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都議会質問記録

2014/11/20 土地収用や税制改正について質問しました

2014年11月20日、都議会財政委員会で主税局と収用委員会の事務事業について質問しました。土地収用制度の中立公正について、国の税制改正の影響、固定資産税の減免や空き家対策としての情報の活用などについて質問しました。

1 収用委員会への質問

○中村委員 それでは、収用委員会の事務事業について質問します。
 土地収用制度は、私有財産制度が認められた日本国憲法のもと、公共の利益と私有財産との調整を図る制度です。それだけに土地の明け渡しという強い権限があるため、委員会には公正中立な運営が強く求められます。
 そうしたことを確認する観点から質問します。それでは、まず、一番重要な公正中立はどのように担保されているのか、委員会の独立性について伺います。

○目黒収用委員会事務局長 土地収用法におきましては、収用委員会の公正中立性を担保するためのさまざまな仕組みが定められております。
 まず、実際に事件処理に当たる収用委員の任免につきましては、知事の不公正で独断的な人事が行われることがないよう、住民の代表である議会の同意が必要とされるとともに、議会の議員や自治体の職員等との兼職を禁じております。
 また、委員に欠格条項とともに職務上の義務違反や非行があった場合など、特定の場合を除いて、在任中その意に反し罷免されることがないよう、身分保障の規定が置かれております。
 さらに、起業者や土地所有者等と一定の関係にある委員につきましては、収用委員会の会議や審理に加わり、または、議決することができないとする除斥の規定もございます。

○中村委員 収用委員会の方が独立性を持ち、公正中立な立場であることはわかりました。
 それでは、手続面ではいかがでしょうか。公共事業を行う中で、起業者と交渉し解決を見ないものが収用手続に入るわけですから、権利者は補償金について不満があるケースも多いと思います。権利者の意見を出す機会が保障されなければなりませんが、どのように権利者の不満を聞くのでしょうか。また、裁決が出ても、出された補償金に不満のある場合もあると思いますが、その場合の救済措置はあるのでしょうか、伺います。

○目黒収用委員会事務局長 裁決の申請がありますと、土地所有者等は、裁決申請書、明け渡し裁決申し立て書の内容について、二週間の縦覧期間内に、収用委員会に対し、意見書を提出できることになっております。
 また、収用委員会は、土地所有者等から裁決を行うのに必要な事項について意見を聞くため、原則として公開で審理を行うとともに、適宜、鑑定人に鑑定を命じ、適正に補償金を算定しております。
 さらに、裁決について不服がある場合には、行政不服審査法による審査請求、または、行政事件訴訟法による抗告訴訟や当事者訴訟を提起することができますが、裁決のうち、損失の補償に関する訴えにつきましては、審査請求することができないため、その救済を求める場合には、起業者と土地所有者等の当事者間で争われることになります。

○中村委員 損失の補償に対する不服を理由としては、訴訟はできても審査請求はできないとのことなので、権利者からの意見も聞き、適切な裁決が出されることを望みます。
 さて、土地収用法第六十条の二では、収用委員会は、必要があると認めるときは、審理または調査に関する事務の一部を委員に委任することができるという、いわゆる指名委員制度が定められています。
 その指名委員制度はどのような必要性から行われるのか伺います。委員会の審理は、原則は全員の合議制だと思いますが、権利者保護の観点から問題ないのか伺います。

○目黒収用委員会事務局長 指名委員制度は、理事お話しのように、審理または調査に関する事務の一部を収用委員に委任できる制度でありまして、昭和三十九年の法改正により創設されたものでございます。
 多くの困難事件を取り扱う東京都収用委員会におきましても、効率的に事務処理を進める上で有効であるとの判断から、この制度を活用しているところでございます。
 ただし、本制度は、あくまでも審理や現地調査などの事務に限定して活用されているものでありまして、裁決や決定など、その他の事務につきましては、委員全員の合議により行われておりますことから、土地所有者等の権利者の利益を損なっているとの認識はございません。

○中村委員 全委員がそろわないと審理や調査ができないのでは事件処理はおくれてしまいかねないため、迅速な事件処理が権利者の保護につながることも多いことから、現地調査等で指名委員制度を活用されることは必要だとは思います。ただし、裁決は、委員会としての合議での決定なので、指名委員ではない委員も事案を十分に理解し、適切な判断をしていただくことが必要であり、権利者保護の観点からの審理をお願いします。
 さて、公共事業で必要な用地が自分の敷地と全て重なっているとは限りません。敷地が事業に係るものの土地が残るという残地について、地形が悪くなる、小さくて使えないといった声を聞くことがあります。そういった使い勝手が悪くなった分は残地補償により補償されるとは承知はしていますが、補償してもらうよりも収用してもらった方がよい場合も多いのではないでしょうか。
 残地収用の請求権が制度上認められているようですが、どのくらい利用され、実際に認められているのか伺います。

○目黒収用委員会事務局長 残地収用は、土地収用法上も認められている仕組みではございますが、残地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときに限定されるため、現実には、請求そのものがさほど多くあるわけではございません。
 東京都収用委員会におきましては、過去五年間で六件の残地収用申請がございましたが、このうち収用が認められたのは三件でございます。

○中村委員 権利者にとっては、公共事業で自分の財産が必要となるということは、一生に何度もあることではありません。できる限り早くから相談して、自分が置かれている状況を理解し、自分で考えることができるようにする、これも権利者保護の重要な点だと考えます。
 そこで、収用委員会事務局には、相談支援センターが設置されているとのことですが、土地の権利者に対してはどのように周知されているのか、相談の内容はどのようなものなのか伺います。

○目黒収用委員会事務局長 相談支援センターは、起業者だけでなく、土地所有者等の権利者の方々にも、収用制度に対する理解を深め、当該制度を効果的にご活用いただきたいとの趣旨から、平成十七年度に事務局内に創設された相談窓口でございます。
 相談支援センターにつきましては、局のホームページや「土地収用のあらまし」というパンフレットを使って案内しているところでございますが、開設以来、起業者や権利者からの来所や電話による相談に対し、きめ細かく対応してございます。
 権利者からの主な相談内容としては、自己の権利に係る土地について、起業者に対して収用の裁決を申請することを請求する、いわゆる逆収用に関する手続や補償の種類やその考え方について、さらには、裁決申請から裁決、明け渡しに至るまでの期間や事務手続の流れなど多岐にわたります。

○中村委員 多くのさまざまな相談に答えられていることはわかりました。行政だけではなく、権利者からも相談があり、逆収用の手続もあるようですから、相談支援センターのように相談できる窓口があるのは大切なことです。権利者の不利益にならないよう、引き続き細やかに相談に答えられるようにお願いします。
 さて、収用手続を拙速に進めて権利者に不利益があってはならないし、早期の立ち退きが不利益になってはなりませんが、手続の長期化は、権利者や起業者双方に不利益にならないとも限りません。
 件数に対応した体制を整備していくことが重要と考えますが、取扱件数の推移について伺います。

○目黒収用委員会事務局長 過去の取扱件数は、おおむね毎年百件前後で推移してきておりますが、直近三年間の取扱件数を見ますと、平成二十三年度が百四件、平成二十四年度が八十八件、平成二十五年度が七十八件と減少傾向にあったところでございます。
 しかし、今年度につきましては、十月末までの半年間で八十二件と、既に、昨年一年間を上回るペースで推移しております。

○中村委員 今年度前半は、かなりの件数の伸びが見られたことがわかりました。
 三・一一東日本大震災以降、都市基盤整備の重要性が改めて認識されている状況から、この趨勢は今後も継続するものと思われます。
 収用委員会事務局は、公正中立な事務を進めるために、どうしてもマンパワーが必要な部分があり、適切に体制整備に努められることを望みます。
 二〇一一年に改定された収用制度活用プランは、二〇一五年が最終年次となっている表が記載されています。プラン策定後の状況の変化を適切に踏まえ、これからも公正中立を旨とし、収用制度が適切に都市基盤の整備に活用されることを要望して、質問を終わります。

2 主税局への質問

○中村委員 それでは、主税局の事務事業について質問します。
 十八日、GDPの予想以上の落ち込みを受けて、政府は消費税の一〇%への増税を来年十月から一年半延期することを発表しました。経済政策がうまくいっていないからだとは思いますが、ここではその是非についての議論ではなく、都への影響を伺います。都として、消費税は地方消費税も含んでいるので、都の税収入への影響を考えなければなりません。
 そこでまず、ことしの四月に消費税が八%になったことで、地方消費税も一・七%になりましたが、都税収入はどうなったのか伺います。また、今回、消費税一〇%への増税が先送りされることになったのですが、都の税収の見込みの影響はどうなるのか伺います。また、消費税の増税に伴い予定されていた税制改正への影響はどうなるのか伺います。

○加藤税制部長 三点質問がございました。まず、消費税率八%への引き上げによる増収額でございます。平成二十六年度当初予算額をもとに試算いたしますと、平年度ベース、すなわち、一年間を通じた影響額で約二千六百億円となる見込みでございます。
 次に、一〇%への引き上げによる増収を同様に試算をいたしますと、平年度ベースで約一千九百億円となる見込みでございまして、この増収分が都税に反映される時期は、税率の引き上げが延期されますと先送りされることとなります。
 また、税制改正の影響についてであります。昨年の二十六年度与党税制改正大綱において、消費税率一〇%段階で実施することとされていたものは、法人住民税の地方交付税原資化の拡大、地方法人特別税の廃止等、自動車取得税の廃止及び自動車税に係る環境性能課税の導入などでございます。

○中村委員 消費税の引き上げとともに実施するとされていたものも影響があると予想されますが、そのうち地方法人特別税の廃止が先送りされかねないことは大きな問題です。
 これまで、地域間の税収の偏在是正を名目に行われてきたこの不合理な措置については、暫定措置とのことだったはずです。ところが逆に今年度からは、地方法人税も導入され、ますます東京都の税収に影響が出てしまいます。
 そこで、法人事業税の暫定措置等についての都への影響額を改めて伺います。
 今月十七日には、東京都税制調査会の答申も出ましたが、一連の国の税制改正には疑問を呈していました。都は、知事を先頭に、これまでも国に対して強く求めてきたとは承知していますが、引き続き国に対して強く法人事業税の暫定措置の撤廃、不合理な偏在是正措置の撤廃の意見を出すべきだと思いますが、見解を伺います。

○加藤税制部長 まず、都の影響額についてお答えいたします。法人事業税の暫定措置による都の減収額は、平成二十六年度当初予算ベースで約二千億円、平成二十年度の導入当初からの累計は約一兆円に上ります。また、平成二十六年度税制改正によって行われた法人事業税の暫定措置の三分の一縮小、法人住民税の一部国税化によりまして、都の減収額は、平年度で約三千二百億円となる見込みでございます。
 これらの法人事業税の暫定措置、それから法人住民税の一部国税化は、偏在是正の名のもとに地方税を国税化するものでありまして、地方分権に逆行する極めて不合理な措置でございます。こうした措置は直ちに撤廃し、地方税へ復元すべきであり、今月十三日には、愛知県など大都市の自治体と連携し、知事から総務大臣に直接要請を行ったところでございます。
 また、今月六日には、関東地方知事会会長として、地方分権改革の推進についてということで、これらの暫定措置の廃止も含めた強い要望を、官房長官に対して要請行動を行ったところでございます。
 引き続き、都議会のご協力もいただきながら国に強く働きかけてまいります。

○中村委員 さきの都議会定例会では、都議会も意見書を議決して国に送付していますので、都としてもさらなる取り組みをお願いします。
 また、法人実効税率引き下げの議論の中で、外形標準課税を拡大すべきという議論もあります。しかし、ただでさえ厳しい経営環境にある中小企業にとっては、より一層負担が重く、苦しくなるともいわれています。そのため、その取り扱いは慎重であるべきだと考えます。
 外形標準課税への都の見解を伺います。

○加藤税制部長 外形標準課税は、応益課税である法人事業税の性格を明確にし、負担の公平を図るとともに、税収の安定化に資するものでございます。
 ただ、中小企業へ外形標準課税を適用することは課題が多く、慎重であるべきと考えております。現在、既に対象となっている企業に対して外形標準課税の割合を高めることにつきましては、地方税のあるべき姿として方向性の一つと考えております。

○中村委員 中小企業への外形標準課税の適用は慎重であるべきとの答弁もありましたが、中小企業の経営環境はいまだに厳しい状況にあります。そうした中、都議会では、毎年、固定資産税、都市計画税の減免の要請を都内中小企業者の団体から受け、決議を行っています。
 都心部において地価が高いための措置ではあると思いますが、まずは、小規模住宅用地に対する都市計画税を二分の一とする軽減措置、小規模非住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税を二割減額する減免措置、商業地等における固定資産税及び都市計画税について、負担水準の上限を六五%に引き下げる減額措置の三つの軽減措置について、それぞれ影響がどうなっているのか伺います。

○加藤税制部長 三つの軽減措置に係る適用件数及び減収額を平成二十五年度実績で申し上げますと、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置については、約百六十三万件、約二百八十三億円でございます。また、小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置につきましては、約二十七万件、約二百三十二億円でございます。商業地等に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置につきましては、約三十三万件、約百六十四億円となっております。

○中村委員 三つの軽減措置で、六百七十九億円と大変大きな金額が軽減されています。
 そこで、この軽減措置により、都民の暮らしや事業の状況はどう改善していると受けとめているのでしょうか。軽減率は妥当なのかも含め、改めてお伺いいたします。

○加藤税制部長 具体的な軽減額について、平均的なモデルで申し上げますと、例えば、面積百平方メートル、負担水準九五%の住宅用地で軽減前の税額が約九万円の例ですと、小規模住宅用地に係る軽減措置によりまして、約一万四千円が軽減されることとなります。また、非住宅用地の例でございますが、同じく面積百平方メートル、負担水準六七%の非住宅用地で軽減前の税額が約六十三万円の例では、小規模非住宅用地に係る減免措置及び商業地等に係る軽減措置によりまして、約十四万円が軽減されております。
 このように都が行っている軽減措置は、都民の暮らし、中小企業等の経営の負担軽減に一定程度は寄与しているものと認識しております。
 なお、この軽減率につきましては、全国と比べた区部における地価、あるいは税負担の水準、税収への影響などを勘案して定めたものでございまして、おおむね妥当な水準であったのではないかと考えております。

○中村委員 軽減措置により負担軽減に寄与しているとのことでした。ただ、これだけの大きな金額を軽減しているというよりも、実態として、都心部における地価の高さが実態とかけ離れているため、単純に税を算定すると大きな金額となっているだけにすぎないとの見方もできます。土地の所有目的が売買ではなく居住や事業の継続である場合には、地価の高騰により税負担が重くなり、必ずしも歓迎すべきでないともいえます。
 例外としての減免が長く続いていますが、このまま減免措置を継続するのであれば、根本的な解決手段を検討すべきだと思いますが、見解を伺います。

○加藤税制部長 いわゆる政策税制につきましては、導入後の景気動向や社会状況の変化、創設目的の達成状況、さらには財政状況等も踏まえまして、不断の見直しを行ってきております。したがって、景気動向、社会状況の変化等を勘案して継続の可否を判断していく必要があると考えております。

○中村委員 都度、継続の可否を判断するとのことですが、この事業は長く続けているので、引き続き厳しい状況にあるのであれば、軽減措置を継続していただきたいと思います。
 次に、空き家の問題について伺います。
 昨今、空き家の問題が顕著になっています。登記簿は、必ずしも所有者の現住所等をあらわしてはいませんが、都は納税者の住所を的確に把握し、固定資産税を課税しているのでしょうか。
 また、空き家については、防災上、防犯上、危険な場合もあり、放置されていることへの対応が求められても、持ち主がわからず対応できない場合があり、市区町村では、条例を制定して行政代執行で空き家の除去を行っているところもあるようです。また、空き家を使って、子育てや介護をしたいという地域住民がいても、持ち主がわからないので活用できないという声を聞くこともあります。登記簿を見てもわからないとなると、一番確実にわかるのは、固定資産税の情報ということになります。
 そこで、固定資産税の情報を空き家の解消に活用できるような法整備を行うことは可能かどうかも含めて見解を伺います。

○安藤資産税部長 東京二十三区におきましては、毎年度、課税対象となる土地家屋に係る固定資産税、都市計画税の納税通知書を納税者に郵送しております。その中で、納税者に送達されず、都税事務所に返戻された場合には、住民票調査や現地調査などにより所在を確認し、送付し直しております。
 この納税通知書の送付先につきましては、地方税法により守秘義務が課せられている税務情報でございますが、昨日国会で、空き家について倒壊のおそれがある場合は、強制的に除去できることなどを盛り込んだ空家等対策の推進に関する特別措置法が可決、成立しております。今後は、詳細な情報収集に努めまして、法の趣旨に沿った対応をしてまいりたいと思っております。

○中村委員 ちょうど昨日、法律が制定されたということなので、空き家の問題解決につながることを期待したいと思います。まだ、法律ができたばかりということなので、今後、国の動向も注視しながら対応を検討していただきたいと思います。
 さて、現在、共有資産に対する固定資産税等の納税通知書については、代表者にのみ送られています。都は一定の条件のもと、申請書の提出があれば、分割納付を認めていますが、納税者サービスの観点から、全員に通知すべきだと考えますが、見解を伺います。

○安藤資産税部長 共有物に対する納税につきましては、地方税法において、共有者全員で連帯して納税する義務があることが定められております。また、昭和五十八年の大阪高裁の判決では、代表者のみに告知することの適法性が示されております。
 都が実施している分割納付制度は、共有者が遠方に居住しているなどの特別な事情があり、一通の納付書で納めることが困難であると認められた場合に適用しております。これは納付方法の例外的な取り扱いでございまして、これによって、共有物に対する連帯納税義務が解除されるものではないということでございます。

○中村委員 法律で難しいとの答弁でしたが、昨今では家族関係も複雑になってきています。円滑な納税を進める上では、例外の事例の拡大や区分所有のように立法的解決を国に求めるなど、何らかの対応を検討していただきたいと思います。
 次に、新たに始まるマイナンバー制度について伺います。
 平成二十七年十月に、マイナンバーの付番、通知がされ、二十八年一月からマイナンバーの利用開始とされています。マイナンバー制度に関して、税のための利用は本来の目的ですが、独自利用に関しては、国の動向がわからず、まだ、決まらないとのことです。
 現在の準備状況と課題は何か伺います。

○西海総務部長 社会保障・税番号制度は、複数の機関に存在する同一の人の情報を活用し、社会保障、税制度の効率性、透明性を高め、国民にとって利便性の高い公平公正な社会を実現することを目的としております。
 主税局では、規則制定など具体的な手続方法等につきまして、国のスケジュールがおくれる中、関係部門と連絡をとりながら、国への個別照会を行うなど、平成二十八年一月に予定されている番号利用開始に向けて準備を進めております。

○中村委員 このマイナンバー制度、新たに始まっていくわけですけれども、新たな制度の導入で、今後、税務の事務への影響はどのようになるのか伺います。

○西海総務部長 社会保障・税番号制度が導入されますと、都道府県知事は、地方税の賦課徴収に関する事務において、心身の障害や生活保護といった情報につきまして、情報提供ネットワークシステムを使用して情報提供を求めることができることとなります。
 そこで主税局では、国民の利便性向上という法律の趣旨に基づきまして、納税者の負担の軽減、例えば、都税の減免申請をする際に、添付資料の一部を省略することができるといったことでございますけれども、こういった方法に向けまして検討を進めているところでございます。

○中村委員 とりあえず、納税者の手続面での負担軽減ということにはなるのでしょうが、所得が低い方への税の軽減につながることが期待されたシステムでもあります。国の対応がおくれているようですが、こうした制度により、都民にとってどのようにメリットとして生かせるのか、検討していただきたいと思います。
 とはいえ、やはりこうしたシステムですから、個人情報の取り扱いが懸念されます。情報の一元化は、管理の強化につながるとの懸念や情報漏えいのリスクもあります。
 そこで、個人情報保護は適切に対応できるのか伺います。

○西海総務部長 社会保障・税番号制度におきましては、個人番号を含む特定個人情報をシステム上保有しようとするときには、特定個人情報の入手、提供、保管などについて、漏えいや紛失するリスク、アクセス権限がない者によって不正に使用されるリスクなどを分析し、その対策を評価するということとなっております。
 主税局では、現在、このシステムの評価を順次進めているところでございます。個人情報の取り扱いにつきましては、従来から厳格に行ってきたところでございますけれども、主税局では、引き続き法令などに基づき、個人情報の保護に万全を期してまいります。

○中村委員 税務事務では、もとより多くの個人情報を扱っているので、その取り扱いには十分注意をしていると思いますが、新たなシステムは多くの情報が集まることから、その運用は、極めて厳格に行っていただきたいと思います。
 特に、いかにシステムでカバーしようとも、報道などで見る昨今の個人情報漏えいや紛失は、極めて単純な人為的なミスであることが多いようです。これは新たなシステムのことだけではなく、絶対に、そうしたことから漏えい、紛失がないよう、常に留意していただくことを求めて、質問の方を終わります。

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