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都議会質問記録

2014/03/06 就任した舛添知事に都政への姿勢を質問しました

2014年3月6日、本会議で舛添知事に一般質問を行いました。持ち時間が11分と短い中、知事の政治姿勢、多摩振興、中小製造業の事業継続、介護施策、住宅の安定供給、保育園の待機児童解消、少子化対策、自転車政策、港湾行政の9問を質問しました。知事からはいくつか前向きな答弁を引き出すことができましたので、今後は答弁を活かし政策が実現されるよう行政にはたらきけます。
(議場では全質問をまとめて行った後で一括で答弁されましたが、以下は一問一答に並べ替えたものです)

〇中村ひろし 初めに、舛添知事の就任に当たり、都政に臨む姿勢について伺います。
  知事は施政方針で、世界一の都市東京を目指すと述べられました。ぜひ、都民の皆様が暮らしの中で実感できるよう取り組んでいただきたいと思います。
  東京都は人口が大きく予算も大きいのですが、保育園の待機児童の問題のように都市ならではの課題もあるため、一人当たりにすると本当に十分なサービスが受けられているかはしっかりと検証しなければなりません。景気に明るい兆しが見えたという報道はありますが、まだ実感が持てないという声を多く聞きます。国全体の数値や平均値だけで見るのではなく、都民の暮らしについて、ぜひ現場に足を運び、耳を傾けていただきたいと思います。
  また、選挙で選ばれた知事と議員の議論を活発に行うことが大切です。記者会見で行われるような活発な発言をぜひ議会でも展開していただきたいと思いますので、積極的な答弁を期待します。
  また、これまでは、副知事や主要局長などによる政策会議は、週一回と規則で決まっていても、行われていないという話も聞きます。知事がスピードを持って決められることも大切ですが、大事なことは議論して決めることも必要です。
  また、職員の力を引き出すという点では、幅広い人材の活用、とりわけ女性の登用も期待がされています。
  以上述べましたが、都知事の都政に臨む政治姿勢について伺います。

〇舛添要一知事  都政に臨む政治姿勢についてでありますが、多岐にわたる内容をご質問いただきましたが、要するに、私の都政運営というか、都庁組織のリーダーとしてのあるべき姿についての質問かと思います。
  私の信条は、万機公論に決すべしということであります。今は、二カ月にもわたる都政の空白を埋めるため、毎日さまざまな局から次々と報告を受けて、職員らと熱心な議論を交わしております。まだ短い期間でありますが、都庁の組織は大分風通しがよくなってきたように感じております。
  週一遍の政策会議とありましたけれども、副知事以下ほとんど毎日全員に会っておりますので、毎日です、週一回どころではありません。
  また、職員に大きな方向を指し示し、動機づけをし、能力を最大限引き出す、これは組織を動かすリーダーとして当然の役割であります。
  これからは現場の実情をつぶさに見て、そこで得た知見も使って政策の骨組みをつくってまいります。そして、都議会の皆様と議論を交わしながら、政策として練り上げてまいりたいと思っております。都民の皆様のために最もよい成果を出す、これを第一に考えながら、都政を運営していきたいと思います。

〇中村ひろし  次に、多摩地域の振興について伺います。
  多摩地域は、高度経済成長期の東京都の発展を支えてきた地域であり、かつては社会インフラの整備などにおける区部との格差が大きな課題でした。将来の多摩を見据えると、人口の都心回帰や産業の空洞化、高齢化率の上昇など、厳しい状況が想定されており、こうした状況に対応するため、都だけではなく、市町村や民間企業などとも連携して対応する必要があります。
  しかし、その担い手となる市町村は、高齢化による扶助費の増大などにより、財政的に厳しい状況になると見込まれています。都はこれまで、市町村に対するさまざまな補助金を設けてきましたが、市町村からは制度が使いにくいとの声も聞きます。補助金の仕組みを市町村が使いやすいものに改善するよう強く求めておきます。
  さて、今後の厳しい状況変化が見込まれる中で、多摩地域をいかに活性化させていくのかが課題です。
  知事は、多摩・島しょ地域の振興を担当する副知事の選任や、新たな多摩のビジョン行動戦略を策定するとしていますが、こうした取り組みがしっかりと実を結ぶよう、積極的に取り組んでもらいたいと思います。
  都は、今後の多摩地域の振興をどのように推進をしていくのか、所見を伺います。

〇中西充総務局長 多摩地域の振興についてでございますが、人口減少や少子高齢化の進展、産業の空洞化など、多摩地域を取り巻く厳しい状況変化を見据えれば、市町村や民間企業等と連携を図りながら、多摩地域の取り組みを停滞させることなく進める必要があります。
  このため、年度内に策定いたします新たな多摩のビジョン行動戦略の中で、都の取り組みに加え、市町村や民間等による先進的な取り組みを示すとともに、今年度設置したビジョン連携推進会議を引き続き活用することで、多様な主体との一層の連携を促進してまいります。
  また、本戦略に基づき、子育て支援や高齢者対策、産業振興などの取り組みを、多摩島しょ振興推進本部のもとで全庁を挙げて推進し、ビジョンで掲げた目指すべき多摩の姿を実現してまいります。

〇中村ひろし  近年、都内において大規模事業所の撤退が相次いでいます。私の地元三鷹市においても、戦前から多くの製造業が立地をしていましたが、厳しい操業環境の中、その数は年々少なくなり、平成に入ってからの約二十年間で半分以下まで減少しています。
  また、以前から三鷹を本拠としてきた規模の大きな事業所が全面撤退を発表しており、こうした影響からも地域の中小製造業の集積が崩れてしまうことが強く懸念され、たびたび議会の質問などを通じて対応を求めてきました。
  東京のものづくり産業が空洞化することなく、将来に向けて確実に発展していくためには、中小製造業が都内で操業を続けられるような支援を行い、地域における産業の集積を守っていくことが必要であると考えます。
  都は、産業空洞化への対策として、中小製造業の都内での立地継続に向けてどのように対応していくのか伺います。
 
〇塚田祐次産業労働局長  製造業の立地継続に向けた取り組みについてのご質問にお答えいたします。
  生産拠点の移転等による空洞化の無秩序な進行は、東京の産業の将来に大きな影響を与えるおそれがあり、適切な対応が必要であります。
  そのため、都は、企業誘致を促進するための助成や工場アパートの整備など、地域の産業集積の維持発展に向けた区市町村の主体的な取り組みを支援してまいりました。
  来年度からは、地域環境に配慮した工場の改修や都内での移転等を行う企業に対し、新たに区市町村と連携した支援を行う、都内ものづくり企業立地継続支援事業を開始いたします。
  こうした取り組みを通じて、製造業が都内で継続して操業できるよう産業集積の確保を図ってまいります。

〇中村ひろし 次に、少子高齢化社会への対応について伺います。
  知事は施政方針で、政治は強い者のためでなく弱い者のためにあると述べられましたが、私も同感です。特別養護老人ホームの定員をふやすと述べていますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
  ただ、施設がふえると運営は市区町村の介護保険になり、住民の保険料が上がるため、その合意も必要です。待機者が減るように、さらに施設の整備を進めていただきたいのですが、施設と同時に地域で支え合う社会を構築していくことも重要です。
  先般、知事の諮問機関で、私も議会選出の委員を務めています東京都社会福祉審議会が知事宛てに、二〇二五年以降を見据えた施策の方向性、東京における地域包括ケアシステムの構築についてとの意見具申をしました。施政方針では、地域全体が介護施設のようにと述べていましたが、意見具申で提案した支援つき地域というものに近いとも思います。
  しかし、地域での支え合いの社会の必要性は誰もが認めながら、東京においてはその実現には大変困難が伴います。
  今後、都は、介護施設を市区町村と協力して整備を進め、同時に、在宅での介護や医療を進めるため、地域での支え合いのための地域包括ケアシステムの構築に向けてどう取り組むのか、ご所見を伺います。

〇川澄俊文福祉保健局長 地域包括ケアシステムの構築と施設整備についてですが、医療や福祉、住まいなど多様なサービスを一体的に提供する地域包括ケアシステムの実現のためには、医療と介護の連携強化による在宅療養の推進が重要でございます。
  このため、都は、病院から在宅への移行等の調整窓口を設置する区市町村を支援するとともに、医療と介護の連携に重要な役割を果たす訪問看護ステーションの拠点整備、連携の核となる人材育成等に取り組んでいるところでございます。
  また、介護施設の整備を進めるため、これまで、さまざまな都独自の手法を講じており、来年度は整備費の補助単価を増額し、新たな併設加算制度を創設いたします。
  今後とも、地域包括ケアの考え方に立って、医療と介護の連携を進めていくとともに、介護サービス基盤のさらなる整備促進に取り組んでまいります。

〇中村ひろし  次に、住宅政策と福祉政策について伺います。
  地価が高い東京都では、生活費に占める住宅の費用は所得が低いほどその割合は大きくなるため、安心して暮らせる住宅の政策は最大の福祉政策の一つともなります。先ほどの地域包括ケアシステムの議論をしても、やはり地域の資源としての住宅の問題は大きく、住宅政策と福祉政策の一体的な政策が求められます。
  そのため、社会福祉審議会の意見具申でも、区市町村の居住支援協議会の活用を挙げていますが、この協議会は、入居制限を受けやすい高齢者などの住宅確保要配慮者が賃貸住宅に円滑に入居できるよう支援する組織です。福祉との連携という点では、その入居された方を地域での見守りにつなげることも大切です。
  来年度、都は、みずからも居住支援協議会を設置するとの予算が提案されています。住宅確保要配慮者の安定した住まいの確保のため、空き家も含めた民間賃貸住宅への入居の促進も必要になると考えますが、都の協議会設立の意義と目的について伺います。

〇藤井寛行東京都技監 二点のご質問にお答えいたします。
  まず、都の居住支援協議会の意義と目的についてでございますが、地域の高齢者などに対しまして、空き家の活用も含め、それぞれの地域の実情に応じたきめ細やかな支援を行うためには、市区町村が中心となり、関係団体やNPOなどとともに居住支援協議会を設立し、活動することが効果的でございます。
  都はこれまで、都民の居住安定確保のために、福祉分野と連携いたしまして、関係団体とともに東京都すまいサポート連絡協議会を設け、情報共有などを中心に取り組んでまいりました。
  来年度からは、これまでのこうした活動を発展させ、都の居住支援協議会を設立し、市区町村の協議会の設立促進と活動支援を行うことにより、住宅の確保に配慮が必要な方々の居住の安定確保を図ってまいります。

〇中村ひろし  次に、保育園の待機児童解消について伺います。
  知事は、明確に四年間で待機児童ゼロにすると宣言されたことは高く評価しますし、困難は伴いますが、ぜひとも実現をしていただきたいと思います。
  とはいえ、一時的に待機児童ゼロを達成した横浜市と違い、都は間接的には保育行政にかかわっていますが、直接的には市区町村が担っています。ゼロに向けて認可保育園をふやすのであれば、都だけではなく市区町村の財政にもかかわるので、そのための補助の拡大ということもしなくてはいけなくなります。
  施政方針で、政治は結果責任と不退転の決意を表明されましたので、最優先課題として必ず達成するという覚悟を示していただきたいと思います。
  四年後の待機児童ゼロに向け、待機児童の数をどう予測し、市区町村への補助の拡大をどうするのか、また、そのためにどの程度予算を確保するのか、そういった工程表が必要になります。知事の見解を伺います。

〇舛添要一知事  次に、待機児童解消に向けた工程表についてでありますが、現在、保育の実施主体である区市町村は、来年四月の新たな制度施行に向け、保育サービスのニーズ調査を実施しております。
  都は、この調査結果を踏まえ、保育サービスの整備目標と、いつまでにどれだけ整備するのかを定めた工程表を作成いたします。工程表は、今後策定する長期計画や予算編成にも反映させてまいります。

〇中村ひろし  次に、少子化対策について伺います。
  少子高齢化と一体でいわれることがありますが、長期的に見ると、少子化を何とかしないと高齢化の率は高まります。保育園の待機児童解消も少子化対策の一つといえます。
  若年層の貧困が大きな問題といえます。労働法制がこれ以上緩和をされると、終身雇用の時期に就職した世代と違い、これから就職する若者の非正規雇用化がますます進み、仕事も収入も不安定になり、非婚化、晩婚化、少子化につながってしまいます。
  産休、育休がとりやすい社会、子ども手当のような経済的な支援、若年層の貧困を防ぐための支援など、少子化対策としては多様な支援の手法を検討する必要があります。知事の所見を伺います。

〇舛添要一知事  続きまして、少子化対策についてでありますが、少子化の流れを変えるためには、これから家庭を築く若者や、子育て中の家族が、真に安心して子供を産み育てることができる環境を整備していかなければなりません。
  そのためには、福祉、保健、医療はもとより、雇用や住宅、教育など、あらゆる分野の施策を総動員することが必要であります。
  少子高齢化対策は、私が都民の皆様に強く訴えてきた課題の一つであり、政策の具体化に向けた検討を始めるよう、既に指示しているところでございます。

〇中村ひろし  次に、自転車を含めた交通政策について伺います。
  昨年、議長を団長とする友好代表団に都議会民主党を代表して参加をし、韓国ソウルを訪問しました。その際、地下鉄への自転車持ち込みシステムについても視察し、先進事例も学びました。
  知事は、来年度予算の追加分として、自転車レーンの整備や自転車シェアリングの普及促進など、自転車の政策に注力されたことは評価いたします。
  しかし、現状では道路幅が狭く、自転車レーンを整備できない道路も多くあります。歩行者の安全確保のため自転車が車道を走るという原則が徹底されましたが、車道で自転車が危険な状況にさらされているため、今後は自動車の運転者への啓発も必要になります。
  また、環境にも健康にもすぐれた乗り物ですが、多くの局がかかわるため、これまで都には総合的な施策の体系がありませんでした。この間、私たちは再三、総合的な交通政策を策定することを求めてきました。
  知事は、今回、総合的な交通政策を立てるとのことですので、電車や自動車、バス、タクシーなどに自転車も含めた総合的な交通政策を策定すべきと考えますが、ご所見を伺います。

〇藤井寛行東京都技監   次に、自転車を含めた総合的な交通政策についてでございますが、都市の機能や利便性を向上させ、魅力的な都市空間を創出するためには、効率的で誰もが利用しやすく、環境にも優しい交通体系の実現が重要でございます。
  このため、鉄道やバスなどの有機的な連携や自転車利用環境の整備などにつきまして、関係各局と連携いたしまして、関係者の協力を得ながら検討することとしております。
  今後、自転車を含めた総合的な交通政策を取りまとめ、快適で便利な都市東京を実現してまいります。

〇中村ひろし  最後に、私が所属をしております経済・港湾委員会でも議論を重ねております国際コンテナ戦略港湾について伺います。
  国は昨年十月、突如として港湾運営会社への出資を表明し、国が前面に立って港湾の経営にかかわっていこうとしています。これに対して、今、港湾の現場では、港湾運営や雇用環境などの点で不安の声が上がっています。
  都や東京港埠頭株式会社は、早朝ゲートオープン等の施策を実施する際には、必ず現場の労働者の意見を踏まえた施策を実施をしてきたと聞いています。しかし、現場を持たない国が、本当に現場の声に耳を傾け、このように港湾の運営を行っていけるのか疑問です。
  また、国が前面に出て港湾の運営を行っていくということになれば、今まで都やふ頭会社と築いてきた現場との関係を壊し、混乱をもたらすのではないでしょうか。
  こうした事態を招く国の港湾運営会社への出資は、地方分権などの観点からも、これは全く容認し得ないものですが、都のご所見を伺いたいと思います。
  以上で質問を終わりますので、ご答弁をよろしくお願いいたします。

 〇多羅尾光睦港湾局長 港湾運営会社への国の出資についてですが、港湾の運営を円滑に実施するためには、現場で働く方々の理解と協力が不可欠でございます。
  都はこれまで、関係者の多様な意見を取りまとめ交通対策を推進するなど、東京港の実情に即した効果的な施策を展開してまいりました。こうした取り組みは、戦後一貫して現場で働く方々との信頼関係を築いてきた東京都だからこそできたものであると考えております。
  国が港湾運営会社の主導権を握るような出資を行うことは、現場に立脚した港湾運営や地方分権の観点などから問題が多く、妥当性を欠くといわざるを得ません。
  都は、今後とも、港の第一線で働く方々を初め港湾関係者の意見を酌み取りながら、東京港の経営に責任を持ってかかわり、実効性の高い国際競争力強化策を展開してまいります。

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