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都議会質問記録

2013/09/27 国際コンテナ戦略港湾、新銀行東京について質問しました

2013年9月27日、国際コンテナ港湾戦略、都立産業技術研究センターの業務評価、新銀行東京の経営について質問しました。

1 港湾局への質問

○中村委員 私からも、国際コンテナ戦略港湾に係る取り組みについて質問いたします。これまでの質疑で重なるところが多いんですが、簡潔に質問しますので、お答えよろしくお願いします。
  まず、今回委員会にご報告いただいた国際競争力強化の取り組みの一環としての特例港湾運営会社に申請することについてですが、指定されると無利子貸付制度の拡充などの効果があるとの説明を受けました。
  この東京港埠頭株式会社としては、東京港の国際競争力強化に向けて、こうした支援をどのように活用していくのか、まず伺います。

○藏居港湾経営改革担当部長 東京港埠頭株式会社は、東京港の国際競争力強化を図るため、中央防波堤外側Y1、Y2、Y3ターミナルの整備や、既存施設の再編、機能強化などに取り組み、特例港湾運営会社として得られる無利子貸付制度や税制優遇による一定程度の効果も活用し、ターミナルコストの低減や利用者サービスの向上を図ってまいります。

○中村委員 一定程度の効果があるということですから、この制度を活用いただいて進めていただきたいと思います。とはいえ、このことだけでということで国際競争力ということではないでしょうから、三港の経営の一元化ということが大切になると思っています。
  いずれは東京港、横浜港、川崎港の三港の経営の一元化を図るという方針ですが、国の関与が大きくなるということが懸念をされています。これまでの委員会等いろんなところの議論でも、先ほどもお話がありましたが、知事が国交省の危険な意図とも述べているようですが、まさに国が関与を強めようとしています。
  知事は自治体がしっかりと港湾の経営にかかわっていくことが不可欠と述べていますが、具体的にどのような考え方を持っているんでしょうか。また、知事はこれも中央官僚と対峙をしていくと述べていますが、具体的にどのような取り組みをしていくつもりですか、お伺いいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 港湾の経営は、港湾管理者である地方自治体が利用者や港湾関係者と長年の信頼関係を積み重ねつつ、港の実情を踏まえたきめ細かい対応を図ってまいりました。
  また、国際競争力強化が喫緊の課題である東京港の経営については、首都東京のまちづくりと密接に関連しており、産業政策や物流インフラの整備など大都市経営と不可分であり、都が主体となって取り組んできております。
  こうしたことから、港湾管理者の自治体が港湾経営に関与していくことが、東京港の国際競争力強化には不可欠であると考えております。
  三港のふ頭会社を単純統合することで、地方自治体とふ頭会社との関係が薄まることや、港湾運営会社などに必要以上の国の関与が生じないよう、今後とも国と交渉を行ってまいります。

○中村委員 知事からかなり強い口調で対峙をしていくという話もありましたし、これから局の方でも国と交渉していくということでした。
  この間の十二日のこの委員会の説明でも、現場の実態を熟知した東京都が責任を持って港湾経営にかかわっていくことのできる体制を確保すると述べられていましたが、これは具体的にはどういう姿を目指しているのでしょうか。
  経営を統合することによって競争力を強くすることを目指しているわけですが、それにより、都としても、国の関与は減らすことが、これは大変ですけど、できたとしても、川崎市や横浜市との調整というのも必ず必要になります。
  東京都としては、港湾運営会社が設立された後も経営にどのように関与して、この効果を発揮していくのでしょうか、お伺いいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 東京、川崎、横浜の三港が連携し、経営統合し、京浜港として国際競争力を強化していく一方、三港それぞれの個性や長所を生かした港湾運営が必要であります。
  港湾運営会社制度について、国との交渉の結果、単純合併に加え、既存のふ頭会社を存続させ、新たな運営会社を活用した上下分離方式も認められることになりました。
  統合形態につきましては、川崎港、横浜港及び国と検討を進めていくことになりますが、経営統合後においても、港湾の国際競争力を強化していくため、港湾会社が港湾経営にしっかり関与し、各港の実情に熟知したふ頭会社を活用し、各港の強みを発揮できる体制の構築を目指してまいります。

○中村委員 各港の実情に熟知したようにということですから、これからまだまだ出資比率はどうなるかとか、社長が誰になるとか、いろいろ大変なことがあるとは思いますけれども、ぜひとも都が責任を持ってというふうにおっしゃっていますので、積極的にかかわっていけるような取り組みをしていただきたいと思います。
  三港の経営の一元化によって、国や川崎市、横浜市とも調整をするというのは、これはまた段階を経ていかなければなりませんので、そういうことをやってでも国際競争力が増すからこそ取り組んでいくわけですから、こういうことによって、アジア諸港との競争において優位に立てるのかどうかということが大切になりますので、そこを伺いたいと思います。
  諸外国の他都市に比べて実際有利になっていけるのか、また、そのためには、国に経営の関与は必要以上にさせずに、むしろ重点的な投資をさせていくことが必要になると思いますので、その取り組みを伺います。

○藏居港湾経営改革担当部長 中国を発着する貨物が急増する中、アジアと欧米とを結ぶ国際基幹航路に占める日本発着貨物のシェアは相対的に低下しており、このままでは大型コンテナ船が日本港湾を素通りして、釜山などの港で積みかえを移送されることによりまして、物流コストが増大するおそれがございます。
  そのため、三港連携を一層推進し、アジア諸港に対峙していけるよう、コスト削減やサービス向上を進めることにより、国際競争力強化に取り組んでおります。
  国に対しましては、国際コンテナ戦略港湾の選択と集中の理念に基づき、京浜港への重点投資が行われるよう、引き続き要望を行ってまいりたいと思っております。

○中村委員 ご答弁ありがとうございます。本当にこれから、いろいろ先ほど局長からもお話もありましたけれども、大変なこれは取り組みだと思いますけれども、しっかり三港連携しながら、また、国に余り口は出せなくて、そのかわり選択と集中ということで、いかに重点投資させていくかということは、これは本当に大変だと思いますけれども、しっかりと交渉の方もしていただいて、国際競争力が強化できるよう取り組んでいただきたいということを要望しまして、質問を終わります。

2 産業労働局への質問

○中村委員 平成二十四年度の都立産業技術研究センターの業務実績報告について伺います。
  都内のものづくりを行う中小企業はそのすぐれた技術力により東京の経済を支えていますが、近年、グローバル経済のもと、新興国企業との激しい競争にさらされるなど厳しい経営状況にあります。
  この中小企業の振興を図る産業技術研究センターについて、昭島に多摩テクノプラザが設立された際に見学をさせていただき、また、今回質問に当たり、青海の本部も訪問し、見学をさせていただきました。知事が所信表明で述べていた3Dプリンターなどの機器や、相談窓口での取り組みも拝見をさせていただきました。
  私も製造メーカーで勤めていたこともありますので、実感として、ものづくりがこの国を支えているとの認識を持っています。今回本部が新たに完成したこともあり、相談や依頼試験の件数などが大幅にふえていることは高く評価しますし、今後もその取り組みを拡充させていただきたいとの趣旨で質問します。
  ものづくり企業が現状を打破し、新たな活路を切り開くには、画期的な新製品、新技術を開発することが重要です。中小企業は人や資金面での余裕がなく、研究開発に踏み出せないのが現状です。こうした中小企業の課題を解決するため、産業技術研究センターは、相談や依頼試験や機器の貸し出しなど、これまで以上に幅広く、きめの細かい支援を充実していただきたいと考えています。
  研究員や設備、機器など、みずからの資源をフル活用して支援に当たるのはもちろんのこと、地域に密着した活動を行う支援機関や市区町村などと積極的に連携を進めていくことも重要と考えます。
  この業務実績報告書によれば、産業技術研究センターは他の機関と連携協定等を締結していますが、自治体との実績では、区との協定等が七件となっているのに比べて、多摩地域においてはまだ三件にすぎません。
  高い技術を持つすぐれた中小企業が多数存在する多摩地域は、東京の産業の活力を維持向上していく上で極めて重要なエリアです。多摩地域の自治体との連携を一層強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○十河商工部長 都内の各自治体は、地域の特性を踏まえ、地元に密着した中小企業支援を実施しており、産業技術研究センターは、これら地域における産業振興の取り組みに貢献するとともに、センターの利用促進を図るため、各自治体との連携強化に努めております。
  多摩地域にはすぐれた技術力を有する中小企業が多数集積しておりますことから、産業技術研究センターでは、これまでも多摩地域の各自治体と連携し、展示会やセミナーの共同開催、自治体による機器利用料金の助成など、幅広い取り組みを実施してまいりました。
  こうした取り組みの一環として、多摩地域の自治体の意向も踏まえつつ、必要に応じて協定の締結にも取り組んでおります。
  今後も産業技術研究センターでは、都内各自治体との幅広い連携をさらに強化し、地域の中小企業に対する支援の充実を図っていくこととしております。

○中村委員 ぜひ、多摩地域にも多くの中小企業がありますので、市町村とも連携をより強化して積極的に取り組んでいただきたいと思います。
  さて、産業技術研究センターの支援業務では、技術相談や依頼試験などで大きく実績を伸ばしており、評価委員会からも、地域の中小企業に正面から向き合い、ニーズに合致した支援の充実に努め、十分な結果を出したと高い評価を得ています。
  このように着実に成果を上げているわけですけれども、より多くの中小企業にご利用いただくことは、産業振興を進めていく上で必要ではないかと考えますが、この産業技術研究センターの広報活動の取り組みについてお伺いします。

○十河商工部長 産業技術研究センターの認知度を高め、より多くの都内中小企業に利用していただくため、本部、多摩テクノプラザ及び各支所では、積極的な広報活動に取り組んでおります。
  具体的には、ホームページや機関誌による情報発信、交通機関への広告の掲出など広報媒体を使ったPRはもとより、技術テーマを絞った展示会、セミナー、相談会、あるいは施設公開の実施などにより、支援内容や研究成果をより詳しく知ってもらうような工夫をしております。
  こうした取り組みが平成二十四年度において、技術相談、依頼試験、機器利用で、過去最高の支援実績を上げた要因の一つと考えております。

○中村委員 報告書の方に書いてあったんですが、中小企業の産業技術研究センターの認知度というのも広報によって高まってきているようですけれども、まだまだ知っていれば活用できて事業の拡大につながるようなこともありますので、今後とも広報にも力を入れていただいて、より積極的に活用していただけるよう取り組んでいただきたいと思います。
  また、この産業技術研究センターが頼れる存在である理由の一つは、中小企業では導入が困難な最先端の機器を数多く整備していることが挙げられます。しかしながら、技術革新のスピードにより、機器のレベルも日進月歩で向上しています。最先端の技術の動向や中小企業のニーズを踏まえて、機器を整備する必要があると考えますが、どのように取り組んでいるのか伺います。

○十河商工部長 都内中小企業の高度な技術ニーズに対応するためには、さまざまな技術分野で最新鋭の機器を整備していく必要があります。
  このため、産業技術研究センターでは、昨年度、利用希望の多い電子顕微鏡や3Dプリンターなどを本部に増設し、高品質、高付加価値な製品づくりを行うための環境の充実を図りました。
  今後も、機動性の高い地方独立行政法人のメリットを生かし、その時々の中小企業のニーズを踏まえ、必要な機器の整備を図っていくこととしております。

○中村委員 技術の進歩は大変早いので、最新の機器もすぐに時代おくれになってしまうようにもなってきました。同時に、大変高価な機器が多いので、計画的な導入も必要です。常に情報収集を行って、企業のニーズを先取りしていけるよう、していただきたいと思います。
  次に、研究開発についてです。
  産業技術研究センターが中小企業の技術力向上や高付加価値製品の開発を効果的に支援するには、支援を行う研究員自身が技術的な知見を積み重ねていくことが必要です。そのためには研究活動を活発化させることも重要です。特に外部の研究資金の獲得を目指して、提案公募型の研究開発事業に応募することなどは、職員の能力や研究の質の向上にもつながり、効果的であると考えます。
  二十四年では六十二件の応募をし、十一件の新規採択を獲得したと評価書に記載されています。そこで、産業技術研究センターにおける研究活動への取り組み状況について伺います。

○十河商工部長 中小企業に対して質の高いサービスを提供していくためには、多くの中小企業が直面する技術課題の解決や、付加価値の高い製品づくりに役立つ研究開発を着実に進めていくことが重要であります。
  そのため、産業技術研究センターでは、中小企業の技術ニーズを踏まえ、ものづくりの基盤的技術からメカトロニクスまでの幅広い分野を対象に独自の研究を実施しております。
  さらに、こうした研究成果をもとに、お話の国などが行う提案公募事業なども積極的に活用し、研究資金の交付を受けながら、研究活動の充実を図っております。

○中村委員 企業は業績の方が厳しくなると、どうしても利益になる研究や開発にシフトする傾向がありますが、だからこそ、この産業技術研究センターとして中小企業が使えるような技術の研究開発を行っていただくよう要望します。
  次に、報告書の記載にもあった放射線量の測定について伺います。
  福島第一原子力発電所の事故以降、中小企業の工業製品の出荷に当たり、食料品だけではなくて、放射線測定の試験結果が求められることもあると聞いています。放射線濃度の監視や測定は都民生活の安全・安心の確保の上でも重要です。
  この産業技術センターでは、放射線量の測定の取り組み状況をどのように行っているのか伺います。

○十河商工部長 福島第一原子力発電所の事故の影響により、海外に広がった日本の工業製品に対する放射能の風評被害に対応するため、産業技術研究センターでは、平成二十三年四月より、製品の放射線量測定試験を実施しておりまして、平成二十四年度においては、業務実績評価書に記載のとおり、三百三十七件の依頼に対応いたしました。
  また、大気浮遊じんに含まれる放射線量測定についても毎日実施しておりまして、その結果をホームページを通じて都民に周知し、的確な情報提供に努めているところでございます。

○中村委員 この放射線量の測定なり、その時々に求められるものがありますので、柔軟な対応ということをしていただければと思います。
  ものづくりの中小企業を取り巻く環境はまだまだ厳しいものがあると感じています。そうした中で、産業技術研究センターが果たすべき役割はますます重要となっていくものと考えます。中小企業の技術課題の解決にしっかりと対応していただくことを要望して、私の質問を終わります。

○中村委員 ご報告いただいた平成二十六年三月期の第一・四半期決算に関連して質問します。
  今回の決算では黒字にはなっていますが、当初の目的の中小企業支援と収益の確保との両立が難しい状況というのがうかがえます。代表質問への答弁でも、まずは安定的に黒字を確保し、企業価値をさらに高めていくとのことでした。現在の中期経営計画の期間は平成二十四年度から二十六年度ですから、既に半分が過ぎ、次を検討し始める時期も来ます。
  社長が現在の中期経営計画を発表してすぐのタイミングで、マスコミに対して、二十七年度以降、店舗もふやし、本格的な拡大路線に転じると取材で答えていました。現在の計画では一店舗二百人体制を継続とあります。銀行の経営者としては拡大したいのでしょうが、リスクが伴うため、これまでの経過を踏まえると、それほど容易な話ではありません。新銀行東京の今後の業務展開について都の認識を伺います。

○黒沼金融監理部長 新銀行東京は、平成二十四年三月に策定をいたしました現在の中期経営計画に基づき、一店舗二百名体制を維持しながら、安定的な黒字体質の確立に向けまして、与信管理の徹底や経費の削減など、堅実な経営に取り組んできております。
  お話の報道につきましては、中期経営計画発表直後の社長のコメントでございまして、今後の業務展開につきましては、この中期経営計画の成果や実績などを踏まえまして、まずは経営陣が検討していくものと認識をしております。
  都といたしましては株主として、その内容を十分に検討した上で、株主連絡会等におきまして必要な意見を表明していく考えでございます。

○中村委員 中期経営計画の案は経営陣がつくるとのことですが、先ほど述べたように、少し前の取材ですが、経営陣は拡大路線を志向しているようにも見受けられます。都は議会からの指摘もあり、株主として監視をし、現在の計画でも、コストのさらなる徹底的な削減を行っているのですから、今後も厳しい目で見ていただきたいと思います。
  さて、代表質問の答弁のように、企業価値を高めるといっても、事業譲渡などでは具体的な数値目標があるわけではありません。今の企業価値でも引受先があればいいわけですが、最近では、前の知事がよくいっていたようなセカンドステージという言葉も使われなくなってきました。誰も何も動かなければ、向こうから買いますという話が来るほど簡単ではないと思いますが、新銀行東京の将来展望についての都の認識を伺います。

○黒沼金融監理部長 さきの本会議でご答弁申し上げましたとおり、新銀行東京の将来展望につきましては、さまざまな可能性も考えられますが、今はまず、中期経営計画の達成に向けて足元をしっかりと固め、経営基盤をより一層強化していくことが何よりも重要でございます。
  新銀行東京が現在の安定した黒字体質を継続して、金融機関としての企業価値をさらに高めていくこと、このことが将来のさまざまな可能性を実現していく前提になるものと考えております。

○中村委員 前の知事の急な辞任もあり、担当している産業労働局の皆様も苦労されていると思います。今の知事もオリンピックの招致で忙しかったんでしょうが、都としても、この銀行のために一つの部を存続させているのですから、多額の経費もかかり続けています。
  都がこれ以上リスクを負い、都民に負担が来ることのないよう、慎重かつ迅速な対応を求めて質問を終わります。

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