2012/12/03 教育相談センターについて質問しました
2012年12月3日、文教委員会で東京都教育相談センター設置条例の一部改正について質問しました。都児童相談センター、都教育相談センター、新宿少年センターの3機関を1か所に集約し、子どもと家庭を一体的に捉え総合的に支援する拠点として、「東京都子供家庭総合センター」の設置が行われたため移転したものです。
○中村委員 それでは、議案、東京都教育相談センター設置条例の一部改正について質問します。
本議案は、条文上は東京都教育相談センターの移転のための住所の変更でしかありませんが、ここでは、単に場所を移転するだけではなく、その意義について伺います。
子どもをめぐる痛ましい事件が頻繁に報道され、本当に悲しむべき状況です。事件、交通事故、児童虐待、いじめ、体罰など、未来を担う大切な子どもたちの安全をこうしたことから守ることは都政の最重要案件の一つと考えます。私も都議会議員に当選してすぐに都議会民主党の視察として東京都教育相談センターを訪問し、センター内に設置されている学校問題解決サポートセンターもあわせて見学させていただきました。
都は、平成十八年一月に子ども家庭総合センター基本構想を策定し、旧新宿看護専門学校跡地に新たな施設の整備を進めてきました。当初、平成二十一年度に開設するはずが、埋蔵文化財試掘調査で遺跡が確認され、採掘調査の実施のためスケジュールが延期をされ、ようやく二十四年度末の開設となりました。
先般、東京都児童相談センターを視察しましたが、老朽化が著しい施設で一時保護された児童が生活をしている姿を目の当たりにしましたので、ようやくの開設で安心をいたしました。
新しい施設では、教育庁の東京都教育相談センターと、福祉保健局の東京都児童相談センター、警視庁の新宿少年センターが移転するとのことです。そこで、平成十八年一月の子ども家庭総合センター基本構想により、新たに整備される施設に都児童相談センター、都教育相談センター、新宿少年センターが移転をするとのことですが、改めて都子ども家庭総合センターの設置の目的を伺います。
○坂本指導部長 子どもの抱える問題は、非行や不登校などにあらわれるように、さまざまな問題が複雑に絡み合っていることが多くあります。このような場合には、関係諸機関が連携して子どもと保護者を支援する必要があります。
そこで、都児童相談センター、都教育相談センター、新宿少年センターの三機関を一カ所に集約し、子どもと家庭を一体的にとらえ、総合的に支援する拠点として、東京都子ども家庭総合センターを設置することといたしました。
○中村委員 目的については、三機関の機能を集約するとのことはわかりました。後ほどその連携については伺いますが、その前に教育相談センターの取り組みそのものについて伺います。
平成十八年の基本構想に掲載された、その当時の東京都教育相談センターにおける相談件数は二万二千件でした。他の施設では児童相談所が一万四千件、少年相談室が七千件であり、内容が異なるので単純に比較はできませんが、数だけ見れば多くの相談があったといえます。
とりわけいじめの問題が大きく報道されて以降、その当時に比べて相談の状況がどう推移したか気になります。そこで、平成十八年の構想当時の都教育相談センターにおける相談件数二万二千件でしたけども、ここ最近三年間の相談件数について伺います。
○坂本指導部長 都教育相談センターにおける来所相談、電話相談、メール相談を合わせた相談総数は、平成二十一年度は二万四千七百二十五件、平成二十二年度は二万四千九百十七件、平成二十三年度は二万三千八百九十八件となっております。
なお、平成二十四年度の七月、八月におけるいじめにかかわる電話相談は昨年度の同時期と比べ倍増しております。
○中村委員 基本構想当時よりは年間としては若干ふえた感じではありますが、やはりこういった関心の高まりもあって、いじめに関する相談というのは大変ふえているということですので、きちんとした対応が必要になるかと思います。
ただ、児童相談所とは違って、東京都教育相談センターの場合は相談への対応の多くは電話によるとのことです。いじめなど深刻な問題があった場合には、電話の相談だけで対応が十分なのかという懸念もあります。
そこで、都教育相談センターにおいて、どのような電話相談を受け付けて、どのように対応しているのか伺います。
○坂本指導部長 都教育相談センターは、子育てからいじめや不登校、高校中途退学まで、教育に関するさまざまな相談を受けております。相談に応じる者は、臨床心理士等の心理の専門家や校長経験者などであり、相談者の話を聞きながら、心のケアや解決への道筋をアドバイスしております。また、相談内容によりまして、必要に応じて相談者に来所相談を勧め、丁寧に相談に対応しております。
さらに、相談内容が深刻な場合には、相談者の了解を得た上で、区市町村教育委員会等へ情報提供し、その対応が適切に行われているか把握するなど、問題解決に向けた支援を行っております。
○中村委員 多様な相談に対して専門家が配置されているということはわかりました。
ただ、大津の例というのは余りよくない事例ということですが、これを特殊なこととせずに、こういった相談があったときにはしっかりと親身になって相談をして、最後まで対応できていることを確認していただきたいということも要望としてはあります。
また、電話では解決できない場合には来所してもらい対応していただくこともあるようですが、子どもが相談しやすいような体制をつくることが必要であり、来所の場合も考えると、多摩の地域での相談体制の拡充も必要です。現在、立川にも東京都教育相談センターの立川出張相談室がありますが、週二回しか来所相談を行っていません。今後、東京都教育相談センター立川出張相談室の移転が計画されていますが、その際にも多摩地域での教育相談の充実をあわせてご検討いただきたいというふうに思います。
次に、三機関の連携について伺います。
今回の取り組みは教育庁だけではなくて、福祉保健局、警視庁との連携が目的とのことであり、縦割り行政を変えるということでは期待が持てます。ただ行政側の組織に子どもを当てはめるのではなくて、子どもの問題に都が対応していくことが望ましいと考えます。
基本構想を見ると、総合相談窓口として三機関を一本化した窓口の設置がありました。ワンストップでの相談は便利ですが、最終的にはそうした窓口の設置はなくなったと聞きました。基本構想を広く公表しているのですから、それとは違った形になったのであれば、当然経過があってそうしたのでしょうから、きちんと説明することが必要です。
そこで、この三つの機関が連携していくことには期待を持ちますが、基本構想から一部形式を変えた部分もあるようですから、移転後に都教育相談センター、都児童相談センター、新宿少年センターの三機関は総合相談機能を高めるためにどのように連携を図るのか伺います。
○坂本指導部長 都子ども家庭総合センターでは、子どもや家庭におけるさまざまな相談に対応するため、総合電話相談室を設置し、都児童相談センター、都教育相談センター、新宿少年センターの相談員がそれぞれの専門性を生かしながら相談に対応するとともに、他の機関に関する相談の場合は速やかにその機関につなぐことにより、より適切な支援を行ってまいります。
また、不登校や非行の背景には、児童虐待の要因が複雑に絡み合うなどの困難事例については、三機関が合同で協議を行う場を設け、適切な支援につなげるよう専門的見地から援助方法について検討するようにいたします。
○中村委員 総合相談窓口というのを置くのではなくて、三機関の電話相談員を空間的に一カ所に集約するだけで、それぞれの電話番号は併存するということのようです。相談について組織の間でたらい回しにするようなことはあってはならないのですが、子どもがどこに相談すればいいのかわかりやすくすることも必要です。
また、同じ施設に集まることは当然ながら職員にとっては刺激にもなり、他の分野にも触れることになります。このことにより、さらなる職員の資質向上につながるようにしていただきたいと思います。
さて、他の機関が連携する場合、個人情報の扱いについてどのようになるかという問題もあります。とりわけ捜査機関である警視庁とも連携することになるので、相談側から見るとその扱いは気になります。これは警察が悪いという意味ではなくて、移転後の東京都教育相談センターに相談すると、すぐに警視庁の新宿少年センターにその情報が提供されてしまうのではないかと相談者が懸念して相談をちゅうちょすることにならないかという心配もあります。
移転後の都教育相談センターに相談すると、すぐに新宿少年センターにその情報が提供されてしまうのではないかと相談者が懸念する場合もあると思いますが、これについてどのように考えているか伺います。
○坂本指導部長 都子ども家庭総合センターに移転後も、三機関は基本的にはそれぞれの専門性を生かして事業運営を行い、適切に情報を管理することとしているため、ご指摘のような懸念はないと考えております。
各機関に寄せられた相談のうち、例えば、児童生徒の生命、身体の安全が脅かされるような事案や複雑かつ困難な事案などについては、迅速な対応が図れるよう各機関が積極的に連携して問題の解決を図ってまいります。
○中村委員 さまざまな相談があるわけですから、本当に警察の関与が必要な深刻なケースでは、迅速な対応により子どもを救うことにつながる場合もあるかと思います。連携することの目的は都の都合ではなく、子どものためですから、個人情報の問題を含めて、ご答弁のとおり適切に行っていただきたいと思います。
東京都教育相談センターの移転に関して、これまでさまざま質問しましたが、いじめや虐待、自殺、体罰などから子どもを守るために、今回の東京都子ども家庭総合センターの設置がさらに取り組みとして大きく寄与することを期待しています。
そこで最後に、いじめ、虐待、自殺などから子どもを守るため、今回の東京都子ども家庭総合センターの設置がさらにその取り組みとして大きく寄与することを期待して、この設置を機に、改めて子どもたちの健全育成に対する比留間教育長の決意を伺って質問を終わります。
○比留間教育長 核家族化の進展や都市化の進展に伴う家庭や地域の教育力の低下、大人を含めた社会全体の規範意識の希薄化などを背景として、現在の子どもたちが抱えるいじめや不登校、暴力行為、児童虐待などの問題は複雑かつ多様化しており、解決困難な事例が増加をしております。
このような社会状況の中で子どもたちの健全育成を図るためには、家庭、学校、地域、関係機関がそれぞれの責任と役割を果たすとともに連携していくことが重要でございます。とりわけ、子どもたちの育成に第一義的な責任を有する保護者、また、子どもたちの健全育成に直接かかわる学校の役割は重いと認識しております。
このたびの東京都子ども家庭総合センターの設置は、関係機関が連携して子どもの問題に対処する具体的な取り組みでありまして、今後とも、こうした方策をさらに進めるとともに、学校を一つの核としながら、家庭や地域、関係機関と密接に連携し、社会全体で子どもたちの健全育成に取り組む体制を構築できるよう鋭意努めてまいります。
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