2014/09/29 東京ビッグサイトの拡張、都立産業技術研究センターについて質問しました
2014年9月29日、オリンピックのメディアセンターとなる東京ビッグサイトの拡張の補正予算、都の外郭団体の地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの業務について質疑を行いました。
○中村委員 それでは、東京ビッグサイトの拡張に関する補正予算について質問をします。
今回の質疑に先立って、競技会場等として利用される予定の東展示棟と、西展示棟南側の拡張予定地を実際に中山議員とともに見学をしてきました。関係者の方々には、お忙しい中ご対応いただき感謝をしております。
さて、都議会民主党としては、この国際都市である東京の産業基盤を強化することでビジネスを活発化させ、その効果を都内中小企業のみならず、日本全体に相乗的に波及させていくことが必要だと主張してきました。
国内外のコンベンションの積極的な誘致に向けた重要な基盤として、日本を代表する展示場である東京ビッグサイトの拡張は重要な課題ですが、施設整備は大きな財政負担を伴うものです。
オリンピック・パラリンピックの開催に向け、東京に集まる注目と期待に応えていくために、競技会場やメディアセンターとなる東京ビッグサイトの機能を充実させることは大切ではありますが、後世に大きな負担を残すことがあってはなりません。
こうした観点から、今回のビッグサイトの拡張について、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに、今回提案した補正予算はどのような内容か、施設の概要や整備の工程をどのように計画しているのか、改めて伺います。
○十河商工部長 補正予算の内容につきましては、拡張施設の基本設計業務に必要な経費のほか、地盤改良工事の設計費等を計上してございます。
拡張施設の展示面積は二万平方メートル程度を予定しており、施設全体の延べ床面積は、通路や会議室等を含めて六万五千平方メートル程度となる見通しでございます。
今後の工程ですが、十月中に基本計画を策定した上で、今年度から来年度にかけて基本設計を行い、その後、実施設計を経て、大会組織委員会への引き渡し期限である平成三十一年十二月末までに整備を完了いたします。
○中村委員 今回の補正予算の内容については、わかりました。
一方、オリンピック関係施設の整備に当たっては、建設費の高騰などを踏まえて再検証が行われていますが、ビッグサイトの拡張整備についても、内容をしっかりと確認する必要があります。
そこで、立候補時にはどのように施設規模と事業費を見込んでいたのか、現在はどのようになっているのか伺います。
○十河商工部長 平成二十五年一月のオリンピック立候補ファイルでは、メーンプレスセンターとなる拡張施設の延べ床面積を約四万四千平方メートル、整備費を百四十四億円と想定しております。
現在策定中の基本計画では、今後の展示会需要等の調査を踏まえ、大会終了後に本来の展示施設として有効に活用する観点から、先ほど申し上げたとおり展示面積の拡張規模を二万平方メートル程度とし、施設全体の延べ床面積を六万五千平方メートル程度として検討を進めているところでございます。
総事業費につきましては四百から五百億円程度となる見通しでございますが、今後、設計の中で精査してまいります。
○中村委員 ご答弁では、整備費は当初の三倍程度となっていますが、オリンピック・パラリンピック開催のための施設の必要性だけではなく、今後の展示会需要を踏まえて、大会終了後に有効活用が望める規模を選択したとのお答えがありました。
つまり、これは大会終了後も採算がとれるということで考えてよろしいのでしょうか。
○十河商工部長 施設の拡張に当たりましては、今後の展示会需要等を踏まえ、展示施設として有効に活用できる適正規模による整備を行うこととしており、都が昨年度実施した調査によりますと、拡張施設の展示面積を二万平方メートル程度とした場合には、約六割の施設稼働率を見込むことができ、安定的な経営が可能になるという試算が出ております。
○中村委員 国際的なMICE誘致競争は既に激しく、競合する都市の誘致合戦の中で、求められるレベルは絶えず上がり続けています。国内においても、パシフィコ横浜や幕張メッセなど首都圏の既存の有力展示場だけではなくて、国の戦略によって、他の地域で整備される施設も競争に参入するでしょう。そうした中で、日本における展示会市場全体が拡大しなければ、結局パイの奪い合いという状況になりかねません。
都では、展示会ビジネスの現状と今後の予測についてどのように考えているのか、見解を伺います。
○十河商工部長 昨年度都が実施した調査によりますと、国内における展示会の開催需要は、リーマンショックや東日本大震災の影響により一時的に落ち込んだものの、その後は回復基調にあるとされており、東京ビッグサイトにおいても昨年度は施設稼働率が五年ぶりに七〇%を上回るなど、展示会の開催需要は高まっております。
また、今後の展示会需要の見通しにつきましては、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催に伴う波及効果への期待もあり、経済成長と歩調を合わせて緩やかな増加傾向が続くものと予想されております。
○中村委員 中小企業の販路開拓に向けては、展示会への出展が非常に効果的なツールとなっており、景気回復の効果を取り込もうと努力をする中小企業ほど、そうした場を積極的に活用する機運が高まっていることは確かです。
東京都としても、積極的に中小企業の販路開拓を後押ししていただきたいと思います。
さて、大規模展示会の開催に当たっては、出展する企業だけではなくて、主催者側としても交通、飲食、装飾、電気、警備など多くの企業がかかわり、たくさんの車両が行き来します。そのため、車両による円滑な搬出入や駐車台数の確保が展示会場選びの重要な条件となっています。今回現地を見させていただきましたが、現在駐車場としても活用している場所を拡張予定地とする計画であると説明を受けました。
これでは、拡張工事中から施設利用に支障が生じることが懸念されます。さらに、拡張工事が完成すれば、面積に対応したより多くの駐車台数が必要となることから、工事期間中及び整備完了後の駐車場の整備についてどのように対応するつもりなのか、お伺いいたします。
○十河商工部長 東京ビッグサイトにおける拡張工事の予定地は、屋外展示場として利用されているほか、駐車場として使用されております。
このため、拡張工事の実施期間中は駐車場として使用できなくなりますが、その間は近隣の臨時駐車場等を活用して代替の駐車スペースを確保いたします。
また、拡張施設の整備により増加する駐車需要等に対応するために、立体駐車場を併設する予定でございます。
○中村委員 先日の本会議場の方でも、展示場そのものの代替についても議論がありましたが、駐車場も大切な要素ですので、影響が最小限になるようしっかりと対応していただくようお願いをします。
今回、補正予算に関して、さまざま質問いたしましたが、オリンピック・パラリンピックへの準備、また中小企業への支援と、両面で着実に取り組んでいただくよう要望して質問を終わります。
○中村委員 では、私からも、今回の定例会に報告された、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの業務実績評価書について質問します。
昨年も質問するに際して見学をさせていただきましたが、ことしも質問するに当たり、改めて中山議員とともに見学もさせていただきました。ご対応に感謝いたします。
知事の所信表明演説でも、ものづくりを支える中小企業を支援すると述べられ、産業技術研究センターの多摩テクノプラザを訪問され、電磁波の測定施設などを視察したとのことでした。
私も昨年の多摩テクノフェアの際に訪問し、知事が訪れたという電磁波の施設も拝見させていただきましたが、知事が東京のものづくりの底力を高めると述べられたことは評価いたしますので、せっかくのこうした設備がより多くの中小企業にも活用されることを期待いたします。
先日発表された東京都長期ビジョンの中間報告でも、中小企業の開業率一〇%台に上昇というこれまでにない指標も設け、ものづくりの中小企業を育成するとの記載もありました。
そこで最初に、都のものづくりの発展における都立産業技術研究センターの役割について伺います。
○十河商工部長 経済のグローバル化等、ものづくり産業を取り巻く環境が変化する中、都内中小企業がさらに成長していくためには、その技術に磨きをかけ、競争力の高い製品を生み出していくことが必要でございます。
このため産業技術研究センターでは、中小企業が単独では整備が困難な先端機器を活用して、依頼試験、機器利用などの技術支援サービスを提供するとともに、環境、省エネルギーなどの新たな技術的課題の研究に取り組み、その成果の還元を通して、中小企業の技術力や製品開発力の向上を図るなど、都内ものづくり産業の発展に重要な役割を果たしております。
○中村委員 中小企業のものづくりは、これまで日本の成長を支えてきました。アジア諸国等との厳しい競争の中で生き残っていくには、大企業にもまねのできない卓越した技術や高い品質が重要なのはいうまでもありません。そのために懸命に努力をしている中小企業への支援を引き続きぜひともよろしくお願いいたします。
さて、今回の評価書の方では二十四項目のうち、計画を上回ったSとA、計画を順調に実施のBのみで、計画が十分に実施できていないCとDはなかったことから、全体的には高い評価ではありました。とはいえ、計画どおりというBについては、評価としては普通なのですが、コメントなどを見ると、まだまだ改善の余地のある項目でもあります。
地方独立行政法人となって八年以上たつので、毎年こうした評価書が出されますので、評価書の指摘を今後の運営に生かしていただきたいと思います。
幾つかその中で項目がありますが、その中でも外部資金導入研究・調査の項目では、評価はBで、引き続き積極的な対応が期待をされています。新規採択についても努力はされていますが、中期計画期間があと一年という状況で達成率は六一%となっています。地方独立行政法人とはいえ、収入の大半は都からの運営費交付金ですが、独立した組織としてのメリットを生かし、外部の資金獲得にもより一層取り組んでいただきたいと思います。
今回も評価書では、中小企業の製品開発や産業界の動向などを把握し、提案公募型に応募するなど、外部資金獲得活動に取り組んでいただきたいとありますが、今後の取り組みについてはどう考えていくのか伺います。
○十河商工部長 産業技術研究センターは、地方独立行政法人化のメリットである自律的で柔軟な運営の実現に向け、外部からの研究資金の獲得にも努めております。
平成二十五年度は、外部資金の獲得総額はやや減少したものの、提案公募型研究の新規採択件数は十六件と昨年の十一件に比べて増加するなど、着実に実績を積み重ねております。
産業技術研究センターでは、今後とも、中小企業のニーズを踏まえ、基盤研究を発展させることにより外部資金の導入を図るとともに、提案公募型研究への積極的な応募に努め、外部資金を活用した研究を推進することとしております。
○中村委員 また評価書の方では、都産技研の支援の結果、東京にどのような産業が育成されたのか、より一層の成果把握を期待したいとありますが、実際にこのセンターが具体的に中小企業にどのような利益を生み出すかは重要です。
国全体では基礎研究も重要ですが、中小企業にしてみれば、すぐにでも利益に直結することも求められています。技術はもちろん大事ですが、よい技術さえあれば売れるわけでもありません。
昨年、視察をした際には、中小企業の開発事例として、3Dプリンターを活用した扇風機を紹介され、ことしは依頼試験によって高い吸水性を持つタオル製品、一秒タオルを紹介していただきました。これらはもちろんすばらしい技術があるのですが、何より市場のニーズを的確に捉えているからこそ、通常の製品よりも高い価格での販売も可能な付加価値がつき、企業の業績拡大につながっているのだと思います。
そこで、産技研が支援する中小企業の成果をどのように把握しているのか、指摘を受けどのように取り組んでいくのか伺います。
○十河商工部長 産業技術研究センターでは、中小企業に対する技術支援の成果を適切に把握するため、利用者へのアンケートや研究員による聞き取り調査を実施しております。
具体的には、利用者アンケートでは、センターの利用状況や満足度に加え、製品改良や事業化につながった事例の調査を行うなど、具体的な支援成果の把握に努めております。また、技術支援に当たった担当の研究員が、技術的課題の改善状況や製品の売り上げ状況など、その後の詳細な情報の把握を行っております。
産業技術研究センターでは、今後とも、こうした取り組みをさらに強化して事業の成果を把握し、研究テーマの選定や新たな機器の整備等、支援内容の改善につなげていくとしております。
○中村委員 また評価書の方には、都産技研の高度技術支援をまだ利用していないという中小企業があると推察されるとも指摘があります。せっかく最新の設備を導入しても、中小企業にそれが届かなければ役に立ちません。
今回、見学させていただいた際に、インターネット通信を利用した遠隔相談サービスも拝見させていただきました。平成二十四年からは板橋区と連携し、板橋産業技術支援センターからインターネット経由で相談できるようになりました。そして今月の九月一日からは府中市とも連携し、府中市工業技術情報センターからも遠隔相談が開始しました。
こうしたことはよい取り組みだと思いますので、今後も提携する市区町村をふやしていただきたいと思います。
こうした事例は、中小企業の積極的な活用につながるよい事例となります。まだまだ中小企業への認知度が高いとはいえない中、より積極的に活用してもらうような取り組みについてお伺いいたします。
○十河商工部長 産業技術研究センターでは、より多くの都内中小企業の利用を促進するため、本部及び各支所を挙げて積極的な広報活動に取り組んでおります。
具体的には、ホームページや施設公開、研究発表会等を通じて、事業内容や支援の成果等の情報発信に努めるとともに、平成二十五年度にはマスコットキャラクターを新たに開発するなど、センターの認知度向上に向けた取り組みを進めております。
今後とも、国内外の展示会におけるPRを強化するなど、利用者拡大に向けた取り組みを充実することとしております。
○中村委員 また組織体制に関して、昨年度はロボット開発セクターの組織化を目指して取り組まれました。技術開発支援部に、高度分析開発セクター、システムデザインセクター、実証試験セクターの三つに加えて、四つ目のセクターとしてロボット開発セクターが設置されました。
こうした迅速な対応については、都の組織から独立した法人であることの一つの効果でもあるかと思います。ロボット技術については、介護の際の支援であったりとか、また、原子力発電所の事故の対応のように人が近づけないところで活動するなど、さまざまな期待があり、強化すべきはよい方向だと思います。
長期ビジョンの中間報告でも、ロボット産業などの高度な技術を活用する分野への参入について記載がありました。今後さらに重点的に取り組んでいただきたいと思います。
そこで、新たに立ち上がったロボット開発セクターがどのような社会的なニーズにより立ち上げ、今後はどのような取り組みを行うのか伺います。
○十河商工部長 ロボット技術は今後、高齢化や労働者不足への対応など、さまざまな分野での活用ニーズが見込まれております。また本年、生活支援ロボットの国際安全規格が発行され、さらなる技術革新が期待されております。
こうしたことから産業技術研究センターでは、昨年度より、おもてなしロボット等を初めとするロボット開発への取り組みを開始し、本年度にはロボット開発セクターを新設いたしました。
産業技術研究センターでは、今後これまで蓄積した技術や保有する最先端の機器を活用しながら、ロボット開発に取り組む中小企業の支援に一層力を注いでいくこととしております。
○中村委員 最後ですが、昨年度もう一つ、新たに立ち上がった墨田支所の生活技術開発セクターについて伺います。
社会的なニーズも変わる中で、生活製品に求められる快適、健康、安全・安心、使いやすさなど高付加価値なものづくりが求められています。こうした市場のニーズに応え、中小企業の支援を行う新たな取り組みは評価したいと思います。もちろん新たなセクターですので、積極的にPRして活用していただくことを望みます。
新たに生活技術開発セクターを設置した狙いと取り組みを伺います。
○十河商工部長 産業技術研究センターでは、性能と快適性を両立させた高付加価値な生活関連製品の開発を支援するため、昨年十月、墨田支所内に生活技術開発セクターを開設いたしました。
本セクターでは、衣服の圧力分布や熱の伝わり方などを測定する快適性評価や、有害物質の分析などを行う安全性評価を行うことができ、例えば快適性評価としては、室内外の環境を人工的に再現できる日射試験装置を活用したクールビズ、ウオームビズ製品の開発等を支援しております。
今後とも、従来の繊維製造業はもとより、インテリア、雑貨など生活関連サービス業の利用を促進し、生活に身近な製品の競争力を高める中小企業の支援を強化してまいります。
○中村委員 ご答弁ありがとうございました。さまざまな質問をいたしましたが、評価書の指摘を受けてより一層の改善を行い、今後、中小企業のものづくりを支えていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。
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