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都議会質問記録

2013/06/05 体罰について質問し根絶を求めました

2013年6月5日、文教委員会で都の体罰調査委員会報告書について教育庁に質問し、体罰の根絶を強く求め、子どもへの丁寧な対応を求めました。

○中村委員 報告事項の都内公立学校における体罰の実態把握について及び体罰調査委員会報告書について質問します。
  これまで体罰の件数は、年二、三十件で推移していたようですので、今回の調査で百八十二件という数が出てきたことには大変驚きました。きのうの本会議の都議会民主党の代表質問でも、体罰の根絶に向けての取り組みを求めましたが、ぜひとも子どもの安全を守るためにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
  ただ、今回は体罰の根絶ということに注視をしているのかもしれませんが、体罰の調査をして、その後どういう対応をしたのか、生徒児童がどうなったのかという視点が報告書からは欠けているのではないかと思います。体罰を受けた子どもに対して配慮に欠けた対応になれば、ますます子どもは傷つきます。
  報告書では、熱心な活動が萎縮しないようにとありますが、すべての体罰を一くくりにしてそのようにとらえては、絶対に許されない行為をした場合への対応まで不十分になってしまいます。
  また、生徒が体罰を受容する傾向にあるとの記載もありますが、すべての事例がそういうわけではないと思います。心に傷を負ったままの子どもがいるとの話も聞きます。そういう認識では、その後の対応が不十分になってしまいかねません。
  体罰はあってはならないという前提ですが、体罰があったときに、被害者である子どもの視点から見てどのような対応をするのかについて以下質問します。
  まず、体罰を受けた子どもは、体だけではなく心に傷を負い、その傷がずっといえない場合もあります。こうした場合、どう対応するのでしょうか。今回の報告書では触れられていませんが、その対応は今後の子どもの育成にとって大変重要です。
  教育委員会、学校含め十分な対応をする必要がありますが、対応を伺います。

○金子指導部長 学校におきましては、体罰などの事故が発生した場合、担任や養護教諭がスクールカウンセラーなどと連携いたしまして、児童生徒の心のケアを行っております。
  また、東京都教育相談センターにおきましては、特に緊急性の高い場合や児童生徒の心身への被害が重大な場合、アドバイザリースタッフを派遣するなどいたしまして、区市町村教育委員会と連携して各学校を支援しております。
  今後とも、児童生徒の心身の状況に応じて適切に対応するよう努めてまいります。

○中村委員 体罰後の教員の行動について、子どもへの配慮がなされているのか伺います。
  体罰を受けた後、学校でその教員と子どもは顔を合わせてしまうわけですから、配慮が必要になります。傷が広がらないようにすべきですが、対応について伺います。

○金子指導部長 体罰事案が発生した際には、児童生徒の心情に十分配慮し、事実関係を正確に調査することや全校集会で児童生徒へ説明すること、理解や協力を得るための保護者会を開催すること、また、部活動の場合は顧問を外すことなど、いずれの学校におきましても、児童生徒や保護者の状況に応じて、慎重かつ丁寧な対応を行っているところでございます。

○中村委員 対応について今お伺いしましたけれども、残念ながらそうではないというような事例もないわけではないようですから、きちんとこういった対応ができるように、またこれは徹底していただきたいと思います。
  今回、体罰があった学校名を公表しました。体罰根絶のため、また、いじめのように子どもが加害者ではなく、教員だからということで発表したようです。しかし、発表すれば、当然その学校ではどの先生が体罰を行い、どの子が被害を受けたのかという話になり、子どもが再び傷つくというおそれもあるはずです。
  今回の発表によって、体罰を受けた子どもの人権はきちんと守られたのでしょうか。お伺いいたします。

○岡崎人事部長 体罰があった場合には、被害を受けた児童生徒や保護者に対して、各学校において直ちに状況を把握した上で事実関係を説明するとともに、被害児童生徒の置かれた状況に十分配慮して、他の保護者や児童生徒への説明を行う必要がございまして、多くの学校ではこうした対応を適切にとっております。
  また、都教育委員会が今回調査を発表するに当たりましては、体罰の程度が著しい事案等を除き、学校名の公表にとどめ、被害児童生徒の影響に配慮しております。

○中村委員 今回は、報道によってこういう体罰の問題があって調査をしたので発表したのだと思います。今後どういう対応になるかわかりませんけれども、いずれにしても、子どもの視点からしっかりと配慮していただきたいというふうに思っています。
  次に、体罰が発生した場合、その教員の処分がどのように決まるのか伺います。
  都教育委員会では、直接子どもの意見を聞かないのでしょうか。最近では、通常の裁判でも被害者参加ということが進みつつありますが、これは厳罰を処すためということではなくて、被害の状況が正しく決定の際に反映されているかということ、そうではないと今後の子どもの成長にも影響が出かねません。
  通常の公務員の処分の手続と同様ということかもしれませんが、横領や着服のようなものと違い、傷つける相手がいて、ましてや相手は特別の関係にある教員と生徒児童であり、かつ今後の成長に影響があるので、配慮が必要ではないかと思います。
  単に被害者感情で厳罰にしろということではなく、その後の子どもの立ち直りにも影響があると思いますが、被害者である子どもの意見や感情はどう考慮されるのか伺います。

○岡崎人事部長 小中学校において服務事故が起こった場合には、まず、区市町村教育委員会や校長が事故者、被害児童生徒、目撃者などから事情を聞きまして、事実を認定し、都教育委員会に事故の報告を行います。
  都教育委員会は、事故者が事実関係を否認するなど、事実を十分に解明できない場合に、服務監督権者である区市町村教育委員会と連携して、必要に応じて被害児童生徒からも聴取を行っております。
  処分の決定に当たりましては、児童生徒、保護者が体罰を許容している、あるいは逆に処罰感情が強いといったことを理由に、量定が軽くなったり重くなったりすることは適切ではなく、都教育委員会が事情聴取などから客観的に認定した事実により、処分の基準や過去の処分例等を参考に、地方公務員法に基づき、公正かつ厳正に処分を行っているところです。

○中村委員 事情聴取は、市区町村の教育委員会が行って、そこから都教育委員会に報告が上がって処分を決めるとのことです。このため、子どもや保護者が対応に不満があっても、市区町村に聞くと都が決めるといい、都に聞くと市区町村からの報告に基づいているとして、どちらも十分な対応をしているとはいえないようです。
  こうした対応では、相談があってもたらい回しのように思われてしまいます。縦割り的な対応を見直す必要があると考えますが、所見を伺います。

○岡崎人事部長 服務事故が発生した場合には、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に従い、服務監督権者である区市町村教育委員会が事案を調査し、都教育委員会に報告、内申を行い、これらを受けて、任命権者である都教育委員会がみずからの判断で懲戒処分を行っています。
  都教育委員会及び区市町村教育委員会は緊密に連携し、それぞれの権限に基づき説明責任を果たしております。
  なお、体罰等の不適切な行為に係る相談を受け付けるため、今般新たに公益通報弁護士窓口を設置いたしました。

○中村委員 被害を受けた方からは、本当に複雑な思いもあるわけでしょうから、組織上の問題で、市区町村とか都とかということではなくて、きちんと対応ができるようにしていただければというふうに思っています。
  また、体罰を受けた子どもには、体罰をした教員の処分が全く聞かされないそうです。個人情報のためいえないとのことですが、一般的に公開することと、直接の被害者に伝えることとはまた違うと思いますが、見解を伺います。

○岡崎人事部長 懲戒処分は、刑事罰とは異なり、問題となる行為を行った職員に対して、任命権者として行う処分でございまして、法令に従い厳正に行っております。
  懲戒処分を発令した場合は、教職員にさらなる自覚を促し、服務事故の防止について徹底を図るため、公表基準に基づき、報道機関に情報提供するとともに、都教育委員会のホームページなどで広く公表しております。
  なお、こうした処分とは別に、体罰により被害児童生徒や保護者の中に対応への不満等がある場合には、学校において引き続き丁寧に対応してまいります。

○中村委員 懲戒処分を発令した場合は公表ということなんですが、それ未満の場合というのがなかなか知らされないということもあったり、そこに不満が残るということもあるようです。
  このことは、課題として今後検討していただきたいというふうに思っていますし、また、処分とは別に、丁寧な対応というのは当然やっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
  さて、処分については都教育委員会が行うのですが、外部の意見も必要との意見もあります。とりわけ個人情報の壁によって、その決定に外からかかわれないなら、せめて第三者機関をつくって、外から見えなくても、そうした機関がきちんと機能していれば納得できる場合もあります。
  第三者機関が必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○岡崎人事部長 処分の決定に当たりましては、区市町村教育委員会の報告や内申をもとに、客観的に認定した事実によりまして、処分の基準や過去の処分例を参考に、事務局が作成した原案を懲戒分限審査委員会で審議した上で、独立した合議制の執行機関である教育委員会が決定しているところです。
  したがいまして、この現行の仕組みは適切なものと考えてございます。

○中村委員 さて、処分の基準とはいかなるものでしょうか。起訴されたかどうかとは関係があるのでしょうか。子どもの傷を考えると、刑事告発までしたくないという思いも保護者にはあるようです。それが処分の差になるのでしょうか。どのようになっているのか伺いたいと思います。

○岡崎人事部長 処分に当たりましては、教育委員会に諮り決定した教職員の主な非行に対する標準的な処分量定、これを基準に過去の処分例と比較するなど、個々の事案について十分検討し、処分の重さを決定しております。
  起訴されたか否かにつきましては、処分の重さとは関係がございませんで、仮にその事案が刑事処分において不起訴となったとしても、教員として著しく信用を失墜させるような非行行為がある場合には、厳正に対処しております。

○中村委員 今の中で、処分は、標準的な処分量定に基づいてしているとのことでした。報告書の方では、今後処分量定の見直しということはありましたが、具体的にはどうなるのか伺います。

○岡崎人事部長 今回の調査によりまして、百八十二人の体罰や五百四十二人の不適切、行き過ぎた指導が明らかとなりました。これらを詳細に分析し、体罰と指導の範囲をさらに明確にするため、現在、部活動指導等の在り方検討委員会におきまして、ガイドラインの検討を行っております。
  今後、このガイドラインの検討に合わせまして、教職員にさらなる自覚を促し、服務規律の徹底を図るため、処分量定の見直しについて検討してまいります。

○中村委員 さまざま質問をさせていただきましたが、ご答弁ありがとうございます。
  これまで二、三十件だったというのが急にふえたということで、実際にふえたというよりも、新しく発覚してきたということだと思っていますので、本当に根深い問題だと思っています。
  体罰の根絶は何より大切ですので、万が一にもあってはなりませんが、起きてしまった後の対応はきちんとされなければなりません。単に問題のある教員の行為をなくすということだけではなくて、子どもが安全に学べる環境をつくることが大切です。そして、起きた場合には、その子どもの傷が一日も早くいえるようにすることが大切です。
  さらに一層の取り組みを要望しまして、質問を終わります。

 

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