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都議会質問記録

2014/03/18 産業支援、金融支援、雇用就業支援について質問しました

2014年3月18日、来年度予算、条例等の議案等について、消費税対策、ものづくり産業支援、金融支援、雇用就業支援について質問しました。

○中村委員 それでは、初めに消費税対策について伺います。
  四月から、消費税が五%から八%になります。東京商工会議所の調査によると、都内の中小企業の約四割が、消費増税に伴って円滑に価格転嫁ができるかどうか懸念を抱いているとの結果が出ました。
  また、経済産業省と公正取引委員会は、消費増税を控えて、増税分の価格転嫁を拒む事業者を、経産省は今月三日までに四百六十五件、公取委は二月末までに三百八十七件を指導しました。
  都においても、下請企業や小売企業が消費税を円滑に転嫁し、経営を継続していくことができるように監視すべきですが、見解を伺います。

○十河商工部長 消費税の転嫁拒否などの不適正な取引は、厳しい経営環境にある中小企業にとって切実な問題でございます。
  そのため都は、下請取引に係る相談対応や企業への巡回訪問を実施しており、昨年十月からは転嫁拒否などに関する相談受け付けも開始してございます。
  来年度は、弁護士相談の体制を強化するとともに、企業巡回を行う相談員を増員し、よりきめ細かく対応することにより、価格転嫁を含めた下請取引の一層の適正化を図ってまいります。

○中村委員 次に、ものづくり産業への支援について伺います。
  都内でも、長らく続いた円高などの影響により、大規模な事業所の撤退が多くなり、こうしたことを背景に、地域の産業集積が衰退をしていくのではないかとの懸念が強くなっています。私は、かねてよりこの問題を深刻なものと捉え、今般の本会議においても質問を行い、対応を求めてきました。
  都は、来年度から都内ものづくり企業立地継続支援事業を開始し、中小企業が都内で操業を継続する取り組みを後押しするとのことですが、こうした個別企業に対する支援と同時に、地域における面的な産業集積をしっかりと守り、発展させていく取り組みも重要です。中小製造業が地域的に集積することで、企業同士の連携が加速され、国際競争にもかち得るよう成長していくと考えます。
  産業空洞化がいわれる中、都は、地域での中小企業の集積を育て、成長に向けて継続的に支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

○十河商工部長 東京では、すぐれた技術を有する中小製造業が、各地域で特色ある産業集積を形成しております。
  これら中小製造業が、成長を目指して新たな分野に事業を展開するなど、企業単独では対応の難しい課題に取り組むためには、こうした集積のネットワークを活用し、技術や情報を共有しながら、共同で製品開発や受注などに取り組むことが効果的でございます。
  このため都は、昨年度より、ものづくり産業集積強化支援事業を実施いたしまして、地域の産業集積の確保と発展に向け、企業誘致や工場の集約化、企業間の技術連携の促進などに取り組む区市町村を三カ年にわたり継続的に支援することとしており、来年度からは、新たに三鷹市など四区市を支援いたします。
  こうした取り組みにより、産業集積の維持発展を図り、成長に向けた中小製造業の競争力強化を促進してまいります。

○中村委員 来年度は、三鷹市を含む四市区への支援があるとのご答弁でした。
  どのような地域のまちづくりを行うかは市区町村の役割でも、企業活動は広域的に行われるため、産業政策は一自治体だけの範囲にとどまるものではありません。都も、広域自治体として積極的な支援をお願いします。
  次に、都が来年度から開始する動産・債権担保融資制度について伺います。
  動産や債権を担保にして融資を受ける手法は、まだ日本では余りなじみがないようにも思いますが、中小企業にも有効だということで、国でも金融機関に対して活用を促す流れが出てきているということです。私も、地元の中小零細企業が資金繰りに困っている様子をよく耳にするので、融資を受ける手段が少しでも多いことは望ましいことだと思います。
  今、一般的に行われている融資は、土地を担保にするか、そうでなければ経営者自身が債務を保証しています。この個人保証によって、仮に会社が倒産した場合、社長さんの生活までも奪ってしまったり再起の芽を潰してしまったりするということで、何とか個人保証を外す基準がガイドラインとしてまとめられましたが、対象はかなり優良企業に限られるというのが現実のようです。
  こうした現実を踏まえると、個人保証の慣行をなくしてしまうというところまでは一足飛びにいかないでしょうから、今回のような動産や債権を担保とする融資など、さまざまな選択肢をつくっていくことは大切だと思います。
  そこで、何点か質問します。
  まず、こうした取り組みは、民間ベースでは行われているのでしょうか。民間の金融機関における取り組み事例について伺います。

○寺崎金融部長 動産や債権を担保とする融資方法、いわゆるABLは、日々の事業活動で使用しているさまざまな資産を担保に活用できることから、融資の担保として活用できる不動産などの資産が少ない中小企業にとって、資金調達の多様化を図る上で有効な手段の一つであります。
  ABLは、民間金融機関における活用が図られ始めた段階ではありますが、全国的に見ますと、棚卸資産では、畜産業の牛や豚、酒造業のワインや日本酒など、また機械や設備では、印刷用の機械や業務用の大型冷蔵庫などを担保として融資を行っている事例がございます。

○中村委員 民間でも、数は多くないけれども、さまざまな取り組みが進められつつあるようですので、都が取り組む意義というのを改めて確認したいと思います。
  私は、先ほど述べたような、個人保証が外せない場合の代替措置としての意味があるのではないかと考えています。この点も含めて、今回、都が制度構築に乗り出す意義について伺います。

○寺崎金融部長 先ほどお答えしたような民間金融機関による独自の取り組みは、担保価値が高いものや一定のボリュームがあるものが対象となっており、中小企業、特に小規模企業を対象とした事例は多くないというのが現状であります。
  その要因といたしましては、担保物件の評価や管理が難しく、また、担保物件を評価するための費用など、中小企業にとっても負担が大きいことなどが挙げられます。
  このため、今回の制度は、専門機関の活用や中小企業の負担への補助、金融機関の損失への補助など手厚い支援を講じることにより、都内の小規模企業でも活用できる都独自のABL制度として構築したものであります。
  本制度は、不動産担保や個人保証が中心となっている企業向け融資の中で、資金調達の選択肢を広げる点で意義のあるものと考えております。

○中村委員 都内中小企業の資金調達の選択肢を広げていくために、さまざまな支援策を講じてこの制度をつくったという趣旨はよくわかりましたし、中小企業の立場に立った取り組みだとも思います。
  ただ一方で、もう一つ疑問に思うのが、動産や債権をどのように管理、保全していくかです。不動産は持って逃げることができませんが、動産ならそれができます。そういった意味で、この制度は、不動産担保に比べて貸す側にリスクがあるのではないでしょうか。担保をとって貸したのはいいけれども、担保がなくなってしまったのでは損失が大きくなってしまうのではないかと心配になります。
  こうしたことも含めて、都の損失補填が膨らまないよう、担保の評価や管理についてどのように取り組むのか伺います。

○寺崎金融部長 本制度では、まず、担保の種類ごとに専門的なノウハウや実績を有する機関を選定し、金融機関の融資をサポートすることで、担保物件に対して精度の高い評価を行う仕組みといたします。
  また、融資を行った後も、専門機関や金融機関が定期的にモニタリングを行い、担保物件の保全状況を確認することなどにより、適切な管理を行ってまいります。
  こうした専門機関を活用した取り組みによりまして、担保物件の評価や管理を適切に行うことで制度の円滑な運用を図ってまいります。

○中村委員 新しい制度について何点か伺いましたが、先ほどから申し述べているとおり、中小企業の資金繰り支援を充実させていくことは大切だと思いますので、この制度を活用して、多くの中小企業の役に立つようしっかり取り組んでいただきたい、このことをまず申し上げておきます。
  その上で、都の損失補填が過大とならないよう、ただいまの質疑で指摘した点も踏まえて、関係機関と連携して、制度の適切な運用を行っていただくよう要望いたします。
  次に、金融支援のもう一つの新規事業である女性・若者・シニア創業サポート事業について、一点お伺いします。
  少子高齢社会に突入した我が国において、子育て支援や高齢者の介護、買い物などの生活支援といった課題が顕在化をしています。こうした課題は、皆様の身近な地域社会の課題に事業として取り組むコミュニティビジネスが今注目を浴びており、私は、このコミュニティビジネスを飛躍的に伸ばしていくことが、社会の課題を解決するために今重要だと考えています。
  今回の事業は、地域に根差した創業を支援するということで、まさにこのコミュニティビジネスを支援するものではないかと考えられますが、本事業の趣旨を含め、都の見解を伺います。

○寺崎金融部長 来年度新たに開始する女性・若者・シニア創業サポート事業は、地域に根差した創業を目指す有望な女性、若者、シニアに対して、信用金庫や信用組合が創業資金を融資するとともに、地域創業アドバイザーが金融機関と連携して事業プランへの助言を行うなど、資金供給と経営サポートの両面からの支援を行うことで、地域のさまざまな事業を生み出し、都内における創業の促進を図るものであります。
  お話の、地域課題の解決に取り組む、いわゆるコミュニティビジネスについても、本事業の主要な支援対象と考えられ、事業を効果的に実施することで多くの創業を生み出していきたいと考えております。

○中村委員 私は、地域での創業をふやしていくことは、職住近接を進めることにつながり、通勤ラッシュの緩和だけでなく、仕事と子育てや介護の両立という面でも有効ですし、防災対策の面でも、震災時の帰宅困難者を生まないといった面で望ましいと考えています。ぜひ、この新しい事業を活用して、多くのコミュニティビジネスを生み出していただくよう要望して、次の質問に移ります。
  次に、雇用就業支援について伺います。
  多くの方が安定した仕事を得たいと思っていても、高齢者、若年層、女性、障害者などは厳しい状況にあります。とりわけ高齢者については、六十歳で定年になっても六十五歳までの年金支給までの暮らしが厳しいため、雇用延長も必要と考えます。
  高齢者雇用安定法が改正され、昨年四月から、六十五歳までの希望者全員の雇用確保措置が義務づけられましたが、企業の対応状況はどうなっているのでしょうか。
  また、法改正に対応して、都としてどのような取り組みを行っているのか伺います。

○矢田部雇用就業部長 東京労働局は、管内の企業約二万五千社について、改正法施行から二カ月が経過した平成二十五年六月一日時点での高齢者の雇用状況について集計いたしました。その集計結果では、高年齢者雇用確保措置を既に実施した企業の割合は約九二%となっております。
  都では、セミナーや啓発資料の配布などを通じ、労使双方に対し改正法の周知を図っております。

○中村委員 多くの企業で雇用延長に向けての対応をしているようですが、正社員として継続して働いてきた方などはその保護を受けられますが、非正規雇用であったりすると厳しい状況であり、介護などさまざまな事情で一度仕事をやめた方が再就職するのは難しい状況にあります。
  企業で継続雇用されなかった高齢者の中には、年金や貯金もなく、生活に困っている人たちもいます。また、六十五歳を超えても、経済的な理由から雇用されることを希望する人もいます。このため、高齢者の雇用の場をふやしていくことが重要と考えます。
  そのためにさまざまな取り組みが必要になりますが、都は来年度、新規に高齢者の職域開拓モデル事業を実施します。この事業の内容及び成果をどのように広めていくのか伺います。
  また、例えばどのようなものを想定しているのか、あわせて伺います。

○矢田部雇用就業部長 高齢者の職域開拓モデル事業は、高齢者が地域等で働くに当たって他のモデルとなるような企画について、事業主等から広く提案を募集し、その立ち上げに必要な経費の助成を行うとともに、その取り組み内容については、発表する場を設けるなどにより、広く発信してまいります。
  事業としては、既に事例のある高齢者によるコミュニティカフェなどが想定されますが、モデルとして、さらにふさわしい提案が出されることを期待しております。

○中村委員 高齢者の雇用拡大については、まずは企業に頑張ってもらうしかないのですが、大企業に比べて厳しい状況にある中小企業には、都も経営支援を通じて雇用の拡大と処遇の改善ができるよう取り組んでいただきたいと思います。
  一方、類を見ない急速な高齢社会を迎えるに当たり、お答えいただいた新規事業のような取り組みを行い、事業主を含めて社会全体に問題提起をして、新たな働き方が提案されることも大切だと思います。
  さて、来年度の新規事業では、従来から行っていたシルバー人材センターへの支援に新たな事業の予算が計上されています。シルバー人材センターは生きがい就労を行っていますが、最近では経済的理由で入会する人もふえていると聞きます。雇用を希望する人は雇用につなげ、シルバー人材センターは、本来の生きがい就労としての役割を果たしていくのが望ましいと思います。もちろん、シルバー人材センターには既に多くの会員がおり、会員拡大をすると同時に、会員の仕事をふやすことも大切です。
  そこで、雇用されることを希望する高齢者に対して、どのように支援していくのか伺います。
  また、シルバー人材センター会員の就業機会の拡大に向けてどのように取り組むのか、あわせて伺います。

○矢田部雇用就業部長 都では、雇用されることを希望する高齢者に対しては、東京しごとセンターにおきまして就業相談や職業紹介を行うほか、アクティブシニア就業支援センターにおいて身近な地域での雇用を希望する高齢者に対する就業相談や職業紹介を行っており、引き続き取り組んでまいります。
  また、シルバー人材センター会員の就業機会の拡大を図るため、都内のシルバー人材センターの事業活動を支援している東京しごと財団が、各センターと連携して、高齢者の見守りなど地域のニーズを踏まえた仕事の開拓を行えるよう支援することとしております。

○中村委員 シルバー人材センターの取り組みも重要ですが、その中で、雇用を望む方にはぜひとも希望に沿えるよう、取り組みを期待します。
  また、シルバー人材センターにおいても、地域にかかわることが少ない会社員からすれば、まだまだ知名度は高いとはいえませんが、高齢者全体が多いため、会員数は増加傾向にあるようです。せっかく会員になっても出番がないこともあるようですから、積極的な開拓を求めます。
  シルバー人材センターは、高齢者の居場所や出番をつくるといった点で、雇用と福祉の両方の機能を兼ね備えています。これまでとは社会が大きく異なっていく中で、高齢者の方がより積極的に活動するきっかけがつかめるよう、シルバー人材センターの多様な活動の展開を期待します。
  次に、仕事と介護の両立について伺います。
  ワークライフバランスがいわれて久しいのですが、最初のころは、保育園が足りない中で、子育てと仕事との両立が注目されましたが、昨今では、より深刻なのは介護と仕事との両立です。私もたびたびこの問題は質問として取り上げてきたのですが、これから高齢社会を迎えるに当たり、働き盛りの四十代、五十代の貴重な働き手が仕事をやめざるを得ないのは、本人の暮らしも厳しいのと同時に、生産年齢人口が減っていく中で、社会としても痛手になります。
  介護と仕事の両立は大変に重要な課題であると思いますが、都の取り組みについて伺います。

○矢田部雇用就業部長 労働者が、生き生きと働きながら介護など家庭における役割を果たすためには、仕事と家庭生活との両立が可能となる雇用環境を整備することが重要でございます。
  都は、仕事と、介護を含む家庭生活との両立について、すぐれた取り組みを進める中小企業を認定、公表し、社会的機運の醸成を図っております。
  また、両立支援を進める企業に対し、社内体制整備に必要な経費の助成などの支援を行っております。
  引き続き、こうした取り組みを進めるとともに、都内中小企業の仕事と介護との両立に関する実態を把握するなど、効果的な施策展開を図ってまいります。

○中村委員 ことし一月に、産業労働局が東京国際フォーラムで開催したワークライフバランスフェスタ東京二〇一四を見学しました。休暇取得や短時間労働を行うために業務を見直すことがかえって業績向上につながる事例もあり、先進的な企業に認定状が渡されました。仕事と介護の両立を個人だけの問題にしておいては決して解決しないので、社会全体で解決を図れるよう積極的な取り組みをお願いします。
  さて、最近、大手企業のベアが発表されましたが、中小企業への波及はまだこれからです。しかも非正規雇用への波及はまだまだという感じです。仮に非正規雇用の方の給料が上がったとしても、正規雇用の方に比べれば、その待遇は極めて不安定といえます。
  昨今、非正規雇用の割合が三割を超えていますが、この状況についての都の認識を伺います。
  また、非正規雇用の方を正規雇用へとすることや、非正規雇用にある者の雇用環境の改善に向けてどのように取り組んでいるのか、あわせて伺います。

○矢田部雇用就業部長 いわゆる非正規労働者が増加し、その雇用者に占める割合が三六・六%と過去最高を更新する中で、これら就業構造の変化などへの対応は重要な課題でございます。とりわけ、不安定雇用を余儀なくされている若者は数多く存在しており、このような若者に対する就業支援は重要でございます。
  都は、非正規雇用で働く若者の安定した雇用を実現するため、研修と派遣就労を組み合わせて正規雇用に結びつける取り組みを行うなど、さまざまな施策により就業を支援しております。
  また、非正規労働者の雇用環境改善に取り組む中小企業に専門家を派遣し、助言を行うなど、意欲的な企業を支援しております。

○中村委員 今定例会の民主党の代表質問で、知事も、働く人の三分の一が非正規雇用という現状は、尋常ではない、目指すべきは、希望に応じて正規雇用という働き方を選択し、実現できる社会と述べています。これは全く同感です。
  非正規雇用の割合が高い若い世代が安定した仕事と収入を得ることは少子化対策にもつながります。人が人らしく働き暮らすことができるよう、さらなる取り組みを求めて、質問を終わります。

 

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