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都議会質問記録

【10】2010/06/16 「成年後見制度」について文書質問を提出しました

2010年6月16日、東京都議会 本会議において成年後見制度について都知事に文書での質問を提出しました。毎回一般質問ができる市議会と違い都議会では時間等の制約から4年間に数回しかないため、質問機会を保障するため文書での質問を認める制度があり、それを活用したものです。回答は知事の決済を経て次回の議会に文書で回答されますが、議事録上は本会議での質問と同様の扱いがされます。提出した質問(6月16日提出)と答弁(9月21日本会議で回答)は以下の通りです。

成年後見制度について

 介護保険制度の導入に伴い、措置から契約へと制度が変わるのと同時に、判断力の低下した高齢者のための制度として、成年後見制度が導入されました。今後、さらに高齢化社会が進展するに伴い、認知症の高齢者の増加、とりわけ都会では身寄りのない方の増加という問題に直面しています。
 東京都は、平成17年度に成年後見活用あんしん生活創造事業を創設し、区市町村に成年後見制度推進機関を設置する取り組みを支援してきました。しかし、弁護士や司法書士などの専門家だけでは対応できず、市民後見制度の養成も進められていますが、実際に後見人として選任されているとは必ずしもいえません。今後、より活用しやすい制度にするためのさらなる取り組みが求められます。
 都議会民主党は、平成22年度の予算要望において、「区市町村において、成年後見制度推進機関の立ち上げなど、制度の普及・定着が進むよう、成年後見活用あんしん生活創造事業を行うこと。また、地域福祉権利擁護事業を実施するとともに、苦情対応事業を実施すること。」を要望していますが、あらためて、現状、都の取り組みなどについて質問します。

質問1 認知症高齢者の増加や、知的障害者、精神障害者にとっても利用しやすい仕組みが求められる等、成年後見制度の重要性が増しています。東京都では区市町村を支援していますが、区市町村における成年後見制度推進機関の設置状況、及び後見制度活用の実績について伺います。

回答1
 都は、平成12年4月の成年後見制度創設以降、区市町村における成年後見制度の利用を促進するための体制整備を進めるため、「福祉改革推進事業」、「福祉サービス総合支援事業」を活用して区市町村の取組を支援しており、平成17年度からは「成年後見活用あんしん生活創造事業」を実施しています。
 本事業では、後見人へのサポート活動等を行う成年後見制度推進機関を設置する区市町村に対して財政支援を行うとともに、都自らも、実務を担当する区市町村・推進機関職員への研修や、困難事例などの対応への助言、後見人等候補者の養成などを行っています。その結果、平成22年4月1日現在、46区市が本事業に基づく成年後見制度推進機関を設置しています。また、東京都における成年後見制度の申立件数は、毎年増加しており、平成12年から平成20年までの累計は21,583件になります。

質問2 成年後見人は、専門家にとっては高い報酬が望めない面があり、また一方では、法律的に高度な専門性よりも身近なお世話を中心に市民による後見制度の必要性も求められています。需要が高まる中では、専門家との競合というよりも、すみ分けになっています。世田谷区をはじめ、市民後見人の養成に取り組む自治体がありますが、都の支援について、所見を伺います。

回答2 都は、区市町村と協働して後見人等候補者養成事業を実施しています。この事業は、都が、区市町村が推薦する社会貢献に意欲を持つ都民を対象に、後見業務についての基礎的な知識、援助のための制度や仕組み等を学ぶ基礎講習を実施し、その修了生に対して、区市町村の成年後見制度推進機関が実習活動等を行うことで、後見人等候補者を養成するものです。この外、5区市が独自に後見人の養成を実施していますが、都は、「成年後見活用あんしん生活創造事業」を通じて、これらの養成事業についても支援しています。

質問3 親族が後見人になる場合も多くありますが、他人の方が良い場合、また、身寄りがない場合もあり、市民後見人の需要がますます望まれます。しかし、区市町村の窓口でも、市民後見人の能力を測りかね、また、トラブルの際の責任の問題もあり、紹介するのを躊躇しているという声もありますが、課題解決のためにどのような取り組みをしているのか伺います。

回答4 成年後見制度を必要とする方が適切な後見人を得るためには、親族や弁護士等の専門家以外にも、制度の担い手である後見人のすそ野を広げるとともに、能力の向上を図ることが必要であると考えます。そのため、都は、「成年後見活用あんしん生活創造事業」を通じて、後見人等を養成するとともに、実務を担当する職員のスキルアップ研修を行っています。また、後見人からの相談を受ける区市町村の成年後見制度推進機関では対応が困難な事例等について、弁護士、司法書士、学識経験者等による助言が得られるよう、区市町村を支援しています。

質問4 今後、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等の成年後見制度利用の需要が高まると、後見人の研修を受けたことを公が認証したり、資格として確立することも方法の一つと考えられますが、都としてのご所見を伺います。

回答4 都が実施する後見人候補者等養成事業では、区市町村から都に推薦された方に対し、基礎講習を実施し、その修了者に対しては、修了証を交付しています。
基礎講習修了者は、平成17年度から平成21年度までに累計で250名となっており、そのうち、平成22年3月31日現在で、43名の方が家庭裁判所の審判を経て、後見人として活動しています。

質問5 成年後見制度は手続きの煩雑さ、時間がかかるなどの問題や、裁判所に申し立てる際、診断書を書いてくれる医師はいても、鑑定書を書いてくれる医師が少ないとの問題、市民後見人をバックアップするための体制整備などが指摘されていると聞いています。このような問題を解決するためにも、弁護士、司法書士などの専門家による支援の仕組みも必要と考えられますが、都としての所見を伺います。

回答5 成年後見制度推進機関は、福祉サービス事業者や弁護士等の専門職との関係者連絡会や事例検討会を実施するなど、地域のネットワークを活用し、後見人等を支援しており、都は「成年後見活用あんしん生活創造事業」を通じて、区市町村の取組を支援しています。

質問6 区市町村長の申し立てが進んでいない自治体もあるようですが、親族が高齢者の年金を勝手に使ってしまうなどの高齢者虐待という問題も起こっています。他人が家族に過度に介入することには慎重でなければなりませんが、虐待を早期に発見し、高齢者の権利擁護という観点からも、成年後見制度は有効と考えますが、都の取り組みについて伺います。

回答6 都は、「成年後見活用あんしん生活創造事業」において、実務を担当する職員に対して首長申立の手続をはじめとする具体的な業務内容や、高齢者虐待等の諸課題について理解を深めるための研修を行っています。なお、区市町村長による家庭裁判所への後見開始の申立実績は、毎年増加しており、平成12年から平成20年までの累計は1,190件になります。

質問7 生活保護などの低所得者の利用も増えています。生活保護受給者も成年後見制度を利用しやすくする必要があると考えますが、都としての所見を伺います。

回答7 成年後見制度は、生活保護受給者など、申立経費等の負担能力に乏しい方も安心して利用できることが重要です。このため、都は、後見人等を必要とする方に対し、区市町村が申立経費及び後見報酬の助成を行った場合、「成年後見活用あんしん生活創造事業」を通じて、支援しています。

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