> 都議会質問 > 都議会環境・建設委員会 > 外郭団体の改善について質問しました

都議会質問記録

【9】2010/06/10 外郭団体の改善について質問しました

2010年6月10日、東京都議会 環境・建設委員会において議案について質問を行いました。以下に質問と答弁を掲載します。

補正予算案、道路整備保全公社からの寄付についての質問

〇中村(ひ)委員 補正予算案のうち、財団法人東京都道路整備保全公社からの十億円の寄附に関連して質問します。
 この寄附金については、八日の代表質問で、都議会民主党の山下太郎総務会長からも質問しましたが、監理団体のあり方が大きく問われる中で注目をされている事項のため、より詳細に質問させていただきます。
 そもそも今回の寄附については、包括外部監査からの公社の特定資産のうち、将来、公益事業に使用する部分については、都と協議の上、道路及び駐車対策に関係する公益事業に使用する計画を明確に立て、適切に使用するようにされたいとの意見を受けて、東京都から公社に対して、これに沿って改善するよう指導助言したとのことです。
 昨今、国では事業仕分けが行われ、外郭団体のいわゆる埋蔵金について注目され、公金の流れについての透明化が求められています。
 これまで東京都は、公社の積立金の三十億円について承知をしていたのだと思います。長年の経過で積み上がったのでしょうが、これまでは何も改善を指示していなかったように見えます。
 八日の代表質問に対する総務局長の答弁では、公益法人の財産の保有は適法だから問題がないとの趣旨の答弁がありましたが、一般の民間の公益法人ではなく、東京都の公益法人なのですから、今後に備えて、多額を内部に留保するのではなく、都民への還元を考える必要性があると思います。
 三十億円の積み立てについてどのように考えているのか、所見を伺います。

〇野口道路管理部長 東京都道路整備保全公社の特定資産は、都民還元につながる安定的な公益事業の展開を可能とし、また、新たなニーズや不測の事態への柔軟な対応ができるよう、公社が駐車場事業などの展開により得た収益の一部を財政調整積立金や施設補修準備金などとして、目的を持って積み立ててきたものでございます。
 今回、公社は包括外部監査の結果を受けまして、積立金を都民に還元していくための公益事業の活用計画を立てました。

〇中村(ひ)委員 今回の補正予算では、三十億円の積立金のうち、十億円が都に寄附されたということですが、その金額はどのようにして決まったのでしょうか。金額の根拠をお示しいただきたいと思います。
 また、代表質問では、東京都が行う方がより広く都民に還元できるとの判断と建設局長がお答えになりましたが、今後もこのように積立金ができた場合、東京都に寄附することはあるのでしょうか。
 また、公益法人の基準を超える金額になったら、寄附をするという取り決めをしていくことは可能でしょうか、ご所見を伺います。

〇藤井総務部長 まず、金額の根拠でございますが、公社は包括外部監査の意見を受けまして、積立金の使途について電気自動車用の急速充電器の拡充やカーシェアリングの普及支援、自動二輪駐車場の整備促進、あるいは道路施設等の改修などの都民還元の公益事業に活用することを検討してまいりました。
 その中で、道路施設の改修等の工事につきましては、本来の道路管理者である都が行う方がより広く都民に還元できるとの判断をいたしまして、十億円を都が行う道路事業へ寄附することといたしたものでございます。
 二点目でございますが、積立金ができた場合、都に寄附することがあるのかということでございますが、公益法人において認められている積立金は、公益目的事業を行うために必要な資産である場合や、将来の特定の事業費や管理費に充てるために積み立てているものでございます。団体の経営判断により、積み立ては行われております。
 新たな公益法人においては、使途が明確でない積立金は、公益目的事業費の一年分相当のみとなっておりまして、それを超える積み立ては認められないこととなっております。寄附自体につきましては、団体独自の判断でなされるものであり、寄附者の意思によってなされるものと考えております。
 したがいまして、あらかじめ基準や取り決めを定めることにはなじまないと考えております。

〇中村(ひ)委員 あらかじめ決めることはできないということですけれども、少なくとも基準があるわけですから、今後、それは超えないように、都の方でも公社の方のしっかりとした指導をお願いしたいと思います。
 さて、今回、十億円が都に寄附をされると、公社には二十億円残るわけですけれども、東京都はそれについて、公社がどのように扱うと承知をしているのでしょうか。
 また、この二十億円を含めて、公益事業についてはどのように都が評価をし、どのように関与しているのか、しっかりとした評価、検証がないと、効果のある事業ができているのかわかりません。場合によっては、特定の事業者のための利権が発生してしまうおそれもあるのではないかと思います。
 残りの二十億円の使途はどのようなものでしょうか。また、公益事業の評価、検証について伺いたいと思います。

〇野口道路管理部長 東京都道路整備保全公社は、公社が保有する積立金の活用計画を定め、さきに開かれた評議員会でも説明しております。それによりますと、公社は特定資産のうち十億円を都に寄附するとともに、包括外部監査の結果及び公益財団法人の認定要件を考慮して、電気自動車用急速充電器の都内設置や、違法駐車が問題となっております自動二輪車駐車場の整備促進、地域が取り組む道づくりへの支援などに充当するとしております。
 都といたしましても、こうした使途については都民還元に資する公益事業が中心となっており、期待できるものと評価しております。
 次に、公社が実施する個々の公益事業の評価、検証についてでございますが、公社は独自に学識経験者と公募都民委員から成ります公益事業第三者評価委員会を設置して、実施した公益事業の中から、毎年テーマを選定して第三者評価を行い、次の公益事業の計画実施に反映させるとともに、その評価結果を公社ホームページに掲載し、広く一般に公表しており、透明性は十分に確保されていると考えております。
 一方、都は、道路整備保全公社の事業について、公社の公益事業も含めまして、各年度の公社の事業計画案、予算案等の都への事前協議及び決算報告の手続の中で、その内容を確認しております。

〇中村(ひ)委員 今回の寄附は、包括外部監査の意見から始まったものですので、これを理解するためには、都の監理団体である公社のあり方と東京都のかかわりを明らかにする必要があります。
 そこで、公社について幾つか質問します。
 まず、公社の駐車場事業について伺います。八日の代表質問に対する総務局長の答弁では、監理団体は都政の一翼を担うものであり、具体的には都の行政目的達成に必要な公共性の高い事業や、民間市場が未成熟で、現時点で民間にゆだねては、都民に必要なサービスが十分に提供されないおそれがある事業等が主であるとされました。
 この公社は、もともと昭和三十五年に財団法人東京都駐車場協会として発足したものですが、時代の変化や監理団体への考え方の変化の中で、東京都からの受託事業の割合が多くなってきました。東京都からの受託事業は、全額そのために使われるため、今回の積立金は駐車場事業によるもので、これが公益事業に使われたとのことです。
 とはいえ、駐車場については民間事業者も多く行っており、競合する分野になっています。現在、公社が駐車場事業を行っていることについて、東京都のご所見を伺います。

〇野口道路管理部長 東京都道路整備保全公社は、交通渋滞の解消に寄与する駐車場、自動二輪車駐車場など、また、採算がとれず民間経営になじまない駐車場などを公益的な観点から独自に設置、運営し、都内における違法駐車の抑制、円滑な道路交通の確保に大きく貢献しております。
 さらに、駐車場事業全体から生じる収益を活用して、駐車場案内サイトs-park、これは駐車場の位置やその満空情報がリアルタイムでわかるもので、都内の時間制駐車場のほぼ一〇〇%をカバーしており、アクセス件数は年間三百七十一万件に達します。
 これを運営するほか、電気自動車用急速充電器の都内設置やユニバーサルデザイン駐車場の設置など、環境や福祉に貢献する公益的、先駆的な取り組みも積極的に展開しております。

〇中村(ひ)委員 私は、監理団体の存在については否定するつもりはありませんが、先ほど総務局長の答弁を引用しましたが、こうした趣旨が徹底されることが前提であって、かつ経営、財政、人事が東京都と同様の透明性があることが求められます。
 そこで、これも国政の方において外郭団体のいわゆる天下りが批判されていますので、東京都の退職職員の公社への就職について質問したいと思います。
 退職職員について、特に仕事と報酬が見合っているのかが懸念されます。
 そこで、公社には全体の職員数のうち、都の退職職員が何人いるのか伺います。また、役員の内訳と報酬と退職金がどうなっているのかについても伺います。
 知事は、国の天下りとは違うとよくいわれていますが、具体的にはどう違っているのか、ご説明願います。

〇藤井総務部長 まず、公社の都の退職職員の数でございますが、公社では、例えば用地取得にかかわります事務のように、都の職員が長年にわたって培ってきた技術や経験を活用できる分野において、公社が独自の判断で都の退職者を公社の職員として採用しております。
 その人数でございますが、包括外部監査報告書にもありますように、平成二十年度現在で六十四名が在籍しております。
 次に、公社役員の内訳と報酬、退職金でございますが、公社の役員、常勤役員は理事長一名、常務一名の計二名でございます。報酬は、都の定める役員報酬基準を上限といたしまして設定しております。公社における役員報酬の二十二年度現在の平均は千二百万円余でございます。
 都の監理団体指導監督基準において、監理団体役員には退職金は支給しないと定められておりまして、公社でも退職金の支給は行っておりません。
 最後に、国の天下りとの違いということの具体的なお話でございますが、公社は、団体のみずからの判断で、団体にとって必要となる人材を一定の手続を経て職員として採用しておるところでございます。都の退職者には、公社からの退職金は支給してございません。
 また、公社は都政の現場を担うパートナーであり、行政運営を支援補完する重要な機能を発揮するに当たって、都の事業の現場で培ってきました技術や経験を有する都の職員の退職者の活用によりまして事業推進を図っていることもございます。
 一般的なイメージとして使われております天下りが、例えば早期退職をして渡りを繰り返し、退職金の支給を繰り返し受けるというようなことであるとすれば、それとは全く異なるものであろうと認識しております。

〇中村(ひ)委員 国と都はもちろん制度が違うのでしょうけれども、天下りという言葉に明確な定義があるわけでありませんので、都知事がいかに違うといっても、都の職員が退職後に関係する団体に就職すれば、一般的に都民は天下りだと受けとめます。人材の活用ということでしたら民間にも人材はあるので広く募集すべきですし、定年後の就職という点では公務員以外の方にも同じ問題を抱えています。これは建設局だけの問題ではないことは承知していますが、人材の活用については、公平性、透明性が保障されるよう、今後、検討することをお願いして、次の質問に移ります。
 今後の公社への東京都のかかわり方について伺います。
 監理団体の透明性がより求められますが、今後どのように公社の経営にかかわり、適正な積立金へのチェック、情報公開をどう指導していくのか、見解を伺います。

〇藤井総務部長 公社は、都の監理団体として、都の要綱等に基づきます情報公開制度を運用し、経営の透明性を確保しております。都としても毎年の決算報告を受けて、財務状況等のチェックを行っておるところでございます。

〇中村(ひ)委員 今後、監理団体についての都民の目はますます厳しくなっていますので、東京都全体の基準については総務局で検討されるのでしょうが、建設局でもより透明性の高い独自の基準を設けても何ら問題はありません。
 例えば、公社からさらに民間企業に発注される契約についても、公開する基準の引き下げを、金額を引き下げるなど、建設局としても検討していただきたいと思います。
 最後に、公社のあり方について伺います。
 公社がさまざまな事業を行う中、駐車場事業については、私の主張とは別にして、今後、縮小の方向だと思いますので、公益事業の必要性はあっても、その原資がなければ縮小してしまいます。
 逆に、東京都が行うべき公共事業についても、都の公務員が行うよりも迅速かつ柔軟に行う方が適切な事業については、公共性のある公社が都と一体となって行う事業があるかと思います。
 今後、将来的な公社のあり方をどのように考えるのでしょうか。公社を所管する建設局長として、公社の今後のあり方についてどのように考えるか、ご所見を伺います。

〇村尾建設局長 東京都道路整備保全公社は、交通渋滞の解消などを目的として駐車場運営を行うとともに、都道の無電柱化や公共用地の取得、工事監督補助業務などを通じて、都の道路行政を補完しております。局事業の推進に欠かせないパートナーとして、事業に取り組んでいることと考えております。
 引き続き、都としては、公社が都市基盤整備を進めていく上でのパートナーとして十全に機能を発揮するよう支援するとともに、適切な指導監督に務めてまいります。

〇中村(ひ)委員 ご答弁ありがとうございました。今議会で最も注目される議案の一つですので、多岐にわたって質問させていただきましたが、今後も監理団体改革については積極的に取り組んで、透明性の高い経営を行っていただき、東京都と監理団体を含めて都民サービスを向上させていただくことを要望しまして質問を終わります。

ユーティリティ

都議会質問内検索

Search

過去ログ