2014/12/28 文書質問「自転車交通の安全について 」を提出しました。
2014年12月28日、文書質問「自転車交通の安全について 」を提出しました。自転車が利用しやすい環境を整備することで事故を減少させ利用促進につなげていくことが大切であり、そのための施策を求めました。
一 自転車交通の安全について
自転車は環境にも健康にもすぐれた乗り物です。昨今、自転車関連の事故の報道が多くあり、マナーの悪さも指摘されていますが、単に悪者にするのではなく利用しやすい環境を整備することで事故を減少させ利用促進につなげていくことが大切です。東日本大震災での帰宅困難者問題から通勤手段が見直され自転車通勤に変えた方もいると聞くなど、エネルギーの問題から都民の意識も変わってきています。
現在、「東京の総合的な交通政策のあり方検討会」で自転車を含めた交通のあり方が検討されていますが、その前提として何より安全が確保されなければなりません。平成24年10月に建設局が「東京都自転車走行空間整備推進計画」を策定しています。また、「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を制定し、さらに、第9次東京都交通安全計画を受けて今年1月には青少年・治安対策本部が「東京都自転車安全利用推進計画」を策定しています。今都議会定例会冒頭の舛添知事の所信表明で、「交通事故による死者数が、昨年を上回りかねないペースで増加」との発言もありましたが、自転車関連の事故についても対応を強化する必要があります。しかし、私自身も身近な移動はほとんど自転車を利用しますが、決して走りやすく安全な環境とは言えません。自転車の安全利用の促進に向けて以下、質問します。
質問1 「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」、「東京都自転車安全利用推進計画」が制定されましたが、これにより施策がどのように変化をしたか、具体的な取り組みを伺うとともに、現状捉えている課題を伺います。
答弁1 都内における自転車が関与する交通事故の割合は、全体の3割を超える高い水準にあります。
そのため、都は、昨年1月、「東京都自転車安全利用推進計画」を策定し、以前から実施している自転車安全教室の開催などに加え、事業者による従業員研修を支援する教材の提供や講習会の実施など、新たな取組を展開しています。
今後も引き続き、こうした取組を充実させ、自転車利用者のルール、マナーの周知徹底を図っていきます。
質問2 スマートフォンで視覚を失い、ヘッドホンで聴覚を防ぎ、危ない走行が多く見られます。携帯電話をかけながらの走行は問題があることは認識されてきましたが、以前からあるヘッドホンをしながらの運転が禁止されていることはあまり普及されているとは言えません。広報と啓発が必要ですが所見を伺います。
答弁2 ヘッドホン等を使用して、交通に関する音が聞こえないような状態で自転車を運転することは禁じられており、広く周知が必要なことから、自転車安全利用リーフレットにも禁止事項として明示しているところです。
加えて、広く都民に交通安全意識を普及浸透させることを目的とした「平成26年TOKYO交通安全キャンペーン」のポスターにも、この行為の禁止について啓発する絵を採用するなど、普及啓発に取り組んでいます。
質問3 高齢者の自動車運転免許返納を進める政策がありますが、その代わりに自転車の利用をされる場合も多くあります。しかし、高齢者の自転車走行では、転倒が危ぶまれる場合も多く見られます。そのため、三輪車や補助輪の普及も必要です。高齢者の安全教育をより一層行うべきと考えますが所見を伺います。
答弁3 都内の交通事故死者数に占める高齢者の割合は、約4割と高い水準にあることから、高齢者の安全教育は重要です。
そのため、都は、地域で行われる交通安全教室等において、高齢による身体機能の低下等を自覚してもらうよう、「自転車シミュレータ」、「歩行者教育システム」等を活用した参加・体験型の交通安全教育を実施しています。
また、スーパーや各種イベント等において、反射材やリーフレットを配布し、交通安全の啓発活動を行っています。
今後も引き続き、こうした取組を充実させ、一人でも多くの高齢者に交通安全意識が浸透するよう、普及啓発に取り組んでいきます。
質問4 自転車は原則車道を走ることになりましたが、実際の車道の端は凹凸が激しかったり、排水溝の格子状のふたがあったりと、決して走りやすい状況ではありません。そのため、歩道に入るか車道にはみ出さざるを得ない状況になってしまいます。道路の自転車が走行する部分を総点検し改善すべきと考えますが所見を伺います。
答弁4 都道については、常に良好な状態に保ち、安全な通行を確保するために、日常的な巡回点検により、排水溝のふたも含め、道路の状況を的確に把握し、必要な維持管理工事を実施しています。
今後とも、都道の適切な管理と保全に取り組んでまいります。
質問5 横断歩道の手前などでは、歩道の端にブロックが設置されており数センチの段差があります。もう少し段差が小さい方が自転車の通行がスムーズになりますし、また、高齢者にとっても、つまづきが少なくなります。段差を検討する必要があると思いますが所見を伺います。
答弁5 東京都福祉のまちづくり条例の整備基準では、歩車道境界部の段差は、都民、各障害者団体、学識経験者等からなる「福祉のまちづくり推進協議会」の意見も踏まえ、車いす使用者等の利便と視覚障害者の安全な通行との双方を考慮し、2センチメートルを標準とすることとされています。
歩道については、誰もが安全に利用できるよう、この基準に基づき整備を行っていますが、沿道状況に応じ、幹線道路と生活道路の交差部を改良するなど、歩道を連続させてフラット化を図る整備にも取り組んでいきます。
質問6 自転車通行可能の歩道においても、自動車が歩道をまたぐ形で自宅の車庫の入り口がある場合に自己の負担で歩道に切り下げをつける箇所が多くありますが、自転車が徐行して走りにくいばかりか、高齢者や車椅子の人が通りにくいとの声が寄せられます。車庫から自動車が出入りできることは必要ですが、自転車や歩行者への配慮も必要と考えますが所見を伺います。
答弁6 歩道の切下げは、自動車が車道から歩道を横断して、道路に隣接する車庫、駐車場等へ乗入れする必要がある場合に、その設置を認めるものです。
切下げを設ける場合には、原則として、歩道の平たん部を2メートル以上確保するなど、自転車及び歩行者等の通行に配慮しています。
なお、歩道の平たん部を2メートル以上確保できない場合であっても、可能な限り歩道の平たん部を確保させた上で、切下げを認めています。
質問7 自転車レーンや自転車歩行者道など、自転車走行空間の整備を進めることは必要です。広い車道や歩道の道路であれば整備も進むのですが、現状は、そのような道路ばかりではなく、特に幅員が狭い道路での整備は容易ではありません。このため、優先順位を決めて自転車走行空間の整備を進め、自転車や歩行者の安全を早期に確保することが重要と考えますが、所見を伺います。
答弁7 都では、平成24年度に策定した自転車走行空間整備推進計画において、自転車交通量が多く事故の危険性がある箇所などを優先整備区間と位置付け、オリンピック・パラリンピックの開催までに120キロメートルを整備することとしています。
今後とも、誰もが安全で安心して利用できる自転車走行空間の整備に取り組んでいきます。
質問8 道路の無電柱化が進められていますが、都心部を中心に景観のために進められています。しかし、安全のためにこそ優先して進めるべきであり、狭い道路で電柱によって危険な状況にあるものから対応すべきと考えますが、所見を伺います。
答弁8 無電柱化は、防災機能の強化や良好な都市景観の創出、快適な歩行空間の確保を図る上で重要です。
都は、平成26年12月に策定した東京都無電柱化推進計画に基づき、センター・コア・エリア内において、計画幅員で完成した都道の無電柱化をオリンピック・パラリンピック開催までに完了させるとともに、今後は、周辺区部や多摩地域を中心に、都市防災機能強化の視点から、緊急輸送道路や主要駅周辺等で整備を推進していきます。
なお、現在、都が実施している無電柱化は、地上機器の設置空間を確保する必要があることから、歩道幅員が2.5メートル以上の都道を対象としています。
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