> 都議会質問 > 都議会財政委員会 > 公的資金運用、財政運営について質問しました

都議会質問記録

2014/10/30 公的資金運用、財政運営について質問しました

2014年10月30日、都議会財政委員会で質疑を行いました。最初に、会計管理局に、公的資金の株式運用への懸念、再生可能エネルギーに特化したファンドの固定価格買取制度の見直しに関する影響などを質問しました。次に、財務局に対して、都の財政運営、都債の発行、契約事務に関して障がい者優先調達、汚職防止、公契約条例などについて質問しました。
 
1 会計管理局への質問
 
○中村委員 それでは、会計管理局の事務事業について質問します。
 会計管理局長は、知事とは独立した権限で会計事務を行っています。すなわち、任命者は知事ですが、独立しているという以上、その責任の部分については都民に直接負うべきものと考えられますので、大変その職責は重いともいえます。内部による不祥事は当然あってはならないのですが、誤りもなくしていかなければなりません。そのため、知事の補助機関として、会計事務の指導検査を行っているとのことです。
 平成二十二年度の決算委員会でも、当時、私も質問しましたが、内部で検査が行われて誤りが減っているという答弁をそのときにはいただきましたが、その後の状況はどうなっているのか、まずは伺います。
○米今会計制度担当部長 平成二十一年度は、会計上の誤りが一部署当たり平均十件程度でございました。平成二十五年度には、二百五十一の部署に検査を実施しまして、誤りは平均七件程度に減少してきております。
 なお、誤りの主な内容は、検査確認の印漏れ、リース契約や印刷契約における物品の出納手続漏れなどの事務手続の不備でございます。
 平成二十六年度からは、さらに誤りを減少させるため、従来の書面による事務処理の結果を検査するアウトプットチェックから、事務処理過程、内部統制の状況などを確認するプロセスチェックを重視する方向に検査アプローチを転換してきております。
 従来の書面審査に加え、ヒアリング等を行い、書面審査だけではわからない潜在的なリスクをあぶり出し、予防、再発防止に取り組んでいるところでございます。
○中村委員 誤りが減少しているということはよいことですし、さらに検査の方法を改善していくということですので、引き続き、この誤りを少しでもゼロに近づけていくようお願いいたします。
 さて、公金を扱っているのは、都庁の組織だけではなくて金融機関や私人など外部の機関も扱う場合があるので、その場合にも適正に扱えるかどうか検査を行う必要があります。
 とりわけ昨今では、コンビニエンスストアで自動車税や区部では固定資産税等の都税の収納も行われています。忙しくて金融機関に行けない場合も大変便利に支払いをすることができます。
 コンビニエンスストアでの収納はかなり大きな金額になっていると思いますが、一体どれくらいの金額を扱っているのか伺います。
○米今会計制度担当部長 都において会計管理局が所管いたします公金の平成二十五年度の収納実績は、一千六百六十七万一千件、五兆四千五百十六億二百万円でございます。そのうち、コンビニエンスストア収納は、件数が三百五十五万六千件、構成比で二一・三%、金額が一千三百十一億八千四百万円、構成比で二・四%でございます。
○中村委員 金額の構成比は二%ですが、件数では全体の二〇%以上と多くの方が利用されていることがわかりました。一方、それだけコンビニエンスストアの店舗数が拡大され、二十四時間など長時間営業できる背景として、短期の非正規労働者も多く、人の入れかわりも激しく、公金の収納を必ずしも店長などの責任のある人が行うわけでもありません。
 コンビニエンスストアで公金の収納が適正に行われるかどうかをどのように検査をしているのか伺います。
○米今会計制度担当部長 コンビニエンスストアの検査は、決められた会計手続の適正な履行を確保することを目的として実施しております。都では、毎年コンビニ各社に対しまして検査を実施しており、データ、書面等を集中管理しているコンビニ本部を対象といたしまして、公金の受領から都公金口座への入金状況を書面により確認しております。
 コンビニ各社では、収納金額を必ずバーコードで読み込み、レジ画面で納入者に確認していただくなど、POSレジを活用した事故防止策に取り組んでいる状況でございます。
 各店舗での事務につきましては、コンビニ本部へのヒアリングを通じて、このような事故防止への取り組みのほか、従業員への指導、業務マニュアルの有無とその内容、守秘義務の取り扱いなどを確認しております。
○中村委員 毎年、各コンビニエンスストアに足を運び、検査をしているとのことでした。今後ますます取扱件数や金額もふえると思いますので、緊張感を持って行っていくためにも厳しく検査の方をしていただきたいと思います。
 次に、先ほどからも議論がありましたが、公的資金の活用についてお伺いします。さっきまでは私も検査の話を重ねて質問したんですが、それほどまでに都民の皆様が納める税金というのは貴重であり、これは一円たりとも無駄にしては絶対になりません。
 さて、現在、公的資金の活用が議論されています。公金における株式運用について、現状は、地方自治法の解釈でできないとされていますが、これは、今報道等を見ていると、総務省の解釈変更というようなことの議論もあるようですが、そのことだけでやってよい問題なのかどうかということを伺います。
○松下管理部長 公金の管理につきましては、地方自治法によりまして、最も確実かつ有利な方法により行うと規定されておりまして、これは、行政実例や通知、国会答弁などによりまして、既に確立した解釈となっております。
 都におきましても、それに従いまして、金融機関への預金や国債等の安全性の高い債券により公金を運用しているところでございます。この条文の解釈変更につきましては、都は答える立場にはございませんが、総務省からは変更しないと聞いております。
○中村委員 法令でも、最も確実かつ有利な方法ということですが、株式運用では、元本保証もなく、最も確実なとはいえません。答弁では、総務省は条文の解釈変更をしないと聞いているとのことでしたので、引き続き安全な管理を求めるものです。
 また、資産の運用のような高度な判断が必要なものが、職員の方々二、三年で異動される方々も多いのでしょうが、そういう方々にできるものなのでしょうか。また、公金管理について専門家の意見を伺うために、東京都公金管理委員会が設置されていましたが、最近、資金管理・活用アドバイザリーボードと名称が変更されました。これまでは、あくまで管理という名称だったのが、管理、活用になりました。
 そこで、公金運用におけるアドバイザリーボードの責任というのはどうなるのか伺います。
○松下管理部長 公金管理におきましては、キャリア活用採用選考ですとか、あるいは人材育成などを通じまして、資金運用等に関する実務経験を有する職員を継続的に配置して対応しているところでございます。また資金の運用につきましては、職員の判断だけで決めるのではなく、金融分野の専門家等から成る資金管理・活用アドバイザリーボードを設置いたしておりますので、これにつきまして資金管理についての助言や指導を受けることとしております。
 この資金管理・活用アドバイザリーボードは、都の資金管理、活用につきまして、会計管理局長に意見を述べる専門会議でございます。したがいまして、公金の運用責任につきましては、知事及びそれを補助する当局にあるものでございます。
○中村委員 現在でも、実務経験のある職員を継続的に配置し、アドバイザリーボードから助言、指導を受ける体制ということです。これは株式運用ということではなくても、金融機関への預金や国債等でも大切なことですから、決して都民の貴重な財産が毀損されることのないよう、引き続き安全な運用をお願いします。
 次に、ファンドについて伺います。
 都は二十四年度から、官民連携インフラファンドを運営していましたが、これまでの環境局の所管から執行委任を受けて会計管理局が担当することになったとのことです。
 そして、先日、今年度からの新たなファンドとして、官民連携再生可能エネルギーファンドの運営事業者が決定しましたが、ファンドの概要についてお伺いします。
○松下管理部長 官民連携再生可能エネルギーファンドは、投資対象を再生可能エネルギーに特化することで、都内を含む再生可能エネルギーの広域的な普及拡大を目指すものでございます。金融分野の専門家等により構成される資金管理・活用アドバイザリーボードの意見も踏まえまして、運営事業者を先般二者決定したところでございます。
 その仕組みでございますが、都は、有限責任の立場でファンドに出資いたしまして、ファンドの運営事業者は、都の出資を呼び水にして民間投資家から資金を集めまして、再生可能エネルギーの発電事業者に対して投融資を実施する、そういったものでございます。
○中村委員 都は、長期ビジョンの中間報告でも、再生可能エネルギーの利用割合を二〇%に拡大することを計画しています。そのための方策の一つとして、新たなファンドは、都が拡大を見込む再生可能エネルギーに特化したのだろうと思います。
 ところが昨今、国において、固定価格買い取り制度を見直そうという動きもあります。万が一、投融資が失敗すると、都は、有限責任の立場で出資をしているとのことですが、出資の範囲とはいえ、その出資分を失ってしまいます。
 また、仮にも、都の信用で民間の資金を集めようとするならばリスクが高まり、民間の出資者に損害を与えるとしたならば好ましいことではありません。もちろんこれは都の責任ではなく、国の方での固定価格買い取り制度の変更によるものとはいえ、このことがこれから募集するファンドにどのような影響を与えると予想しているのか、見解を伺います。
○松下管理部長 現在、北海道電力、東北電力を初めとする電力会社におきまして、連系接続に関する回答保留の動きが出ていることは間違いございません。また、こうした事態に対しまして国において対策を検討する動きがある、これまた承知しているところでございます。
 一方、今年度組成いたします官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、運営事業者として選定された二者ともに、電力会社による回答保留の影響を受けないような投資予定案件を十分に準備しているところでございまして、既に保有しているものでございます。したがいまして、ファンドの創設は可能であると考えております。
○中村委員 今回の新たなファンドについては、影響を受けない案件があるので、創設が可能とのことではありましたが、出資者が制度の見直しから出資に対して懸念を持つ可能性はあります。
 もとよりこれはファンドのためだけではなく、今社会全体で再生可能エネルギーの比率を高めようとしているときに、固定価格買い取り制度がその根幹となりますので、これは環境局とも連携しながら、国に対して、こうした動きを減速させるべきではないということを求めていただきたいというふうに思います。そのことを求めまして、質問を終わります。
 
2 財務局への質問
 
○中村委員 それでは、財務局の事務事業につきまして、まず初めに、今後の財政運営及びそれに関係することについて何点か質問をさせていただきます。
 開催まであと六年に迫ったオリンピック・パラリンピックに向けては、今後施設整備が本格化し、これが大きな財政需要となって都財政に影響を及ぼすものです。
 都では、こうした財政需要に応えるため、約四千億円の基金残高を確保していますが、開催決定前の計画に従って競技会場を整備した場合、総額で一兆円となるとの報道もあり、現有の基金残高では必ずしも十分な水準にあるとはいえないのではないでしょうか。
 また、平成二十五年度年次財務報告書では、都に内在する財政需要として、社会保障関係経費と社会資本ストックの維持更新経費に関する将来推計を掲載しています。
 社会保障関係経費については、今後二十年間に見込まれる社会保障関係経費の増加額の累計は六・六兆円にも上り、社会資本ストックの維持更新経費では今後二十年間に約六兆円もの需要が見込まれるということです。
 一方で、都の歳入の根幹をなす都税収入は、地方法人二税に対する依存割合が高いことから、景気変動等の影響に左右されやすく非常に不安定な構造にあります。右肩上がりの税収増ということに安易な期待を寄せることができない中、財政運営は今後ますます厳しさを増していくものと考えられます。
 これらのことを踏まえると、歳入歳出両面にわたって将来への見通しをしっかりと持った上で、今後の都民サービスを安定的に提供していくことが必要であるといえます。
 先般、東京都長期ビジョンの中間報告が発表されました。いうまでもなく、長期ビジョンは、今後の舛添都政のかじ取りにおける羅針盤として、施策遂行の大きな柱となるものである一方、ここでは財源については触れられていませんでした。この将来像を絵に描いた餅とせず、実現可能性のあるものとするには、将来にわたり見込まれる財政需要を適切に把握することが必要です。
 そこで、さまざまな財政需要が見込まれる中、長期ビジョンの策定に当たっては、裏づけとなる事業費を明らかにし、めり張りのある計画とすべきと考えますが、都の見解について伺います。
○潮田主計部長 年末をめどに公表することとしております長期ビジョンの実施計画では、長期ビジョンに掲げる政策の着実な実現に向け、今後三年間で実施する事業の内容と必要な事業費を明らかにすることとしておるというふうに伺っております。長期ビジョンで選定する事業につきましては、予算等を優先的に措置していくこととしており、めり張りをもって政策の着実な実現を図ってまいります。
○中村委員 ただいまご答弁いただきまして、長期ビジョンにおける実施計画においては、将来に対する見込みをもって進めていかれることは理解いたしました。ただ、さきに触れた都税収入や、とりわけ地方法人二税についての影響が甚大であると考えます。
 先般、発表された地方法人課税をめぐる動向と東京都の主張においては、法人事業税の暫定措置により、これまで一兆円の財源が奪われており、今年度税制改正では、地方法人課税という新たな制度が創設され、これによる都の減収額は、平成二十六年度予算の平年度ベースで約千八百億円とのことです。
 さらには、来年度から着手するとされている法人実効税率の引き下げや、消費税率一〇%段階において検討するとされている法人事業税の暫定措置にかわる他の偏在是正措置など、東京の財源を奪う動きは予断を許しません。
 こうした動きに対して、都には積極的な主張展開が求められます。国に対してしっかりと都の主張を訴えるとともに、都民にも積極的に伝えるべきではないでしょうか。
 そこで、国による不合理な税源の偏在是正に関する議論に対して、東京都における主張展開の方法についてどのように行っていくのか伺います。
○潮田主計部長 都はこれまでも、国による不合理な措置に対しまして、機を逸することなく主張を展開し、それを都民の皆様にもご理解いただけるように努めてまいりました。
 先般作成いたしました、地方法人課税をめぐる動向と東京都の主張につきましても、関係者のみならず、広く都民の皆様にご理解をいただくため、東京都ホームページに掲載するとともに、専門用語が多い地方法人課税や地方財政の問題につきまして、図表やグラフなども活用しながら、可能な限りわかりやすく内容をお伝えするよう工夫を加えているところであります。
 今後とも、税源の偏在是正の問題に対し、少しでも多くの都民の皆様にも、都の主張をご理解いただけるよう、引き続き努力してまいります。
○中村委員 地方法人課税をめぐる動きに対しての都における主張展開の考え方は、おおむね理解ができました。国に伍して、しっかりと異を唱え、より強力に主張を展開するとともに、都民にもこのことが十分理解されるよう、さらなる働きかけを進められることを望みます。
 さて、都民への説明責任を果たすという観点から、もう一点質問いたします。
 東京都の平成二十六年度当初予算は六兆六千六百六十七億円、特別会計、公営企業会計を含めれば十三兆円を超える規模であり、それを構成する全ての事務事業をつぶさに理解することは困難をきわめるものです。
 財政規模の違いもあるので、一概に比較できるものではないと思われますが、基礎的自治体である市区町村では、予算段階で詳細に事業を公開し、市民への説明責任を果たしています。こうしたことを考えると、都の予算について、都民への説明という観点からは、改善の余地があるといえるのではないでしょうか。
 そこで、予算の都民への説明という観点から、都における取り組みの状況、考え方について伺います。
○潮田主計部長 わかりやすい予算、財政広報の提供は、都民に、都財政を身近なものとしてご理解をしていただくためにも重要であり、これまでも積極的に取り組んでまいりました。
 毎年度の予算につきましては、東京都のホームページや「広報東京都」において、広く都民の皆様へのご説明に努めているほか、予算案の発表に当たりましては、冊子、東京都予算案の概要を発行いたしまして、都の予算の全体像とともに、その年度のポイントとなる内容をよりわかりやすくお伝えするよう工夫を凝らしております。
 例えば、二十六年度予算では、台風二十六号により被害を受けました大島町の復旧復興に向けた取り組みについて一覧で記載しまして、関係各局で行われるさまざまな取り組みが一目で把握できるようにしてございます。
 今後とも、多くの都民の皆様方から都財政に対するご理解をいただけるよう、引き続き改善に努めてまいります。
○中村委員 大島での対応等を含めて都民の皆様が関心があることに対して柔軟に対応していただいたことはよかったと思いますし、また、いろんなことを都民の皆さんが関心を持たれると思いますから、今後ともそういった工夫の方を行っていただきたいというふうに思います。
 それでは、次に、新たな個人向け都債について伺います。
 十月二十四日に、新たな個人向け都債の発行について発表がありました。その内容として、これまでの円貨建てに加えて、新たに外貨建て債を発行するというもので、通貨はオーストラリアドルで、発行額は五千万オーストラリアドル、日本円では、五十億円相当とのことです。
 さらに、これまでの東京再生都債として発行してきた名称についても、国際都市東京にふさわしい名称とするため、東京グローバル都債に変更するとのことでした。
 この取り組みは、本年七月に発表した東京国際金融センター構想に向けた取り組みで掲げられた課題である個人金融資産を預金中心からその他金融商品へ運用を拡大する仕組みづくりの一環とのことです。しかしながら、都債は、都政に直面する諸課題に適切に対応するための重要な財源の一つであると認識しています。
 そこでまず初めに、都債の役割について改めてお伺いいたします。
○潮田主計部長 都債には、世代間の負担の公平や財政収入の年度間調整を図る機能がございまして、計画的な財政運営を確保する上で重要な役割を担っております。
 具体的には、社会資本ストックの適切な形成、更新を着実に進めていくために、世代間の負担の公平を図っております。さらに、平成十一年度以降、二次にわたる財政再建推進プランの取り組みを進めた結果、二十年度のリーマンショックの影響などにより、都税収入が大きく落ち込んだ際には、都債の発行余力を活用し、必要な財源を確保するなど、財源の年度間調整を図っているところであります。
 これらの役割は、機関投資家向けであるか、あるいは個人向けであるか、あるいは円貨建て、外貨建て、そういったものにかかわらず、都債にある基本的な機能でございます。
○中村委員 都債の役割については、主に世代間の負担の公平と財源の年度間調整を図るという二つの役割があることを改めて確認いたしました。
 一方で、今回国際金融センター構想の一環として、外貨建て債を発行するということは、都債に対して従来からの二つの役割に、都民の投資の新たな選択肢という役割も求めているように思われます。
 都債の役割は、世代間の負担の公平の確保などであり、今回、都民などの個人の方の投資の選択肢をふやすためという理由には違和感があるというふうに考えますが、そこで、新たな個人向け都債を発行する意義を改めて伺いたいと思います。
○潮田主計部長 都債が世代間の負担の公平や財政収入の年度間調整を図るといった役割を果たしていくためには、都債を安定的に発行していくことが重要でございまして、都はこれまでも、投資家の信頼を確保するための取り組みに加え、投資家の裾野を広げられるように、都債の魅力の向上に取り組んでまいりました。
 従来の東京再生都債につきましても、平成十四年度以降、投資家層を多様化する観点などから、機関投資家向けに加え、個人向けとした発行を始め、これまで、総額三千九百億円を発行しております。
 一方で、最近の市況は、国内の金融政策や海外の金利動向等の影響により、金利は低い水準で安定的に推移をしております。そうした中、今後とも、安定的かつ確実な都債の発行を図るため、市場環境などを踏まえて、魅力を確保していくことも必要と考えておりまして、今般、新たな個人向け都債の発行に際して、外貨建て債を取り扱うことといたしました。
 こうした都債の魅力向上の取り組みが、都民など個人投資家の運用の新たな選択肢を広げ、東京国際金融センター構想の実現にも貢献できればと考えております。
○中村委員 今回の外貨建て債の導入の意義は理解しましたが、平成十四年度から発行している東京再生都債については、今の答弁にあったとおり、投資家層を多様化し、安定的な資金調達を確保することのほか、都債を都民など個人投資家に身近なものにし、都政に対する理解と参画意識を高めることも重要な意義と認識しています。
 個人投資家にとって魅力的な商品を提供していく視点は必要ですが、新たな外貨建て債について、都政への参画意識の高揚に結びつけていくことも重要です。
 そこで、新たな個人向け都債の発行に当たり、都債や都財政の状況を発信し、より広範な個人投資家の理解を得られるよう努めることが必要だと思いますが、見解を伺います。
○潮田主計部長 従来より個人向け都債については、資金調達手段の多様化とともに、都民など個人投資家の都政に対する参画意識の高揚を目的として発行してまいりました。今回、新たに発行する個人向け都債においても、それは同様でございます。
 このため、本都債については、例年、購入者を抽せんでご招待をいたします船上見学会を実施しており、都の関連施設をご案内しながら、都債や都財政の状況などにつきましてもご説明をしているところでございます。
 本年も同様の見学会の開催を予定しておりまして、円貨建てのみならず、外貨建ての購入者も対象に、引き続き都政への参画意識を高められるよう、しっかりと取り組んでまいります。また、これまでも、都債ホームページ上に、個人投資家向けサイトを設けて情報提供を行っておりますが、今後とも積極的に活用してまいります。
○中村委員 安定的な資金調達の確保については理解できましたし、また、都政への参画意識の高揚にも適切に取り組んでいるということでした。東京グローバル都債という新しい名称ですので、今後、都民への認識がされるよう取り組んでいただきたいと思います。
 次に、契約事務について何点かお伺いします。
 最初に、昨年四月に障害者優先調達推進法が施行されましたが、それへの対応について伺います。
 障害者就労施設等の受注の機会を確保し、障害者の自立の促進に資するために制定されたわけですが、法律が施行される直前の昨年三月の予算特別委員会で、都の対応について、これは、一緒に取り組んでいる福祉保健局に対してでありましたが、質問をしました。その後、昨年七月から障害者優先調達が始まりました。障害者の自立支援促進のためには、都も積極的に取り組む必要があると思います。
 そこで、都における平成二十五年度の障害者就労施設等からの調達実績と今後の取り組みについて伺います。
○松永契約調整担当部長 平成二十四年に成立した、いわゆる障害者優先調達推進法に基づき、都においても、昨年度から調達方針を策定して、積極的に取り組んできた結果、約五億八千四百万円の調達実績となりました。
 今年度の調達方針では、昨年度の実績を上回ることを目標として定め、この目標の達成に向けまして、七月には、福祉保健局、産業労働局と合同で契約担当者向けの説明会を開催し、簡易な印刷業務や、封入、発送、防災用品の買い入れなどの具体的な取り組み事例や、就労施設が提供できるチラシの印刷やデータ入力などの物品、役務リストの紹介を行うなど、実務上の支援を行ってまいりました。
 今後とも、各局における発注を具体的に促進できる支援を実施してまいります。
○中村委員 制度導入の初年度であったため、具体的な数値目標はなかったようですが、結果として六億円近い大きな実績があることを伺いました。今年度はその実績を上回ることが目標のようですが、今後、さらにこうした推移を見て計画的に拡大し、障害者の方々の支援につなげていただきたいと思います。
 さて、契約事務に関して次の質問です。
 ことし九月に水道局の発注工事に際して、公契約関係等競売入札妨害の疑いで元職員が逮捕され、職員も任意で事情聴取を受けるという大変残念な事件が発生しました。都政への信頼を失うことになり、二度と起こしてはならない事件です。
 その後、水道局では、水道局汚職等防止対策本部を設置して対応していますが、これは水道局だけの問題ではありません。同様のことが他局でも起こり得るのであり、全庁的な対応が必要です。都庁全体の契約を所管する財務局にその所見を伺います。
○松永契約調整担当部長 契約手続において、公正性、公平性や透明性を確保することは、都の公共調達が都民の信頼を得る上で極めて重要であり、その点で、最低制限価格などの契約情報の管理を徹底することが不可欠であると考えております。
 九月の水道局の事件後、直ちに副知事を委員長とする汚職等防止委員会が開催され、各局に対して、汚職防止等の取り組み方針が示されるとともに、事務の再点検と再発防止の検討が指示されたところでもございます。
 契約事務において、最低制限価格などの契約情報が、事案の決定関与者以外に漏えいする余地をなくす観点から、現在、制度所管部署といたしまして、契約事務の再点検と再発防止の検討を実施しております。
 今後、全庁的な再発防止策に反映させ、実施していくことで、都民の信頼回復を図ってまいります。
○中村委員 ぜひとも、しっかりとした対応に取り組んでいただいて、都民の信頼回復を図っていただきたいと思います。
 また、次の契約の質問です。工事案件については、入札して事業者が決定した後、資材購入費を先に払う場合があります。先に支払った後で委託先の企業が倒産して、都の予算に与える損害というのは幾らあるのでしょうか。財務局所管分だけではなく、委託先が倒産する事例を全庁的に把握しているのでしょうか。
 これは他局の事業の話にはなるんですが、都が委託した事業者が倒産して、その破産処理が長引いてしまい、長期間にわたって現場がそのまま放置されているところがありました。近隣に住む関係の住民の方からは、どうなっているのかとたびたび苦情が来ました。もちろん、それぞれの局が担当の工事に責任を持つというのが前提とは承知していますが、委託事業者の経営状況への見るべき視点、破産手続など、契約解除後の各局の対応等について、全庁的な指導というのも必要でないかと考えますが、見解を伺います。
○松永契約調整担当部長 公共工事において前払い金を受領済みの受注者が倒産し、契約内容の履行が困難となった場合には、前払い金保証契約に基づき、受注者にかわって保証事業会社が都に対して相当額を返還することになっており、都の損失は生じない仕組みになっております。
 財務局としては、各局が契約解除をするに当たっての制度面での相談等に応じるなど、今後も必要な支援を実施してまいります。なお、契約解除後の事業執行上の対応につきましては、起工部署が責任を持って対応することとなっております。
○中村委員 また、昨今、公共事業の入札の不調ということがよく見られますが、その原因として、建築資材の高騰とともに、建設労務者の人件費の高騰ということがよく挙げられます。
 私も、全ての建設労務者に話を聞くことができるわけではないんですが、それほど大幅に上がったという話を聞くことはありません。実際に賃金が上がっているのでしょうか。積算上、単価が上昇していても、実際の賃金に反映されないのは問題でもあり、そのようにならないのであれば、公契約条例のような仕組みが必要になるのではないでしょうか。
 既に多くの自治体で公契約条例を導入していますが、そういう自治体では、労働者側からの求めだけではなくて、低賃金労働を強いて新規参入を図ろうとする企業に対応するため、事業者の側からも求めがあると聞きました。こうした状況にどのように対応するのか、都の見解を伺います。
○松永契約調整担当部長 個々の労働者の賃金は把握してございませんが、都の公共工事設計労務単価は、平成二十四年度比で約二七%引き上げたところでございまして、本年二月の公共工事設計労務単価の引き上げに際しましては、元請に対して技能労働者への賃金水準の引き上げを適切に含んだ額で下請契約するよう要請しております。
 また、本年六月にも、建設業団体に対しまして、下請契約の適正化の観点から、適正な水準の賃金等に加え、法定福利費や一般管理費等の必要な諸経費を適切に考慮するよう周知徹底を要請しているところでございます。
 公契約条例に関していえば、そもそも、我が国における賃金や労働条件は、最低賃金法や労働基準法などで下支えした上で、各企業において、対等な労使間の交渉で自主的に決定されるものでございます。都の契約制度もそれに立脚しておりまして、これまでも、我が国の法制度に従い、契約に当たり、受注者に対して契約約款により法令遵守を義務づけ、適正な労働環境の確保を図ってまいりました。
 都においては、公契約条例について、労働法制との整合性や入札契約制度の前提である公正性、競争性の確保など、整理すべき課題があると認識しておりまして、公契約条例を制定する考えはございません。
○中村委員 また昨今では、社会保険未加入の事業者もあるということです。また、そういう厳しい経営環境にあるとは思いますけれども、それでも真面目に加入を行っている事業者もあるだけに、そういう未加入の事業者が都の発注工事の下請や孫請になるという状況には問題があると思います。
 適正な労働環境の整備が必要であると考えますが、見解を伺います。
○松永契約調整担当部長 都では、二年後の資格審査時を目途に、法令遵守や公平性の観点から、社会保険等の加入を必須条件とする方向で、現在具体的な対応を検討中でございます。
 今後、受注者に対しまして、各局各事業所の契約窓口において、保険加入が事業者の責務であることの周知や、下請事業者に対する保険加入への指導などについて啓発案内を実施してまいります。
○中村委員 また、昨今では、ワークライフバランスでの取り組みや地域への貢献など、さまざまな指標を盛り込んだ総合評価方式も進められています。さまざま、いろんな企業が取り組むことの中で、そういったことの評価というのも、当然必要なことになってくると思いますので、より積極的な展開が求められます。最後に、この見解を伺いたいというふうに思います。
○松永契約調整担当部長 公共調達の分野において、総合評価を活用して、このような事業者の取り組み実績などを評価していくことは、政策目的を実現していく上で有効な手段の一つであると考えております。
 例えば、理事からお話のあった地域への貢献ということでいえば、工事の総合評価において、企業の社会性、信頼性を評価する項目といたしまして、地域における工事実績、地元との災害協定の締結実績、緊急施工工事の実績などを設定することで、地域への貢献度というものを評価する取り組みを都としても実施しております。
 今後とも、総合評価方式の効果を活用できるよう、その拡大を積極的に図ってまいります。 

ユーティリティ

都議会質問内検索

Search

過去ログ