> 都議会質問 > 都議会文教委員会 > 教育の質について質問しました

都議会質問記録

2013/03/15 教育の質について質問しました

2013年3月15日、来年度予算案、条例案、教育ビジョンについて都教育委員会に質問しました。とりわけ、教育においては、教員の質が大変重要なため、組織や人事の面から議論しました。

○中村委員 では、来年度予算と条例改正、教育ビジョンに関して質問します。
  教育にはさまざま施策がありますが、基本となるのは教員が児童生徒に教えるということで、その他の政策はそれを支える制度になります。そのため、教員の資質が大変重要になります。いじめや体罰の問題でも教員の資質が問われています。
  今議会には、議案として指導教諭の設置による条例改正が提案されていますので、関連して、人事や組織について、以下質問いたします。
  学校においては、校長と他の教員という、いわゆるなべぶた型の組織といわれていたのが、組織力での対応強化ということで、ピラミッド型に変わってきました。制度そのものにはそれぞれ長所、短所があるとは思いますが、現場で子どもが好きでずっと教えていたいという教員が、より働きやすくすることも大切です。
  組織の強化により管理が厳しくなったともいわれますが、現状の認識をお伺いします。

○加藤人事企画担当部長 学校におけるさまざまな課題を迅速かつ的確に解決するためには、教員個々の力を向上させることはもとより、組織的な対応強化を図っていくことが必要不可欠であります。
  都教育委員会では、教員の意欲を引き出し、能力を発揮させるため、主幹教諭や主任教諭の職を設置するなどの人事制度の充実や、組織的な学校経営を行うための体制整備等を推進してまいりました。
  児童生徒の能力を最大限伸ばすためには、教員一人一人が強い情熱と高い指導力を持ち、校長のリーダーシップのもと、学校全体が一体となって教育に当たる取り組みを一層推進することが必要であると認識しております。

○中村委員 ぜひ教員一人一人が意欲を持って取り組めるようお願いいたします。
  さて、副校長が足りないといわれて久しい中、原因は多忙から試験を受けないということだけではなく、教員の年齢構成がちょうど管理職になる層が少なかったということもあるようです。
  時間の推移で改善はされるようですが、現時点では、全体の年齢構成は三十歳前後と五十歳前後が多く、四十歳前後は少ないというM字型になっているため、多い年齢層が退職をすると、採用のときにまた大量採用するため、偏りが続いてしまいます。
  民間人校長を採用することの是非ということはありますが、それとは違って、社会人の経験を踏んだ教員資格を持った中高年層についての中途採用を真剣に考える必要があります。教員試験の年代層を広げるというだけではなく、別枠で採用することも考えられます。
  教育の経験がなく、民間の経験だけでいきなり校長にするならば、社会経験を踏んだ教員資格のある人に教育現場に入ってもらい、ある程度現場を踏んでから管理職になる方がよいと思います。こういった採用についてのご所見を伺います。

○岡崎人事部長 都教育委員会は、社会人経験を積んだ優秀な人材を幅広い年齢層から確保する目的で、民間企業等の社会人経験者を対象とする特例選考を実施しておりまして、平成二十一年度に実施した選考からは、年齢制限を五十九歳まで引き上げたところです。
  別枠で採用することにつきましては、数は確実に確保できるものの、応募者倍率が低い場合には合格者の質が求める水準に達しないおそれがあることから、一次選考は論文のみでありますが、二次選考の面接以降は一般選考の受験者と競争させる特例選考の方式をとっております。
  社会人経験者の受験者を増加させるため、社会人を対象とした説明会を実施するほか、今月から新たに専用のツイッターを使った情報発信や就職情報会社を通じた募集などの取り組みを行ってまいります。こうした取り組みを通じまして、社会人経験を積んだ優秀な人材を積極的に採用してまいります。

○中村委員 取り組みをしていただいていることはわかりましたが、年齢構成が一律、偏らないようにという取り組みから考えると、やはり枠を広げるということで、それで長短あるとは思うんですけれども、やっぱりそういうところもしっかり採用しているんだということを示すことも新たな人材の掘り起こしになるかと思いますので、そういった取り組みの方もさらにお願いしたいというふうに思っています。
  さて、組織とともに教育職員の人事考課制度について伺います。
  学校現場だけが特殊ではないとはいえ、営利企業とは違うため、業績評価は難しいものがあります。都議会民主党は、いじめへの対応をしてほしいという視点から、平成二十四年第三回定例会の代表質問の中で、業績評価がいじめの隠ぺいにつながらないよう述べました。
  これはいじめの問題だけではなく、児童生徒の学力を含めて、最初の状況をきちんと把握できていないと教員の評価が正しくされません。原因はそれだけではないと思いますが、予算の関係もあり、校長が四段階の絶対評価を行っても、教育長が五段階の相対評価に再編する際に、どうしても不満が残り、意欲の低減につながるとの指摘もあります。人事考課制度の課題と成果をどのように認識しているのか伺います。

○加藤人事企画担当部長 都教育委員会は、教員の資質、能力の向上及び学校組織の活性化を図ることを目的として、平成十二年度から自己申告と業績評価の二つの柱で構成する人事考課制度を導入しております。
  校長、副校長は、自己申告により、年間を通じて教員一人一人の課題や目標、適性や改善すべき点等を把握し、面接等により適切な指導助言を行うことで教員の資質、能力の向上につなげております。また、絶対評価、相対評価の双方を通じて教員の頑張りを昇任や給与に反映させることにより、教員一人一人のモチベーションの向上を図っております。
  今後は、引き続き評価制度の向上に取り組むとともに、評価結果を適切に処遇に反映させることで教員の意欲と努力に一層こたえることが必要であると認識しております。

○中村委員 この人事考課制度が導入されて十年以上が経過をしますので、検証する時期にも来ているかと思います。外部の有識者などの意見も聞きながら検証していただきたいと思います。
  さて、教員の評価をする校長そのものの質というのはその分、大変重要です。とりわけトップマネジメントが重要な組織に変わってきたこともあり、教員の評価もするのですから、その重要性はますます増しています。
  例えば、私、三鷹市内の小中学校、高校をよく訪問するんですが、学校というのは校長によって本当に変わるものだというのが実感されます。
  三鷹市では、今、全校がコミュニティスクールになっているんですが、そもそもこれが始まったのは、一人の校長の裁量で始められて、その後学校が変わって、それを受けて、今度は教育委員会が市の方針にしました。教育委員会の指導というのも大切なんですが、現場での指導者は大変重要で、やろうと思えばかなりのことがそこでできます。ただ、残念ながら時々首をかしげてしまうような校長もいないとはいえません。
  校長の役割と、さらにどのように人材を確保し、質の向上を図っているのか伺います。

○岡崎人事部長 校長は学校を代表し、学力向上や健全育成、地域との連携、いじめや体罰の根絶などのさまざまな課題の解決に向けてリーダーシップを発揮して、学校経営を行っております。
  校長に昇任するためには、副校長を三年以上経験した者がまず校長選考を受験します。この校長選考の倍率は、平成二十四年度の全校種平均で約三・五倍と厳しい関門となっております。そして、翌年度には校長職候補者研修を受講しまして、校長任用審査を受けます。この審査では、学校経営力、人材育成力、外部折衝力など、校長として必要な資質の有無を最終確認いたしまして、適格と判定された者には翌年度以降、校長となる資格が与えられるものでございます。
  そして校長任用後は、東京都教職員研修センターや区市町村教育委員会が校長研修を毎年実施いたしまして、幅広い識見を養うとともに、さまざまな教育課題への対応力や組織的な学校経営を推進するマネジメント能力を高めさせるなど、校長として必要な資質、能力の向上を図っておるところでございます。

○中村委員 校長になるところの倍率が高いということなんですが、副校長でないと校長の試験は受けられないわけですから、副校長になるところの倍率がそんなに高くならないというところが問題だと思いますから、そういったところ、いろいろな取り組みをしていただいていると思うんですが、よりよい人材確保という点では、校長だけではなく、副校長というところの人材確保も含めて取り組んでいただきたいと思います。
  さて、今議会では条例改正が提出され、指導教諭が新規で設置をされることになりました。教員の指導力向上のために指導する教員ということだと思います。まずは、どのような制度か、そして四月一日からはどのように配置をし、最終的な姿としてどのように配置をしていくのか伺います。

○加藤人事企画担当部長 指導教諭は学校教育法に定める職であり、模範授業等の実践を通じて、他の教員に対して教科指導の改善、充実のための指導助言を担う職でございます。
  都教育委員会は、すぐれた指導技術を持つ教員の授業を見せて研究させる仕組みづくりにより、教員がみずから成長しようとする意欲を引き出すとともに、相互に競い合って成長する組織風土を培うため、新たに実践的な指導技術と高い志を持つ教員を指導教諭の職に任用してまいります。
  都立高校及び都立特別支援学校には、本年四月より、教科ごと、障害種別ごとに指導教諭を合計十四名配置する予定でございます。今後は、計画的に、高校で約八十名、特別支援学校で約四十名の指導教諭を配置し、模範授業等の取り組みを通じて個々の教員の指導力と意欲を高め、教員の授業力を向上させてまいります。

○中村委員 次に、この指導教諭について、制度をつくるときの検討経過を少し伺いたいと思います。
  指導教諭は独自の選考試験ではなく、主幹教諭と同じ試験のようです。学校には校長として全体をマネジメントするのが得意な教員もいれば、子どもに教えるのが得意な教員もいます。よく野球でも、名選手が名監督とは限らないのと同じです。企業でも、研究にすぐれた人が、むしろ専門職としての待遇を与えられて取り組む人もいます。
  この指導教諭は、なぜ主幹教諭と同じ試験での任用としたのか、専門職として別の任用ルートにすることは検討されなかったのか、人数的に校長を目指す人が主幹教諭になるための試験ととらえられ、本当に指導にすぐれた教諭は受験しないのではないかなどの懸念があります。検討経過とそれらについての見解を伺います。

○加藤人事企画担当部長 各学校において授業の質を高めていくためには、学校経営計画に基づき、学校全体で組織的に学習指導の改善と指導力向上に向けた人材育成に取り組んでいく必要があります。
  指導教諭は組織的、計画的なOJTの核となることが求められていることから、組織運営について主幹教諭と同等の力量が求められます。そのため、組織運営に係る知識、能力と他の教員に対する指導力について能力実証を行った上で、教科指導力をあわせて持つ教員から任用することが必要であるとの結論に至ったものでございます。
  今後、指導教諭の設置目的や職責について周知を図り、人材の掘り起こしを行うとともに、引き続き教員一人一人の意欲と適性を踏まえた任用配置を行ってまいります。

○中村委員 四月からは都の学校に配置ということと、あと一年おくれて市区町村には配置をするようですが、どのような配置をするのか伺います。
  都全体で小学校二百十人、中学校百三十人という計画のようですから、各市区町村ごとに全教科の配置ではないようです。優秀な教員であれば、どの自治体でも求めてくると思いますし、不公平になってもいけません。配置の考え方について伺います。

○加藤人事企画担当部長 区市町村に指導教諭を配置する際には、小中学校における人材育成の特性や、区市町村ごとの実情を踏まえた指導教諭の活用ができるように配慮していく必要があります。
  配置に当たっては、区市町村の規模にかかわらず、安定的に指導教諭の人材確保ができることや、模範授業等への参加の交通の便など、指導教諭の活用の利便性を考慮する必要があることから、さまざまな配置の方法について、区市町村と協議を進めているところでございます。

○中村委員 指導教諭について伺いました。新しい制度ですので、この制度の導入によって、より教員の指導力が高まることは期待したいと思っています。
  さて、学校現場には都の職員の教職員と市区町村独自の採用の教職員がいます。これは、市区町村は独自の採用とはいえ、同じ現場で働いているのですから、市区町村に介入するというわけではないまでも、各自治体がどのような体制で取り組んでいるかの把握は必要ではないかと思います。
  今回、スクールカウンセラーの配置をしていただいたことは評価しますが、聞いてみると、これまで市区町村の独自採用がどうであったのかということは、都の教育委員会の方ではわかっていなかったということです。
  新しい制度をつくる場合、やはり現状把握は必要です。少し例は違うかもしれませんが、学校への冷房機器の設置においては、市区町村の仕事とそのままほうっておいたら、気がついてみれば区部は一〇〇%に近くて、市町村が二〇%余りと格差が大きかったため、都の支援で、ようやく多摩地域でも完備に近づいてきました。
  教職員の配置でも、仮に著しい体制の差があるようなら、都としても財政が厳しい自治体を支援するということも考えていかなければならないのではないかと思います。まずは現状把握が必要だと思いますが、こういったことについての見解を伺います。

○岡崎人事部長 独自に教員を採用している区市町村は、都内六十二区市町村のうち、品川区と杉並区のみでございまして、杉並区は現在、新たな採用は行っておりません。
  都内の公立小中学校の教員につきましては、都教育委員会が一括して採用いたしまして、各区市町村に必要な人数を配置するとともに、給与費については国と都が負担することで、財政力に差がある区市町村間で義務教育水準に格差が生じないようにしてございます。
  各区市町村独自の教員採用は、各自治体の施策選択の判断及び財政負担に基づき行っていると認識しております。

○中村委員 さて、次の質問に移ります。
  近年、教育現場における多様な課題にこたえるため、地域が支える教育の大切さがいわれています。先ほど三鷹の例も述べましたが、コミュニティスクールといわれていますが、さまざまな定義はあるんですが、学校運営協議会を設置しているという点が法的な一つの位置づけだとは思うんですが、都内では六区五市において、小学校百十校、中学校五十五校がコミュニティスクールになっています。三鷹市では、先ほど述べたように既に全校がコミュニティスクールになっています。
  この学校運営協議会を設置することで、教員の採用や転任などについて、地域が市区町村教育委員会を経由して都教育委員会に意見を述べることが可能となり、任命権者である都教育委員会は意見を尊重しなければならないという制度があります。
  自治体の規模にもよるので、教員の人事権をすべて市区町村に移管するのは難しいと思いますが、この制度は教育の分権としてもっと活用されてもよい制度だと思います。そこで、学校運営協議会からの教員の人事に関する意見について、都教育委員会ではどのように対応しているのか伺います。

○岡崎人事部長 都教育委員会は、小中学校に設置されました学校運営協議会において、教職員の採用、異動等に関する意見がある場合には、区市町村教育委員会を経由してその内容を伺ってございます。
  その上で、こうした学校運営協議会のご意見や、各校長及び区市町村教育委員会の人事構想を丁寧に聞き取りまして、翌年度の教職員の配置に可能な限り反映しているところでございます。今後とも、学校運営協議会からの意見については尊重してまいります。

○中村委員 ご答弁ありがとうございます。最近ますます重要になった地域の教育参加において、学校運営協議会制度を採用すると、人事面でも教育の分権化が進みます。
  優秀な職員の任用や育成が何より大切ですが、同時にそれを支える地域の教育力の向上も大切だと思いますので、今後のさらなる取り組みの方を要望いたしまして、質問を終わります。

ユーティリティ

都議会質問内検索

Search

過去ログ