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都議会質問記録

2015/02/25 都議会本会議 一般質問

 2015年2月25日、東京都議会 本会議において、舛添知事に対して都政に関する一般質問を行いました。以下に質問と答弁を掲載します(議場では全質問をまとめて行った後で一括で答弁されましたが、以下は一問一答に並べ替えたものです)。

 

1 少子高齢社会について

(1)2025年問題について

○中村ひろし:最初に高齢社会について、2025年問題について伺います。
2025年に団塊の世代がすべて75歳以上を迎えるため「2025年問題」と言われています。都でも65歳以上の高齢者が4人に1人の332万人になる見込みです。知事は遠距離で介護をされ、それが政治の原点だとよく話をされます。在宅と施設が選べるのが理想で、施設が2割空いていれば良いとも発言されています。長期ビジョンで2025年までに特別養護老人ホームを6万人分増やすとありますが、人材不足の状況では特養をつくっても埋められないことがあるそうです。地域包括ケアシステムの構築は、医療や介護の不足を住民の支え合いで補うものであり、知事は昨年就任直後の施政方針演説で「地域があたかも施設のように」と述べていましたが、都民も支え合いの社会に参加することの必要性をより普及啓発することも重要です。2025年に向けて様々な施策を打っていくにしても、財源の裏打ちが示されていない中で6万人分の施設が絵に描いた餅にならないか危惧されます。知事は、自らの経験から介護の課題をどのようにとらえているか、そして、2025年問題にどう対応するか所見を伺います。

○舛添要一知事:中村ひろし議員の一般質問にお答えいたします。
介護の課題と2025年問題についてでございますが、私は、認知症を患った母親の介護を経験しまして、家族の大変さ、それから、介護現場の苦労など十分理解していると思っております。介護は、家族で抱え込むのではなく、介護のプロや地域の力など、周囲の力をかりることが必要だと考えております。また、在宅か施設かという二者択一ではなく、在宅サービスも施設サービスも両方とも必要でありまして、さまざまなメニューの中から自由に選択できることが理想であると思います。今後、在宅サービスは、地域包括ケアの考えに立ちまして、医療と介護の連携を強化していく必要がございます。
また、施設サービスにつきましては、特養などの定員を大幅にふやしていかなければなりません。そのために、昨年12月に策定しました東京都長期ビジョンでは、2025年度末までの政策目標とその工程表をお示しいたしました。また、その実現のため、来年度予算案では、福祉と保健の分野に、過去最高額となる1兆1,070億円の予算を計上し、福祉先進都市実現基金も創設いたします。
今後とも、超高齢社会の到来という将来を見据え、民間の力、地域の力、行政の力を組み合わせながら、大都市東京の特性を踏まえた施策を展開していく考えでございます。

(2)地域包括ケアシステムについて

○中村ひろし:地域包括ケアシステムが機能するには、地域の医療や資源などの連携、行政の積極的支援、高齢者の就労、地域活動の機運の醸成、働く世代の参加のためのワークライフバランスなどさまざまな要素がそろわないとできません。今年4月から要支援1,2の高齢者向けサービスが全国一律の介護保険給付から市区町村事業に段階的に移りますが、全国でこの4月に移行するのはわずか7%とのことです。地域の様々な資源を活用し、新しい介護予防等に円滑に移行することが市区町村において喫緊の課題となっており、介護予防の拠点である地域包括支援センターの強化が求められています。
地域包括ケアシステムの中心的役割を果たすことが期待される市区町村の地域包括支援センターの機能を強化すべきと考えますが見解を伺います。

〇梶原洋福祉保健局長:まず、地域包括支援センターの機能強化についてでありますが、地域包括支援センターは、地域における介護予防と相談支援の拠点として、地域包括ケアシステムを実現するための中心的な役割を担っております。そのため、都は今年度から、区市町村内のセンターを統括しサポートする、機能強化型センターの設置や、介護予防に関して幅広い知識と経験を有した主任介護支援専門員や保健師等を、介護予防機能強化支援員としてセンター等に配置を行う区市町村を支援しております。
来年度はさらに、効果的、効率的な介護予防の推進に向け、専門家の助言やすぐれた事例等の情報を都と区市町村の相互で共有するシステムを立ち上げます。今後とも、地域包括ケアシステムの構築に向け、センターの機能強化に取り組む区市町村を支援してまいります。

(3)孤独死の防止について

○中村ひろし:孤独死を防ぐためには地域での見守りの仕組みが必要です。監察医務院のデータがある23区では年間2千人を越える方が孤独死しているとのことです。市民も協力して見守りが行われていますが、都営住宅であれば住宅供給公社が鍵を開けたり、生活保護世帯ならケースワーカーがいるなど何らか行政が関わると発見しやすいのですが、日常的にどこにも接点がないと対応が困難です。倒れている人を発見できた場合に、親族ではないと対応が困難な場面もありますので、「善意の隣人」が関わるときにその人を支える仕組みが必要です。行政をはじめ、地域の様々な関係機関が連携したネットワークの構築を急がなければなりません。地域で見守りに関わる人を増やし、かつ、高齢者を見守る地域のネットワーク構築を支援すべきと考えますが所見を伺います。

○梶原洋福祉保健局長:次に、高齢者を見守る地域のネットワークについてでありますが、都はこれまで、民生委員や自治会、町会、ボランティアなどによる高齢者の見守り活動や、地域住民が高齢者等を日常的に見守り、異変に気づいた場合に地域の専門機関につなぐ見守りサポーターの養成に取り組む区市町村を包括補助により支援してまいりました。また、来年度は、区市町村における高齢者等の見守り活動のさらなる充実に向けて、包括補助の見守り関係事業を、区市町村が実施するもの、町会、自治会が実施するもの、地域包括支援センターが実施するものに再編し、より活用しやすい形に見直す予定でございます。こうした取り組みにより、今後とも区市町村と連携しながら、地域において高齢者を見守るネットワークづくりを推進してまいります。

(4)介護報酬について

○中村ひろし:介護報酬の地域区分について伺います。かねてから大都市における実態と合っていないことから都は国に対応を求め、平成24年4月から地域区分が細分化されました。しかし、その方法が、国家公務員の地域手当等の地域加算の区分に合わせるため、地域の勤労者の給与や物価と合っていません。このため三鷹市では近隣市よりも低く出てしまい、介護事業者が市内で事業継続が困難になり、隣の市へ拠点を移さざるを得ないという声もあり、結局はサービスの受け手である市民が不利益をこうむることになります。たびたび三鷹市長が厚生労働省に要望してきましたが、先日、福祉保健局長が三鷹市長とともに厚生労働省に老健局長を訪問し交渉していただいたと聞いていますが、その行動力には敬意を表します。実態と合っていないという問題はいくつかの自治体もあり、制度そのものに問題があるとも思われます。あらためて、介護報酬の地域区分の問題点はどこにあるのか、都はどのような主張をしたのか伺うとともに、引き続き国に強く要望をしていただきたいと思いますが、見解を伺います。

○梶原洋福祉保健局長:次に、介護報酬の地域区分についてでありますが、国は、介護報酬において地域ごとの人件費の差を調整するため、保険者である区市町村ごとに、人件費分の上乗せ割合を7つの地域区分として定めております。現在の地域区分における上乗せ割合は、基本的に国家公務員の地域手当等を横引きしていることから、都はこれまで、大都市における人件費や物件費等の高さに鑑み、地域の実態を踏まえた地域区分の設定が可能になるよう、繰り返し国に提案要求してまいりました。その結果、今回の地域区分の見直しでは、保険者である区市町村の意見も踏まえ、多くの市町村で経過措置が適用されることになりました。次期改定に当たりましても、区市町村の意見を聞きながら適切に対応してまいります。

(5)空き家等の活用について

○中村ひろし:地域での支え合いにとって町会・自治会等の地域活動は重要です。三鷹市で町会・自治会の事例発表を拝見しましたが、すべてではありませんが多くは地区公会堂や集会所などの活動の拠点がありました。今後、高齢者の居場所作りを行ったり、地域の活動を行うには地域に集まる場が必要になります。平成25年時点で都内には82万戸の空き家が存在しており、その活用は有効です。空き家等対策の推進に関する特別措置法が制定されるなど国レベルでの動きも出てきています。地域の活動をより積極的に促進するには空き家を活用することが重要だと考えますが都の見解を伺います。

〇安井順一都市整備局長:地域における空き家の活用についてでございますが、空き家の活用を促進していくためには、その立地や住民のニーズなど地域の実情を把握している区市町村の役割が重要でございます。
昨年制定されました空家等対策の推進に関する特別措置法では、区市町村が空き家の活用を含む対策を総合的に実施するための計画を定めることとされております。都は来年度から、区市町村による計画の策定や実態調査に対しまして、技術的、財政支援を行ってまいります。

2 教育・子育てについて

(1)若者の自立支援について

○中村ひろし:若者の自立支援について伺います。ひきこもりや不登校などさまざまな理由で社会生活を円滑に営むことが困難な子ども・若者の問題は大変深刻な状況にあります。とりわけ、長期にわたり自宅に閉じこもり、社会との接点を失った状態にあるいわゆる「ひきこもり」の若者は、都の推計では2万5千人いるとのことですが、課題は多様であり、都はもとより、市区町村、家庭、学校、民間団体、その他福祉・保健・雇用・教育など様々な分野の関係機関が連携して、個々の事例に即したきめ細かな支援を提供していく必要があります。
 都は、今後、若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援その他の取組について、総合的な施策を推進するための基本指針として「東京都子供・若者計画」を策定すると聞いています。この計画の策定に伴い、様々な機関との連携を一層強化して、ひきこもりの状態にある若者への支援の充実が図られることを期待しています。そこで、都における、ひきこもりの若者への自立支援の取組みについて伺います。

〇河合潔青少年・治安対策本部長:ひきこもりの若者への自立支援についてでありますが、都は、相談事業東京都ひきこもりサポートネットを運営し、ひきこもりの状態にある若者やその家族等を対象に電子メール、電話、ご家庭等への訪問による相談に対応し、相談者の状況やニーズに即した支援機関の紹介等を実施しております。
また、都のプログラムに沿って若者の自立支援に向けた活動を行うNPO法人等を登録、サポートする事業や、住民に身近な地域の支援体制の整備を目的とした区市町村補助や、職員研修等も実施しているところです。今後とも、関係支援機関との連携を深めるとともに、区市町村による若者への支援体制の整備を促進し、ひきこもりの若者が社会的自立に向けた一歩を踏み出せるよう積極的に支援してまいります。

(2)児童虐待の対応について

○中村ひろし:児童虐待防止について伺います。増え続ける虐待相談件数に対して児童福祉司や児童心理司等の配置を増やしてきていますが、保健師が全児童相談所に配置できていないという実態があります。早期に保健師の全所への配置を含め、引き続き体制の強化を求めます。
しかし、児童虐待対応を行う上で重要なのは、児童虐待を発生させないこと、未然に防止することです。支援が必要な家庭を早期に発見し、適切に対応することが重要です。それには民間団体との連携も必要です。例えば、「ホームスタート」という活動をしている団体の話を伺いましたが、子育て経験者が家庭訪問をして、保護者の子育ての相談を受け止め、育児を一緒に行い、虐待の危険性等がある場合に、地域の専門機関や関係者に連絡、対応していますが、こうした民間団体のノウハウを十分に活用することで、隙間のない支援体制が整備されると考えます。
児童虐待を未然に防止するためには、こうした団体とも連携しながら、子育て不安を抱える家庭への支援を適切に行う必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○梶原洋福祉保健局長:児童虐待の未然防止に関する取り組みについてでありますが、現在、区市町村においては、乳幼児健診、産後の家庭訪問、保護者への相談支援等の母子保健事業を通じて、子育てに不安を抱える家庭を把握した場合には、保健所や子供家庭支援センター等が民間団体とも連携しながら、訪問型の子育て支援やショートステイなどのサービスを提供しており、都ではこうした区市町村の取り組みを包括補助事業等により支援しております。
また、支援が必要な家庭を早期に発見し、虐待を未然に防止できるよう、保健所や子供家庭支援センター、子育てひろば等の職員に対する研修も実施しております。今後とも、虐待の未然防止に向け、子育てに不安を抱える家庭へのさまざまな支援に取り組む区市町村を積極的に支援してまいります。

3 オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みについて

(1)国際交流について
 
○中村ひろし:オリンピック・パラリンピックに向けた取組について、在留外国人との交流について質問します。知事は海外からの観光客を「おもてなす」ための施策や、これまで停滞していた都市外交を活性化するための取り組みを推し進めています。しかし、都内に短期間滞在する外国人旅行者への「おもてなし」も大切ですが、日常的に多くの外国人の方々が、仕事や留学で都内に在住しており、こうした方々との交流を大切にした多文化共生社会に向けた取組が必要です。
すでに民間レベルでの国際交流も盛んに行われており、都民の異文化への理解の促進、市民レベルでの交流を行っていますが、都としても、在留外国人との交流の活性化に向けて、より積極的な施策展開が必要と考えますが、知事の所見を伺います。

○舛添要一知事:次に、都内で暮らす外国人向け施策の展開についてでありますが、我が国には、相手を思いやり、互いに助け合って生活する伝統がありまして、多様な文化を受け入れ、発展させてきた歴史があります。今後、2020年オリンピック・パラリンピック大会の開催に向けまして、国際都市として、外国人旅行者はもとより、都内在住の外国人にとっても、より暮らしやすいまちとなることが必要であります。
そのためには、人種、宗教、言語などを異にする人々が文化的差異を認め合い、良好な関係を築く多文化共生の考え方が浸透し、行政の施策にも反映されることが必要であると考えております。都ではこれまでも、都内に居住する41万人の外国人に対しまして、生活や防災に関する情報提供を行うとともに、東京全体で多文化共生の取り組みが広がるよう、区市町村や支援活動を行うNPOとの間で、ネットワーク構築を進めてまいりました。今後とも、在住外国人にとって暮らしやすいまちづくりを進めるとともに、市民レベルでの交流と相互理解の促進が図られますように取り組んでまいります。

(2)市民活動の活性化について

○中村ひろし:知事は施政方針の最後に、都民に向けて都政に対する協力を呼びかけました。長期ビジョンではオリンピックに向けてボランティアを募るとしていますが、その機運が大会後も継続していくためには、実際に動ける場や機会を創出する仕組みや仕掛けが必要です。冒頭質問した地域包括ケアシステムが成り立つためには都民の力が不可欠です。市民活動の活性化のために鍵となるのがNPO法人です。
NPO法人は単なる善意のボランティアだけではなく、事業主体ともなりえ、経済活動も行うので、コミュニティビジネス、ソーシャルビジネスでもあり、雇用も生み、とくに高齢者層の雇用確保に期待が持てます。しかし、欧米に比べると寄付の文化が根付いておらず、その醸成が必要です。都内で活動するNPO法人の数、雇用、経済規模について、さらに、都が仕事を委託する金額を目標として掲げ施策を積極的に展開することを提案します。今後の都政において行政、市民、企業だけではなく、NPO法人もその主要な位置を占めるようにならなければ乗り切れませんし、むしろそうしたところに居場所や出番があればより明るい都政の展望が開けると考えます。NPO法人の活動の活性化についての見解を伺います。

〇小林清生活文化局長:NPO法人活動の活性化についてでありますが、東京には九千を超すNPO法人が存在し、高齢者や障害者福祉、子供の健全育成、芸術文化の振興など多様な分野において自発的に活動を行っております。こうしたNPO法人の活動が地域で活発に行われるとともに、行政と協働、連携していくことは都の施策を進める上でも意義がございます。
都はこれまで、東京ボランティア・市民活動センターにおきまして、NPO法人の活動内容を一般向けに情報提供するとともに、NPO法人に対しては行政とNPOとの連携事例の紹介などを行ってまいりました。来年度は、こうした支援に加えまして、NPO法人についての運営に関する相談の充実や企業との連携促進を図るなど、取り組みを進めてまいります。

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