2014/06/20 東京港第8次改訂港湾計画について質問しました
2014年6月20日、東京港第8次改訂港湾計画について質問しました。
○中村委員 それでは、東京港第八次改訂港湾計画の中間報告について質問します。
東京都の港湾行政について基本計画となる重要な計画です。それだけに今回、五月一日から十五日までパブリックコメント、意見募集が行われたとのことですが、出された意見に対してもきちんと対応していくことが大切です。
そこで、まず最初の質問として、中間報告についてどのような意見が出されたのか、そして、その意見をどのように今後の計画策定に反映させていくのか伺います。
○石山港湾整備部長 意見募集では、どのような計画内容が重要と思うかを聞くアンケートを実施いたしました。
その結果として、災害に強い港の整備、交通渋滞対策、津波、高潮対策の推進の順で意見が多くありました。
また、自由意見としては、コンテナや搬送用の台車の置き場の確保や、ゲートオープン時間の延長等に関する意見が多く寄せられました。
今回の中間報告では、耐震強化岸壁の充実、コンテナふ頭の整備拡充及び港湾関連用地の確保に加え、海岸保全施設整備なども含め、物流や安全・安心などさまざまな視点から施策を示しており、寄せられた意見にもおおむね沿う計画になっていると考えております。
○中村委員 提出されたご意見には、既に中間報告に盛り込まれているものが多いようです。
ただ、取り組みがされていても知られていない場合は、より丁寧な広報や説明が必要ですし、渋滞対策や耐震強化など、計画には記載されはしても、すぐにでも実行してほしいから意見が出されているものもあるでしょうから、今後できるだけ早く対応していただくようお願いをいたします。
さて、中間報告を、将来貨物量の推計値において、人口減少社会に当たりどう反映させているのでしょうか。首都圏四千万人といいますが、今後人口減少が見込まれ、高齢化も進展すると予想される中、人口推計とどう対応しているのでしょうか。
また、アジアとの競争が激化する中で、厳しい状況が予想されることを考えると、どのような根拠で積算しているのでしょうか。ここ数年伸び率があり、そのまま伸ばすと目標年次の平成三十年代後半の将来貨物量は六百十万TEUになるようですが、どのように推計されたのか伺います。
○石山港湾整備部長 我が国全体の将来人口は減少すると予想されておりますが、首都圏の人口は、今回の計画の目標年次である平成三十年代後半においても、現在と比べ、ほぼ横ばいと見込まれております。
また、東京港の外貿貨物の七割は輸入貨物でございますが、その多くは、衣類、日用品、食品等の消費財であり、こうした輸入貨物の九二%が首都圏で消費されております。
これらの消費財は、かつては国内で生産されておりましたが、生産拠点がアジアの新興国へ移り、輸入品として国内に入ってくるため、国民一人当たりの輸入消費財は年々増加し、東京港の輸入貨物も増加するという構造的な変化がございます。
こうした状況も踏まえ、現在策定を進めている第八次改訂港湾計画における貨物推計は、貨物全体の伸び率をそのまま伸ばしているわけではなく、外的な社会経済要因や営業努力が加味されたものとなってございます。
具体的には、衣類等の雑工業品や輸送機械など、代表品目ごとに、それぞれGDP将来予測、将来推計人口等の社会経済フレーム、東京港の取扱貨物実績などから、将来の取扱量を推計しております。その結果、コンテナ取扱個数は、平成三十年代後半に約六百十万TEUと、現在の取扱貨物量に対し、約三〇%増加することが見込まれる結果となっておりまして、この推計値は妥当な値と考えております。
そして、こうした貨物需要を効率的に取り扱える施設能力を備えなければ、アジアとの競争が激化する中で、東京港では基幹航路を維持することができないと認識しております。
○中村委員 企業活動のグローバリゼーションが進展する中で、平成三十年代後半に貨物量が六百十万TEUまで増加すると見込むことは、今、ご説明を伺いますと、妥当なところかもしれません。
ただし、釜山や上海、シンガポールなどアジア諸港との競争が激化している現状では、先ほどお話のあった営業努力がますます重要になってくると思います。
このため、都は、東京港の強みを生かし、積極的な営業活動を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
○笹川港湾経営部長 港湾間競争が激化する中で、東京港が生き残り発展していくためには、日本経済を支える荷主や船会社の信頼をかち得て、長期にわたって利用され続けることが重要と認識をしております。そのためには、地道でたゆまぬ営業活動が必要不可欠でございます。
これまでも東京港では、東京港埠頭株式会社に民間人社長を迎え、営業本部を立ち上げ、荷主への直接訪問や意見交換会の開催、船会社への誘致活動など民の視点に立った営業活動を行ってまいりました。
今後とも、港湾労働者等の高い技術力に裏打ちされた、船舶離着岸の定時性や貨物へのダメージの少なさなど、高品質なサービスを提供できるという東京港の強みを生かしながら営業活動を展開してまいります。
○中村委員 しっかりと東京港のセールスに努めていただきたいと思います。
一方で、国際コンテナ戦略港湾として京浜港と阪神港の二港が指定されていますが、国の政策の中で、この二港に貨物を集中させ、物流規模を大きくし、コストダウンを図ることで競争力を高めようとしています。
しかし、例えば京浜港の貨物量だけが大幅に伸びることになれば、地方に大きな影響を与えることになるのではないかという意見も出かねませんが、見解を伺います。
○藏居港湾経営改革担当部長 東京港を初めとする京浜港は、全国の製造品出荷額の約一割を占める茨城、栃木、群馬といった北関東三県を初めとした東日本の生産拠点と、アジアや欧米などの海外各地を結ぶとともに、世界有数の消費地である首都圏の住民生活を支える国際物流拠点として、重要な役割を果たしております。
そのため、今後も、京浜港の一翼を担う東京港の機能をさらに充実強化していくことが、日本経済の成長には不可欠であり、地方の発展にも大いに寄与するものと認識しております。
○中村委員 東京港の充実強化が地方への発展にも寄与するということでしたので、これからもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
さて、外内貿コンテナを合わせて、現在の施設能力の三百四十万TEUを超えて、四百五十八万TEUを取り扱っているとのことです。このことから外部不経済が生じているとのことですが、どういう状況になっていて、どう対応しているのか伺います。
○石山港湾整備部長 現在の東京港は、経済性や利便性などから貨物が集中し、既に施設能力以上に貨物を取り扱っておりまして、季節や時間帯のピーク時には、一部のターミナル周辺に交通混雑が生じている状況がございます。
これに対応するため、総合渋滞対策を取りまとめて、早朝ゲートオープン、車両待機場の整備など短期的な対策により、一定の効果を上げてきております。しかし、長期的には施設の整備等、抜本的な対策が必要だと認識しているところでございます。
○中村委員 総合渋滞対策をやっていただいているということですので、これからもしっかりやっていただきたいと思います。
さて、計画では、目標年次の平成三十年代後半の将来貨物量は六百十万TEUを取り扱うとしていますが、そのために能力はどのように高めていくのでしょうか。
これは予測を誤り、過剰な投資をすることになってはいけませんし、逆に取扱量に能力が追いつかずに、取引量の拡大に歯どめをかけることがあってもなりません。的確に貨物量を予測し、適切な投資をしていくことが必要です。そのための予算をどの程度見込んでいるのか伺います。
○石山港湾整備部長 まずは、現在の外部不経済を解消し、効率的な物流の実現を目指して、既に進めている中央防波堤外側コンテナふ頭Y1、Y2及びY3の整備等を着実に進めてまいります。
さらに、増加する貨物への対応としては、今後の貨物量の動向や交通混雑の状況等を見ながら、新たなふ頭の整備時期を見きわめた上で、適切な時期にこれに必要な予算を確保し、順次、施設能力を高めてまいります。
○中村委員 順次、施設能力を高めていくとの答弁でしたが、計画では整備する施設が記載されていますが、大きな施設ですので、計画的に進めていかないと急な対応は難しいかと思います。できれば各施設が、何年までに整備していくといった目標を定めることが望ましいと思います。
また、都が今年度中に作成するとしている長期ビジョンにも盛り込み、都全体の計画の中に位置づけていくことも必要ではないかと考えます。予算規模が大きいだけに、計画的な整備を求めておきます。
さて、外部不経済への対応のため、交通混雑に大きな方針を示して取り組んだことは評価します。
ただ、先ほどの質問のように能力を高め、六百十万TEUまで取り扱うと、それだけの輸送に対する渋滞対策がさらに必要になると思いますが、十分に対応できるのでしょうか、伺います。
○石山港湾整備部長 取扱貨物量に応じて施設能力を順次高めていくことで、コンテナターミナルの施設能力の不足により発生する、コンテナゲート周辺の車両の待機渋滞を解消していくことが可能と考えております。
これにあわせて、ふ頭と背後地とを結ぶ道路交通ネットワークの充実強化を図るため、臨港道路南北線の早期整備をするなど、ふ頭地域での交通混雑を招かない対策を進めてまいります。
○中村委員 港湾経営にかかわる問題として、これまで国際コンテナ戦略港湾について、今後、横浜港、川崎港と三港の一体的な運営が実現されることに加え、国が特例港湾運営会社に資本を入れようとしています。これについては、本会議や当委員会でも議論する中で、資本参入による国の経営への加入に対しては多くの議員から反対の意見が出されたのですが、残念ながら法律が成立してしまいました。
今後は、運用の面で国に主導権を握らせず、自治体が行うのが適切な港湾行政について、都としてもしっかりと主張していただきたいというふうに思います。だからこそ港湾行政は、港の運営にとどまらず、背後地を含めて自治体としてどのような港湾都市を目指すのかを明確に示す必要があります。国とも違い、横浜市、川崎市とも違う、東京ならではの、どのような姿を目指すのか明確にする必要があり、これはまさしく今回の第八次改訂計画の大きな柱となると思います。
これまでの七次計画の課題を踏まえ、八次計画ではどう改善していくのか、東京港が描く港湾の姿はどのようになるのか、都の所見を伺います。
○石山港湾整備部長 港は、輸出が中心の横浜港、輸入が中心の東京港など、それぞれ異なる特色や機能を有し、長い歴史を経ながら発展してきた経緯があるため、所在する都市とのかかわりも、おのおの異なるものがございます。
中でも東京港は、背後のまちづくりや環境、防災施策など、都が行う大都市経営と不可分なものであることから、これまで都が責任を持って東京港の経営を担ってまいりました。
今後も、東京港が大都市東京の活力や魅力の向上に寄与する港となるよう、物流はもとより、都市の発展に重要な要素である観光、環境、安全に加え、オリンピック・パラリンピックという観点からの施策を連携させてまいります。
具体的には、七次改訂計画の課題を踏まえ、八次改訂計画で打ち出した既存施設のリニューアルなどによる物流機能の拡充や、MICE、国際観光拠点機能の強化、臨港道路南北線など、東京港の活発な活動を支える円滑な交通ネットワークの確保などを推進してまいります。
こうした施策により、都市機能と港湾機能とが有機的に結合した、世界に誇る都市型総合港湾を目指して、都が責任を持って東京港の港づくりを推進してまいります。
○中村委員 都が責任を持って東京港の港づくりを推進するという力強い答弁をいただきました。
繰り返しになりますが、国の介入を防ぎ、単なる港づくりということではなく町全体をつくっていく、まさしく自治体の役割ですから、しっかりと取り組み、横浜市、川崎市とも連携した京浜港として日本経済を牽引していただきますよう述べまして、質問を終わります。
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