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都議会質問記録

2015/03/19 ファンド、税制改正について質問しました

2015年3月19日、都議会財政委員会で来年度予算に関して会計管理局、主税局に質問しました。来年度知事が取り組むとしているファンドを活用した福祉施設の整備、税制改正による都への影響などについて質問しました。

1 会計管理局への質問

○中村委員 それでは、官民連携福祉貢献インフラファンドについて質問します。
 本件は、さきの予算特別委員会で民主党の田中議員が質問し、舛添知事からもご質問感謝いたしますとの異例ともいえる発言がなされました。新規の事業だけに、議会でもさまざまな問題点について一つ一つ議論を深めていくことの大切さを知事が述べていましたが、田中議員は特に金融面から詳しく質問し、新銀行東京のような失敗をしないかという懸念も示していたかと思います。
 私の方では、ファンドの目的である福祉的な面を中心に質問したいと思います。
 まず、コンティニュイング・ケア・リタイアメント・コミュニティの略であるCCRCについて伺います。まだ日本語の訳もない新しい住まいのあり方です。
 知事は、施政方針で、今後、新たに設置する官民連携福祉貢献インフラファンドも活用し、例えば、子育て支援施設や高齢者向け施設、賃貸住宅などを集約しました東京都版CCRCともいえる建物の整備を支援するなど、多方面に取り組んでまいりますと表明していました。そこでまず、この東京都版CCRCはどういうものなのか、東京都版が一般的なCCRCとどのように異なるのか、伺います。

○松下管理部長 官民連携福祉貢献インフラファンドの目的は、地域のニーズに対応した子育て支援施設や高齢者向け施設といった福祉関連施設を含みます建物の、都内における整備推進でございます。そして、整備する施設の理想形として東京都版CCRCの整備を目指しているものでございます。
 CCRC発祥の地とされる米国におきましては、CCRCとは、高齢者が要介護等になっても、同じ地域内で暮らせるための施設群を備えたコミュニティ全体を指しております。これに対しまして、今回整備を目指す東京都版CCRCにおいては、一つの建物に高齢者向け施設のみならず、医療施設、商店、住宅等の民間施設が入り、さらに、子育て支援施設を加えることで、多世代がともに暮らし、家族で長く住み続けることが可能となるものでございます。
 また、東京都版CCRCにおいては、地価が高い東京の特性を踏まえまして、広大な敷地への平面的展開ではなく、立体的展開を想定するほか、待機児童解消が喫緊の課題であることに鑑み、子育て支援施設の併設を想定する点などが米国のCCRCと異なっているものでございます。

○中村委員 ほかの国には、CCRCがあるのですが、日本では、まだ政府が検討しているという段階です。東京都でも、福祉保健局として具体的に取り組んでいるのでもないようです。このような中で、官民連携ファンドを通じて、東京都版CCRCの整備を推進するということですが、このCCRCに関する都の具体的な方針もないまま、これはとりあえず民間にやらせてみるということでうまくいくのでしょうか、見解を伺います。

○松下管理部長 CCRC、これにつきましては、官主導で形成されるものではなく、民間主導で形成されるコミュニティの一つのあり方と考えております。本ファンドは、官が民の資金とノウハウを活用し、民間主導で整備を推進するものでございまして、同じく民間主導で形成されるCCRCの整備推進に適合したものであると考えております。
 本ファンドの投融資対象事業につきましては、福祉関連施設が低収益であることを踏まえまして、福祉関連施設を収益施設と一体的に整備する、全体として民間施設を呼び込める収益性を確保する、こういったことを想定しております。都としましては、ファンド関連の金融専門家を含む民間事業者からのヒアリングを通じ、本ファンドの投資スキームは成立可能であると判断しております。

○中村委員 民間が主導でCCRCの整備を進めたいということです。ただ、この東京都版CCRCについて、具体的な整備場所は想定しているのでしょうか。CCRCの入居者としてどのような対象を想定しているのか、伺います。

○松下管理部長 本ファンドを通じて整備いたします東京都版CCRCにつきましては、これに含まれる福祉関連施設が地域のニーズに対応することは重要であるため、都内の具体的な立地場所や利用者について、特段の想定は今行っていないところでございます。都内の幅広い地域で、多くの都民が利用可能な施設整備を推進できるよう、ファンドの運営事業者と連携して努力し、期待に応えてまいりたいと思います。

○中村委員 今回のファンドでは、まだ場所は決まっていないということのようですが、アメリカのような広大な敷地での平面的な展開ではなく、東京都版は立体的な展開を想定しているようですので、もとより都内を対象にしているとは思いますが、例えば、都民が一人でも入れば都外につくってもよいということにはならないよう、都内でということを改めて確認させていただきました。
 次に、東京都版CCRCの整備を目指す官民連携福祉貢献インフラファンドについて伺います。まず、具体的に都はどのような事業の進め方を考えているのか、伺います。

○松下管理部長 まず、ファンドの組成でございますが、東京都がファンドに対し、有限責任性を確保した形で五十億円の出資を行います。それに民間投資家からの出資を加えることで、百億円以上のファンド規模を目指してまいります。その後、ファンドと金融機関から福祉関連施設を含む建物の整備事業に対して投融資を行う、このことによりまして建物整備に係る全体の事業費は二百億円程度を想定してございます。ファンドにより整備する建物数につきましては、建物の立地条件等によって事業費は変わってくるため、一概にいうことはできませんが、想定では、五、六棟程度の建物を整備することを考えております。
 スケジュールといたしまして、来年度前半に公募要項を発表いたしまして、その後、申し込みのあった事業者に対する審査を経て、運営事業者を決定いたします。その後、来年度中にファンドを組成する予定でございます。

○中村委員 先ほどの答弁の中で、官民連携福祉貢献インフラファンドの目的について、地域のニーズに対応した福祉関連施設を含む建物の、都内における整備推進という発言がありましたが、例えば、公共施設が入っていれば、ほんの一部であっても整備対象として認めてしまうのでしょうか。福祉関連施設を一部しか含まない建物にファンドが投融資を行うのは問題ではないかという見方もありますが、見解を伺います。

○松下管理部長 地域のニーズに対応した福祉関連施設を含んでいる建物の、都内における整備推進を図っていくためには、本ファンドの投融資対象事業につきまして、低収益の福祉関連施設と収益施設を一体的に整備する、これが条件でございますので、全体としまして、民間投資を呼び込める収益性を確保していく必要があると考えております。また、建物全体として民間投資を呼び込める収益性を確保するための条件、これは、立地環境、場所によって大きく異なっていると考えております。
 したがいまして、本ファンドの投融資対象事業につきましては、福祉関連施設の床面積比率等を定めるということではなくて、地域のニーズに柔軟に対応した福祉関連施設を含む建物の整備を、区市町村の指導などを含めて進めてまいりたいと考えております。

○中村委員 先ほど答弁の中で、このファンドについては、民間主導でのファンドという趣旨の発言がありましたが、今回のファンドが民間主導であるということであると、福祉関連施設を含む建物の、都内における整備促進という都の目的がきちんと反映できるかということについては、しっかり考えていかなければなりません。
 また、都の目的の反映という観点からは、ファンド新設が適切であるというふうに考えます。ファンドの新設の方がいいと思うんですけれども、既存ファンドへの参加の可能性というのがあるのでしょうか、伺います。

○松下管理部長 ファンド運営事業者の公募に際しましては、都は当該目的にかなう投資を行うファンドであることを求めてまいります。このため、都の方針に沿ったファンドが形成され、ファンドの投融資対象事業は、都内に限定されることになってきます。
 基本的には、ファンドの新設につきまして想定しているところでございますが、本ファンドの目的に適合する場合であれば、必ずしも既存ファンドへの参加を排除するものではないと考えております。

○中村委員 既存ファンドへの参加を排除しないとの答弁でしたが、もとより都の目的に合うファンドであればという可能性について述べているものと解釈したいと思います。
 民間のファンドで、都の意に沿い、かつ投資目的が達成できるようなファンドが存在するなら、わざわざ都が出資をすることはないのでしょうから、都の参加により出資目的を都の要求のとおりに全文を書きかえるぐらいのことがなければ、既存ファンドへの参加は慎むべきではないかと考えます。
 ファンドに関する情報開示は重要です。さきの予算特別委員会において、知事や会計管理局長より、本ファンドで整備した施設については、できる限り情報発信に努めたいとの趣旨の発言がありましたが、ファンドを設立する際に、情報公開を条件としていることを考えているのか、伺います。

○松下管理部長 官民連携ファンドは、行政が直接施設を整備するような従来手法と全く異なる新しい手法でございます。そのメリットといたしまして、民間の資金を集め、行政だけではできない大規模な事業を遂行することや、民間のノウハウの利用が可能になることなどが挙げられます。
 一方で、ファンド契約上守秘義務が課せられるため、情報開示につきまして有限責任組合である都の意向を全て反映することは困難でございます。ただし、今回のファンドが整備する施設が、知事が求める施設を含むものである以上、ファンドの投融資案件について、できる限り情報発信に努めてまいりたいと考えております。
 また、守秘義務の制約はございますが、ファンド運営事業者の公募に際しまして、整備された福祉関連施設の概要について、できる限り公表するよう求めていくものでございます。

○中村委員 ファンドが効果を都民に示すためにも、情報公開の視点は大変大事です。できる限りということではあったのですが、ファンドにより整備された福祉関連施設の情報公開を都として注力するように求めます。
 特に、先ほど、一部でも福祉施設があればよいのかという質問をした際に、床面積比率等は定めないという答弁でした。どのくらいの割合ならいいということは一概にはいいにくいにせよ、福祉施設がごく一部だけになってしまわないようにしていただきたいと思います。
 そのためには、この情報公開が何より重要であり、後で違法でないからよいのだということにはせず、適切な評価ができるようにしていただきたいと思います。しかもその評価は、事後ではなくて事前に評価できるような仕組みを構築していただきたいと思います。
 また、そもそも福祉関連施設の整備は、これまで補助金で進めてきた分野でもあり、施設が足りない中では効果的な手法ではありました。これに対してファンドは、新たな取り組みということもあり、福祉関連施設整備を推進する効果は明らかではありません。子育て支援施設の整備についても、ファンドで幾つか施設を整備するだけでは解決できませんし、施設の整備に時間がかかるのであれば、知事の話を踏まえると、そのころには待機児童はゼロになっているのではないでしょうか。
 そこで、待機児童の解消という政策目的を達成するための政策手段として、五十億円の都のファンドの出資と五十億円の補助金のいずれが効果的と考えるのか、五十億円を通常の保育園の整備に使った場合の保育規模とあわせて伺います。

○松下管理部長 官民連携インフラファンドは、民間の資金とノウハウを活用いたしまして、行政だけではできない規模の事業を遂行することが可能でございまして、また、資金を回収するスキームとなっております。したがいまして、直接施行や補助金と単純に比較することは適切でなく、むしろ行政の施策として共存すべきものと考えております。
 さらに、土地を確保する段階からプロジェクトを進めることにこのファンドの存在意義があると、そういうふうに考えてございます。
 今般、待機児童解消に向けてさまざまな政策手段を総動員する中、金融技術を活用したスキームのモデルとして、本ファンドを利用して福祉関連施設を含む建物整備を促進することといたしました。一人でも多くの待機児童が施設に入ることができるよう、ファンドの運営事業者と連携して努力し、期待に応えてまいりたいと考えております。
 なお、五十億円を補助金等として通常の保育園の整備に使った場合の保育規模につきましては、ケースによって異なるため、これは一概にいえないと考えております。

○中村委員 また、都は、さきの予算特別委員会で、このファンドは、政策目的と収益目的の両立を図るというような答弁をしていましたが、そもそも市場原理だけで話が済むのであれば、既に民間がこの分野に取り組んでいるはずです。過剰な緩和をしてほしいという趣旨ではないのですが、規制産業に民間資金を導入するなら、規制緩和が適しているのではないでしょうか。例えば、都の認証保育所は認可と違い、園庭はないのですが、民間の参入を呼び込み、保育園の待機児童解消に大きなインパクトも与えました。そこで、福祉関連施設整備推進のために、都があえてファンドという手法を使う意味は何なのか、伺います。

○松下管理部長 子育て支援施設や高齢者向け施設といった福祉関連施設を含む建物の整備は非常に急務であるとされておりますが、商業ビルなどに比べまして収益性が低く、収益モデルが確立されていないことから、実際には建設が進んでいないものでございます。そのため、過去のファンド創設に係るノウハウを生かしまして、福祉関連施設の整備促進という政策目的実現のため、一つの収益モデルの確立に向けましてファンドを創設することとしたものでございます。
 なお、本ファンドは、建築規制等の規制緩和による投資促進効果を取り込むことで、より一層福祉関連施設の整備推進を図ることが可能になると考えております。

○中村委員 福祉関連施設の整備推進において、ファンドという政策手法は有効とのことでしたが、これはファンドが福祉関連施設の整備に大きな効果を上げた場合、都が引き続き第二、第三のファンドを立ち上げて、継続的に事業を推進していくことを意味しているのでしょうか。
 そこで今回、このファンドを通じた福祉関連施設の整備が不調に終わった場合は、都は、ファンドから撤退するのでしょうか、逆に成功した場合はファンドを増額するのでしょうか。また、いずれは都が資金を拠出しなくとも、民間だけでできる枠組みにつなげることを考えているのか、今度の展開について伺います。

○松下管理部長 本ファンドは、パイロット事業として実施するものでございますので、今後のファンドの組成、投資状況などを見ながら、次の展開につきまして検討していきたいと考えてございます。
 また、議会の方にご報告させていただきながら、十分ご議論いただきながら、検証してまいりたいと考えております。
 都といたしましては、本ファンドの取り組みがその後の展開を通じまして、地域ニーズに対応した福祉関連施設を含む建物の収益モデルが確立されれば、いずれは民間のみでこれらの施設の整備が進むようになることを期待しているものでございます。

○中村委員 今回のファンドにより整備を目指す高齢者向け施設については、都の出資金が都民の税金を原資とする以上、このような施設を求めている層への支援につながることが必要ではないでしょうか。
 現在、保育園と並んで待機者が問題になっているのは特別養護老人ホームです。しかし、現行の制度では、ファンドの枠組みでは特別養護老人ホームは運営できません。そこで、今回のファンドによる高齢者向け施設の整備推進が施設への入居を求めている層への支援につながるのか、伺います。

○松下管理部長 本ファンドは幅広いニーズに対応するものでございまして、対象となる施設としましては、認知症グループホームあるいはサービスつき高齢者住宅、介護つき有料老人ホームなど、その他ございますが、多様なメニューを持った高齢者向け施設を含む建物が整備されることを想定してございます。
 また、ファンド運営事業者の公募に際しましては、福祉関連施設を含みます建物の整備に当たっては、地域のニーズに十分対応するよう求めていくものでございます。施策を総動員して福祉関連施設の整備を図る中、その一環として、ファンドという手法を活用し、高齢者向け施設の整備を推進してまいりたいと考えております。

○中村委員 今回のファンドにより整備する施設のもう一つの柱である子育て支援施設についてですが、収益性という点では、保育園などは収益性が低い事業であり、ファンドの整備対象にはそもそもなじまないはずです。
 そこで、収益性の低い子育て支援施設をどのように今回のファンドの枠組みに組み込んで整備推進を図るのか、お伺いします。

○松下管理部長 本ファンドの検討に当たりまして、子育て支援施設の収益性が低い、これを前提としてございまして、一つの課題としております。この課題を克服するために、このファンドをむしろ組成するものでございます。一つの建物において、子育て支援施設を収益施設と一体的に整備すると、建物全体としては民間投資を呼び込めるような収益性を確保していきたいと考えております。

○中村委員 今回のファンドは、会計管理局が所管局となっていますが、なぜ公金管理などの業務を行っている会計管理局が福祉分野のファンドに取り組もうとしているのかという思いはあります。そこで、会計管理局が福祉分野の今回のファンド事業をなぜ担うことになったのか、今後どのような事業を実施するのか、伺います。

○松下管理部長 本事業は、新たな取り組みでございますので、全庁的なノウハウ蓄積に向けたパイロット事業としております。会計管理局には、金融知識を有する人材がそろうとともに、資金管理・活用アドバイザリーボードなど、専門家の助言を受ける体制も確立されております。また、公金管理のノウハウも利用可能でございますので、こうしたことから、当面の間、関係局と連携しつつ、実際に協議会などを持ちまして、会計管理局が事業局として予算要求等を行うこととなった次第でございます。当局は、今後とも関係局と連携しつつ、事業を進めてまいります。

○中村委員 会計管理局が今回のファンドの所管局ということでした。ファンドを通じて福祉関連施設を地域のニーズに合わせて整備できるよう、関係局との適切な連携は必要かと思います。
 最後に、都以外のファンドへの投資家について質問します。
 知事は、さきの予算特別委員会において、ファンドに対する個人投資家による出資についても言及していましたが、今回のファンドは、民間投資家として、個人投資家も対象にしているのでしょうか、伺います。

○松下管理部長 本ファンドに出資する民間投資家は、ファンド運営事業者が募集することになります。通常は、機関投資家が募集対象になりますが、一定の資金を保有する個人投資家も、これは十分募集対象になり得ると考えております。
 また、本ファンドの投資回収方法の一つといたしまして、上場型のREITなど、上場ファンドに本ファンドの持ち分が譲渡されることも将来あり得ますが、その場合には、広く一般個人投資家が上場ファンドに投資することが可能となるものでございます。

○中村委員 これまで、官民連携福祉貢献インフラファンドに関して確認すべき点について質問してきました。都が全ての力を合わせて、子育て、高齢者支援への対応を行わなければならない状況ではあるのですが、その方策の一つとして、ファンドという手法が適しているかはまだまだ未知数です。特に、政策目的だけではなく、投資目的と両方を追い求めるということですので、情報公開による事前のチェックや事後の評価がなされ、都の目的に沿った運営が確保されなければなりません。引き続き議会として注視をして、チェックをしていきたいと思っております。
 以上で質問を終わります。

2 主税局への質問

○中村委員 初めに、来年度の税収見込みについて伺います。
 来年度の税収見込みは、五兆二百十六億円で、今年度より三千五百十七億円の増収が見込まれています。そのうちの多くを占めているのは地方消費税ですが、法人二税も三・二%増、個人都民税も七・八%増となっています。来年度の税収見込みで、法人二税と個人都民税の増収の要因について具体的に伺います。

○加藤税制部長 東京都の場合、法人二税におきましては、サービス業など非製造業の占める割合が全国に比べて高い傾向にございます。平成二十七年度の法人二税収入は、平成二十六年度に引き続き、各業種とも堅調に推移しておりまして、特に金融業やサービス業が大きく伸びる見通しであることから、平成二十六年度当初予算対比で五百九億円、三・二%の増を見込んでおります。
 また、個人都民税は、都民の所得の総計を反映して増減するため、都内の雇用者数や平均給与等の動向を踏まえ見込んでおります。平成二十七年度は、雇用者数と平均給与がいずれも前年度に引き続き伸び、特に雇用者数の伸びが前年度を上回っております。このことが、給与総額を押し上げることに加え、堅調な企業収益等を反映して配当所得なども伸びる見通しであることなどから、平成二十六年度当初予算対比で六百五十五億円、七・八%の増を見込んでおります。

○中村委員 全体的にはよくなっているようですが、まちを歩いてみても、まだまだ実感がないという人の声をよく聞きます。全ての企業や全ての都民が一様によくなっているということは考えにくいこともあり、企業収益や都民の収入の状況もさまざまだと思います。主税局としての税の面からの企業の状況、都民の暮らしについて分析し、都庁全体での施策に生かし、今後の都における政策や国への意見の提言などに反映させていただきたいと思います。
 次に、来年度の国の税制改正について伺います。
 地方創生という名のもとに、東京から地方へと、本来都に入るべき税がばらまかれています。これまでも、法人事業税の暫定措置や不合理な偏在是正措置の撤廃については質問しましたが、今回はふるさと納税について伺います。
 今回の税制改正では、ふるさと納税について特例控除額の上限を所得割額の現行一割から二割に引き上げられました。まずは、ふるさと納税がどのような仕組みでの税の控除がなされるのか、さらには、都税への影響額を伺います。

○加藤税制部長 いわゆる、ふるさと納税と申しますのは、個人所得課税における寄附金控除でございます。地方自治体への寄附金のうち二千円を超える部分について、所得税と個人住民税から控除する仕組みでございます。これによる都の減収額は、平成二十五年度において約五億円となっております。

○中村委員 ふるさと納税は、納税とサービスとが一致しないという点で問題だと考えています。影響額は、税収全体に占める割合では大きいといえませんが、本来であれば、都民のために使える税収が目減りをしていることはやはり問題であり、都は国に対してそのことをしっかり主張することが必要だと思います。そこでふるさと納税についての都の見解を伺います。

○加藤税制部長 本来、行政サービスを受ける自治体に入るべき税収が寄附金を通じてではございますけれども、他の自治体に移転するということは、受益と負担という地方税の原則の観点から好ましいものではないと認識しております。一方、特定の地域を応援したいという納税者の思いを寄附という形で実現する手段としては、少しずつではありますけれども、国民に定着しつつあるものとも受けとめております。

○中村委員 好ましくないとしながらも定着つつあるとのことでした。日本において、寄附文化がもっと醸成された方がよいとは思いますが、他の自治体に寄附すると、住んでいる自治体の税から控除されるのは仕組みとして好ましいとは思いません。控除されるのを自治体からはなく国税だけにするとか、個人の思いを反映しつつ、受益と負担という点からどういう形が望ましいかについては、都税のインパクトは小さくとも問題提起することが必要だと思います。
 地方創生というブームの中であるべき税制がゆがまないよう、都としてしっかりと主張していただきたいと思います。
 次に、固定資産税について伺います。
 今回の国の税制改正には、空き家対策が入っています。空家等対策の推進に関する特別措置法が制定されたことから、今後、地方税法の改正により、住宅用地に係る課税標準の特例措置の対象から除外されるとのことです。そこで、都の税収としてどのような影響があると見込まれますか、また固定資産税の情報をどのように区に提供していくのか、伺います。

○安藤資産税部長 特定空き家に対する措置等が国から示されるのは、平成二十七年五月下旬の予定でございまして、現時点で影響を見込むことは困難でございます。また、固定資産税の情報につきましては、区からの依頼に基づき、所管の都税事務所から提供しております。既に依頼があったところにつきましては対応いたしております。

○中村委員 まだ国の方針が示されてはいないようですが、情報提供により空き家の利活用にもつながると思いますが、防犯防災上の課題など、所有者が特定できることにより対応できることもあるかと思います。
 空き家の問題は、自治体でも大きな課題になっていますので、連携しての取り組みをお願いします。
 次に、固定資産税、都市計画税の非課税措置に関連して伺います。
 これらの税には、さまざまな非課税措置がありますが、公共の用に供する道路として使用されている土地は、申告により固定資産税、都市計画税が非課税となっています。そこでどのような場合に、固定資産税、都市計画税が非課税となるのか、あわせて申告によって非課税となっている道路の件数はどのくらいあるのか、伺います。

○安藤資産税部長 公共の用に供する道路として、地方税法の規定に該当する場合には非課税となります。具体的には、所有者において何らの制約も設けず広く不特定多数の方の利用に供されている場合でございます。なお、道路非課税の件数は、平成二十六年度の定期課税時点で約四十五万筆でございます。

○中村委員 都内においては、住宅街において道路が狭いため、日常的にも交通が不便であり、また、自動車が入ってくると歩行者が壁に張りつくように避けないといけないような状況のところが多く見られます。震災が起きた際には、建物が延焼したり、緊急車両が入れないなどの問題も起こり得ます。
 昨今では、杉並区で道路に置かれた私物を撤去する条例の制定が検討されています。狭隘道路でセットバックしても、私有地だからと私物を置いていることが問題になっていることが背景のようです。仮に固定資産税が非課税となっている場合に私物を置いたらどうなるのでしょうか、伺います。

○安藤資産税部長 非課税となるのは、何ら利用上の制約なく不特定多数の利用に供されている場合でございます。したがいまして、プランター等の私物を常態的に設置しているような場合は非課税としては認められません。

○中村委員 強制的に私物を撤去するということはできないということのようですが、私物が置かれているのに非課税を適用するとすれば不公平な状況です。都は非課税の申告を受けたときには、当然、現地の調査を行っているとは思いますが、一旦非課税にした後も調査をしているのでしょうか、また問題があれば非課税を取り消すなどの措置をとっているのか、伺います。

○安藤資産税部長 道路非課税の確認調査につきましては、当初の非課税認定の際に行う現地調査以降においても、所管の都税事務所が定期的に行う土地の現況調査に合わせて利用状況を確認しております。それにより要件を満たしていないことが確認された場合には非課税の取り消し処理を行っております。

○中村委員 二十三区内においては、固定資産税は都が徴収をしているんですが、狭隘道路は区が管理しています。税の情報の目的外使用は認められていませんが、区と連携して適正なあり方を図るための法整備の検討も行っていただきたいと思います。
 現在、杉並区でも、条例が憲法が保障する財産権との関係について議論をしているようですが、その結論が出る前にでも、むしろ税を非課税にしていることから考えると、すぐにでも非課税にしている私有地についての私物を撤去するように検討していただきたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。

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