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都議会質問記録

【11】2010/09/10 東京都 都市計画審議会で臨海副都心有明北地区の地区計画について質問

2010年9月10日、東京都 都市計画審議会において議案について質問を行いました。以下に質問と答弁を掲載します都市計画審議会の議事録全文)。

◆議第7029号 臨海副都心有明北地区地区計画への質問

【中村委員】 それでは、7029号の臨海副都心有明北地区の地区計画について質問をします。有明北地区については、平成19年12月に改定された「有明北地区まちづくりガイドライン」に基づいて整備が進められているとのことです。過去に議論された、臨海副都心の開発の是非や多額の負債については、都市計画審議会の性格上、ここでは議論せず、現在の計画を前提に質問しますが、社会情勢の変化の中で、臨海副都心有明北地域の開発がどのように進められているのかを伺いたいと思います。
 まず、有明北地区のある臨海副都心全体の現在の位置づけを、改めて確認します。都は、多心型都市構造として、新たな拠点都市として7つの副都心の整備を進めてきました。しかし最近では、コンパクトシティの考え方も定着してきた中で、既存の都市機能の更新へと移ってきている感があります。都心への業務人口の集中を避けて、快適な都市空間を目指したはずでしたが、昨今では、山手線沿線の駅前には、超高層ビルが建設され、多摩地域でも駅前に高層ビルが立ち並ぶなど、分散しないまま拡大しつつあり、むしろ東京への一極集中化がますます進んでいる状態です。こうした社会情勢の変化がある中で、臨海副都心並びに有明北地域の位置づけについて、特に見直しを行ったのかを伺いたいと思います。
 また、人口については、有明北地区の計画人口、誘導水準で居住人口3万8,000人、就業人口は1万4,000人とのことですが、達成への見通しはどうなのでしょうか。仮にそれだけの人口が住まうときに、臨海副都心でこれだけの雇用が賄えなければ、都心に逆流をして、業務人口の分散になるどころか、集中を避けるという副都心構想の基本が崩れてしまいかねません。計画人口の達成の見通しについて伺います。
 また、都の計画では、平成27年度までにまちが概成することになっていますが、その計画通りに進行しているのかを伺います。この地区計画変更は、全体の中で予定通りの時
期に行われているものなのでしょうか。有明北地域について、計画目標の平成27年度に向けて、順調に進んでいるのかどうか伺いたいと思います。

【安井幹事】 3点のご質問がございました。1点目は、臨海副都心有明地区の位置づけ。それから、2点目は人口フレーム。3点目は、計画達成に向けての進捗でございました。
 まず1点目でございます。都は、昭和61年に公表いたしました東京都長期計画におきまして、臨海副都心を7番目の副都心として位置づけまして、開発にかかる基本計画や推進計画等を策定し、これらの計画に基づきまして具体的な事業を進めてきてございます。臨海副都心の位置づけや、まちづくりの基本的な方向につきましては、大きく変更はしてございませんけれども、対象区域が広大で、整備期間も長期にわたるということから、今日までの間、社会経済情勢の変化や開発の進捗状況など踏まえまして、事業を推進する上で必要となる計画の見直しや、計画内容の充実を図ってきてございます。当局が所管します「都市づくりビジョン」でございますが、これは当初平成13年に策定しましたが、この中でも目指すべき将来像を示してございまして、さらにこのビジョンを昨年7月に改定いたしまして、計画内容を充実させているところでございます。具体的に申し上げますと、臨海副都心におけます、有明南、青海、台場地区につきましては、職・住・学・遊のバランスのとれた複合的なまちが実現され、羽田空港の国際化などにも対応した、21世紀の東京や東京圏に求められる新たな機能を備えた先導的な拠点を形成することとしてございます。また、このビジョンの中で、特に有明北地区につきましては、緑豊かな旧防波堤や海の眺望景観を生かし、潤い豊かな住宅地と、活力とにぎわいのある商業、業務機能等がバランスよく複合した市街地を形成することとしてございます。このような将来像の実現に向けて、これまで開発、あるいは基盤整備を進めてきているところでございます。
 2点目でございます。人口フレームでございますけれども、平成9年度に、青海地区を対象とする、都民提案というのを行ってございます。この結果を踏まえまして、平成18年に、臨海副都心におけます従来の土地利用などを一部見直す中で、有明北地区の人口フレームを再設定してございます。就労人口1万4,000人は変えずに、居住人口を3万8,000人としているわけでございます。この有明北地区でございますが、臨海副都心の他の地区と異なりまして、民間地権者が多く、その中には現在の事業の継続を希望する地権者もいらっしゃることから、人口フレームについては、具体的な目標達成年次を定めずに、誘導すべき水準としているところでございます。今日までの開発状況や土地利用計画などを勘案いたしますと、人口フレームは誘導可能な数字であると見込まれてございまして、今後とも、当地区の民間地権者とともに策定したガイドラインに基づきまして、目標の実現に向けてまちづくりを進めていく考えでございます。
 3点目でございます。予定通り計画は進んでいるのかというご質問でございました。臨海副都心は、先ほどお答えしましたように、社会経済状況の変化にいち早く対応できるように、段階的に開発を進めていくこととしてございます。今日まで、ゆりかもめ・臨海高速鉄道・放射34号線、通称晴海通りでございますけれども、これらの延伸など、骨格的な交通基盤施設の整備は、ほぼ予定通り進んでございます。また、台場地区、有明南地区のまちづくりがおおむね完成するなど建築物の整備も進展しているところでございます。現在、有明北地区内におきまして、補助315号線が、平成22年度におおむね完成する予定でございます。建物開発につきましても、引き続き、「まちづくり推進計画」や「まちづくりのガイドライン」などに基づきまして、適切な開発誘導を図っていく考えでございます。以上でございます。

【中村委員】 ご答弁いただきましたが、建物の開発については、具体的な完了年次を設定しないことのようですので、計画人口になるかどうかはかなり先で、いつになるか明確に決まっていないようです。しかし、有明北2区域の整備は順調に進まなければ、その北側にあたる、港湾局が新たに埋め立てた有明北1区域についても影響が出るため、その先の計画を見据えてしっかりとした取り組みが必要です。大きな負債を抱えている臨海開発ですから、企業会計であるとの認識を持って、取り組んでいただくことを申し述べます。次に、今回の地区計画の変更で、有明北地区がどのようなまちになるのかを伺います。先日、実際現地を訪れて、臨海線の国際展示場駅から2-2-A地区、近くまで歩いてきました。現在、地区計画の地域では、建設中を含めて幾つかの高層マンションが点在をして、倉庫や流通などの業務施設と混在していました。以前に比べれば業務施設が減り、更地も増え、住居の整備に向けて取り組んでいる途上という状況でした。今回の計画では、2-2-A街区において、地区計画で壁面後退や街路の整備等を行うことで、容積率を300%から450%に上げるのが主な目的とのことです。それにあわせて高層マンションが建設されるようですが、実際にはどのようなまちになるのでしょうか。また、そのようにして高層化されたマンションは、実際販売される見通しはどうなのでしょうか。計画後のこととは言え、計画を立てるためには重要なことです。隣接している有明北3区域の売却は非常に困難を極めて、1割値下げをしても3度目の公募を行っています。景気が必ずしもよくないからとは言っても、このような状態が続けば、今後の有明北2区域の開発も雲行きが怪しくなってしまいます。有明北1区域の東京都港湾局の埋め立て地も売却しなければ都の負債がなくならないだけに、有明北2・3区域の付加価値向上は重要です。そのためにも、単なる普通の住居地でいいかは検討しなければいけません。既に建設されたマンションでは、1階にコンビニエンスストアやクリーニング店などが入っていますが、それだけではにぎわいとは言えません。今後更地になっている場所だけではなく、現在業務施設がある場所なども対象になると予想されます。売却のめどが立ったら、その都度地区計画を変更するのだとは思いますが、有明2、北2区域の2-2-A街区以外についての見通しも伺いたいと思います。また、地区計画において、一定割合を業務床として決めることなどはできなかったのでしょうか。既にこの地域には業務施設は存在していますので、地域としては住居と業務が混在してはいますが、将来的に住居地域に変わっていく中、下層階に特に業務床のないマンションが開発されていくことになると、地区計画にあるような商業業務機能をどのように導入していくつもりなのでしょうか。単にそこに住まう人だけのための開発ではあまり好ましくありません。さらなる付加価値がつかなくなってしまいます。例えば、すぐ南側には、有明のテニスの森もありますので、スポーツ振興のまちづくりをするなど、ソフト面での施策も含めた付加価値のあるまちづくりにできないものかどうか伺いたいと思います。今後有明北2区域の全体をどのようなまちにしていくのか、ご所見を伺いたいと思います。

【安井幹事】 今後のまちづくりの取り組みでございますけども、先ほどもお答えいたしましたが、有明北地区の2区域は、運輸であるとか倉庫業であるとかの既存施設もございまして、これらの現業を継続する意向を持つ地権者も少なくございません。こうした地区の特性を踏まえつつ、「まちづくりガイドライン」におきまして、地区の拠点及び骨格を形成するエリアの建築物は、街並みににぎわいを形成するように進めることとされており、こうした将来像の実現に取り組んでいるところでございます。今後都が、有明北地区でまとまった土地を処分する場合には、まちづくりの計画指針に沿って、商業機能などを積極的に配置し、地区の顔となる空間形成を図る計画を誘導するという考え方で、付加価値を高めるという観点を含めて進めていきます。また、民間事業者の開発が具体化し、提案があった場合には、容積率、都が所管してございます容積緩和の制度も活用しつつ、にぎわい施設等の導入も図れるよう、開発事業者と協議するなど、まちづくりの方針や条件に沿ったまちづくりを適切誘導しまして、先ほど答弁しましたような、都市づくりビジョンに掲げてございます、活力とにぎわいのある商業・業務機能がバランスよく複合した市街地を形成していくということに取り組んでまいる考えでございます。

【中村委員】 先ほども企業会計であるという認識を持って取り組んでいただきたいと言いましたが、今回の議案である有明北2区域は、多くは民有地ですので、都がどのように誘導して魅力あるまちづくりをしていくかが重要です。そのことは、その後の北側の港湾局が所有している有明北1区域にも大きく影響してきます。臨海副都心は大きな負債を背負いながら、台場・青海・有明南と整備が進んできましたので、最後となる有明北についても早急な負債の清算という側面もありますし、何より都民にとって魅力ある臨海副都心のまちづくりを行うため、今後計画的に取り組んでいただくことを申し述べまして、質問を終わります。

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