもあります。政情不安な国の銀行だとカントリーリスクもあるわけですが、どうやって安全性を確認していくのか伺います。

○松下管理部長 預金入札に参加いただく外国銀行につきましては、金融分野の専門家等で構成する資金管理・活用アドバイザリーボードなどを活用いたしまして、安全性を確認しているところでございます。
 具体的には、銀行自体の経営評価に加えまして、ご指摘のカントリーリスクを初めとしまして幅広く本国の社会経済状況などが及ぼす影響も含めて総合的にリスクを勘案した上で、安全性の高い金融機関に限定して選定しているところでございます。

○中村委員 しっかりと見定めていただいて、本当に安全性の確保というのが最重要というのは繰り返しておりますけれども、引き続きそれはお願いいたします。
 また、三つ目の手法として、円建て外債、ユーロ円債の組成を新たに行うようになるということです。これは、海外の債券発行体をどのように選ぶのでしょうか。政府や金融機関と違い、選定するのにわかりにくいのではないでしょうか。組成の仕組みと安全性について伺います。

○松下管理部長 円建て外債、ユーロ円債につきましては、市場で供給される発行額に比較しまして機関投資家を初めとする投資家のニーズが非常に高いため、現在の公債市場では一定額以上の購入は困難であると、そういった状況ございます。
 そのため、海外の債券発行体の選定につきましては、格付等の信用力は極めて高い発行体に限定いたしまして、国内外の証券会社を通じて調査、照会をかけ、条件面の折り合った発行体に対して東京都向けの債券発行を働きかけているものでございます。
 なお、円建て外債、ユーロ円債のいずれも円建てで発行される債券であるため、為替リスクはございません。

○中村委員 新たな三つの手法について、それぞれ仕組み、安全性について確認させていただきました。
 また、こうした手法全体について、今、東京都の方もアドバイザリーボードを設置しています。アドバイザリーボードからは、今回の見直しについてどのような意見があったのか伺います。
 また、アドバイザリーボードの意見を聞くというのは、計画を定めるときなどのようですけれども、どのような運用先にするのかといった具体的な場面で意見を聞くことはしないのでしょうか、お伺いいたします。

○松下管理部長 資金管理・活用アドバイザリーボードの委員からは、運用方針や運用計画だけではなく、具体的な運用先の考え方等も含めまして、適時、金融分野の専門家等の立場から意見をいただいており、その意見を反映して今般のポリシーや計画を作成したものでございます。
 なお、アドバイザリーボードにおける個別具体の議事内容については、委員の自由な議論を確保すること等のため、非公開としておるものでございます。

○中村委員 議会の方でも個別の運用のことまではなかなか確認ができないので、アドバイザリーボードの方々がいて、きちんとその指摘を受けてちゃんとやっているということの仕組みを確認させていただいたつもりでございますので、その点はしっかりとやっていただきたいと思っています。
 さて、知事は、国際金融センター構想を進めようとしています。経済政策として海外の資金を呼び込みたいわけでしょうが、都みずからが公金を利用してプレーヤーになるというのは、安全性の問題から慎重でなければなりません。これまでの財政委員会での議論でも、公金の株式投資については多くの委員から反対の意見があり、知事は今のところ思いとどまっています。
 ポリシーは、これは局長の決定ということになっていますが、今回のポリシーの見直しは、国際金融センター構想でどういう位置づけになっているのかも含めて、最後に公金管理についての考え方を局長に伺いまして質問は終わります。

○塚本会計管理局長 今回、新たに公金管理ポリシーと平成二十七年度公金管理計画を策定いたしましたが、公金の安全性を最重要視するという考え方にいささかも変更はございません。
 しかしながら、国債市場で五年国債が一時マイナス金利になるなど金融環境が大きく変動しており、これまでの預金と国債中心の運用では効率的な運用が困難になっているのも事実でございます。
 このため、今回、新しい取り組みを開始したところでございますが、運用先や商品の選定に当たりましては、今までと同様、厳しい基準を設け、安全性の確保を図っております。
 一方、国際金融センター構想の推進は、都政の重要施策の一つであろうと思っております。今回の取り組みが結果としてセンター構想の推進に少しでも寄与できればと、このように思っております。
 いずれにしましても、公金は税金を原資とするものでございまして、安全性の確保を第一に考えながら、効率的な運用に一層努力してまいりたいと考えております。

3 財務局への質問

○中村委員 初めに、十一件の工事請負契約議案について総括的に伺います。
 この委員会でも何度も議論されてきましたが、建築資材の高騰などにより、入札の不調が発生していることが問題になっています。昨年度、平成二十六年度の都の発注工事では、開札件数五千六百四件中、不調件数は七百五十六件と、一三・五%になっています。しかもこれは開札件数であり、申請者がなく開札されなかったものもあると聞いていますので、かなり大きな問題です。
 社会経済状況の変化の中で、担当者の方にも制度の改善を含めさまざまな取り組みをされていますが、不調による事業のおくれが都民生活に影響を与えることを考えると常なる改革が必要です。
 今回の十一件の議案については、申請者がなく開札されていないものも含めて、いわゆる不調を経たものが九件と聞いています。そこで、これらの経過について伺うとともに、各事業所管部署の対応ではありますが、今回の契約までの対応についての概要を伺います。

○松永契約調整担当部長 今回ご審議いただいております十一議案のうち九件につきましては、平成二十六年末までに契約手続を進めていたものでございますが、入札参加者が辞退したなどの理由により、契約の相手方が決まらなかった事案に係る契約案件でございます。このため、それぞれの契約案件について、事業所管部署で工事内容や積算内容を精査した上で、施行範囲の見直しや工期の変更、材料単価の見直しなどを実施し、最新の労務単価を反映した積算を行って再度契約手続を行ったものでございます。

○中村委員 契約が一旦不調になると、再入札までに相当の期間がかかります。今回の案件でも最も長いものは三回目の手続で契約になったのですが、最初の手続から落札まで一年半かかっています。そもそも不要不急の事業を行っているわけではないのですから、不調が与える影響は大きいともいえます。
 時間などの損失のほか、当然都の事業にも影響があります。都の職員の方も、契約が落札されていればないはずの膨大な仕事が追加で発生します。また、民間なら土地を確保すれば収益が入るまで利子負担も発生しますが、都は収益事業ではないとはいえ、事業のために確保した土地は、利益を生むことができる資産がそのままにされているわけですから、重く受けとめていかなければなりません。改めて入札不調が事業に与える影響に対して都の見解を伺います。

○松永契約調整担当部長 都の事業は、都民生活への必要性から実施されるものであり、これらの事業を着実に推進していかなければなりません。しかし、事業に係る契約案件について、受注を希望する者がない場合、あるいは全ての参加者の入札価格が予定価格を上回る場合、競争入札が成立せず入札不調となります。公共調達における入札において不調が起きた場合、一般的には、再度入札を行い、落札者を決定するため、計画的な事業執行に遅延が生じるおそれがございます。
 再入札までにかかる期間といたしましては、例えば、議会付議案件の工事の場合では、通常六カ月程度が必要になると考えております。都は、都民の安全・安心を守り快適な住民生活に不可欠な行政サービスを遂行するため、こうした入札不調等を原因とする事業のおくれが発生した場合、応急的な対策も含め、計画事業の一部修正を検討するなど、都民生活への影響を最小限にとどめることが重要だというふうに考えております。
 このような入札不調を未然に防ぐためには、都発注事業に対する事業者の応札意欲を高める対策が必要であり、そのため、これまでも入札契約制度の改革など積極的に進めてまいりました。
 今後とも、入札契約制度改革の成果を効果的に活用し、着実な定着が図られるよう努めてまいります。

○中村委員 入札契約制度の改革を推進するとの答弁を改めていただきましたのでしっかりとやっていただきたいと思います。
 とはいえ、時間がないからといって労務費などを適切に対応しないと、結果としては不調や品質の低下を招いてしまいますし、労災事故がふえるようなことはあってはなりません。オリンピック・パラリンピック施設の関連工事が本格化をすると、一層の労務単価の上昇や人材の不足も懸念されます。これらのことから、市場動向を適切に反映した予定価格の設定など、発注者としての不調対策の具体的な取り組みを伺います。

○久保田建築保全部長 工事の予定価格の積算に当たりましては、最新の単価を適用し、可能な限り実勢を反映する必要がございます。このため都では、最新の労務単価を含む積算標準単価について、年四回の定期改正を行うほか、生コンクリートや鋼材などの主要資材単価について、市場動向を反映した臨時改正を適宜行っております。内外装材や設備機器など予定価格の五割前後を占める見積価格部分につきましても、平均値をもとに見積単価を設定するよう、本年四月に積算基準を改正いたしました。
 また、入札参加者が現場の実情に応じ入札価格を適正に積算できるよう、施工条件や内容をより詳細に設計図書に明示するとともに、施工に際して現場の実態が設計内容と乖離している場合は、工事変更をより円滑に行えるよう、本年四月に設計基準及び監督基準などを改正いたしました。こうした取り組みにつきましては、庁内の工事関係基準協議会などを通じて関係局に周知をしており、引き続き適正な予定価格の設定など発注者の責務を果たしてまいります。

○中村委員 常に改善をしていただいていることは理解はしつつも、常にコスト意識を持ちつつ安全管理もおろそかにせず、都民のための事業が適切に行われるよう求めまして次の質問に移ります。
 次に、土地信託の契約の変更について質問します。今回の議案は、コスモス青山に関する土地信託の契約期間の延長ですが、まず最初に、当初見込んだ配当と実際の都の配当、その差が生じた理由を確認したいと思います。また、これまで信託銀行は幾らの収入を得ているのか、こちらも確認のため伺います。

○菊地利活用調整担当部長 信託配当につきましては、当初の予想配当は約一千四百五十億円となってございます。これは当初の事業計画におきましては、信託期間内に安定的なテナント賃料収入が確保される前提となっておりまして、賃料が大幅に下落することが想定されていなかったためでございます。
 しかし、バブル経済の崩壊により、テナント賃料収入が予想より大幅に下落したことが最大の要因となりまして、これまでの信託事業実績に基づく配当の合計額は約四億円となってございます。信託銀行の報酬につきましては、平成二十五年度までの合計で、信託報酬が三億五千三百万円、このほかに、ビル建設に伴う借入金の利息として五十一億三千九百万円となってございます。

○中村委員 今のご答弁では、都の配当の合計は約四億円、信託報酬は約三億五千万円ということで比較的両者が近い数字ということでした。
 信託契約を結んだ平成元年は、まさにバブルのときで契約を結んでいます。これまでも信託の議案での議事録を見ていると、バブルのため当初見込んだほど配当がなかったという答弁が多くあるのですが、契約後早い段階でバブルも崩壊しています。これまで途中で信託報酬の算出について契約は見直されていなかったのでしょうか、伺います。
 都心の一等地で近隣の同様のビル経営が全てうまくいっていないとは考えにくいため、信託銀行に信託報酬を払い過ぎたのではないでしょうか。また、今回の議案で契約の延長をするのですが、契約の内容は見直されないのでしょうか、伺います。

○菊地利活用調整担当部長 信託報酬は、信託契約に基づきテナント募集、賃貸借契約の締結、収入管理、建物設備管理など、信託財産を効率的に運用していくための対価として支払うもので、賃料収入の一%となっておりまして、途中で契約の見直しは行っておりません。専門家も妥当な水準と評価しておりまして、延長の際にも契約の見直しは予定してございません。

○中村委員 今回の議案では、五年間の延長ということの提案ですけれども、当然これまでの二十年間のコスモス青山について検証、総括をしていると思います。その検証、総括の結果を伺います。

○菊地利活用調整担当部長 所期の目的であります地価高騰の要因とならない都有地の有効活用、民間の知識、経験を利用した財源負担を伴わない土地活用は達成できております。建設に要した借入金は今月末に完済予定であること、建物、設備は、適宜修繕を実施して良好であること。入居率は、信託開始以降おおむね九〇%を維持し、現時点では約九九%であることから、今後はより安定した資産運用が見込めると考えておりまして、専門家からも同様の評価を得ております。

○中村委員 ご答弁では、所期の目的の土地活用は達成して、借入金は完済予定とのことですが、最初の質問の答弁のように、配当予想が一千四百五十億円見込んでいたのが四億円ということですから、もう少し厳しい総括が必要ではないかと思います。
 さて、コスモス青山は、東京ウィメンズプラザの仕様に合わせて建設されていますので、万一、信託が終了するという判断になった場合には、信託物件を都に戻したとしても、次の場所が準備されるまでは、このままコスモス青山に入居することも必要と考えますけれども、見解を伺います。

○菊地利活用調整担当部長 仮に信託が終了することとなった場合、そのことにより必ずしも東京ウィメンズプラザがコスモス青山に入居できなくなるものではございません。信託を終了する場合には、東京ウィメンズプラザの事業に支障を来すことがないよう所管局と連携し、適切に対応してまいります。

○中村委員 今回、五年間延期するという議案ですけれども、将来、信託が終わるのか、ビルそのものが老朽化するとか、どちらかには必ずなりますが、都の男女共同参画の政策を推進するための重要な施設である東京ウィメンズプラザについては、必ず所管局とも連携をとり、場所がどこになろうとも切れ目なく事業が展開されるようにしていくことを引き継いでいっていただきたいというふうに思います。
 また、当初とは経済状況が変わったとはいえ、民間のビル事業者は経営をしているわけですから、都だけが特別厳しいということではないはずです。そこで、コスモス青山の入居率と賃料について、近隣の同様のビルと比べてどうなっているのか、伺います。

○菊地利活用調整担当部長 コスモス青山の入居率は、周辺エリア内で比較した場合、おおむね平均入居率よりも高い水準で推移してございます。また、賃料につきましては、ほぼ平均賃料と同等の水準となってございます。このことにより、専門家から、コスモス青山は、入居率、賃料ともに一定以上のパフォーマンスを発揮していると評価されております。

○中村委員 入居率が九九%で、数値としてはいい数字なのかもしれませんが、実際に入居しているのは、都及び監理団体を含めた関係団体が借りているようです。都と関係団体が占める面積の割合はどうなっているのでしょうか。
 コスモス青山には、東京ウィメンズプラザや東京都住宅供給公社が入居していますが、賃料について信託の収益状況改善のために、世間相場より高い水準になっているということはないのでしょうか、伺います。

○菊地利活用調整担当部長 貸出可能面積に対する都及び監理団体を含めた関係団体の占める割合は約五六%となってございます。東京ウィメンズプラザは、信託契約当初から入居が決定しており、多目的ホールや図書室等を設置するなど、希望する仕様によって建築がなされているため、通常のオフィスビルとは異なる賃料設定となっておりまして、現在の賃料水準は妥当であると考えてございます。東京都住宅供給公社の賃料水準は、市場実勢に基づき適正に設定されていると信託銀行から聞いております。

○中村委員 このコスモス青山の物件以前にも、都議会でさまざま議論があったんですが、新宿モノリスの土地信託に関する議会での議論の際、平成二十二年三月の予算特別委員会で、民主党の和田委員から当時の村山財務局長に質問したところ、専門家チームを発足させて総括、評価をし、しっかりとした出口戦略をつくると答弁されておりました。あれから五年以上も経過をしたわけですが、コスモス青山について延長以外に考えられた出口策はどのようなものだったのでしょうか。少なくとも原則どおり契約が切れた場合の対応と延長の場合の検討はされたはずですが、いかがでしょうか。また五年後にどうするのかの見込みは立っているのでしょうか、お伺いします。

○菊地利活用調整担当部長 土地信託契約の満了を迎えまして、土地、建物を売却することや土地信託を終了し、都が直接土地、建物を所有することを検討いたしました。売却につきましては、当該土地は都心の一等地にある極めて貴重な都有地でありまして、直ちに売却することは適切ではないと判断いたしました。
 都が直接商業ビルを所有することに関しましては、土地、建物だけではなく、賃貸借契約も都が承継することになるため課題が多くございます。一方、土地信託を延長した場合、引き続き健全な資産運用が可能であり、また不動産市況等にも柔軟に対応ができます。
 したがいまして、土地信託を五年間延長し、都にとって最も有効な土地の利活用策を検討していくことといたしました。

○中村委員 その時々の社会経済状況というのは変わっていくものではありますが、だからといって、当初見込みより大きく収益が減ってしまっていますし、これでよしということだけでもいけないと思いますので、都民の貴重な財産の管理のあり方については引き続きしっかりと検討していただくことを求めまして質問を終わります。

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